「MKタクシーの怪2」(2003/03/24号)
前回、一部で好評であった「MKの怪」の続編である。

先日、出張の帰り、ちょっと足が痛かったのでタクシーに乗った。
前回にも書いたが、最近は「タクシー乗るなら(出来るだけ)12%引個人」と
しているので、今回もそうした。

今回の料金は1050円、MKなら1230円である。
やっぱり個人(12%引き)が一番安い。
(しかし、後日MKでも1060円を1回だけ記録した。
ひょっとして指摘があったのか、私のホームページが読まれたのか。
まあ、単なる偶然だと思うけど。)

いやいや、今回はその金額以上の価値があった。
それは、またMKやタクシー業界の裏話を聞けたからである。

MKなど会社勤めのタクシーの運ちゃんではまず聞けないような
話が個人タクシーでは聞けることがある。
これが個人タクシーを選ぶもう1つの意味でもある。
(毎回聞ける訳じゃないけどね。)

さて、今回聞けた話は・・・

    ・・・

まずこのタクシーに乗ろうとした時、扉は開いてはいたが半開きで乗りにくかった。
で、乗ってから運ちゃん曰く「いやぁ、最近は警察の取り締まりが厳しいので、
パトカーが来るかどうかを気にしていてお客さんに気が付きませんでした。
申し訳ありません。」。

最近、特に交差点における駐車について非常に厳しく取り締まられるらしい。
タクシーはある程度免除されるかと思いきや、むしろ厳しいとか。
ほとんどは道路が混雑する夜8時までらしいが(この時は9時半位)、
それでも一応注意していたのだそうだ。
(後日、6時位にそこへ行ったら確かに取り締まっていた。
それもそのはず、そこから100m上に警察署があるのだ。)

タクシー業界も今は不況らしく、町中を1時間流してもお客が捕れないことも
ままあるらしい。そうなると、確実にお客が捕れる駅に行こうということになる。
30分待ってでも、ここなら確実に客は取れるからだ。

ということでみんなが集中すると自ずと長い列になって交差点にはみ出る。
これが引っかかるわけだ。
もう1つは、交差点はお客が乗りやすい場所らしく、止まりたいというのもある
らしい。いずれにしても今の警察は厳しいので要注意だそうな。

交差点に車がいると、それを迂回するように遠回りに車が回って
にゅっと横断歩道の所に来るので怖い。
だから取り締まってくれるのはありがたいが、
タクシーだけじゃなく、個人も同様にせんといかんな。
それに、警察はどうも外車を避ける傾向があるが、そういうもにも
一様にしてもらわんと困る。

さて、ここからこの後いろいろと業界裏話になっていったのである。
いつもこういう話が始まると出てくるのがMKなのが不思議である。
タクシー運ちゃん曰く「我々はこの窓の内側から世間を見ている。
そうすると、違った見え方がある」。

「MKの青木さん(社長の名前)は1万人でも2万人でも雇用してみせる」と
豪語したことがあるそうだ。2年ほど前のことらしい。
新聞などは賞賛したらしが、事情を知っているタクシー運ちゃん達は鼻で
笑ったらしい。
    「何を言ってやがる」。

「雇用する」という言葉、それだけ聞けば良い話である。
ところが、この話を理解するには「リース制度」というものを知っておかなければ
ならない。

MK等では、タクシーをリースで社員に貸し出しているらしい。
逆に言えば、社員は会社から車を借りて仕事をしているのだ。
そして、その料金はお客が乗る人数にかかわらず一定である。

これでわかるだろうか。要するに、会社側としては車を貸すだけで儲けが
出るのだ。レンタル料は毎月定額入る。その額を増やすにはどうすればよいか。
それは貸す数を増やせばよい=社員数を増やせばよいのだ。
その上たくさんお客が乗れば儲かるだけ。
福利厚生費などを会社が持っている、と言われるかもしれないが、
その分もあらかじめレンタル料に載せておけばよいだけである。
これなら「1万人でも雇用する」というのも当然である。

あくどいやり方である。本来であれば労働基準法違反であるらしいが、
多くの人数を雇用している以上、労働基準監督局も文句を言いにくいのであろう。
もしくはこの実態を知らないか。
(ユーザーからのクレームが多ければ他の監督局も動くんだろうが、
MKはユーザーからの評価は非常に高いからね。)

実際、(会社勤め)タクシー運ちゃんは毎日働いてやっと食っていける程度で、
もし何かで休んで実働15〜17日になったらもう赤になると言うことであった。
月収はせいぜい10万程度とも。
バブルの頃はタクシー運ちゃん相手のサラ金もあったが、
今は「タクシー運転手には貸すな」ということになっているらしい。
職業欄にそう書くと貸してくれないのだとか。

だから、10年20年運転手しているベテランも辞めることがそこそこあるらしい。
よく冗談交じりで「職がなくなったらタクシー運転手にでもなるか」とか
いうことがあるが、そんなに甘いもんじゃないと言うことだ。
まして、ベテランの穴埋めにぽっと出が入っても、やっていけるもんではないと。

個人タクシーなら車は自前だからまだなんとかなるんだろうが、
その免許を取るには何十年か会社勤めする必要があるはずだからなぁ。

    ・・・

「私は京都に住んでから車は手放した。必要時にはタクシーに乗るようにしている」
と言ったら「協会から感謝状もらいました?」と言われた。

実際、京都市内では車は要らないと思っている。
狭い上に路上駐車が多く、その上運転が荒いというか自分勝手。
こんなところで精神すり減らしてまで車に乗る気はない。
運転のうまい他人に運転してもらった方が気楽だ。

それに、車を維持するには単純に見積もっても年間30万はかかる。
保険に税金、ガソリン代。それに一番大きいのが駐車場代。
そうそう、車の金額も乗る年数で割って入れなきゃだめか。
そうすると30万じゃ済まないか?

それなら毎回タクシーに乗った方が安いし、乗る回数を減らせばその分
他の物にも投資出来る。私がいつも乗る区間なら、
おおかた1300円として30万円で・・・230回も乗れる!
行き帰りどちらかだけ、出勤に毎日乗っても大丈夫なわけだ。

みんながそう思えば、京都市内の渋滞も減るし、路上駐車も減るし、
タクシー運ちゃんも潤うし、それでいて個人の出費はおよそ減るしで、
うまく回って良いと思うんだけどね。
タクシー協会さん、こんな私に感謝状くれます?(^_^;)
(あっ、駐車場を貸している地主と、車販売店からは恨まれるかな?)

自分で車を乗らないといえば、代行運転というものもある。
地方に行くと結構見かけたりするが、京都では見ない。
この町では採算が取れないらしい。
今までに何社かが参入してきたが全て撤退したとか。
タクシーが多いのがその理由らしい。
まあ、この町中であれば、わざわざ自分の車で出かけて代行使うより、
タクシー乗った方が安いし(京都市内は結構狭いので端から端まで乗っても
しれている)、それだけタクシーがいるからね。

・・・等というところまで話が進んでいるところで目的地に到着。
おしい、もう少し話を聞きたかったがしかたない。
料金は先に書いたとおり。
料金も情報も、やっぱりタクシーは個人が一番。

    ・・・

それにしても、MKはいろいろと裏話が出てくる会社だこと。
MKの運転手にこの話の真偽を問いただしたわけではないので確証はないが、
少なくとも1つ言えるのは、MKがそれ以外のタクシー運転手から
かなり嫌われているという事実が存在する、と言うことであろう。
またちょっと、会社としてのMKに対するイメージが落ちたか。

まあ、その運転手の人たちが悪い訳じゃなく、
依然としてMKの接客商売としての質には高いものを感じるのだが。

次回はどんな話が聞けるやら。

(編集局長)
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