「愚かなアメリカン2」(2001/09/21〜10/08号)
前作「愚かなアメリカン」を書いたのは1995年4月末。
(ホームページ化における再編集にて確認。)
それ以来も米国の愚行はいろいろあったが、
クリキントン大統領の時は、とりあえず米国が好景気であったため、
あまり目立った行動はなかった。

が、大統領がブッシュに替わりかつ米国経済が傾き始めると、
とたんに馬鹿をやらかすようになった。
そこで、再びこのネタを書くことにしたのである。
(実は、ホームページ化の再編集をしている内に、
最近この手のネタを書いていないことに気が付いた、と言うのもある。)

しかも、今回の愚行は単に米国と日本の二国間だけの問題では済まない。
下手をすると全世界を破壊しかねない愚行である。

    ・・・京都議定書・・・

地球規模でのCO2排出削減の目標を定めた京都議定書。

最近米国はなにやら訳のわからんことを言って反対している。
その理由を要約すると、二酸化炭素排出への「規制」は自由経済の論理に反する。
だから経済界の自主的発展に任せると言うことだ。

馬鹿である。
その経済の勝手気ままな行動が今の破滅的危機をもたらしたのである。
だからこそ今、国と言うかそれを越えた力で規制と言うか
目標を定めようと言うのではないか。
さらに、こう行った規制が自由に反すると言うのなら、
世にある全ての規制的法律は無意味になってしまう。
マイクロソフトを分割するかどうかで争っている独占禁止法だってそうだ。

CO2(実際にはCO2だけでなくフロンやメタンも)による
温室効果については、もはや常識となった感があるが
一応軽く説明しておく。

地球表面は太陽の光やマグマの噴出など、最近は都市活動によっても熱を発生し、
その熱は赤外線となって宇宙空間へ放出される。
この放出される熱の内一部は雲または空気中の二酸化炭素(CO2)によって
反射され地表に戻る。これを温室効果と呼ぶ。
この放射と反射のバランスがとれているからこそ地球は一定温度に保たれる。

このバランスが崩れるとどうなるか。
CO2は赤外線を多く反射する。フロンやメタンはもっと反射する。
すると、宇宙空間に逃げるはずの熱が戻ってくるので、地球は暑くなる。
これが過剰になるとどういう状況になるか。
その例が太陽系第2惑星、金星である。
金星の表面温度は450℃。鉛さえ溶け出す温度であるが、
この温度を作り出しているのは他でもない温室効果である。
金星の大気は非常に濃い二酸化炭素で、そこではほとんどの熱が反射される。
そのためこんな温度になったのだ。

このように温室効果は「温室」などという言葉から想像できるような
ちょっと暑い程度では済まないこともある。
地球の平均気温が5℃あがるだけで、海水面が5メートルも上昇する
という調査結果もあるのだから、こうなると日本などは海岸付近の
低い土地は多くが水没する。もちろん日本だけではない。
他には、日本が亜熱帯になるのでその地方の伝染病がはやるとか、
いろいろな悪影響が考えられる。

このような恐ろしさがわかっているのに、
アメリカ経済は世界を破壊してまで自国の利益を守りたいのか。
アメリカ国家(≠アメリカ人だと信じたい)とは、なんてわがままな国家なのか。
1国の公害は1国だけの問題では済まない、そういうことがまだ
理解できないのだろうか。

この件に関しては、米国国内でも「京都議定書に従え」という
意見が多いようである。
そう、ブッシュは米国経済界の宣伝マンでしかないのだ。

    ・・・軍備拡大・・・

さらにブッシュは恐ろしいことを言っている。
包括的核軍縮条約そのものも破棄するなどと言っているようである。
世界を再び軍拡競争に陥れ、破滅させようとしているのだ。

米国がそれを急ぐには、当然それの目標になる「敵国」が存在する。
それは「中国」と「北朝鮮」である。
それらは米国にとって「仮想」ではない「敵国」である。

この件に関しては、米国経済界は巨大な中国市場を得たいために
中国を融和するように求めているようだが、ブッシュは軍需産業界の
宣伝マンでもあるので、戦争をしたがっている、というよりも
本心はしてほしくないが戦争があるかもしれないから軍備を怠るな
と言い続けて軍需のために金を引き出したいのである。

米国にとっては、自国を経済封鎖する国などないから、
ある程度は言いたい放題やりたい放題である。
ヨーロッパやロシア(もちろん中国も)が懸念を表明したくらいでは
どうってことないのだ。
実にわがままである。

本当に米国と中国が戦争をしたら、当然日本は戦場になる。
いったんことが起こったら、米国は絶対日本を守らない。
基地として使える間は使うが、危なくなったら逃げる。
中国は、まず前線基地をたたく。
なったら最後、日本は焦土と化す。
日本の馬鹿政治家は、いい加減米国のいいなりになるのは辞めなければならない。
(だからといって、日本に独自の軍隊を持てというわけではない。)

    ・・・WTO・・・

これはアメリカだけの問題ではないが、
一番強く言っているのはアメリカである。

自由貿易と言えば聞こえは良いが、要するに自分の国の物を他国に輸出する時に、
取り決めをしてお互い有る範囲でなら文句を言わないと言う仕組みである。

ここで重要なのは、こういう物が決まるとどこが利益を得るかと言うことで、
結局は輸出する力を持っている国、と言うことになる。
これが「WTOは先進国の都合で出来ている」ということである。

世界経済は、いつから自国では満足せずに他国での売りを基本としなければ
成り立たないようになったのだろうか。
必要な物を輸入する、必要とされる物を輸出するなら良い。
が、相手国の生産力を破壊するような価格、購買力を越えるような数を
送り付けるのはどういうことか。

この問題は、今の「大量生産大量消費」という経済原則も
考えておく必要がある。
また、対して変わり映えのない物を次から次へを作り出し、
その影で大量に捨て去る。
新しい物を使わなければ時代に取り残されるような錯覚を起こさせる宣伝。
無尽蔵にあるかのごとき、エネルギーの消費。
(パソコンや携帯電話何ぞ、その極みである。)

何故、必要な物を、高くても良いから、適正な数作らないのか。
いくら環境にやさしい物を作るとか、京都議定書のような取り決めをしても、
無駄が多ければ何にもならない。

まず物を大切にする心、「無駄を無くす」その努力が必要ではなかろうか。
アメリカの場合はさらに、自国内では売れないような品質物を
他国に売り裁いているのではないかとも思える。
アメリカ企業が他国に売り込む場合、他国がそれを拒んだら
政府関係者及び議会が動き、世界最大の自由貿易阻止法案スーパー301条
等をちらつかせて強引に採用させると言うことも多い。

例えば、日本の次世代携帯電話にはW−CDMAをCDMA2000の2つがあるが、
NTTドコモは前者をKDDIは後者を採用し、またも規格が解れることとなった。
このW−CDMAはNTTドコモが出した案とヨーロッパの案を折衷して作った
ものであり、日本はこれで統一が取れそうになったのだが、ここで
アメリカの携帯電話会社モトローラが政府の圧力を使っていちゃもんを付けてきた。
結果、KDDIが被害を被ったわけである。
(実際にはユーザーも被害者となるわけだが)。

このような事例は、過去に何度でもある。
日本の教育用コンピューターのOS選定の時(純国産OS BTRON採用の
動きに対し、マイクロソフトが政府をけし掛けて潰させた)や、スーパーコンピュータ
導入の時も、アメリカ企業はいつも同じ手を使う。

アメリカは、自由競争と言いながら、実際にはそれを望んでいない証拠である。
性能比較など、自由な競争では勝てないとなると、直ぐに圧力を使う、
金を使って買収して潰す、そういうことを平気で行うのだ。
しかも、政府もそれに一役買っている。
私がアメリカ大統領をアメリカ企業の宣伝マンと言い放つにはこうした理由がある。

これのどこが自由主義だ?何をやっても良いのが自由か?
帝国主義ではないのか?

    ・・・国連・・・

国連準備金の一番の滞納国はアメリカである。
そのくせ一番威張っている。

政府は好景気によって黒字にしたのに、
国連には金を出さずに国民に還元である。
これほど自分勝手な国はない。
これがアメリカ式「自由」である。

一方、国連に一番金を出している日本は、今だ「非」常任理事国にさえなれない。
考えてみれば、湾岸戦争の時に一番金を出し、終わってから後かたづけをしたのも
日本である(自衛隊を派遣した)。
しかし「日本は何もしていない」と言う評価しかない。

まあ、万事金だけで済ますと言うのはよろしくないが、
しかし、出すべきところで出さないというのもどういうものか。
しかも出さないなら出さないでおとなしくしていれば良いものを、
やたらと権力をかざす。

国連は本当に機能しているのだろうか。
少なくとも、アメリカが国連に貢献しているとはとても思えない。
アメリカは、自国のいいようにだけ国連を使っているだけだ。

    ・・・アメリカ料理?・・・

話は変わるが、そう言えばアメリカ料理という物は聞かない。
およそ、どの国にもその国を代表する料理がある。
味の善し悪しは別にしてだ。

しかし、アメリカには「料理」と呼べる物はない。
あるのはせいぜいジャンクフードだけ、ハンバーガーにコーンビーフに
ジェリービーンズ。飲物はコーラか。
そんな物、とても料理とはいえない。

子供が一番成長する時期にもそんな物ばかり食べているのだから、
長生きするはずがない。
(アメリカの高校生の食事を見るとぞっとする。高校の中に、
こういうジャンクフードの自動販売機があり、そういう物を食べているのだ。)

料理は命の源である。
それがないということは即ち、アメリカは人を大事にしない国であるという証である。
そう、アメリカでは人も部品の一部であり、使い捨て去れる物なのだ。

別にアメリカがその手法によって発展するというのなら、それを止める気は全くない。
勝手にすれば良い。
しかし、日本までがそれに手を染めつつあるのが恐ろしい。
その一番の象徴が「日本マクドナルド」の株式上場であり、その高値の取引だ。
経済的には成功者かも知れんが、人の命を粗末にしての成功なんぞほんものではない。
命に別状ないというなら、社長と社員が全員毎日食べ続けて証明すれば良い。
断言出来るが、彼らは試食以外では絶対に自社のハンバーガーは食べてない。
そのまずさを知っているからだ。

最近若者の味覚異常が言われるらしいが、
味覚細胞であるみらいの細胞分裂に必要な亜鉛が摂取出来ていないことに加え
(当然ハンバーガーでは摂取不可能)、味の微妙さが全くない
物ばかりを食べているから、亜鉛があっても味覚が発達しない。
味覚幼稚なわけだ。

    ・・・景気回復は誰のため?・・・

米国が好景気の時は日本に物を買わすために「景気を回復しろ」と言い、
景気が悪くなったら、さも日本の景気が悪いから米国も悪いような言い方である。
自分勝手も甚だしい。

日本経済が世界に与える影響は当然大きいだろうが、
アメリカの言い方はおかしい。

かつて親父ブッシュは湾岸戦争で世界を結束させたように見せかけて、
アメリカ軍関係を潤わせ、日本に金を出させた。
直接的に愚行を行ったのはフセインだが、そのきっかけを作ったのは
ブッシュである。
それはなんとなく、真珠湾の時の日米関係に似ている。
アメリカは巧妙に被害者を装いながら、実は相手に引き金を引かせようと
あの手この手をしかけてくる悪どい国なのだ。

今アメリカ経済が普通の方法では立ち直らないと結論付けられたら、
ブッシュは確実に戦争と言う手段に訴える。
日本を含む属国に対しては威圧的要求をしてくる。
それがアメリカ経済のやり方であり、ブッシュが米国経済界の宣伝マン
だからである。
アメリカ経済は自由主義ではない。帝国主義である。

このままあの馬鹿を野放しにしておいたら、確実に世界は破滅する。
アメリカ国民による自浄とその理性を信じよう。

    ・・・予言的中?・・・

等と言うネタを書いていたら、アメリカで例の同時多発テロである。
テロそのものを肯定する気は全く無いが、
あれは、ある意味アメリカにとって自業自得ではないか、
と思わないでもない。

何度も書くが、アメリカは自分の理屈を世界に押し付けるだけの
「自由」の看板を掲げた圧力集団である。
当然、それに怒りを覚えている人や国は多い。
自分の都合の押し付けの代償があれではないか、
アメリカは自己責任を認めない=反省をしない国だが、
それを改めない限り、いつかまた同じ事が起こる、そう思える。

このテロの首謀者として「ウサマ・ビンラビン」と言う人物の名が上がっており、
「タリバン」と言う組織がかかわっているのではないかと言われている。
アメリカは、これらをターゲットとして戦争をしかける気配である。

テロを起こした組織に対して、いかなる手段を使ってでもそれを一掃する、
と言えば聞こえは良いし、単に逆恨み的にテロされたのであれば
それも肯定されよう。

ここで「タリバン」そして「ウサマ・ビンラビン」とアメリカの関係に
付いて知っておかなければならない。

そもそも「タリバン」はアメリカの支援に依って大きくなった組織である。
「ビンラビン」はアメリカの要請に答えた人物である。

ソビエトがアフガニスタンに進行した際、その抵抗組織として
アメリカが支援したのがそれらなのである。
そう、かつてこの両者は有効関係だったのである。

が、ソビエト崩壊で冷戦集結後アメリカは彼らを切り捨て、
また彼らはアメリカのパレスチナ擁護主義
(イスラエルは湯田屋の国家である。だから、イスラエルがパレスチナ暫定統治機構
に対する攻撃をし、その非難決議が国連で採択されそうな時に会議をボイコットする
のである)などからアメリカに対する反発を強めたのである。
「ビンラビン」が「アメリカこそが世界最大のテロ支援国家である」と言って
はばからないのは、実はこのような事実を知っているからである。

こういう関係を「鬼っ子」というらしいが、
アメリカは己が育てたそれに今や襲われているわけである。

アメリカは、今回の事件で大きな痛手は負っただろうが、
反面、世界に対して堂々とそれらを一掃出来る機会を得たわけである。
しかも、戦争特需によって景気も上向くだろう。
なんやかんや言って結局、ブッシュは腹の内では喜んでいるのかも知れない。

    ・・・余談?・・・

アメリカの国家の成り立ちと喧嘩の仕方を簡単に書くと次のようになる。

成り立ち
 有る健全な体に外部からウイルスが侵入、
 あっという間に体全体を蝕み、元から有った健全な細胞までを駆逐しようとした。
 (ここで狂人化。)

南北戦争
 ある時ころんで怪我をした。

第一次世界大戦
 まだ対した金持ちではなかったが、他人のしている喧嘩に
 武器・弾薬を供給して一気に金持ちになった。

第二次世界大戦
 金回りが悪くなったので、喧嘩しそうな国を炊き付け
 自分の洋服の先に傷を付けさせ、それを口実に自ら喧嘩を始めた。
 しかし、使ったのは小手先だけで体には傷一つ付けていない。
 そればかりか、素手で戦ってくる相手に鉄砲を持って対した。

冷戦時
 ライバルと睨み合いをしながらも直接手は出さず、ライバルの敵に
 武器・弾薬を与えて喧嘩させた。

今回の報復
 冷戦時に武器を与えた相手が自分に対して牙を剥いてきて、
 初めて直接体を傷つけられたので逆上し、
 周りの人間を騙していかにも自分に全く非がなくて相手が悪いと思わせ、
 そもそも喧嘩したくて渦渦していた気分を一気に張らす積もり。

アメリカはいつも正義面しているが、よく考えれば、
今回の死傷者は言っては悪いがたかが5000〜6000人で、
阪神淡路大震災と同じ、
そしてこれが重要なのだが、
アメリカが第二次世界大戦で、1回の空襲で殺した人数に比べてもずっと少ない。
だいたい、第二次世界大戦時に世界で一番多くの人を殺した国家はどこか。
おそらくアメリカではないかと思う。
(少なくとも一度期の闘いにおいては間違い無く1番。原爆があるからね。)

こんな国家を安易に信じたり、簡単に同盟国だと言うのは
はっきり行って無謀を通り越して馬鹿である。

アメリカはそもそも喧嘩したがっていたところに、良いきっかけが出来ただけである。
ビンラビンがどうされようと、アメリカは間違い無く戦争をする。
それを望んでいるからだ。
今の世界経済を立て直すにそれが一番手っとり早いと思っているからだ。

    ・・・

とりあえず今回は以上である。

このネタを書き始めたのはブッシュが大統領になった直後位であったが、
忙しさにかまけてなかなか書き上げられなかった間にあんな事件が起こり、
これは早々に書き上げなければ成らないと思って書き上げた次第である。

何か、この書き口を見ると私がテロを容認しているようにも国粋主義のようにも
共産的思想のようにも見られそうだが、決してそういうことはない。
テロは撲滅すべきである。日本人の悪いとこは山のようにあるので
修正すべきであるし、自由は尊重すべきである。
自由競争はすばらしい。
しかし、それが「アメリカ式」になってしまうととたんにおかしくなる、
そのことを警告したいだけである。

日本が、アメリカとは一線を隔し、正しき自由を行って世界の模範とされんことを
祈る。

    ・・・おわり・・・
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