高校の恩師であるH先生が長い闘病生活の末鬼籍に入られたことを知ったのは、2003年の暮れのことでした。実習助手の肩書きでしたが、実際には図書室に遊びに行くお目当て。その名の通りの佳人で、当時柄にもなく文学青年を気取っていた私にとって、室生犀星の「犀川」のような方でした。小倉朗の清清しい旋律を歌う度に、H先生の思い出が蘇ってきます。

卒業して以来お会いする事もありませんでしたが、少なからず不安定な所のある私の心の支柱だったことを今さらながら思います。年末、初めて自宅に伺い、線香を点し、御主人と娘さんから色々なお話を聞かせていただきました。40面をして恥ずかしいことですが、涙を拭いながらティーノのハンドルを握ること、歯を食いしばりながらエリミのハンドルを握ることを覚えた冬でした。

2004年1月記-光原百合さんの「遠い約束」を再読した日に-

空の雲もまた泣く中、佳城をちびエリミと訪なう。
TODAYで行く、高校の近くを流れる川(犀川ではありませんが)。
こっちが金沢の犀川