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2023.10.10mf

立替え払いによる求償債権の消滅時効期間

弁護士河原崎弘

相談:求償権の時効

知人が手術のために入院することになり、私に保証人になってくれと頼まれました。人助けと思って、保証人になりました。
知人は、無事、手術を終えましたが、入院が長くなったため、退院時には、手持ち金がありませんでした。
そこで、退院時に、私に請求が来ました。
私は、仕方なく、病院に、約125万円を支払いました。 当時、知人は、「必ず、返します」と言っていました。
その後、知人は、「返します」と言うのですが、返済せず、4年が経過しました。
この時点で、返済を迫ると、知人は、消滅時効をにおわすのです。 病院の債権は、3年で時効消滅するとは、本当でしょうか。
立替金もそうですか。

回答

旧法では、債権の種類別に消滅時効期間が決められていました。これが、2020年4月1日以後廃止されました。
債務者に代わり立替払いした第三者は、債権者が有していた権利と債務者に対する求償権を取得します。この求償権債権は、債権者が有していた債権とは、別で、時効期間も別です。

立替払いが、2020年3月31日までなされた場合

病院の有する患者に対する債権の時効消滅期間は、3年です(旧民法170条)。 病院に対して支払いをした第三者は、債務者(患者)に対し、求償権を取得します。この求償権の時効消滅期間は、10年です。
起算日は、支払いをした日です。相談者の有している求償権は、まだ、時効消滅していません。
なお、立替え払いした第三者が、会社の場合は、求償権(立替金)の消滅時効期間は、5年です。

立替払いが、2020年4月1日以後になされた場合

病院の有する患者に対する債権の時効消滅期間は、5年です(民法166条1項)。 病院に対して支払いをした第三者は、債務者(患者)に対し、求償権を取得します。この求償権の時効消滅期間は、5年です。
相談者の有している求償権は、まだ、時効消滅していません。
なお、立替え払いした第三者が、会社の場合も、求償権(立替金)の消滅時効期間は、同じく、5年です(民法166条1項)。

判決

登録 2014.4.17
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