This is a Japanese translation of "The Long Chamber" by Olivia Howard Dunbar.

以下は "The Long Chamber" by Olivia Howard Dunbar の全訳です。

長い部屋

著: オリヴィア・ハワード・ダンバー
訳: The Creative CAT

あのじめついた八月の昼下がりに一通の電報を受け取って以来私に取り憑いた漠然とした不安、それが肥大していくのに確たる理由などなかったのだろう。遅れて届いたその電報は、もうじきベアトリス・ヴェスパーがやって来ることを告げていた。

……ベアトリス・ヴェスパーの突然の来訪、それも一人きりで——これほど不可解な知らせはなかった。もっとも実際に何か懸念材料があったわけではない。鉄道の駅からここまで酷い坂道が五キロメートル続くが——喜ばしくも衰退し行く私たちの村は、現代社会から切り離されつつある——彼女なら適当な足を見つけるだろう。また、他の人が思い出させてくれたように、だだっ広いバーリー・ハウスが、不慣れな客を招いたりおびき寄せたりすることもないわけではない。まさにその朝、我らが自負の根元たる長い部屋ロング・チェンバーが最後の仕上げを施され、至高の接客をするにふさわしい面目を備えたのも否めない事実であった。ベアトリスの方でも、バーリー・ハウスが崩壊を免れたことを喜ぶだろうし、同様に彼女自身が調和のとれた内装の最高の一部となるであろうことも疑いなかった。この調度、という点については、ディヴィッドも私も軽々には語れない。数ヶ月前思いがけなく入手することになったこの貴重な家屋に対して、いかにふんだんに、情熱を込めて、私たちは愛と汗とを注いできたことか——しかし結局のところ二人とも余りの失望にヒステリーを起こしそうになりながら、こう認めざるをえなかった。重厚な室内はいつもガランとしていたのである。そのくせ私たちは「これぞ我が家」と高吟しつつその中を闊歩したものだ。私たち陽気な余所者の存在などでは到底埋め切れない空虚が口を開けていた。私たちが獲得したのは背景だった。だがそれは快活な生活のための背景であって、褪色しきった散文的生活を以て過去の全てを塗りつぶそうとするかのようだった。実際、私たちは霊的な借地権を得ることはできなかった。私たち自身がそれに属してはいないのだ。だが、一体べアトリス・ヴェスパーのどんな神秘的触覚がそうさせるのか皆目見当がつかなかったのだが、彼女は過去に捕らえられており、ここの霊的借地人になることだろう。

ところが、一目見るなり旧友が不幸なストレスを抱えてやってきた訳ではないことがはっきりわかった。落ち着いた屈託ない表情に私は一瞬たじろいだ。慌てた私は彼女が窶れ切った様子で現れるに違いないと思い込んでいたのだ。気ぜわしい日々が何年もつづいたのに、これほど繊細な人物が擦り切れていないのも信じられなかった。急に気が緩んだ私は、彼女のお世辞をすっかり受け容れたのだ。曰く、彼女の夫はつい昨日国際電報ケーブルに呼ばれて欧州に出向いた——この秋口に出版される予定のヴェスパー博士の専門書の最終校閲という重大業務のため、彼女自身は後に残された——そして手持ちのあらゆる社会的リソースの中から、バーリー・ハウスを一時的な避難所として選択した…… 怖がっていたのがなんだか馬鹿らしい気がした。その昔、ベアトリスと私は一番の親友だった。間違いなく、ここ数年私は彼女の境遇を大げさに見過ぎていて、最後には哀切かつ回顧的な口調でしか彼女のことを語れなくなっていた。あたかも故人になってしまったかのように。

ほんの昨日、ディヴィッドに話したのもそんな見地からだった。その婚姻が完全な自己犠牲であるところの、私の知る唯一の女性として。事情の通じぬ遠方からは彼女が奴隷状態に置かれているように見え、だがこれを悲憤慷慨している当の人物の足にもやはり同じ枷があって、ただ近代的な陽気さをより一層まとっているだけなのだ。また彼女は洞窟の中で鎖に繋がれているかのようでもあった——外の世界からはちらりとも見えなかった。ヴェスパー博士——穏やかな見かけの暴君——は社交を一顧だにせず、そのため二人の元へは文字通り一人の訪問者もなかった。こんな伝説が広がっていた。博士は惨めな程の胃弱で、彼に与えるための前代未聞の物質を用意するためにベアトリスは人生の大半を費やしているのだと。彼は財務——主要なものは彼を有名人にした地質学の研究から湧出してくる鉱山の利益————上の理由で一年中その市に留まっていて、夏の猛暑の中でもベアトリスは一日として彼の許から離れることがなかった。

だが頑固な昔気質のディヴィッドは驚こうはしなかった。「何がおかしいんだ。惚れた亭主にならそんなものでは?」

「それが、彼女は愛していないのよ」と私は突っぱねた「——というか愛していなかった。夢中になったのは夫の方、それこそ前代未聞の入れ込みぶりで。彼女は小さい頃からずっと面倒を見てもらっていたものだから、それが重荷になってね——ロマンティックなやり方じゃないと思うけど——で、数年後に二人は結婚した。で、たかが『気に入った』男のために、残りの世界をまるごと投げ捨てちゃうなんて、随分なことじゃない?」

ディヴィッドはこの話をアンソニー・ロイドに穏健な形で伝えたらしい。彼は私たちの昔からの友人で、この夏を共に過ごしていた。となるとこの二人はベアトリス・ヴェスパーのことを鈍臭い家事べったりの人物だと思っているだろう。だから彼女が到着して一時間たち、ロウソクの灯る食堂のほの暗い板材を背景にして、快活な微笑、艶やかな黒髪、桑の実色の琥珀織りを羽織る若くすらりとした人影が見えた時、二人とも彼女の美貌に打たれた様子が見え見えだった。アントニーが漏らした賞賛の色なんてちょっと行き過ぎなほどだった。心惹かれた女性に言い寄る時にも自信たっぷりにするのが彼のやり方だったからだ。だが彼女はそれを巧みに、かつ疑いの余地なくはねつけた。ベアトリス・ヴェスパーが厳格な古典的良妻の道を歩んでいるのがよくわかった。

しかしながら、この種の陥穽を避けるのは容易だった。私たちが相続した目もくらむような遺産という誰にも抵抗しがたい話題を持ち出してしまえばいい。即刻ディヴィッドが持論を力説した。仮に私らがここを直接相続し、所有者となるの栄誉に浴すると期待していたとしても、これ以上の手入れができたものか、と。

「まあ、出来栄えはひどく残念だ、」ディヴィッドは譲った。「しかし再び生命を与えた者としての名は欲しいね。私らが手ずからこの数ヶ月にしてきたことはまさにそんな感じだったんだ——死んだまま忘れられていた美しい物に生命を吹き込む。するとその物は再び生き返えったわけさ、そう思わないか? ただし惨めな有り様で。とはいえショッキングなほど不完全だなどと言えばまるで興行主の言い草だな。これはティモシー・バーリー判事の家で、1723年に建てられた後ずっと住居として使われてきた。廃墟になったのは先代のことだ。ここにはきっと——そうさ、きっと秘密がある。だがそれが何か私らは知らない。これは認めざるを得ないな!」

「おお、それを知らないままでここに住めると思っているのですか?」ベアトリスの語勢に皆が驚いた。「他の方法で伝わらなくても、事触れがあるでしょう。家族の伝統は覆い隠せません——永久にまとわりつくのですよ!」

「しかし伝説への飢餓状態はすでに解消されていますよ、」アントニーが表明した「あるいは僕らはそう考えています。少なくとも紙が鮨詰になった古いトランクを一群見つけました。そこから謎を掘り起こしていく作業は僕に任されましてね。今朝から着手するつもりです。」

「別にモーリーと私たちが発掘作業をしたくなかったというわけではないよ」ディヴィッドは急いで自己弁護を始めた「だが、時間がなかった。神託について言うと——想像力を羽ばたかせようにも、離陸点がなくてね。従兄弟たちが肖像画を一切合切とっておいたんだ。大したギャップだよ、私らが刻苦精励進めた内装の作業とは——土くれから生み出された、先祖のせの字もない状態だったのだ。とまれ、私らは問題の古い絵を見たことがある、ずっと前に。もしかすると私だけだったかもしれないが。」

「おお、それは誰の——」ベアトリスが切り出した。

「ヴェスパー夫人、聞くまでもないでしょう?」そこにアントニーが口を挟んだ。「ウィッグをつけた男たち、大きな鷲鼻の——」

「それとおずおずした目の女たち。」笑いながらディヴィッドが引き取った。「ああ、誰も彼もそんな感じだ。バーリー家は権威的な連中でその妻たちはおかしなほど従順だったに違いない。」

「でもそれは植民地時代の肖像画家一般の流儀に沿ったものですよ。」アントニーは反論した「肖像画の中で一番古いものは描かれてから二百年を超えています。肖像画の画風が変わるのには十分な時間ですが、人間の本性って奴はそう変わりますかねえ? コロニアル風の紫色の高級リネンを着たバーリー家の面々だって貴方やモーリーとそんなに違っていたはずはないんです。貴方の鷲鼻のお祖父さんたちも時折冗談を楽しんだはずですし、おずおずとした目の『従順にして慈悲深き女たちペイシャンス・アンド・チャリティーズ 』には——感情がなかったとでも?」

「そういう感情が取り憑いたままになるほど残酷なことってあるに違いないわね」うっかり口を滑らせてしまった。

アントニーは自分流を押し通すチャンスを見逃すような人物ではなかった。「例えば何かを愛することのできない気性があるのは認めますよ。しかし、愛することのできる人なら好機はかならず訪れるものです。」

こんな言葉には反論しなければならない。「自分がどんな能力を持っているか知らずに終わってしまう、そんな女性がいるんです。無邪気で未熟なまま——」

「——約束の日が到来するまで。」アントニーのこだわり方は度を越していた。

「君が言わんとしているのは」ディヴッドは小馬鹿にしてこう言った「『宿命の恋人』が存在するとかいう時代遅れで女生徒じみた信仰だ。じゃあ聞くが、その宿命の恋人たちの片割れが死んでいたらどうなる?」

「そうしたら彼氏は蘇生して彼女のところに話しに行くのさ!」だがこの時点で爆笑が起こっており、全員この話題についてはこれまでと認めることとなった。

夕食が終わるとすぐにベアトリスはもうクタクタだと打ち明け、私はいささか自意識過剰ぎみに下のホールに備え付けてあったしろめの燭台を持って上の階の彼女の部屋に案内した。身勝手な話だが、「おやすみなさい」という前にどうしてもロング・チェンバーにある我らがお宝のことを熱っぽく語らないではいられなかった。そこにある古色を帯びたオークのチェスト、いっそう古びた化粧台、彫刻のあるベッドとベッドカバーの織物、さらには細長い姿見。時の経過にわずかに曇ったそれは、この家の初代女主人アン・バーリーがかつてその魅力的なかんばせと聳え立つ頭飾りを凝視するのに用いたものだという。

「すると、当然彼女の姿を宿しているわね!」ベアトリスは微笑した。二世紀に及ぶ歳月がガラスに薄い斑点をつけた鏡、自信ありげな表情はその繊細な雲をいとも容易く貫き通すかのように見えた。「もちろん私はその姿を見ることになる。彼女に慣れたら。ここが彼女の部屋だったの?」

「それも私たちの知らない千の事柄のうちの一つなのよ。」私は嘆いた。「でも多分そうだったのでしょう。これが一番上等な部屋だと思うから。ティモシー判事の綺麗な若妻が使っていたのはここに決まってる!」

「彼女の所持品を保管しておくだけというのはずいぶん非情だと思わない?」ベアトリスは忠告した。「こんなふうに彼女の人生の記憶を散り散りにしたままで。探し出して一箇所に集めなければ!」

「再構成するのはそんなに難しくないでしょう。」私は声に出して笑った。「私の想像では、彼女は単純な人物だったと思う。」

私たちの家では自室で朝食をとり、そのまま日暮れまで各自の仕事に打ち込むのが習わしだった。ところがベアトリスの校正用紙と原稿は、もともと大部の束だったのが数日おきに速達で追加が届くという塩梅で、気が滅入ること夥しかった。しばしば彼女は日中ばかりか夜になっても相変わらず仕事をしていた。ふと思いついた。もし機械的な事務作業をこちらに回してもらえたら、友愛なる親交を干物にしたようなものを二人の間に持てるのではないか。しかし彼女の様子をみると、尼僧に聖職を代行させてくれと頼み込むようなものだという気がした。インクと紙と化学記号からなる陰気な領土に対する彼女の忠誠ぶりは頑迷そのものだった。馬鹿げているとさえ思えた。その忠誠心は彼女がここに来た際に纏っていた新鮮さと活力を削ぎとっているからだ。そのせいで彼女は消耗している——変わってしまった顔だちが物語っているように。到着してから二週間も経つのに、私たちはまだ楽しい語らいの場をもったことがない。とにかく私たちは気づいていた。彼女という美しい装飾品がなければ私たちの驚異の館は空っぽだった。だがこんな働き方をしていたら彼女自身が病気になってしまう。当初彼女は、平穏な田舎で休養をとり、友情を育む季節を求めてここに来たと言っていたのだが、どう見たって皮肉にも彼女はそれらの恩恵に一切浴していないのだ。記憶に残る密やかな讒言のことを白状しよう。芝生に立つオークの陰でのんびり過ごすお茶の時間に彼女は参加できなかった。建前上しかたなかったのかもしれないが。すると遅かれ早かれ私たちの話題はこのどこか影のような客人へと落ち込んでいったものだった。

「ヴェスパー夫人は僕のことを避けているんでしょうか?」ある日の午後、どこか沈鬱な感じでアントニーが訊いた。「彼女がやってきた時、気性を掴み損ねたのは認めますよ。でも今ならわかる——完全に! ちょっとでも僕らと一緒にいてくれたら、僕が申し分のない人間だということがわかるはずなのに。彼女との間にテニスとか乗馬とか、そんな人間的な繋がりがあればどんなにか気分がいいことだろう!」

「まあまあ、アントニー、夕食で顔を合わせる時以外、彼女はあなたが同じ屋根の下にいるとも思ってないの。」私も頷いた。「その代わり世界の裏側から過労を強いる非人道的な夫に隷属し、事実上我々との共同生活を否定されているわけ。」

「本当に仕事のし過ぎだと思うか?」ディヴィッドがねじ込んだ「チフスかなんかの始まりじゃないのか? 見るからに病気だぞ。なあ。医者のところに連れて行きたいね。もしかしてこの家に何か不健全なものが——私らが擦り落としきれなかった十八世紀の種がいるのだろうか?」

この一言がもたらした可能性について誰もが一瞬考え込んだ。

「彼女にも気晴らしがあればいいかな?」アントニーが訊いた。「というもの、まさにそれがここに!」——胸ポケットを大威張りで叩いた。「この数日でバーリー・ハウスの歴史を相当部分接ぎ合わせるのに成功したのさ。まだ話すつもりはなかったんだけれども、秘密にしとくのも疲れるから。」

「一度に一話でいいよ。」ディヴィッドはとてつもない八月の空気に負けて興味半減だと匂わせた。「幾晩かけても——千夜一夜でもない限り——いいから好きなだけ続けてくれ。まずは今夜からだな、もちろん。ティモシー判事までたどり着けたかい?」

「よし——ご所望とあらばそこから説き起こそう。そのつもりじゃなかったんだがな——」

「じゃあもう決まりね。」私は話に割り込んだ。そう、口を挟んだのは間違いなくこの私だった。これこそ誰もが渇望していたものだ。ベアトリスの仕事を邪魔するための十分な口実になると私が考えたもの。その上、ディヴィッドの暗示を聞いて、これまでもやもやとしていた友人に関する不安感が新たに頭をもたげ始めたのだ。今までは消極的すぎた——彼女に自分をいたわらせるべきだった。彼女が到着した日に感じた名状しがたい恐怖が鋭くぶり返した。

ロング・チェンバーにいってみると、彼女はどこかしんどそうに今日の仕事を取り分けていた。自分用のテーブルの横に立つ痩せてぐったりした姿。その手には書類の束があり——私を見る目には優しさがない。ここのところずっとそんな親愛の情をみせてくれたことがなかった。その目にあるのはひたすら辛抱強い慇懃さのみ。おそらく穏やかにじわじわと話を着地点まで持って行くべきだったのだろうが、彼女のことが心配でならなかった私は我慢できずいきなりぶちまけてしまった。具合が悪いことを認めてくれ、適切な手当をさせてくれ、と。彼女がこれほどやつれてしまうまで放置してきたことについて、私は激しく自分を責めた。ご主人の本の出版日が決まっているからといって、そんなの貴女が若さを、人生を犠牲にしていい理由にはならないと私は熱弁を振るった。私たちの古い友情にかけて、貴女のことは私に任せて欲しい——私はここにいない彼女の夫について特に力説した。

「ここに来た時はとても快活で綺麗だった」思い出させてあげた「でも今は——今は——あなたって随分変わってしまった。」

彼女はこんなことをいう私をどこか驚いたような目で見た。唇に暗く曖昧な微笑が浮かんだ。

「ええ——あの人は私が変わったことに気づくでしょう。」思案顔だったが口調は落ち着いていた。「けれども、これは私が一人で立ち向かうべきものだから。」

もし彼女の話がこれだけだったら、私は彼方のヴェスパー博士は隠れた青髭だという印象を持ったままで終わっただろう。実際、彼女の実直な顔にはこれまでに見たことのない陰がよぎっていた。惨めにもそれは禁断の扉を開け耐え難い知識に取り憑かれた妻の表情だった。遠からず彼女はそれに裏切られることになるのだ。いったい、彼女の目から暮らしというものを締め出している身体的苦痛以上に害悪をもたらしうるのだろうか? 彼女はそわそわし始めた。もしかして私に出て行って欲しいのかとも感じた。しかし二人の間の壁に耐え切れなくなった私は捨て鉢な言葉を放ったのだ。壁を砕き、嫌々ながらでもいいから信じてもらおうと。頬を真っ赤にして、震える声で、どもりどもり、男というのはしばしば女性や状況を理解し損なうものであると……我々が直面させられる多くの男性諸氏に付き物の耽溺行為のこと……

「ねえ、そんな風に考えていたの?」甲高い声で彼女は遮った——「私が良人に痛めつけられていたと? あのね、モーリー、知っているわよね、みんな知っている。あの人がどれほどの、どんなに無垢な善人か。期待にそえてないのは私、いつでもこの私なのよ。」優しく私の手を取って「本当の事を話すから、聞き終わるまで行っては駄目。」そして私たちは並んで腰を下ろした。

ほとんどがもう耳にしていた話だったが、それを語る顔色はこれまでに見たことのないものだった——十九で彼と結婚した時、どんなにいい加減だったか。神聖な気持ちなどなく、気軽な感じで妻の座に着くという祝福を授けたのだ。子供じみた愛着を感じていただけの相手に対して。後になって、この結婚を切望し急かせていたのは自分の母親だったことに気づいた。裏で糸を引いていたのは彼女の下に四人の子供を抱えて切羽詰まっていた母親だ。彼女の夫となったヴェスパー博士がその後いかに彼らの面倒を見てきたか……

「というわけで、」ベアトリスは少し間を置いた後、ゆっくりと言葉を継いでいった。話したくない単語がどんなものか私にはよくわかっていた。「私は自分の愚かしい無知のお陰で本当に辛くも堕落を免れたのね。私は私利私欲のために、完璧な愛情を注いでくれる人と結婚した。これに直面した私は即座にそれまで夢見ていた以上の愛情を差し出すことにした。良人が凄く愛してくれる以上に良人を愛せないなら、せめて私にできうる限りその忠実な模造品を差し出す必要がある。無限定の献身から何かを免除してもらうつもりなら、それがどんなに些細なものでも裏切りになってしまうでしょう……ええ、私の人生はこうだった。いつもいつも、ずっと。どんな女の人だってこれ以上は——」

放っておけばもっと話をしただろう。衝動的に私のことを信じてくれた勢いはかくも強烈だったのだが、この時メイドが夕食の用意ができましたと私を探してやってきた。超特急で着付けもどきを済ませ、十分後ベアトリスと私は食堂の人となった。彼女の話はその謎めいた結婚について極めて個性的な光を与えるもので、そんな打ち明け話をする気になったのも、つらい禁則を緩めるべき時がきたということなのだろう。穏やかに、陽気に、即妙に、冗談を交わしながら彼女は沈着冷静なアントニーと語らった。アントニーのことは心底気に入ったようで、私たち全員と打ち解けてほっとしたのが見て取れた。何か目に見えない侵略者のせいでそうさせられたというのではなかった。一見そんな感じに見えたかもしれないが。

夕食を一人で摂ることが多かったベアトリスは食後これまた自然に古いスピネットの前に陣どると、暗く幽鬼じみた和音をいくつか弾いた。

「ほら、序奏がついたぞ。君の番だ、アントニー。」和音が鳴り止んだところでディヴィッドが注釈を入れた。

「完璧なる序奏。」アントニーは宣言した。「無論、アン・バーリーはまさにかくの如き音を以ってその厳かなる日々の宥めとしていたのであります。」

彼の声には何か私を恐れさせる色があった。「アン・バーリー——彼女の話をするつもりなのね! 当然楽しいお話にはならないに決まってる。他の誰より彼女のことで私たちの胸がいつでもなんとなく痛むのは何故なんでしょうね。」

「もちろん愉快な話になんかなりませんよ」アントニーは強い口調で答えた。「貴女だってなにも僕に田舎の駄法螺を見つけて欲しかったわけじゃないでしょう。そんなものじゃありえない。一つの家族に——一軒の家屋に刻印を残しうるのは。お話なんかじゃないんだ。」

私たちが早く話を始めてくれと頼むと、彼は声の調子を変えてディヴィッドに真剣な顔を向けた。「先に言っておくが、君のことも君のご先祖のことも——あまり気にしないでやらせてもらうよ。僕がこしらえた話は実際のところ多くを——憶測に頼っている。はっきりした伝承とは到底言えない。でも結論は僕からするととても明白だ——変な話だがこの家で過ごした後ではとても信じられる——それで、どうか許してくれ、もし結論を君が曖昧なままにしておきたかったのなら。」

誰も口を開かなかった。私の膝の上に縫い物が落ちた。

「知っての通り、」アントニーは切り出した。「ティモシー・バーリー判事がアン・スティールと結婚したのは彼女が十七の時でした。一年か二年たって、その頃二人はこの壮麗な新居、バーリー・ハウスに居住していたのですが、幼妻の妹であるソフィア・スティールが訪れました。この少女は日記をつけていて、他にたくさんなことを書いてある中に姉の印象についても記録を残していました。これを発見したのは驚くべき幸運です。妹は姉について『かくも偉い方の細君であり、かくも凄い家の女主人なのに、とても乙女らしい』感じだったと述べています。ですが、彼女の堅苦しい文章をそのまま読み上げるのはやめておきます——後からご自身の目で見られますからね。簡単に要約することにしましょう……

「ティモシー判事はチャーミングな若妻に対してあまり恋人みたいには振る舞わなかったようです。むしろソフィアは彼が姉の従順さを褒めているのを耳にしています。妻たるものの第一の美徳だと。当時の主婦は重労働を課されていただろうと思うのですが、判事の妻の座というのは余程たいしたものなのか、あるいは彼女が若すぎたからか、幼いバーリー夫人には自由時間がたっぷりあったようです。何時間もスピネットを弾き続けたり、赤ん坊のそばにいたりして——」

「その男の子はジョナサン中佐に違いない。」事実が大好きなディヴィッドが割り込んだ。「アン・バーリーには一人しか子どもがいなかったからな。」

「君は僕同様」アントニーは続けた「彼女のことを見捨てられたかわいそうなメーテルリンク式ヒロインのように見ているんだね? 夫からは子供扱いされ、ガチガチに屈服させられて。つまらない家庭生活だったに決まっている。合間合間に素晴らしい娯楽があったにしてもだ。そうでなければ妹のソフィアが余暇のことをそんなに日記に書き残すはずがない。不自然だったに違いないさ——さもなきゃクライマックスがあんなに一気に燃え上がるものか。こういった家では何か異なことが起きたはずですし——これから話しますが実際にそうなったんです。ヴァージニアから一人の若い男が法律の勉強をしようと高名な親戚である判事バーリーの許に北上してきた時のことです。ブライアン・カルヴァートという名のこの若者はバーリー・ハウスに客人として泊まることとなりました。当然ながら妹のソフィアはもう一目でぞっこんで、背の高さと美男ぶりと『陽気な振る舞い』を克明に書いていますよ。想像するに、判事は家に陽気さを振りまくような人物ではなかったのでしょう。しかしヴァージニア人はおそらく可愛いソフィアには目もくれなかったのですね。彼の関心は一つの的に絞られていました。あまりにも完全に、開けっぴろげに。そこで彼女は離れたところにとどまって、悲しい、無意識の少女スパイ、それも批判的ではなくむしろ理解のあるスパイになったのです。しかしそこには漠然とした無邪気な嫉妬があって、その対象は一つの謎めいた知られざるもの、そいつのために彼女の周りの空気が一気に重さを増した、そんなものだったのだと私は思います。かわいそうに、アン・バーリー自身は我が身に降りかかった災難について何もわかっていなかった、その点については疑いの余地がありません。何らこそこそした様子はなく、来る日も来る日もアンとカルヴァートは二人で庭の木々の下に腰を下ろして日がな一日を過ごしていました。カルヴァートが愛の言葉を告げたか、誰にもわかりません——まあ、そんなことはしなかっただろうと思いますよ。ですが、若くて無垢な人たちというのはやはりその身を砕かんとする原初的な力にがっちり掴まれているものでして。この種の愛には理屈もへったくれもなく、自然に冷めるということもないのですねえ——」

「無論のこと二人は死ぬ他なかった。」ベアトリス・ヴェスパーが割り込んできた。「人はそんな愛を知って——生きることはできません。」

彼女の声は暗い秘密を宿していた。あたかも何か身近な現実を語っているように。その顔は翳に覆われ伺うことができなかった。

彼もまた彼女が口を挟んだことに驚いたのか、アントニーは一瞬言葉を途切れさせた。「ええ、」と彼「悲劇は起こるべくして起きたのです……その日の事件についてはだいぶ後になってから曖昧な形でソフィアの日誌に現れます。おそらくこの子自身にとっては単なる疑惑に過ぎなかったのでしょう……ある日ブライアン・カルヴァートは体調を崩して部屋で寝ていました。日が落ち、彼に何か夕食を持って行きましょうかとアンが言い出しました。判事は幾分語気を強めて、そんなことは召使いの仕事だと念を押したのですが……一時間後、恐怖に駆られたアンが妹の寝室に駆け込んできました。アンは生まれて初めて夫の言いつけを守らず、こっそりカルヴァートの部屋に手製のお粥を一鉢持って行ったのです。彼女は夫が本に夢中になっていると思い込んでいたのですが、妻の足音を聞きつけた彼は彼女の後をつけていき、少し遅れてカルヴァートの部屋に入りました。そこで夫が目にしたのはカルヴァートの腕に抱かれる妻の姿だったのです。間違いなくそれまで二人はキスを交わしたこともなかっただろうと思うのですが、夫にとっては情状酌量の余地はありませんでした。判事はアンを部屋から追い出しました。ドアの外から彼女は剣が交わる音を聞きました——更に——もっと恐ろしい物音を…… ブライアン・カルヴァートの姿は二度とみられなくなりました。アン・バーリー自身は病を得、数ヶ月後に死にました。」

これ以上こんな話を聞かされるのは私たちの我慢の限界を超えていると思った。しかしディヴィッドはそんな私の気分を読み取らず、想像力の欠片もない、それでいて完璧に合理的な質問へと進んだ:

「カルヴァートは殺られたと思うか?」

「間違いなし。」少し乾いた声でアントニーが言った「証明するものは影も形もないけれどな。この手の亭主が自分の意趣を果たすにあたって、躊躇うとか失敗するとか、君には想像できるか?」

「この家でチャンバラが行われたのかね?」ディヴィッドは事を肉付けしようと厳粛な努力を払っていた。「記録はないのか? 現場でありうるのはどこだ? 君は知らないのだよな、もちろん。」

「いや、わかってる。」アントニーはゆっくりと頷いた。「客間だよ。彼らはそれをロング・チェンバーと呼んでいた。」

「ロング・チェンバー!」ディヴィッドは繰り返し、ベアトリスに誠実かつ無感覚な目を向けた。

身じろぎもせずに座っていたベアトリスがここでいきなり立ち上がった。「どうして彼の死を悲劇だと思うのですか?」と礼儀を忘れて詰問したがその目はここにいる誰の姿も見ていなかった。「彼が選んだことです。望まざる死ではなかった——私にはわかっているのです。」 普段なら穏やかな彼女の声が激情にかられて乱暴になっていた。「長居し過ぎましたわ、」と言い足して「とても疲れていて、本当ならもっと早く失礼すべきだったのに、お話に引き込まれたものですから。」

引き止める間も無く彼女は立ち去り、私たちは無言のまま座っていた。やがてアントニーが口を開いた:

「途中から気づいていたんだが、もう間違いないね。彼女はカルヴァートの幽霊を見たんだ!

「くだらん!」ディヴィッドが叫んだ。

「自分で見ていないからそう言えるんじゃないか?」我らが友人は静かに訊いた。「ねえディヴィッド、一度でもあの部屋で寝たことがあるかい? それに、そもそもああいった若い恋人の亡霊には君に語るべきことなどあるかなあ?」

「ならベアトリス・ヴェスパーにだったら?」と私。

アントニーは肩を竦めた。「わかるものですか。あれがありふれた家族霊なら彼女だって何ももう一度危険を冒して会ってみようとは思わないでしょう。けれどカルヴァートが現れたんじゃ——そこまで怖くはなさそうで……僕の好みからするとどうも奇矯過ぎますね——彼女に話したいのかそうじゃないのか、自分でもよくわからないんです。」

ディヴィッドは困った表情になった。「モーリー、君は彼女の知り合いだ。私らは違う。彼女はこんなにもひどい秘密主義者なのか? この家で亡霊を見たとして、何も言わないでいるかな? なぜ話してくれないのだろうか?」

私はじっと考えを巡らせた。微かな空気の揺らぎにも背筋が震えるのに気づいていた。ここには秘密がある、そんな心配が彼らの上に重くのしかかっていた。ベアトリスに何かが起こった。気づいていないのは誰にも増して鈍感な我が夫ディヴィッドだけ。だが一体それはいつどのように起きたというのだろう、私たち三人が無明の際にいた裏で。無論のこと、アントニーの抜け目なさは尋常ではないのだが、しかし、的確にまとめ上げたように見える彼の推測を詮索したいとは思わなかった。私が知っていたベアトリスの断固とした素朴さや素直さを彼は知らないのだ。

私たちは誰もが不自然なほど神経を尖らせて未だ知らざる何かを待っていた。それだからドアベルが鳴った時、さては凶兆かと皆驚いたのだった——はっと息を飲んでいると、封筒を手にメイドが入ってきた。ヴェスパー夫人宛だと言う。

「ケーブルね、ベアトリスのところに持って行く。」と私。

上の階に行って半時間ほど経っていたはずだが、ノックに応えてドアを開けた彼女はまだドレスアップしたままだった。封筒を見せると、読み終わるまで待っていてほしいと頼まれた——それは夫からのものだと教えてくれるまでわずかな間があった。目下乗船中、一週間以内に到着する予定だ。

裏切りにも似た安堵感を覚えつつ、私はこの明白にして散文的な出来事を歓迎した。少なくともここを覆うもやもやを吹き飛ばしてくれるだろう。「直接ここに寄ってもらうわけにはいかないかしら。」と持ちかけてみた。「ニューヨークで会わなきゃならないの? 暑いし、あなただってそんなに具合がいいわけじゃないし。」

彼女は静かに私の腕に手を載せた。これから口にする事柄の唐突さを和らげようという本能的な動作だ。

「あなたには話しておかないと。彼とは二度と会いません。」

あまりに無分別な言葉に私は文字通り凍りついた。「だけどねえ、ベアトリス——ほんのちょっと前に——それもこの部屋で——言ってたじゃない——」

「彼が良い人で愛してくれるという話を。そして、それらのために私が服従しなければならなかったこと。でも今——私がそれを満たし得ないとしたら——以前の私ではあり得ないとしたら——」

彼女の言葉は私にはなお意味不明だった。曖昧に反論してみた「でもあなたには度胸が——」

「ええ、ありましたよ——一生分の勇気が。でも慈悲深くも私は盲目だった。ところが私は知ってしまった——」

アントニーが自信たっぷりに宣った説が私の脳裏に暗い疑惑を仄めかした。

「ベアトリス、あなたが知ったというのは一体何?」私は問い詰めた。「何を——見たというの?」

彼女は古い鏡に向かって素早い一瞥を与えた。鈍い縁を花で飾られたその鏡の中にアン・バーリーの子供っぽい顔が現れるのではないか、それを見たいと嬉しそうに語っていた彼女。「見た?」その彼女は復唱した。「おお、モーリー、見えるだけではないの……何かが生きているんです、この中に。わかっているのは名前だけ……それこそここに来た瞬間から感じていた。数時間後には私も一緒になっていた——その時、これまで夢にも見なかった強さで私は生きた——」

「ベアトリス、」——もっとはっきりしたことを聞き出さなければならない——「アン・バーリーに会ったの?」

「不死の要素を残したのは彼女ではありませんよ。」とベアトリス。「彼女を愛した男性です。あの人はあまりにも強く愛したために生きる必要がなくなってしまったのです。彼の愛は、それ自体が地上での不死性を獲得するほど完璧だったのです。それはいます——今ここに。こんなことがありうるとは思わなかったけれど。それで、ね、モーリー、私だって知らずに済まそうとした! 私がどんなに自分を朝から晩まで仕事漬けにしようと苦労していたか見ていたでしょう。こんな見知らぬもの、歓迎なんてしなかった。逃げた。でもあれは私を捕まえて両目をこじ開けて眩ませた——そして私は知ったのです、愛がどんなものでありうるのかを。」

「ブライアン・カルヴァートが教えたのね!」この名を口に出さずにはいられない。思わず告発するような口調になってしまった。

「あれさえ学ばずにいられたなら、」静かに彼女は答えた「あれが持つ甘い恐怖を忘れることさえできたなら。」

「夢や幻の恐怖でしょう? それなら消えて行くものよ、ベアトリス。」

「もう消えている。でもね、消える前に私を変えてしまったの。どう変わったかはわかるでしょう。もう私、愛を騙れない。」

これ以上は追い詰めなかった。明日になりアントニーの話が新鮮さを失った頃なら、彼女の無謀な態度に立ち向かえるのではないかという希望を持っていたからだ。かわりに、今晩一人で休むのはおよしなさい、と言い募った。ややあって彼女も私が一緒に寝ることに同意した。あるいは少なくともそういうことで折り合いがついた。しかし寝ずの番で見出したのは、哀れなベアトリスは私以上に眠れないことだけだった。彼女の厄介な幻想を打ち砕けたかもとなんとなく——どうしたら確言できる?——思っていたのは間違いない。彼女の隣で待ち構えていたにも拘わらず私の心はブライアン・カルヴァートの奇怪な不滅の愛情を一片たりとも感じなかった。それなのに、東雲きたる前の蒼白い瞬間にベアトリスは身をかがめ、張り詰めた双眸でアン・バーリーの鏡をじっと見つめていたのだ。花飾りのついた鏡の表面に私が見たのは寡黙な滲みに過ぎなかった。

その朝ベアトリスがバーリー・ハウスを出なければならないと言い出した時、私は一向に驚かなかった。そのまま立ち去らせるのが——彼女の敏感な精神をかくも貪る亡霊のもとから——あの決定的な瞬間に彼女にしてあげられる最上のことだったと思う。だが不思議なことに、あれだけのことを彼女から聞かされた後でも私は彼女が歩み出す真の暗闇のことを思い浮かべることがなかった。当時の私は自分の明朗な心が霊的に侵されることはないと信じていたので、その時点では、いやずっと後になるまで、過ぎ去った者たちの人生が時としていかに大きく反響するか、単なる人間でしかないものの叫びをいかに易々と押し殺すかを知らなかった。ロング・チェンバーに座ったベアトリス・ヴェスパーが、かの鈍い花飾りのついた鏡の中に封じ込められた圧力的な存在ないし存在たちを見、感じ、それに対し無駄な抵抗を試みていたか、いくら頭を捻っても私にはわからないままである。そしてかようなイメージを閉ざしておくに足ると思われる赤裸々かつ堪え難い事実がある……エドワード・ヴェスパーはその妻を二度と見ることがなく、ベアトリスが去った一月後、彼女の死が告げられた。私たちはロング・チェンバーの扉を閉ざした。


翻訳について

底本は アデライーデのサイトで、The Internet Archiveを参考にしました。この翻訳は独自に行ったもので、先行する訳と類似する部分があっても偶然によるものです。原文はヤード・ポンド法で書かれていますが、断りなくSI単位系に換算してあります。「感覚の殻」同様、我が筆の拙さを痛感します。こういう味わい深い佳品こそプロの手で訳してほしいものです。

この訳文は他の拙訳同様 Creative Commons CC-BY 3.0 の下で公開します。だまし討ち的に著作権保護期間が延長された現状で、ほとんど自由に使える訳文を投げることには多少の意味があるでしょう。

固有名詞:Beatrice Vesper、Burleigh House、the Long Chamber、David、Anthony Lloyd、Molly、Timothy Burleigh、Anne、Sophia Steele、Colonel Jonathan、Brian Calvert、Edward Vesper


13, Oct., 2019 : とりあえずあげます
14, Oct., 2019 : 最低限の修正
22, Oct., 2019 : すこし修正
27, Oct., 2019 : もうすこし修正
11, Feb., 2020 : ちょっとだけ修正
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