「電線の空」(1996/07/25号)
ふと上を見上げると、電線だらけであった。
こんな空では誰も飛びたいとは思うまい。
現代文明は、人の「夢」を奪っているのかもしれない。

やはり、「空を飛びたい」と思うのは、空が抜けるように
高く、青く、鳥が飛んでいるような風景からであろう。
そういう意味では、今の都会に住んでいると夢が出てこない。

基礎研究の分野では、日本は他の先進国に比べて大きく遅れているらしい。
それは、研究費の少なさも原因にあるのだが、
さらに、発想力を奪う教育ばかりしている、発想力を育てない環境である、
というのも大きいと思う。
日本からは大胆な発想が出てきにくい。それは、環境のせいだと考えるのだ。

大発明、大発見の原点は突拍子もないことが原点だったりする。
それとは逆に、日毎「当たり前」と思っていることを突き詰めた先に
それがある場合もある。
いずれにしても、そういうことをする人と言うのは「発想力が」豊かだ。
アインシュタインなどは学校では落ちこぼれで、自然の中で遊び回っていたらしい。
しかし、その彼の自然を見る目が、あの偉大な発見をもたらした。

これからの日本において、根本的に、発想力を創ろうと思うなら、
今の点数稼ぎ、記憶力のみの教育をやめ、いっそ自然の中に放置して、
その中で知恵によって生活させた方が良い。
少なくとも、私の自分の子供にはそうさせるつもりだ。

これから結婚し、家庭を持とうと思う人へ、
「自分のことよりも、未来を担う、子供のためを考えて行動してほしい」
と思うのである。
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