交通事故の損害賠償支払い債務は、破産宣告後、免責されますか

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Last updated 2017.9.21mf

相談:交通事故損害賠償債務は免責されるか

破産しても、免責されない債務があるそうですね。前方不注意の交通事故(人身事故)の損害賠償債務約430万円はどうですか。
男性は、クレサラ相談所で、弁護士に相談しました。

相談2:不貞関与を理由とする慰謝料は免責されるか

不貞関与を理由に相手の奥さんから、300万円の慰謝料を請求されています。私は、今度、破産決定、免責決定をされました。慰謝料も免責されますか。

回答:故意または重過失に基づく損害賠償債務

担当の弁護士は次の通りに説明しました。破産手続きの中で、免責決定があれば、通常、破産者は、債務の支払いから免れます。自己破産の目的は免責決定を得て債務を免れることです。 しかし、免責決定を得ても、免責されない債務があります。それは、下記の通り、破産法253条に規定されています。
不法行為に基づく損害賠償請求権は、不法行為者が、当時、故意、又は、重過失(1項3号)でなければ免責されます。
相談者の場合、単なる過失による交通事故のようですので、破産後免責決定を得ると、免責されます。

さらに、単なる故意を超え、故意を超えた積極的な害意でなければ、免責されるとの考えが強いです。貞操侵害に加担した慰謝料の場合にも、積極的な害意がない場合は免責されます。

法律

破産法第253条(免責許可の決定の効力等)

免責許可の決定が確定したときは、破産者は、破産手続による配当を除き、破産債権に ついて、その責任を免れる。ただし、次に掲げる請求権については、この限りでない。
 租税等の請求権
 破産者が悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権
 破産者が故意又は重大な過失により加えた人の生命又は身体を害する不法行為に基づく損害賠償請求権(前号に掲げる請求権を除く。)
 次に掲げる義務に係る請求権
 民法第752条の規定による夫婦間の協力及び扶助の義務
 民法第760条の規定による婚姻から生ずる費用の分担の義務
 民法第766条(同法第749条、第771条及び第788条において準用する場合を含む。)の規定による子の監護に関する義務
 民法第877条から第880条までの規定による扶養の義務
 イからニまでに掲げる義務に類する義務であって、契約に基づくもの
 雇用関係に基づいて生じた使用人の請求権及び使用人の預り金の返還請求権
 破産者が知りながら債権者名簿に記載しなかった請求権(当該破産者について破産手続開始の決定があったことを知っていた者の有する請求権を除く。)
 罰金等の請求権
2 免責許可の決定は、破産債権者が破産者の保証人その他破産者と共に債務を負担する者に対して有する権利及び破産者以外の者が破産債権者のために供した担保に影響を及ぼさない。
3 免責許可の決定が確定した場合において、破産債権者表があるときは、裁判所書記官は、これに免責許可の決定が確定した旨を記載しなければならない。

判決

登録 2006.11.7
港区虎ノ門3丁目18-12-301(神谷町駅1分)弁護士河原崎弘 03-3431-7161