顧客名簿の漏えい防止策

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2013.11.8mf更新
弁護士河原崎弘

質問:顧客名簿の漏えい

当社は、家電、日用品を販売しています。この度、顧客名簿を整備することになり、ソフト作成を含めて外部の会社に委託することになりました。
当社は、相手の会社に、顧客名簿を渡し、データベースを作成してもらうことになりました。その際、約50万人分の名簿を渡しますが、これが外部に漏れる危険があります。特に、同業者に流されると、当社は大きな打撃を受けます。
契約書などで、名簿が流れるのを防ぐには、どうしたらよいですか。
相談者は、顧問の法律事務所を訪ね、弁護士のアドバイスを聴きました。

回答:違約金条項

企業の顧客情報など情報管理は、重要なことです。情報漏えいは、時には、企業にとっては命取りになります。
まず、 契約書内に、名簿は、秘密事項であり、「厳重に管理する」旨誓約させ、相手に渡す名簿原本に一連のナンバーを打ち、全て返還してもらう旨の条項を入れることです。必要なら、さらに、名簿の管理方法を具体的に書き、それを守らせることです。
これだけでは、単なる精神条項に終わります。万一名簿が漏れた場合は、あなたの会社は、相手に損害賠償を請求できますが、損害額の立証は極めて難しいです。そこで、名簿が外部に流れた場合は、相手が負う損害賠償額(違約金)を契約書の中で決めることです( 民法420条 )。具体的に違約金は金300万円などと書く必要があります。
さらに、名簿が漏れたとしても、それが、相手からもれたことを証明することも難しいです。そこで、立証できる工夫をする必要があります。その1つは、名簿内に、相手に渡した名簿にだけ特有な情報を入れる(例えば、架空の名簿)ことなどでしょう。それぞれ、工夫する必要があります。

民法420条


当事者は、債務の不履行について損害賠償の額を予定することができる。この場合において、裁判所は、その額を増減することができない。
賠償額の予定は、履行の請求又は解除権の行使を妨げない。
違約金は、賠償額の予定と推定する。

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