破産手続きの2つの流れと予納金
同時廃止と管財事件

弁護士(ホーム)金銭、債務整理、破産
Last Update 2015.2.27mf


弁護士河原崎 弘

管財人選任 同時廃止(管財人を選任しない)
-
通常の管財事件
(不動産など資産ある場合)
少額管財
(問題がある場合)
資産無し
(免責不許可事由がない場合)
予納金は 20 万円(基本額)
予納金は下記表の通り→ 破産申立(免責申立) ←予納金は約 2 万円
裁判官面接
管財人選任←  破産開始決定 →同時破産廃止
管財人債権取立・配当等 →免責の審問← 配当手続き無し
免責許可決定

東京地裁例
申立手数料(印紙)
個人自己破産および免責申立1500円
法人自己破産申立1000円
債権者破産申立2万円

破産予納金

破産の申立をするときには、裁判所に手続き費用としてお金を納める必要があります。その金額(予納金)は債務金額によって異なります。

東京地方裁判所の例を下に記載しました。表内に記載した例は破産管財人が選任されるケースです。
不動産もなく、資産もないケースでは、破産管財人は選任されず、破産宣告と同時に破産手続きは廃止されます。その予納金は下記のケースとは異なり、約 2 万円です。ただし、東京地裁が最近始めた少額管財手続では、予納金の標準額は 20 万円です。
金がないから破産するのに、破産にお金が必要とはおかしい、との疑問があります。これは、法的な葬式費用と考えるしかありません。

破産の場合、破産後、免責の申立をし、免責決定をもらうと、古い債務からのがれることができます。これが破産のメリットです。
破産・同時廃止のケースで借入れ時に問題があると、1 年位の間に債務者に債務の 5 %から 10 %くらいの弁済をさせ、その後に免責決定をすることがあります。
東京地方裁判所は、この一部弁済制度を廃止し、少額予納金(基本は 20 万円)を収め、管財人を選任する 少額管財手続 をとっています。
手続き要素特徴
同時廃止即日面接申立人代理人は弁護士弁護士が免責不許可事由などを調査/早い
通常の同時廃止裁判所が免責不許可事由などを調査
管財人選任少額管財20万円の予納金管財人が選任されるが、手続きは簡易
通常の管財予納金は最低50万円通常の破産手続き

最近は、破産手続きは迅速に行われるようになり、破産・同時廃止のケースでは、破産申立後半年位で免責決定までいきます。最も早い手続きは、即日面接手続きです。即日面接手続きでは、免責不許可事由等を申立代理人である弁護士がチェックします。以前は、調査、書類に不備がある場合は、3日以内に補正すればよかったですが、現在は、少額管財事件に移行するとの話もあります。
少額管財手続(東京地方裁判所のみ)は比較的短期間で終わりますが、通常の管財人が選任されるケースでは 3 年から 5 年程度かかります。
多額の債務に苦しんでいる方は自己破産の申立をするとよいです。
裁判所で謄写(コピー)業務を行っている司法協会などで自己破産申立てに必要な書類一式を売っています。費用を節約するために、弁護士に依頼せず、これを使って自分自身で申立てすることもできます。その場合全ての債権者を債権者名簿に載せるよう努めてください。記載漏れがあると、その債権者に対し免責の効力が及びません(破産法366条の12、五号)。

インフォーメーション20:東京地方裁判所民事20部(破産・再生部)では、ファックスにより書式などの情報提供をおこなっています。FAXから03-3580-8201へ電話して情報を取り出すことができます。

BOXCODE 内容
0000総合案内
3001即日面接の進行要領
3101少額管財手続の進行要領
4002個人で申立をされる方へ
4003予納金・郵券・収入印紙一覧
400420 部までの交通機関

最高裁発表の 破産の統計を見ると、破産件数は近年急激に増加し、平成15年は25万1800件でピークになり、その後、減少しています。平成21年は13万7957件です。このうち、個人の自己破産が約95%を占めています。
アメリカでは1998年の個人破産(consumer bankruptcies )は139万8000件(前年比3.6%増)ですが(朝日1999.3.3朝刊)、2010年では、前年より9%増の153万0078 件になりました。

破産予納金一覧:東京地方裁判所の場合

予納金
債務総額:円破産管財人選任事件
法人自然人法人 / 自然人
通常少額管財手続き
東京地方裁判所
5000万未満70万円50万円標準額は 20 万円
(法人および法人代表者の自己破産の場合も)
5000万-1億100万円80万円
1億-5億200万円150万円
5億-10億300万円250万円
10億-50億400万円
50億-100億500万円
100億-250億700万-
250億-500億800万円
500億-1000億1000万円
1000億以上1000万円以上

自己破産手続きを弁護士に依頼した場合の費用については 自己破産の弁護士費用を参照。

登録 May 16,1997