<自然環境ファクトシート2>

国立公園と自然保護区


 オーストラリアの国立公園は、自然景観や野生生物の保護地区としての性格が強く、各種の自然保護地区とともに、観光開発、経済開発が厳しく制限されている。

 オーストラリアの国立公園は、気候からいえば、熱帯から積雪地帯までに及び、島、海や入江地帯から広大な砂漠まで幅広く分布している。熱帯雨林から冠雪した山岳地帯、砂漠から沼沢地帯や河川、険しい渓谷から地平線の彼方まで見渡すかぎり何も見えない広大な平原まで、壮大かつ変化に富んだ景観を呈している。

 オーストラリアには、2,000を越える国立公園、保護区、鳥獣保護区があり、グレート・バリア・リーフ海洋公園に指定されている地域を含むと、その面積は、80万km2に達している。国立公園の数は、大小合わせて493カ所、総面積15.4万km2となり国土面積の約2%となっている。

 1874年に、シドニーの南に72.84km2を擁するロイヤル国立公園が設立された。この国立公園がオーストラリア初の、世界で2番目の国立公園となった。

 オーストラリアでは、各州が国立公園に準ずるさまざまな自然景観、野生生物の保護地区を独自に指定している。例えば、国立公園の数が314と多いクイーンズランド州では、その他の保護区がわずかなのに対して、国立公園の数が11と少ない南オーストラリア州では、200以上の各種の自然保護公園が指定されている。国立公園にこれらの各種の自然景観、野生生物の保護地区を加えると、海洋部分が中心のグレートバリアリーフ海洋公園を除いても、総面積が38万km2となり、国土面積の約5%に達する。

 自然保護区に指定されている地域は、ニュー・サウス・ウェールズ州のジュリアン・ロックス、ムーン島、シールロックスのように極めて重要ながら面積はわずか1ヘクタールしかないものから、ニュー・サウス・ウェールズ州の南にある645.8km2のコジアスコ国立公園、クイーンズランド州の 5,370km2のレイクフィールド国立公園、南オーストラリア州北西部の21,000km2の無名の自然公園までその規模は様々である。

[自然保護区指定地の大きさ]

広さ/km2 州面積比率
NSW 33,000 4.2%
VIC 13,000 5.6%
QLD 41,000 2.3%
海洋国立公園 12,000  
SA 45,000 4.6%
WA 140,000 5.5%
TAS 9,460 13.9%
NT 19,000 1.4%
ACT 725 30.2%

 ファクトシート3では、保護区と大きく関係してくる世界遺産条約について解説します。

出典:Australian Overseas Information Service Japanese Fact Sheet Series No.12
   オセアニアを知る事典 平凡社 監修:石川栄吉、越智道雄他