「巻物テープに御用心」(1997/11/25〜12/01号)
一時期、スパイラルテープなるものがはやった時期があった。
今それをしている人はいないとは思うが、かつては
上がらない肩が上がったとか、痩せるとか、いろいろと言われたものだ。

この非常にはやったスパイラルテープももう下火というか消えているので
今なら言ってもいいであろうということがある。

はやっている内にいちゃもんを言うと、それを信じてやっている人が
怒り出すことがあるので、解ってはいながらもなかなか言えないことがある。
もっとも、このテープの件に関しては、私も最近聞いた話なので、
当時は「効くのか?」と思いながらも別にその効能をあえて否定することはなかった。

で、実際のところあれは効くかどうかなのであるが、
はっきり言って「効くとは言えない」である。

確かに効く人はいる。しかし10人に2人位だ。
試した先生に聞いたので間違いはなかろう。
これでは治療方法として効果があるとは言えない。
効果があるといえるのは10人中6人、即ち50%を越える数値を
出さねばならないだろう。
結局は、「効いている」という、暗示による部分が大きいだろう。
もちろん、それを否定することはしないが。
病は気からというし、直ると信じることが大きな力になることがあるのは
間違いない事実である。
だから、あれは一種の宗教であるといえ、実は科学的根拠があるのではない。

次に、そのおっさんがどうやって広めていったか書いておこう。

        ・・・

まずは方法を考える。
それにもっともらしい理屈を付ける。
テープを造る。
ここまでは赤字をしての準備期間だ。これからが宣伝+儲け期間だ。

自費を払ってテレビに出演し、さも効果がありそうに言い触らす。
こういう点、ルックスの良い男は、先ず見た目で相手を騙せるから有利である。
全国で講演をする。無料ではない、もちろん有料だ(1万円もしたそうだ)。
テープの正しい巻き方を覚えるにはそれに数回来いという。
本を書く。
何回か来てたくさんお金を出した針灸院などの先生は、
その本の後ろに「スパイラルテープ治療が受けられる病院」として載せる。
たぶんこれも無料ではなかろう。宣伝だ。
これで黒字で大儲けである。

もちろん効果が出ない場合の対策もばっちりだ。
「巻き方が悪い。」
それでも、効果が疑われる頃までには次の手を考えるているわけである。
(今はダイエットテープとか言ってるとか・・・)

このように、スパイラルテープを言い出したおっさんの話を書いてしまうと
ちょっと嫌になる部分もあり、一種の詐欺みたいなところはあるが、
そういう話はいくらでもある。

このテープの場合は、のせられたのが一般素人だけでなく、
専門家であるはずの針灸院等の先生までが「効く」などと言い触らした
のが悪かった。
もっとも、当時そんなことを言ってた奴らの多くは今は馬鹿にされとるだろうが。
「あそこはヤブだ」と。

        ・・・

「これをすれば直る」「これで痩せられる」という話は世に五万とある。
確かにその人に効いたかも知れんが、それに汎用性があるかどうかは
甚だ疑わしい。こんな方法もあるという情報を与えるだけとか、
効いた人が「効いた」と言うだけなら良いが、
「絶対効くからあなたもやりなさい」等と言い始めたらちょっと危ない。
まして、お金を取るということになると、詐欺と言われてもしかたない。

中には本物もあるかも知れないが、多くは一般的でないか、
悪意に満ちた「嘘」なのである。
嘘をつくやつを弁護する気は全く無いが、騙される方にも非はある。
他人の評価や世の中のはやりではなく、自分の判断で物事を考えないのが
悪いのである。
まあ、はやっているものをやりたくなるのは人情だから
それを責めるのもなんだけど。

自己意志の弱い人間ほど騙されやすい。そしていざ騙されたと解った時に
怒りだすのもこういう人間だ。自分で判断せんくせに責任は他人にあると言うのだ。
結局判断出来ない&責任取れない=「自己」と言うものが無いわけだ。

「自分に由って生きる」=「自由」でないと言うことは、
自ら自分を危機に陥れることなのだ。
人の話を全て疑うようになるのはいけないが、
胡散臭い話には気を付けられる位の判断力は欲しいものである。

・・・そういえば、「天使の・・・」とか「Good Up」等のbraも
男にすれば嘘かも知れないけど・・・それはまた別の話。(^_^;)

・・・あっ、今日近所の薬局に行ったら「スパイラルテープ」売ってるぞ。
「スパイラルの田中」なんて書いてある。
誰じゃい、それ。
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