「新潟中越沖地震の状況」(2007/7/23号)
古くからの読者の方がご存じの通り、私の田舎は先日発生した「新潟中越沖地震」
の震源である柏崎である。非常に心配ではあるが、現状では交通網が正常ではな
く行くことが出来ない。
ということで、現在までに電話やニュースなどで解っている情報をまとめてみた。
(多くはHPの雑記やブログに書いたものではあるが。)

        ・・・7/16・・・

11時頃に柏崎で震度6の地震が発生したという。

早速椎谷に電話。
扉の開き締めがしにくいものの家そのものは大丈夫だったが、中の荷物はぐちゃぐちゃらしい。
前の地震でも壁にひびが入ったりしているので、今回もひびや表層の崩落はあるだろう。

お墓も倒れたと。
集落では、東側の峠が崩れており通行止め。
ここは前回の地震でも崩れた場所。
JRも、米山大黒亭近くの青海川駅直前で崖が大きく崩れており、
お盆までの復旧は無理かと思われる。ということは、
お盆に柏崎まで列車で行くのは無理と思われるわけで、
行くか行かないかも含め、行程を見直す必要がありそう。
柏崎駅構内で越後線の電車が脱線しているが、こちらは比較的早く直せるだろう。
心情的にはすぐにでも行きたいところだが、高速道路もずれや亀裂などが発生し通行止めの状態では
いかんともしがたい。お盆に何とか行って被害を確認するしかないか。

TVなどの情報を総合すると、私の実家に関係する部分で言えば、
・集落の出口に当たる峠が崖崩れで通行できない
 ここは前回の地震でも崩れた部分
・信越線の青海川駅真横で崖崩れ
 紹介したことのある「米山大黒亭」のすぐ近くの場所
 かなり大規模なので、お盆までの復旧は難しいと思われる(本線系だからやるかなぁ)。どうしたものか考え中。
・北陸自動車道も道路がずれている場所があり通行止め。こちらの方が規模が小さいのでお盆までに復旧するかもしれない。

いずれにしても、今すぐ行くにも交通手段がないし、
お盆に行っても寺泊に行くのも無理っぽいし、米山大黒亭も行けるかどうかわからない。
遊べるという状況ではなさそう。

椎谷の峠の崖崩れは少なくとも3カ所発生している模様。
後1月で片側通行は可能になるだろうけど、
完全復旧までには1年はかかるかと(中越地震の時そうだったので)。
何にしても、自分よくの知っている場所が被災地だけに心配。
食料と水だけでも市役所宛に送ろうか。
でも、椎谷は飛び地だけに市からの補給も遅いから、お寺さんに送る方が良いのかもしれない。

これを書いているちょうど今、「平成19年新潟県中越沖地震」と命名された模様。

地震直後、柏崎原発から煙が出ているのを見たときは一瞬焦った。
万が一にも放射線が漏れようもんなら一瞬でアウトの場所だからだ。
幸いというか何というか、外部の変電設備だったらしいが、
中にどういうことが起こっているかは極秘にされるから、安心は出来ない。

        ・・・7/17・・・

心配な一夜が明けた。
現地は水・ガス・電気が止まっているようなので避難所に行っていればいいのだが、
椎谷コミュニティーセンターには10人しか行ってないそうだから、
家にいるのかもしれない。

水は封印した井戸を開ければ使えるかもしれないし、
炭も含めバーベキューセットが置いてあるから焼き物も出来るだろう。
電気は今の季節ならさして必要ない。

前の地震は冬で寒さで困ったという話を聞いたが、
そういう意味では今回はまだましなのかもしれない。
もっとも、規模が全然違うのだが。

あと気になるのが、原発から放射性物質を含む水が海に漏れたという事実。
やっぱりあったかという感じだが、海流からすると原発からうちの前の方に流れてくるから
余計に怖い。今年は泳げないかもしれない。

食料など送ろうと思ったが、どうも荷物が届かない状況にある様子。
少なくとも佐川はだめだとか。
そうなると手持ちするしかないか。どうしよう。

どうやら被害が集中しているのは、柏崎駅から海へ向かう道路を横切る
ちょっと坂になっている2本の筋(西本町、東本町;「ほんちょう」と読む)のあたりらしい。
もちろん毎年行ってよく知っている場所だけに心痛は大きい。
そのあたりに被害が多いということは、今年は帰れない(駅前が通れない)か、
帰ったとしても駅前にあるいつもの店には買い出しに行けない可能性が大である。
遊ぶと言うより、家の中の片付け手伝いが主になるだろう。海も放射性物質の漏れでちょっとこわいし。

被害の場所として椎谷の名前がほとんど出てこないということは
椎谷は被害が少ないのだろうか。
しかし、関西で流れるニュースはきわめて限定的だけに心配だ。
お寺さんは市役所職員でもあられるので、今は徹夜続きかもしれない。
くれぐれもお体を壊されないことを祈るばかりである。

そういえば、柏崎市は個人からの救援物資の提供は断られているそうである。
企業や団体から多数の援助をもらっているからとか。
しかし、その割には水や食料が足りないというニュースも聞くのだが、
大丈夫だろうか。

かといって個人に送ろうとしても、荷物便が到着できない。
少なくとも佐川はだめと聞いた。他も同様だろう。

お盆に行くときは念のため水と食料を大量に持って行こうと思うが、
まずは列車が運行再開するかどうかが問題である
(とりあえず切符の発売は中止されている=予約分が買えない状態にある。)

        ・・・7/18・・・

日本赤十字社の新潟中越沖地震の義援金の口座が解ったので早速振り込んだ。
額を言うのはあれだが、数年前の中越地震より多くではある。

口座は、
 日本赤十字社
 郵便振替 口座番号00510−5−26
 通信欄に「新潟中越沖地震 日本赤十字社新潟県支部」と明記する
である。

くわしくは http://www.jrc.or.jp/sanka/help/news/1247.html を参照されたし。
皆さんの温かいご支援をお願いするしだいである。
なお、義援金には税金の厚遇があり、確定申告すると約1割還付される。
(その際振り込み領収書が必要なのでなくさないように。)
町中の寄付金集めでは、「にせもの」があるようなので、絶対確実なこちらか、
各新聞社などの受付でどうぞ。

新潟に電話が通じない。いや、呼び出しはしているが出てくれない。
避難所に行っているならいいのだが。

        ・・・7/19・・・

本日お寺さんに電話(会社から)。

椎谷でも被害は大きいらしく、1軒全壊、3軒半壊らしい。
さらに、観音堂への参道も陥没したり浮き上がったりしている場所があるらしい。
電気は復旧したが、水とガスがないため料理がしにくく、またお風呂が入れなくて困っているらしい。
配給は来ているが、特に水が欲しいとのことだった。
お風呂を入りに長岡に向かおうとしたが、道路が悪くまた非常に混雑しているので行けなかったとか。

・お寺さんから炊き出しをして配られているらしい。
・お墓はうちの分も含め、ほとんどが倒れているらしい。
・住職さんは市の職員でもあるが、前の日が徹夜で昨日も夜10時過ぎに帰ってきて風呂に入りたいと
 言われたそうだが、水がないので入れなかったそうだ。
 疲れが溜まらなければいいのだが。

椎谷周辺では隣の宮川やその先の大湊地区(原発の真東の地域)も被害甚大とか。
関西で見るニュースでは柏崎駅近くしか出ないのでこれら飛び地の情報が皆無だったが、
今日の電話でだいぶ状況は解った。が、解ったところで何も出来ないのは歯がゆい。

実家に電話したらやっと親戚が出た。
ずっと家にはいたと言うことだったので、庭に出ていたときか、
こちらでコールが聞こえてもむこうでは鳴らない状況があるのかもしれない。

今日、ペットボトルの水を1ダース新潟へ送った。
実家とお寺さんへ。無事届いてくれればいいのだが。

        ・・・7/21・・・

今回の柏崎地震は、震源がどうやら椎谷の峠の先らしい。
このあたりは地元の人間は知っているが、
「天狗の岩棚」と言って、膝ぐらいまでの深さの岩の棚のような部分と
その間に10メートルを超えるような深い部分が交互に続く場所で、いろいろな魚が集まってきている。
私もそこでサザエやウニを捕ったことがある。たこも見た。
取り逃がはしたが「生きているたこは透明」という認識を得た。

今にして思えば、この岩棚そのものが過去の地震による断層もしくは隆起の跡だろう。

今回の震源地は調べてなかった断層が動いたと言っていたが、
地元の話を聞いていればそこに断層があることは予測できたのではないかと思う。
椎谷岬近くには陸上にも断層はたくさん見られるし。、
所詮科学馬鹿の検査では漏れが多いという実例ではなかろうか。

この岬のあたりでは地盤が実に25センチもずれたという。
25センチと言えば大人の足のサイズくらいだから、
それが地割れなら落ちかねん幅だと言うこと。
集落内には滅多に人が立ち入らない場所もある、
逆に言えば、そういう場所には今後も地割れなどが残っている可能性があるから
当面は入り込むのをやめた方が良いかもしれない。

うちの会社には災害被災時に義援金を出す制度が、「一応」規約上あるらしい。
でも今回は「当てはまらん」と言われ速攻却下。
実情今の私の田舎であり、親の田舎であるが、
今住んでいるのはおじさんなのでだめになったのだ。
個人への義援金がだめなら被災地への義援金としておくって欲しい。
まあ、会社にはもはや何も望んでいない私ではあるが、使える制度は使い切ってやりたい。

とりあえず今日は米など食料を送った。
ヤマト運輸に頼んだが、「いつ届くか解らない」と言われたが、
「届きさえすればいい」と答えた。
そう、今は届いてくれるだけで良い。

        ・・・そのほかの情報箇条書き・・・

・仮設住宅は柏崎駅西隣の公園に作られるらしい。
 レンタカーを借りる場所から椎谷に向かうにはいつもその前を通るのだが、
 今年はその道は使えないと思った方が良いだろう。

・原発に国際原子力機関(IAEA)から調査に入る意向が示されたことに対し、
 政府が調査団の受け入れを当面見送ると伝えていたらしい。
 被害が甚大で受け入れる余裕がないとしているらしいが、本当は見られるとまずい状態が発生しているからではなかろうか。
 新潟県は政府に対し「受け入れてほしい」と要請している。
 政府の言うことなど信用できん。

・柏崎は毎年7/26あたりに盛大な海上花火大会があるのだが、もちろん今年は中止。

・避難所になっている小学校に「爆破する」などと脅迫電話をかけたキチガイがいるらしい。
 こういうやつは見つけ出して原発の漏れた水の中で泳がせてやるべきだ。
 もちろん死刑でも可。

        ・・・

ということで、今日までに解った状況は以上の通りである。
前の中越地震では思ったより被害が少なく安心したが、
今回は逆におそらく今思っている以上に被害は大きいと思われる。

お盆には行くつもりではいるが、子供は連れて行けない。
家周辺の片付けが中心で、お盆も備え付けは出来ないかもしれない。

読者の方々からも心配していただいたが、今はこの程度しか解っていないのが実情である。
お盆には現地に入って詳細の情報を得てくる予定である。
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