相談:不動産
私は3年前から一戸建て建物を借り住んでいます。実は、「借家の明渡料」について質問があります。借地借家法の改正が話題となっている中、時期を見計らったかのように大家さんが、「平成12年8月末に建物を取壊すので」との理由で、立ち退きを迫ってきました。
身近に、相談できる弁護士さんがいません。新法の成立により、立ち退き料などの請求ができなくなるのでしょうか。また、借家人の立場が弱くなるのでしょうか。回答
従前、建物 賃貸借契約は、期間満了しても、賃借人が望めば、更新されました。
1999年12月9日、「良質な賃貸住宅等の供給の促進に関する特別措置法」が成立し、2000年3月1日から(借地借家法38条が改正され)定期建物賃貸借契約が認められます。契約で決められた日に賃貸借契約が終了し、更新がない建物の定期賃貸借契約は次の要件が必要です。居住用建物でも営業用建物でも定期賃貸借契約は締結できます。期間は1年未満でも、20年以上でも可能です。
- 公正証書による等書面によって契約する。
- 賃貸人は、あらかじめ、賃借人に対し、賃貸借契約の更新がなく、期間の満了により契約は終了することを、その旨を記載した書面を交付して説明する。
施行前にされた居住の用に供する建物の賃貸借契約の当事者が、その賃貸借を合意により終了させ、引き続き新たに同じ建物を目的とする賃貸借をする場合には、当分の間、定期賃貸借の規定は適用されません(附則第3条)。
施行前にされた営業用の建物の賃貸借契約は、3月1日以降、当事者が、その賃貸借を合意により終了させ、引き続き新たに同じ建物を目的とする定期賃貸借契約を締結することはできます。
従って、あなたと大家さんが合意しても、あなたが借りている建物につき契約を定期賃貸借には変更できないのです。 さらに、あなたの契約は定期借家契約でもないでしょう。
従って、あなたの建物賃貸借契約には新法は適用されません。ご心配は不要です。
新法が施行された後は、現行の契約の終了を求めるのに正当事由を要する契約と、契約期間終了と同時に契約が必ず終了する定期借家制度が併存することとなります。
しかし、今後は、ほとんどの契約が「借家が一定期間で必ず返ってくる」という定期借家制度になると予想する意見もあります。定期借家契約とこれまでの借家契約との比較
定期借家契約 これまでの借家契約 契約方法 公正証書等の書面による契約に限る
「更新がなく、期間の満了により終了する」ことを契約書とは別の書面で、あらかじめ説明する書面でも口頭でもよい 更新 期間満了により終了
更新はない正当事由がない限り更新する 建物賃貸借期間 の上限 制限ない 2000年3月1日より前の契約 期間は20年まで
2000年3月1日以降の契約 制限はない.期間を1年未満とする建物賃貸借契約の効力 1年未満の契約も可能 期間の定めのない賃貸借契約とみなされる 建物賃借料の増減に関する特約の効力 借料の増減は特約の定めに従う 特約にかかわらず、当事者は、賃借料の増減を請求できる 借主からの中途解約 床面積が200u未満の居住用建物で、やむを得ない事情により、生活の本拠として使用することが困難となった借り主からは、特約がなくても法律により、中途解約ができる
上記以外の場合は中途解約に関する特約があればその定めに従う中途解約に関する特約があれば、その定めに従う