刑事訴訟法抜粋:221-266条

弁護士河原崎法律事務所ホーム > 法規集 >
Last update 2011.5.3
制作:弁護士河原崎弘
第221条〔領置〕
  検察官、検察事務官又は司法警察職員は、被疑者その他の者が遺留した物又は
  所有者、所持者若しくは保管者が任意に提出した物は、これを領置することが
 できる。

第222条〔準用規定等〕
  第九十九条〔差押・提出命令〕、第百条〔郵便物等の押収〕、第百二条乃至第百五
  条〔捜索・押収の拒否権〕、第百十条乃至第百十二条〔令状の呈示、開封等の処分、
  出入禁止処分〕、第百十四条〔立会〕、第百十五条〔女子の身体の捜索〕及び第百
  十八条乃至第百二十四条〔執行中止の際の処分、証明書の交付、目録の交付、押収
  物の処置〕の規定は、検察官、検察事務官又は司法警察職員が第二百十八条、第二
  百二十条及び前条の規定によつてする押収又は捜索について、第百十条〔令状の呈
  示〕、第百十二条〔執行中の出入禁止〕、第百十四条〔立会〕、第百十八条〔執行
  中止の際の処分〕、第百二十九条〔検証と必要な処分〕、第百三十一条〔身体検査
  の注意〕及び第百三十七条乃至第百四十条〔身体検査拒否に対する身体検査の強制〕
  の規定は、検察官、検察事務官又は司法警察職員が第二百十八条又は第二百二十条
  の規定によつてする検証についてこれを準用する。但し、司法巡査は、第百二十二
  条乃至第百二十四条〔押収物の売却・還付〕に規定する処分をすることができない。
  第二百二十条の規定により被疑者を捜索する場合において急速を要するときは、第
  百十四条第二項〔住居主の立会〕の規定によることを要しない。
  第百十六条及び第百十七条〔時刻の制限〕の規定は、検察官、検察事務官又は司法
  警察職員が第二百十八条〔令状による差押・捜索・検証〕の規定によつてする押収
  又は捜索について、これを準用する。
  日出前、日没後には、令状に夜間でも検証をすることができる旨の記載がなければ、
  検察官、検察事務官又は司法警察職員は、第二百十八条の規定によつてする検証の
  ため、人の住居又は人の看守する邸宅、建造物若しくは船舶内に入ることができな
  い。但し、第百十七条〔夜間執行を許す場所〕に規定する場所については、この限
  りでない。
  日没前検証に着手したときは、日没後でもその処分を継続することができる。
  検察官、検察事務官又は司法警察職員は、第二百十八条の規定により差押、捜索又
  は検証をするについて必要があるときは、被疑者をこれに立ち会わせることができ
  る。
  第一項の規定により、身体の検査を拒んだ者を過料に処し、又はこれに賠償を命ず
  べきときは、裁判所にその処分を請求しなければならない。
222条の2 [電気通信の傍受を行う強制の処分]
 通信の当事者のいずれの同意を得ないで電気通信の傍受を行う強制の処分について
 、別に法律に定めるところによる。

第223条〔第三者の任意出頭・取調、鑑定等の嘱託〕
   検察官、検察事務官又は司法警察職員は、犯罪の捜査をするについて必要がある
  ときは、被疑者以外の者の出頭を求め、これを取り調べ、又はこれに鑑定、通訳若
  しくは翻訳を嘱託することができる。
  第百九十八条第一項但書〔出頭拒否・退去〕及び第三項乃至第五項〔調書・読みき
  かせ・署名押印〕の規定は、前項の場合にこれを準用する。

第224条〔鑑定留置の請求〕
  前条第一項の規定により鑑定を嘱託する場合において第百六十七条第一項〔鑑定留
  置〕に規定する処分を必要とするときは、検察官、検察事務官又は司法警察員は、
  裁判官にその処分を請求しなければならない。
  裁判官は、前項の請求を相当と認めるときは、第百六十七条の場合に準じてその処
  分をしなければならない。この場合には、第百六十七条の二〔勾留の執行停止〕の
  規定を準用する。

第225条〔鑑定受託者と必要な処分〕
 第二百二十三条第一項の規定による鑑定の嘱託を受けた者は、裁判官の許可を受け
 て、第百六十八条第一項〔鑑定人の処分〕に規定する処分をすることができる。
 前項の許可の請求は、検察官、検察事務官又は司法警察員からこれをしなければな
 らない。
 裁判官は、前項の請求を相当と認めるときは、許可状を発しなければならない。
 第百六十八条第二項乃至第四項〔許可状の記載事項・条件・呈示〕及び第六項〔処分
 上の注意、拒否に対する制裁〕の規定は、前項の許可状についてこれを準用する。

第226条〔公判前の証人尋問請求〕
  犯罪の捜査に欠くことのできない知識を有すると明らかに認められる者が、第二百
  二十三条第一項の規定による取調に対して、出頭又は供述を拒んだ場合には、第一
  回の公判期日前に限り、検察官は、裁判官にその者の証人尋問を請求することがで
 きる。

第227条〔同前〕

 @第二百二十三条第一項の規定による検察官、検察事務官又は司法警察職員の取調べに
 際して任意の供述をした者が、公判期日においては前にした供述と異なる供述をするお
 それがあり、かつ、その者の供述が犯罪の証明に欠くことができないと認められる場合
 には、第一回の公判期日前に限り、検察官は、裁判官にその者の証人尋問を請求するこ
 とができる。
 A前項の請求をするには、検察官は、証人尋問を必要とする理由及びそれが犯罪の証明 
   に欠くことができないものであることを疎明しなければならない。

第228条〔公判前の証人尋問における裁判官の権限〕
  前二条の請求を受けた裁判官は、証人の尋問に関し、裁判所又は裁判長と同一の権
  限を有する。
  裁判官は、捜査に支障を生ずる虞がないと認めるときは、被告人、被疑者又は弁護
 人を前項の尋問に立ち会わせることができる。

第229条〔検視〕
  変死者又は変死の疑のある死体があるときは、その所在地を管轄する地方検察庁又
  は区検察庁の検察官は、検視をしなければならない。
  検察官は、検察事務官又は司法警察員に前項の処分をさせることができる。

第230条〔告訴権者〕
  犯罪により害を被つた者は、告訴をすることができる。

第231条〔同前〕
  被害者の法定代理人は、独立して告訴をすることができる。
  被害者が死亡したときは、その配偶者、直系の親族又は兄弟姉妹は、告訴をするこ
  とができる。但し、被害者の明示した意思に反することはできない。

第232条〔同前〕
  被害者の法定代理人が被疑者であるとき、被疑者の配偶者であるとき、又は被疑者
  の四親等内の血族若しくは三親等内の姻族であるときは、被害者の親族は、独立し
  て告訴をすることができる。

第233条〔同前〕
  死者の名誉を毀損した罪については、死者の親族又は子孫は、告訴をすることがで
  きる。
  名誉を毀損した罪について被害者が告訴をしないで死亡したときも、前項と同様で
  ある。但し、被害者の明示した意思に反することはできない。

第234条〔告訴権者の指定〕
  親告罪について告訴をすることができる者がない場合には、検察官は、利害関係人
  の申立により告訴をすることができる者を指定することができる。

第235条〔親告罪の告訴期間〕
  @親告罪の告訴は、犯人を知つた日から六箇月を経過したときは、これをすることが
   できない。ただし、次に掲げる告訴については、この限りでない。
 一 刑法第百七十六条から第百七十八条まで、第二百二十五条若しくは第二百二十
   七条第一項(第二百二十五条の罪を犯した者を幇助する目的に係る部分に限る)
   若しくは第三項の罪又はこれらの罪に係る未遂罪につ行う告訴
 二 第二百三十二条第二項の規定により外国の代表者が行う告訴及び日本国に派遣
   された外国の使節に対する同法第二百三十条又は第二百三十一条の罪につきそ
   の使節が行う告訴

  A刑法第二百二十九条但書〔略取誘拐された後犯人と婚姻した者の告訴〕の場合にお
   ける告訴は、婚姻の無効又は取消の裁判が確定した日から六箇月以内にこれをしな
   ければ、その効力がない。

第236条〔告訴期間の独立〕
  告訴をすることができる者が数人ある場合には、一人の期間の徒過は、他の者に対
  しその効力を及ぼさない。

第237条〔告訴の取消〕
  告訴は、公訴の提起があるまでこれを取り消すことができる。
  告訴の取消をした者は、更に告訴をすることができない。
  前二項の規定は、請求を待つて受理すべき事件についての請求についてこれを準用
  する。

第238条〔告訴の不可分〕
  親告罪について共犯の一人又は数人に対してした告訴又はその取消は、他の共犯に
  対しても、その効力を生ずる。
  前項の規定は、告発又は請求を待つて受理すべき事件についての告発若しくは請求
  又はその取消についてこれを準用する。

第239条〔告発〕
  何人でも、犯罪があると思料するときは、告発をすることができる。
  官吏又は公吏は、その職務を行うことにより犯罪があると思料するときは、告発を
  しなければならない。

第240条〔代理人による告訴・告訴取消〕
  告訴は、代理人によりこれをすることができる。告訴の取消についても、同様であ
  る。

第241条〔告訴・告発の方式〕
  告訴又は告発は、書面又は口頭で検察官又は司法警察員にこれをしなければならな
  い。
  検察官又は司法警察員は、口頭による告訴又は告発を受けたときは調書を作らなけ
  ればならない。

第242条〔告訴・告発を受けた司法警察員の手続〕
  司法警察員は、告訴又は告発を受けたときは、速やかにこれに関する書類及び証拠
  物を検察官に送付しなければならない。

第243条〔準用規定〕
  前二条の規定は、告訴又は告発の取消についてこれを準用する。

第244条〔外国代表者等の告訴の特別方式〕
  刑法第二百三十二条第二項〔外国君主に対する名誉毀損罪の告訴〕の規定により外
  国の代表者が行う告訴又はその取消は、第二百四十一条及び前条の規定にかかわら
  ず、外務大臣にこれをすることができる。日本国に派遣された外国の使節に対する
  刑法第二百三十条〔名誉毀損〕又は第二百三十一条〔侮辱〕の罪につきその使節が
  行う告訴又はその取消も、同様である。

第245条〔自首〕
  第二百四十一条〔告訴・告発の方式〕及び第二百四十二条〔告訴・告発の場合の書
  類等の検察官送付〕の規定は、自首についてこれを準用する。

第246条〔司法警察員の事件送致〕
  司法警察員は、犯罪の捜査をしたときは、この法律に特別の定のある場合を除いて
  は、速やかに書類及び証拠物とともに事件を検察官に送致しなければならない。
  但し、検察官が指定した事件については、この限りでない。

第2章 公訴

第247条(国家訴追主義)
 公訴は、検察官がこれを行う。

第248条(訴便宜主義)
 犯人の性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況により訴追を
 必要としないときは、公訴を提起しないことができる。

第249条(公訴の効力の人的範囲)
 公訴は、検察官の指定した被告人以外の者にその効力を及ぼさない。

第250条(公訴時効の期間)
 時効は、人を死亡させた罪であつて禁錮以上の刑に当たるもの(死刑に当たるものを除く。)については、
 次に掲げる期間を経過することによつて完成する。
一 無期の懲役又は禁錮に当たる罪については三十年
二 長期二十年の懲役又は禁錮に当たる罪については二十年
三 前二号に掲げる罪以外の罪については十年
A 時効は、人を死亡させた罪であつて禁錮以上の刑に当たるもの以外の罪については、
 次に掲げる期間を経過することによつて完成する。
一  死刑に当たる罪については二十五年 
二  無期の懲役又は禁錮に当たる罪については十五年 
三  長期十五年以上の懲役又は禁錮に当たる罪については十年 
四  長期十五年未満の懲役又は禁錮に当たる罪については七年 
五  長期十年未満の懲役又は禁錮に当たる罪については五年 
六  長期五年未満の懲役若しくは禁錮又は罰金に当たる罪については三年 
七  拘留又は科料に当たる罪については一年 

第251条(時効期間の基準となる刑)
 二以上の主刑を併科し、又は二以上の主刑中その一を科すべき罪については、その重
 い刑に従つて、前条の規定を適用する。

第252条(同前)
 刑法により刑を加重し、又は減軽すべき場合には、加重し、又は減軽しない刑に従つ
 て、第二百五十条の規定を適用する。

第253条(時効期間の起算点)
 時効は、犯罪行為が終つた時から進行する。
 共犯の場合には、最終の行為が終つた時から、すべての共犯に対して時効の期間を起
 算する。

第254条(時効の停止)
 時効は、当該事件についてした公訴の提起によつてその進行を停止し、管轄違又は公
 訴棄却の裁判が確定した時からその進行を始める。
 共犯の一人に対してした公訴の提起による時効の停止は、他の共犯に対してその効力
 を有する。この場合において、停止した時効は、当該事件についてした裁判が確定し
 た時からその進行を始める。
第255条(同前)
 犯人が国外にいる場合又は犯人が逃げ隠れているため有効に起訴状の謄本の送達若し
 くは略式命令の告知ができなかつた場合には、時効は、その国外にいる期間又は逃げ
 隠れている期間その進行を停止する。
 犯人が国外にいること又は犯人が逃げ隠れているため有効に起訴状の謄本の送達若し
 くは略式命令の告知ができなかつたことの証明に必要な事項は、裁判所の規則でこれ
 を定める。

第256条(起訴状、訴因、罰条)
 公訴の提起は、起訴状を提出してこれをしなければならない。
 起訴状には、左の事項を記載しなければならない。
 一 被告人の氏名その他被告人を特定するに足りる事項
 二 公訴事実
 三 罪名
 公訴事実は、訴因を明示してこれを記載しなければならない。訴因を明示するには、
 できる限り日時、場所及び方法を以て罪となるべき事実を特定してこれをしなければ
 ならない。
 罪名は、適用すべき罰条を示してこれを記載しなければならない。但し、罰条の記載
 の誤は、被告人の防禦に実質的な不利益を生ずる虞がない限り、公訴提起の効力に影 響を及ぼさない。
 数個の訴因及び罰条は、予備的に又は択一的にこれを記載することができる。
 起訴状には、裁判官に事件につき予断を生ぜしめる虞のある書類その他の物を添附し
 又はその内容を引用してはならない。

第257条(公訴の取消)
 公訴は、第一審の判決があるまでこれを取り消すことができる。

第258条(他管送致)
 検察官は、事件がその所属検察庁の対応する裁判所の管轄に属しないものと思料する
 ときは、書類及び証拠物とともにその事件を管轄裁判所に対応する検察庁の検察官に
 送致しなければならない。

第259条(被疑者に対する不起訴処分の告知)
 検察官は、事件につき公訴を提起しない処分をした場合において、被疑者の請求があ
 るときは、速やかにその旨をこれに告げなければならない。

第260条(告訴人等に対する事件処理の通知) 検察官は、告訴、告発又は請求のあつた事件について、公訴を提起し、又はこれを提
 起しない処分をしたときは、速やかにその旨を告訴人、告発人又は請求人に通知しな
 ければならない。公訴を取り消し、又は事件を他の検察庁の検察官に送致したときも、
 同様である。

第261条(告訴人等に対する不起訴理由の告知)
 検察官は、告訴、告発又は請求のあつた事件について公訴を提起しない処分をした場
 合において、告訴人、告発人又は請求人の請求があるときは、速やかに告訴人、告発
 人又は請求人にその理由を告げなければならない。

第262条(準起訴手続、付審判の請求)
 刑法第百九十三条乃至第百九十六条(公務員の職権濫用)又は破壊活動防止法(昭和二
 十七年法律第二百四十号)第四十五条〔公安調査官の職権濫用〕の罪について告訴又
 は告発をした者は、検察官の公訴を提起しない処分に不服があるときは、その検察官
 所属の検察庁の所在地を管轄する地方裁判所に事件を裁判所の審判に付することを請 求することができる。
 前項の請求は、第二百六十条〔不起訴処分の通知〕の通知を受けた日から七日以内に、
 請求書を公訴を提起しない処分をした検察官に差し出してこれをしなければならない。

第263条(請求の取下)
 前条第一項の請求は、第二百六十六条の決定があるまでこれを取り下げることができ
 る。
 前項の取下をした者は、その事件について更に前条第一項の請求をすることができな
 い。

第264条(公訴提起の義務)
 検察官は、第二百六十二条第一項の請求を理由があるものと認めるときは、公訴を提
 起しなければならない。

第265条(準起訴手続の審判)
 第二百六十二条第一項の請求についての審理及び裁判は、合議体でこれをしなければ ならない。裁判所は、必要があるときは、合議体の構成員に事実の取調をさせ、又は
 地方裁判所若しくは簡易裁判所の裁判官にこれを嘱託することができる。この場合に
 は、受命裁判官及び受託裁判官は、裁判所又は裁判長と同一の権限を有する。

第266条(請求に対する決定)
 裁判所は、第二百六十二条第一項の請求を受けたときは、左の区別に従い、決定をし
 なければならない。

*「以下」、「未満」、「以上」の意味正確な意味について質問がありました。
「以下」、「以上」は次に書かれた数字を含みますが、 「未満」は次のに書かれた数 字を含みません。長期10年以上の懲役といえば、10年の懲役はこれに該当します。 これは法律の問題ではなく、日本語の問題です。日本人なら国語辞典を引きましょう。

2010年4月27日施行の改正刑事訴訟法により公訴時効について改正がありました(250条)。非常にわかり難い条文ですね。次の通りです。 1997.6.3