「尾道旅行記」(2006/07/03〜2007/01/22号)
最近は旅行に行く機会がめっきり減ってしまった。

毎年新潟へは帰るが、その折の出来事をネタにまとめるのはもう数年していない。
本当はいろいろとネタがあるしノートにも書き留めてあるのだが、PCに打ち込む気力がない。
新潟から帰ってきたあとは惚けているというせいもあるが、
ここのネタがバラバラなのでつなげるには苦労が必要だからである。
以前はそれは「イロハネタ」としてバラバラのまま出していたが、
あれを繰り返すのも能がないと思っているうちに数年経過してしまった。

他の旅行と言えば白馬こそ毎年行き、ネタにもしているが、
それ以外は本当にとんと行く機会がなくなった。

行きたくないわけではない。むしろ行きたいのだが、
仕事が忙しすぎて休みの日はダウンしている事が多く3連休ぐらいでは動けないし、
嫁がとにかく非積極的で文句ばかり言うので一緒に行きたくないし、
子供はまだ「私の旅行パターン」で行くのは無理、ってなわけで行けないのである。
ゴールデンウィーク(以後GW)ならなんとかなりそうだが、これはこれで人出が多すぎて行く気になれなかった。
困ったもんである。

2006年のGWもそんな感じで全く予定がなかったのだが、
その1週前の土曜日に友人とシャラモンに行ったとき、
シェフが尾道出身、正確には出身地は京都だがフランスでの修行のあと日本に帰ってきて
働いたのが尾道のレストランだったと聞いて、急遽尾道に行くことを決めたのである。

じゃあその話だけで行くのを決めたのかというと、実はそうではない。
以前DVDで紹介した「かみちゅ!」という良作アニメの舞台が尾道だったこと、
知人から聞いた「尾道に映画『男達の大和/YAMATO』で使われた、戦艦大和の
実物大セット(ただし艦首から一部)が5/7まで公開されている」という話もあり、
「尾道に行ってみたい」という気合いが高まっていたところに「とどめを刺した」、
じゃなくて、背中を押したのがシェフの話だったわけである。

行くのを決めたのは良いが、行くならGW内でも出来るだけ人が少なそうな日を選びたい。
そうなるとカレンダー上平日の5/1(月)か2日(火)しかない。
うちみたいに9連休の企業もあろうが、少なくとも公務員や一部の企業はカレンダー通りのはずだからだ。
しかし、そうなるともう1週間もない。
今から一緒に行く人がいるか、また宿が取れるだろうか。

声がけはしてみたが一緒に行く人は居なかった。
宿についてはとりあえず調べてみたが、結局、
・尾道だけなら2日掛けて回る広さではない
・体力が落ちている今、久々の旅行で慣れない宿で十分な睡眠が取れない事態は避けたい
という判断から日帰りにした。交通費を考えればもったいない気もするが、
無理は禁物である。

泊まりでないので1日尾道三枚だが、行き時間の決定にはいろいろと考えるところがあった。
尾道の町巡りは混雑しても何とかなろうが、YAMATOセットの見学は混んだら混んだ分待たさせる。
ここがどれだけ混むかの予測が難しい。
インターネットで調べてみると、GW内でも5/1〜2はやはり少ない待ち時間が予測されているが、
それでも2時間以上待ちとなっているので、ここは出来るだけ待ちを少なくするため朝一番から入るのが良いだろう。
ということで、

        6:10 京都
                        快速
        6:40 新大阪
        6:50
                        ひかりレイルスター445号
        7:58 福山
        8:14
                        普通
        8:33 尾道

とした。6時に京都だから5時には起きなければならない。
少々つらいが仕方ない。

尾道について下調べをする。
家にも尾道を含む観光ガイドが2冊あったが、どちらも古い。
尾道には結婚前だから10年以上前に一度訪れたことがあるのだが、
多分その時(1996年)に買った1冊と、もっと前(1994年)に買った1冊がある程度である。
インターネットで調べても、めぼしい情報はなかった。
こういうときは「行き当たりばったり」である。
その方が面白いこともあるし。

前日の夜におにぎりなど朝食とお茶を用意しておく。もちろん全部手作り。
出来るだけ費用を抑えるためである。

        ・・・

当日は朝早いのでタクシーを呼んで駅へ向かう。
MK、新人さんだとか。大丈夫かなぁ。
「禁煙」と書いてる割には車内臭いんですけど。
町中を見ると、この時間走っているタクシーにはMKが実に多い。
この時間だから流しではなく予約であろう。MKの予約率がいかに高いかを示す証拠である。

実は前の日に、また、いや「またまた」軽く腰を痛めてしまっていた。
最近は本当に癖になっていて困るのだが、とりあえず立てないほどではないので行く。
せっかくの久しぶりの旅行だ、こんなことで止めてたまるかいな。
ぎっくり腰は、立てられさえすれば歩くのには余り支障がない。
それでも前日の夜には湿布をして寝たが、これがまた貼ったところが熱くて寝られず途中ではがした。
だからだいぶ寝不足。

京都から新幹線に乗れれば良かったが、この時間はまだ西へ向かう列車はない。
そのため新大阪までは在来線快速で行く。新快速もない時間帯なのだ。
快速といえども、この時間帯のは「高槻まで各駅」型ではないので
新快速と大差ない時間で走る(停車駅は長岡京と茨木の2駅多いだけ)。
新大阪まで30分。

新大阪から福山までは「ひかりレイルスター」。
実は私はこれに乗るのが初めてである。
正確には、自由席には一度乗ったことがある。
それも本当は乗るはずがなかったのだが、台風で乗っていたのぞみが広島で止ってしまい、
動いていたレイルスターに飛び乗ったという変な経験である。
そのときは自由席車両で立っていたので、指定席、座席に座るのはこれが最初というわけである。

レイルスターの指定席は2:2シートなので座席が広々していて良い(自由席は従来通りの3:2)。
確かグリーン車はないはずだが、なくても十分だろう。
グリーン車が欲しい奴はのぞみなりに乗ればいいわけだし。

編成は以下の通り。
博多    1 2× 3 4 5 6× 7 8       新大阪
        └-自由席-┘ └-──指定席──-┘

×は悪臭車両。
今回乗ったのは7号車なのだが、乗った瞬間に解った。隣が悪臭車両だと。
悪臭は通路くらいの隔てではだめなのだ。エアカーテンを設けるか、間を完全に区切ってしまうかしなければ。
今度乗るときは4号車か8号車を指定しなければなるまい。

レイルスターは外見こそ700形だが、足回りは500形の台車である。
従って、乗り心地も500形に近い。
私は500形の揺れの方が好きなので良い感じ。

福山駅までは新大阪から約1時間10分(この日は岡山で2分遅れが出た)。
途中で寝たのであっという間であった。
1時間くらいではゆっくり寝られないので寝不足完全解消とまでは行かないが、だいぶ楽になった。
ここで在来線に乗り換えて尾道へ向かう。

尾道と言えば、新幹線にも新尾道の駅があるが、
・新尾道は町中から離れている(連絡バスはある);15分=2キロ半ほど山側にある
・止る列車が少ない(こだまだけ)
なので福山経由にした。

福山駅は新幹線が3F、在来線が2Fという構成である。
じゃあ3F→2Fと降りるだけすぐ乗り換え可能、と思うかもしれないがさにあらず。
一旦1Fに降りて再度登る必要がある。駅員の配置の効率化のためだろうが、
エスカレーターがあるとはいえ、無駄な動きをさせるのはどういうものか。
腰の調子が悪いときは余計にそう思う。

在来線ホームで列車を待つ。
学生らしき連中が多い。今日は平日だからこんなものかもしれない。
ところが、どうも話している言葉が違う。中国語だ。
それも1人2人ではなくかなり多い。近くにその手の学校か地域があるのかもしれない。
別に中国人だからと言って差別する気はないが、この連中がとにかく不作法でいかん。
うるさいのはまだ我慢するとして、列車が来たら後ろに列んでいたはずのが一気に前に出て入っていきやがった。
要するに列を無視して入ったということ。
「日本の常識は中国では通用しない」とは聞くが、
「中国の常識もまた日本では通用しない」、と心すべきである。
それが出来ないならさっさと帰れ。

この連中を含め、学生らしき連中の殆どはは2駅先の駅「松永」で殆ど降りた。
地図で調べても大学らしき物は見あたらないのだが、奴らはいったどこへ行った?
あっ、自動車教習所があるからそこか?
ここまでは座れずかなりの混雑状況だったが、一気に空いてがらがら、座れる。
        福山            08:14          0km
        備後赤坂        08:19          5.8km
        松永            08:24          4.9km
        東尾道          08:27          2.9km
        尾道            08:33           6.5km
尾道までは19分。

駅に着いてすぐ大和の場所に関する情報を探す。
チケットはみどりの窓口で前売り券を売っているようなので買う。
入ってくる他の人も軒並み買っていく。
500円。
通常は入場券だけでこの値段だが、このチケットだと往復の船の料金;
普通なら100円*2も含むになるからお得。

セットは尾道の向かいの島、その名もまんま「向島」にあり、船で渡るというところまでは調べてあったが
その船着き場が解らない。
駅前に出ると小さな立て看があるのだが、ちょっとわかりにくい。

船着き場自体は駅の右手前方なのだが、立て看に沿って右手右手で陸橋を渡るコースと
一旦左手に向かって信号を渡るコース(これはあとで解った)がある。
右手のコースでは最後に陸橋を渡るが、この階段が非常に急なのでお年寄にはきついかもしれない。
ほんのちょっと遠回りになるが左手の方が全部平地なので良いだろう。

向島に渡る駅前渡船の桟橋はそこにある。5分に1本くらい出ているので待つことも殆どない。
向島に渡る船は他にもあるが、駅で買える切符で乗れるのはこれだけだし、
そもそもセットに一番近い場所に着くのもこれである。
乗っている時間も5分くらいであっという間に付く。

そうそう、手すりなどは塩気でべたべたしているので触るときは注意。

向島の桟橋からセットのある日立造船向島西工場まではすぐ。
桟橋出て左手にすぐ入り口がある。
ここから大和のセットまでの間はバスで移動するのでバス待ち。

ここは歩いての移動は出来ない。
歩いていけない距離ではないが、造船所内は(見るからに)危険な部分もあり、
危険防止のための措置と思われる。
この送迎バス(尾道市営バス)は無料。

バス乗り場には大和だけでなく市内のパンフレットがあるので入手。
トイレもここにあるので、行きたい人は済ませておくのが良いだろう。
セット内にはトイレはないし、横の展示場のトイレは広くなさそうである。

一緒に船に乗り込んだ、セット目当てだと思われる人は余り多くなかった。
「やっぱり朝一なので少ない!」と思ったが、
私がこのバス乗り場に着いたときは50m位列んでいた。
「開場すぐの朝一でもこんなにいるか」と思ったが、大和に着いてみると混んでいるという状態ではなかった。
写真に他の人が写らない状態までは無理だったが、
写りすぎてどうにもならんと言うこともない。かなり好きなとおりに撮影できた。
(その割には、後で見るとろくな写真がなかったのだけど。)
あとになるほど、観光バスできた人らが来て混んできたので、
この時間に行ったのは正解であった。

この大和のセットは190mある。
大和の全長は263mなので、かなりの部分が作り込まれているといえる。
日立造船という場所に作られたのは造船技術があったから、ではなかろう。
これだけの巨大なセットを長い間置いておける場所がなかったからではないかと思われる。

ちなみにこのセットは6億円かかっており、存在する部分は実物大だが「木製」である。
永久公開でなく期間限定公開となっている理由は主にこれゆえであろう。
事実、もうすでに色は落ちかけているし、壊れている部分もあった。
最初は2006年3月中で終わりの予定をGW終わりの5/7まで延長したそうだが、
これ以上は耐久性から考えても無理だろう。
一部装備は別の場所に移動して展示されるかもしれないが、全体を見えることが出来るのは
これが最後のチャンスである。

6億円と言えば、建造当時なら大和が3隻も建造できる額である
(大和建造費1億1759万円;現在の価値で約2600億円)。
でも現在ではこの程度である。
当時とは貨幣価値が実に1300倍以上も違うと言うことだが、
仮に今お金の制約がなかったとしても、それを作り出せる技術や職人がいないであろう。
日本が戦争で失った技術も人も計り知れない。
あぁ戦争反対。

船の前には菊の御紋もある。
この部分、最初は作成予定がなかったそうであるが、
角川春樹、角川映画社長が私費2億円を投じて作ったそうである。
その話がバスの中でされると「税金対策じゃん」という声も聞こえたが、
事の真偽はともかく、菊の御紋のありなしで見栄えが大きく異なるのは確かである。

この前では撮影サービスもある。
有料のもあるし、ボランティアの人がこちらの渡したカメラで写してもくれるのもあった。
かけ声は「はい、YAMATO!」。これ本当。
そういえば、軍服のコスプレをしている人が居たが、これは地元のボランティアなのか
そういう趣味の人なのか。趣味の人のような感じであったが。
その服装で来たんか?

そういえばこのセットの中ではボランティアなのかシルバー人材センターからの派遣なのか、
お年を召した方々数働いていた。
炎天下にはなるが真夏ではないし、平坦で階段も少ない場所だから働くには良い場所かも。
立ちっぱなしの時間は長そうだけど。

セットは、よく見ると前も省略されている部分がある。
46センチ砲塔の一番前(第一砲塔)は筒の部分がない。船首から見て左側もだいぶ省略されている、というか殆どない。
また、艦橋は存在しない。そのため、ちょっと「何か違う」という感じがする。
映画に写っている艦橋部分より後ろはCGもしくは、呉の大和ミュージアムにある模型との合成らしい。

一部の省略部分はあるにせよ、見る価値はある。
これを大きいと思うか小さいと思うかであるが、私には正直予想より小さく感じた。
艦橋や船の下部分(海につかる部分)がないため高さが感じられないからであろう。
ただ、実物は3000名以上が搭乗したという事実を考えれば破格に大きな戦艦であったことは間違いない。

造船所なので、大和の真横に実際の船のドックがある。
後で行った千光寺からなど、遠くから見るとこのドックと大和のセットを両方一度に見て大きさを比較できるが、
そのドッグよりセットの方がでかい。
それからも大和のでかさは解る。

セットの横の建物では映画で使われた物の展示や、メイキングの映像もあった。
これを見てから映画を見ると見方も変るだろうと思う。
私は映画は未見であるが、DVDも発売されることだし、そのうち見てみよう。

映画のロケ班も使ったという食堂が残っており、特別メニューもあるそうだ。
土産物屋も併設されていたが、この後町中歩きをするし、
これと言って惹かれる物もなかったので買わなかった。
(カレーとかコーヒーとかラムネとかはちょっと迷ったんだけど。)

何にせよ、これで500円なら安いだろう。
見る価値はあるよ・・・と書いたところで、これが読まれる時にはもうセットはないのではあるが。

そういえばかみちゅ!にも大和の話があったが、これってやっぱりこのセットが作られたから
入れた話なのかなぁ。DVDに書いている話からするとかみちゅ!の方が先のようだったが。

入ったのが9時過ぎで出たのが10:30位。
ゆっくり見て回っても1時間半くらいだろう。

http://www.yamato-movie.jp/index2.html

        ・・・

大和をあとにして本土に戻る。ここでおよそ10:40。
さて、この先どうしようか、かみちゅ!の舞台を探しに町中を歩こうとは思っているが
その場所を書いた物はないので巡るルートにあてはない。
一旦駅に戻って観光案内を探す。

ところが、尾道の駅前には観光案内所がない。
JRのみどりの窓口横に若干の冊子がある程度で、これも
YAMATOとか他の地域の物も含まれているので尾道町中の物は少ない。
その中で1枚「I LOVE おのみち」と書かれた冊子が観光案内地図になっていたのでもらう。

ここには「古寺めぐり」というのが紹介されている。

尾道はお寺が多い。
尾道駅が市街地のほぼ西の端に位置し、ここから東へ約3キロが(旧尾道市)町中と言えるだろうが、
この中に大小とても多くのお寺がある。
町の広さから言えば、こういう言い方は失礼だが「異常に」多いと思う。
地図上に記載されているだけでも25もある。
お寺の多い京都でもこれほど密集はしていないのではなかろうか。
その多くが古く由緒がある。国の重要文化財も数多く存在する。
それを巡ろうというのが「古寺めぐり」である。

これをめぐりながら、かみちゅ!が見つかればそれも良しとしよう。

尾道にはレンタル自転車もあるようだが、この坂の町では結局荷物になってしまうだけのような
気がするので歩くことにした。まあ、どこで借りられるのかも解っていなかったのだが。

まずは駅から近い順で持光寺へと向かう。
持光寺は駅を出て最初の踏切を山側に渡ってさらに少し登ったとこにある。

途中に二階井戸というのがあり、下の井戸の上にもう1つ井戸の口がある。
見れば一目瞭然なのだが、言葉で説明するには私の語彙はつたなすぎる=無知(T_T)。
ひっそりと存在し、たいした物でもないのだが、見ると「おぉ」と思う。

そのちょっと先に土堂小学校がある。
ここは「かみちゅ!」で主人公が通っていた学校のモデルとされている。
ただし、かみちゅ!では中学だったが。
校門の写真は撮ったが他は撮影していない。本当は校庭や校舎も写したかったのだが、
ここを初め尾道市内の学校は軒並み「リアルタイム監視中」と書いてあるのでやめた。
生徒のいる平日だったし、変な誤解をされたくないからである。
防犯設備士の証書でも持っていれば「点検に来ました」などと言えたかもしれないが(だめだめ)。

そこからちょっと横に入ったところに持光寺がある。
浄土宗西山禅林寺派のお寺である。
特徴的な石門があるが、別名を延命門というらしい。
そう、ここは延命祈願の寺である。

どこからかかぐわしい香りがしてくると思ったら、境内ではボタンが咲いている。
ここだけでなく、今回回った何ヶ寺かで咲いていた。
ボタンの一番の盛りはこの時期であったか。
長谷寺の寒牡丹のイメージが強すぎて冬に咲くと思っていた。

ここで「尾道 七佛巡り」というものがあるのを知る。
ここ持光寺を初め、天寧寺、千光寺、大山寺、西國寺、浄土寺、海龍寺の7ヶ寺を回るコースである。
そういえば、前回来たときも古寺巡りはしたような気がする。
なら今回はこういう目的を持って回るのも良かろう。
http://pdx.jcom.to/@$7b

どのお寺から初めても良いらしいが、尾道町の形状から考えたら、ここか逆の端になる海龍寺から始めるのが
一番無駄がなかろう。
まず朱印帳をいただく。600円。

ここで1つ注意。
パンフレットには「一ヶ寺の朱印料300円を含む600円」と書いてある。
私はここで勘違いして、「一ヶ寺というお寺があって、そこでだけ朱印料300円が必要」と思いこんでしまった。
違う。朱印をいただくにはどこのお寺でも=お寺一カ所=一ヶ寺で300円必要となる。
先の文言は朱印帳を買った最初のお寺の朱印料300円が含まれているという意味なのである。
すなわち朱印帳代300円+最初のお寺の朱印料300円である。
7ヶ寺回るのだから、朱印料は他の6カ所分、300*6=1800円が必要である。
こんな勘違いをするのは私だけかもしれないが、何せ朱印をいただくのは初めてだっただけに、
旅の恥はかき捨てである。

この朱印帳を持って各お寺に行った場合はスタンプでの朱印であるが、
自分で作った朱印帳を持って回ってた場合は手書きで書いてくれる。
この場合も300円のようなので、お得である。
まあ、朱印でお得かどうかを語るのははなはだ不遜ではあるが。

持光寺では握り仏というものも体験できる。
粘土を握って仏様を作り、それを後日釜に入れ法要した後送り届けてくれるものである。
1500円。今回は行わなかったが心惹かれる部分である。

「七佛巡り」をすることには決めたが、次の天寧寺まではちょっと距離がある。
その途中にあるお寺は回っていくこととした。
「七佛巡り」+出来るだけ「古寺巡り」をするわけである。
+「かみちゅ!巡り」であることは言うまでもないが。

次は光明寺。浄土宗のお寺。
境内には第12代横綱の手形がある。
確かにでかいが、私も結構良い線いってる。
指は長いから。横綱の方がまだ一回り大きいけど。

その次は地図上の距離では海福寺に行くのが近そうだが、
ちょっと坂を下って戻るような感じなのでパスして宝土寺(浄土宗)、
さらに信行寺(浄土宗)を経て天寧寺へ。

このあたりのお寺の観音堂の写真がある。残念ながらどこのお寺なのかが不明だが、
持光寺と天寧寺の間にあり、坂の上にあったことは確かである。
(ここは昼食後も通っている。)
尾道情報のHP http://www.ononavi.jp/ には全てのお寺の写真が載っているのだが、
該当する社が見つからない。
ここも住職さんが陶芸をやっていると書いてあったが。

ここには八重桜が写っている。
そう、5/1に尾道でも桜が残っていた証拠である。
京都でも残っていたが、GWに桜が残っているとは良いことなのかそうではないのか。
また、ここからは大和のセットがよく見える(その写真もある)。

境内脇から昔懐かしい「Natural Free Fall」貯めの香りが。
(この用語の解らない人はオタクラHPの新潟ネタを読んでくれ。)
そういえば、尾道の下水道普及率はどれくらいなのだろうか。
洗濯水と思われる水が側溝に流されていたりするのを見たり、
この町の構造から考えると、普及は難しいのかもしれない(失礼?)。

        ・・・

確かこの辺りに郷土料理屋「どらねこ」という看板を見つける。
今日のお昼はもう店を予約してあるからだめだけど、ちょっと惹かれる。
一応電話番号を控える。
もっとも、この手の店には当たり外れがあるので要注意なのだが。

このコースで行くと、天寧寺へは坂の上からぐるっと回り込むようにして入る。
そういえば、尾道にはお寺も多いがお墓も多い。
各お寺が檀家のお墓を抱えているようなので、お寺の周りにかなりある。
道筋によってはその真ん中を通ることもある。
くれぐれも失礼のないように。

天寧寺は曹洞宗の寺院。
ここで2つ目の朱印をいただく。いや「朱印をいただく」のは事実上ここが1カ所目。
先に書いた「一ヶ寺」の件はここで気が付いた。
ちょうど同じく朱印帳を持っている女性2人連れが300円を払って朱印をいただいているのを見て
「あれ?」と思って聞いたところ、お寺の人に上記を教えていただいたわけである。

そういえば、大和にはあれほどの人が居たのにお寺めぐりしている人は少ない。
大和を見に来てた人は、平日で、また物が物だけにか年を取った人が多く見られた。
だからこの坂の多い町を回るのは避けているのだろうか。
確かにこのコースを歩くのは大変だし多くは車では回れない。
でもせっかくなのにもったいない。

回っている人は少ないし目的とする場所は同じなので、同じ人にそこかしこで出会うことになる。
夫婦らしき人もいれば女性の2人旅のような人もいる。

「向こうもそれが解っているような感じである。そこで私は、

        『あぁ、またお会いしましたね。どうです、ご一緒しませんか?』

と声をかけた。旅は道連れ世は情け。一人旅よりお供が居た方が楽しい。
そこで運良く恋心でも芽生えれば、この上ないが。

・・・と日記には書いておこう。」

そんな、女性に気軽に声を掛ける甲斐性が私にあればもっと楽しい旅に出来たろうに。
ご一緒していただける女性の方募集・・・等とここで書いているようではだめ(T_T)。

このお寺にもボタンがたくさん咲いていた。
和傘も差してあって、なかなか見目に美しい。

ボタンの花の香りを嗅ぐとなぜだか花ムグリというカナブンの親戚の虫を思い出す。
昔それを見たとき、これに似た香りの花が多かったからであろうか。
以前はいくらでもいた虫だが最近はとんと見かけなくなった。
花ムグリがいないかと花を見ていたが、結局死骸1匹を見つけたに過ぎなかった。
やはり減っているのか、このあたりにはそもそもいないのか。

そういえば、今回行ったお寺の中では千光寺に次いでここが人が多かった。
このボタンのおかげであろう。

ここは病気平癒祈願のお寺。
本堂には賓頭盧(びんづる)さまが祭られている。
自分の病の場所と同じ場所をなでれば平癒するという信仰がある。
真言宗豊山派である奈良の長谷寺や椎谷の観音堂にもいらっしゃるので、
宗派を越えて信仰されているようだ。

またここには五百羅漢像もある。
お堂に安置されているので中は薄暗いが、光の加減で奥まで照らされることがある。
そうすると、なんだか正面にいる自分の方を向いているような感じに見える。
心にやましいことがある人はどきっとするのではなかろうか。
私?私は別にやましいことなど、げふんげふん(^_^;)

天寧寺の次は、順当に行けば千光寺である。
千光寺は山の上にあるのでロープウエイを使うのが良いだろう。
がしかし。
実は今日はお昼のお店を決めてある。
そう、シャラモンのシェフが前に勤めていらしたお店である。
予約も入れてあり11:30。
お店は駅の西側にある。
ここからの距離を考えると時間までに千光寺に行って帰ってくるのは無理。
ということで、午前中は「艮神社」という所までにする。

「艮神社」と書いて「うしとらじんじゃ」と読む。
ロープウエイの駅のすぐ近くにある。

「尾道にはお寺が多い」と書いたが、実は神社は「比較的」少ない。
地図上で確認できるのは駅から近い順に「一宮神社」「住吉神社」「艮神社」「御袖天満宮」
「久保八幡神社」「山脇神社」の6つである。
町の広さからすればこれでも十分多いけど。

この艮神社も「かみちゅ!」の舞台になっている。
主人公の友達の家が神社で、その神社の建て屋のモデルになっているのがここである。
もっとも、かみちゅ!では後で行った「御袖天満宮」の登りの階段とお手水の鉢、
それにここのお社を合わせて舞台設定をしているので全く同じではない。

境内には非常に大きな楠があり、折しも新緑が美しい。
時々人が訪れるが、基本的にはひっそりとしている。

ということで、午前中はここで時間切れ。
急いでお店へ向かうことにする。
地図を見ると、一番近道をするなら道路を渡って海岸縁に出て歩くのがよさそうである。

尾道は山側に住宅とお寺があり、JR山陽線と国道2号線で隔てて海側に商店街がある。
昔は商店街の中の道が街道だったらしいが、鉄道と道路が出来たときに分断されたらしい。
その名残をいくつか見ることになるが、それは後ほど。

踏切を渡り、道路を渡って商店街を横切り海沿いへ。
この商店街の中にもかみちゅ!に出てきた場所があるはずだが、今は探している時間がない。
海に沿ってひたすら駅の方向へ歩く。
いかん、これは予想以上に距離がある。
そんなに歩いてないつもりだったが1時間半は歩いてるし、
地図で調べると、駅まで1キロはある。
お店は駅からさらに7〜8分かかると言うことだから、これは時間には間に合わない。

そうそう、船の出入りが多い港だから海水は汚いだろうと思っていたけど、
結構澄んでいる。意外。
途中にある防波堤と「福本渡船」はかみちゅ!に出ていた。
これもちょっと変えてあったけど(後者は「日の出渡船」となっていた)。

とにかく急いで歩くが、今日は快晴で兎にも角にも暑い。
蒸し暑さはないし風もあるので苦しくはないが、日焼けしているのが解る。
帽子と日焼け止め、それにサングラスを持ってくるんだった。
あと、お寺の境内では風で砂埃が上がることが多かったのがつらかった。
コンタクトだから。

駅前渡船乗り場を通過、さらに西へ歩く。
倉庫を改造して作ったという店とのことで、それらしい館を探すが見つからない。
ひょっとしてももう少し山側なのだろうかと思いながら歩いていると、
看板が見えた。

行ってみると確かに倉庫だが、どう見てもお店には見えない。
それはお店の駐車場だった。駐車場も倉庫なのか。
駐車場があるということは店は近いはず、と見渡すが見える範囲にはない。
車から降りてきた人に付いていけば行けそうだが、ここは自分で探してみよう。

そう思いながら少し進むとまた看板が見えた。でも文字が逆?
真ん前まで行ってやっとそこであることが解った。
ネオンの電光看板なので、透けているので逆から見えると文字が逆に見えるのである。
後でアンケートがあったので「駅から歩いてきたら看板が見にくい!」と書いておいた。
改善されるかな?

ドアがちょっと奥まっているので見えにくい。
また、結構大きなドアで押したらいいのか引いたらいいのかわかりにくい。
ドアの前で一瞬悩んでしまった。

{お店紹介}

        「L'SPOIR du Caf'e」(レスポアール・ドゥ・カフェ)

        広島県尾道市西御所町5−14
        尾道駅から海外沿いへ出て西へ7〜8分
        0848−24−1154
        http://s1group.johoo.net(このHPはFireFoxではうまくレイアウトされない)
        http://r.gnavi.co.jp/Mg/33/3014533.html#(こっちの方がわかりやすい)
        ランチ          11:30〜14:30
        カフェ          14:30〜16:00
        ディナー        17:30〜22:30
        不定休

今回尾道の昼食に行った店。
私が良く行くア・ラ・シャラモンのシェフがフランス修行の後、日本で最初に勤めたレストラン
・・・という話は最初に書いた。

シャラモンの味の原点がここにあるのかどうか。

私が到着したのは予約より15分ほど遅れた11:45位。
この時点で店内はもうそれなりの人であった。
あらかじめ予約してあったし「(シャラモンのシェフ)さんの紹介で・・・」と伝えてあったので、
すんなりというか「京都からようこそいらっしゃいました」と歓待してくれた。
(主任さんから名刺もいただいた。)
一応念のためシャラモンの名刺も持って行ってたが、要らぬ心配だったようである。

私の前に2人(正確には赤ちゃんを連れた女性2人)の待ちがあったが、
5分もせず席に通された。

「プロのカメラマンの方ですか?」と聞かれた。
ぱっと見には大きめのレンズの付いた一眼レフを首から掲げた、
余り服装の綺麗でない兄ちゃん(≠おっさん)だったからそう見えたのだろうか?
「いえいえ、ただの趣味です」

この店は築100年くらいの穀物類の倉庫を改造して作られたという。
外から見たときは、駐車場はともかく店はそれらしく見えなかったが、
後で写真で見ると入り口回りは赤煉瓦造りだし、内装にもそれらしい部分が残っている。
図太い柱や大きな防火扉などである。
(この防火扉はかなり大きく重たくて、毎日男手で開けなければならないそうだ。
と言うか、毎日開け閉めしてるの?)
しかし、言われてみなければ気が付かないかもしれない。
柱の感じなどはむしろ京都の町屋やうちの椎谷の家(ここも築100年を超えてる)に似ている。
壁の一部には煉瓦を積んだ部分があるが、これはシャラモンの内装に似ている。
後で聞いた話では、このあたりは店を開く時にデザイナーさんに入ってもらって
設計したそうだ。

店は2階部分もありかなり広い。100人以上入るらしい。
私が座った席は2階に上がる階段のすぐ脇だったので解らなかったが、
奥がL字型に広がっていて100人どころか150人もOK。
現在はまだ使っていないが、さらに2階席を増やせる構造になっているらしい。
この広さがあるので、レストランウエディングもされている。、

これだけ広いということは当然店員さんも多く、見渡す限りだけでもウエイターさんと
厨房だけで10人以上はいると思っていたが実は30人くらいだそうで、
以前はもっと、50人もいたらしい。
まあ、それはそれでいろいろと苦労もあったそうだが。

フランス料理系なので、壁に貼られている絵にはシャラモンと似ている部分もあるが、
流れている音楽と言い、広さと言い、雰囲気と言いかなり異なる。
この違いにはちょっと驚いた。
ここからシャラモン設立に際し何を継承し、どこに自分らしさを出そうとされたのか。
食べながらじっくり考察してみよう。

予約はしてあったが、コース決めは当日でよいとのことだったのでメニューから選ぶ。
ランチでもかなりの種類がある。
1300円くらいから2000円くらいだろうか。
今回は1750円くらいの「伝統のハンバーグ」のコースを選んだ。
伝統っていうくらいだから、ここの味の基本を知るには一番良いだろう。
これには前菜(2品から選択)、スープ、主菜、パンまたはライスが付いている。
+400円でデザートとドリンクとなるので、これも合わせて注文。

私がシャラモンのシェフの紹介で来たということで、
担当をしてくれた人といろいろ話をすることが出来た。
自身でも「月に2〜3回おじゃましている」とは言ったが、
それ以前に私がシャラモンの常連だという情報がそれとなく伝わっているような感じであった。
ひょっとするとシェフ(というかマダム)が連絡してくれた?
・・・と、そのときは思ったのだが、そうではなかったようだ。

食事の前にカクテルをサービスしてくれた。
昨日から暑くなったので、さっぱりとしたカクテルといろいろと作って試しているのだそうだ。
それを私に味見して欲しいと。ひょっとしてグルメと思われてる?

ライムに色つきシロップを入れ、薄い炭酸で割ったもの。
柑橘系のさわやかさと炭酸のさわやかさが良く、また青緑色を付けたシロップが見目にも美しい。
ただ、シロップは下に溜まっているのでそのまま飲むとちょっと甘みが、くどくはないがきつい。
色合いを楽しむには混ぜるのは惜しいが、ここはしっかり混ぜた方がよい。
「個人的にはもう少し甘さを控えた方が良いと思う」と最初言ったが、
「あっ、氷が溶けたりよく混ぜたりしたらちょうどですね」と訂正しておいた。
ひょっとすると、近日お店のメニューに載るかもしれない。
(というか、これが発表されるときにはすでに出ているのかも。)

前菜の前にパンが出てきた。
手のひらに載るくらいの小さな四角く白いパン。
チーズかミルクの入ったパンで、ほんのり甘みがあってなかなかおいしい。
これにはマーガリンも付いてきたが、なしでも十分おいしいし、
後から来る料理のソースを絡めて食べるにもいいだろう。

余談。
マーガリンは植物性油脂だが、実は植物性油脂は常温では固形化しない。
ゆえにマーガリンは化学合成により固められている。
固めている=分解しにくいので、本当言うと体には余り良くないというのがその筋の定説である。
店の人であってもそこまで知っている人がどれだけ居るか解らないから言わなかったが、
見る人が見るとマーガリンを使っているだけでちょっと「あれ」に思われるので注意した方が良い。

前菜にはマリネを選んだ。もう1品は鶏の料理で迷ったのだが、せっかく海の近くだからと言うこともあったし、
シャラモンでも前菜にマリネが出ることが多いから、味の系統を知るにはこれがよい。

カボチャや赤/黄ピーマン、葉野菜を非常に細く千切りにして積み上げた物の回りに
ホタテや数種類の魚の薄切りを並べマリネのソースであえてある(マリネしてあるというの?)。
この積み上げ方自体はシャラモンでは見たことはないが、味付け自体はよく似ている。
ホタテを使うあたりも似ているし、このマリネはシャラモンに受け継がれているようだ。

そういえばシャラモンのマダムが、尾道は海の近くなので、レストランにも漁師の人が来て
『魚の一番うまい料理法を知らん!』と怒られることが多かったと聞いた。
それで今は魚の扱いがうまいのか。
でも、そういう人たちは肉に関しては無頓着なので、
「おいしいおいしい」と言って食べていたとも。

シャラモンでは野菜や魚介類の素材としてよく広島産の物を使われるが、
それはこの当時に作られたつてであろう。

スープは新玉ねぎのスープ。
玉ねぎってこんな味だったっけ?と思いながら飲んだが、
コーンポタージュを思いっきりあっさりしたような味にも思えた。
「新」タマネギはこういう味なのであろう。
でも、後で水を飲むと「あっ玉ねぎの味だ」と解ったのが不思議である。
玉ねぎを玉ねぎと思わせないというのは、子供に玉ねぎを食べさせるには良いかもしれない。

メインディッシュが伝統のハンバーグ。実はこの店はチェーン店だが、
その最初の店から受け継がれている味らしい。
ハンバーグというとフランス料理では見かけないが、
おいしい物はおいしいとして取り入れるのは良いことだ。
いろいろな肉を合わせて味や堅さを調整できるハンバーグは、
なかなかどうして奥が深い物だと思う。それが証拠に、なかなかおいしいハンバーグには出会えない。

ここのハンバーグは結構大きめで厚みもあって食べ応えがある。120gあるそうだ。
120gと言ってもピンと来ないかもしれないが、例えばとんかつでは80gが
標準的な大きさだから、それより5割り増し。と言うことは多いと言うことである。
肉の合わせ方はきめ細かくて口当たりさっぱり、でもちょっと堅くて歯ごたえもある。
こういう感じのは今までに食べたことがない。

さて、このハンバーグの伝統たるゆえんがソースにある。
玉ねぎをよく煮込んだ所に林檎を擂り入れ、これを醤油で味付けしてヨーグルトで締めているとか。
林檎が入っているので甘く、また醤油が入っているので日本人にもなじみやすい。
このソースがハンバーグによく合っている。
ハンバーグやライスに絡めて食べるとおいしいが、これだけをなめるとちょっと辛い。

このソースはシャラモンにはない。
ハンバーグ自体もないが、他の料理に対してもこのソースが使われたことはない。
自分で店を持つにあたってのけじめとして使わないようにされているのか、
手間がかかるのでやられてないのか、単にシャラモンで作る料理には合う物がないからなのか。
「このソースはシャラモンにはありません」と言ったら驚かれていた。

後でシャラモンで聞いたところ、この前身となる店が三原にあり、
このソースは社長が作り、その当時から出されているメニューだそうだ。
それ故に「伝統」という名があるのだろう。
シャラモンのシェフはこの尾道の店の初代店長であり料理長だったそうだが、
そういう経緯のソースなので、自分の店では遠慮されているのであろう。

ライスはこのメインと一緒に出てくる。
あえて書くが、このライスがちょっと残念だった。柔らかすぎ。
味は悪くなかったが口当たりが良くない。もう少し堅めの方がよいと思う。
お米という物は、研いでから1時間ほど水に浸けた後、
ざるにとって30分ほど水気を飛ばすとちょうど良い堅さに炊きあがる。
お店でそこまでするのは難しいかもしれないが、日本人にとって米の味は特別だし、
せっかく他の料理が良いので、ここは1つ精進していただきたい。
もっとも、レストランでお米がおいしいと思うのは非常にまれで、
ここだって決して悪いわけではないのだが、他が良かっただけにちょっと気になったと言うことで。

ここでなんかいつもと違うな・・・とよくよく考えて解ったのだが、
シャラモンだけでなく、私の行くフランス系料理店ではライスは出ない。
パンである。
それに残ったソースを絡めて食べるのがいつものことなのだが、
今回はそれが出来ない。
お米好きではあるが、この手の料理を残さず食べるにはパンの方が良かったかな、
と思ったのであった。まあ、このソースはパンよりごはんに合うと思うけど。

ドリンクには、炎天下さんざん歩いて汗をかいたので100%オレンジジュース、
デザートはシェフお任せの盛り合わせを頼んだ。
最初からカクテルのサービスがあると解ってたらコーヒーにしたんだけどね。

デザートは、ショートケーキ、ティラミス、アイス;紅茶とヨーグルトの2種、
フルーツ、ブドウのゼリーというてんこ盛りであった。
自家製でどれもおいしかったが、さすがにちょっと多かったかなという気はする。
シャラモンでは2〜3品だから。
このデザートならやはりコーヒーにしとくべきだったとも。

ゆっくり食べて1時間半ほどいたが、なかなかに堪能させていただいた。
店の雰囲気はシャラモンとは異なりファミリーレストランのような感じだが、
味も良いし接客も良いし、質はそこいらのファミリーレストランより絶対的に上である。

なお、おしぼりはちゃんと布タオルである。

        お勧め度        92%

2200円くらいでこの量と味なら文句はあるまい。

最後にシャラモンとの比較を少ししておこう。

どちらもフランス系料理の店であるが、
シャラモンはこじんまりとした落ち着いた雰囲気の店で、
子供でも食べられるが基本的には大人の好む構成になっている。
これに対し、レスポアールは広々として賑やかな雰囲気で、
ハンバーグソースが醤油ベースと言うこともそうだが、
子供にも好かれる料理や味構成になっており、メニュー構成、
ご飯とパンと選べる辺りや値段もファミリー向けとみた。
カップルにも受けそうで、事実そこそこいた。
本当は逆だけど、シャラモンを大衆化したような感じと言えば解るだろうか。

味には似ている部分もあれば異なる部分もある。
おそらくは、独立に際して独自色を出されたと言うことではなかろうか。
店の雰囲気に合わせたとも言える。

ということで、方向が違う頂点どうしなので本来は比較すべきではないだろうし、
比較によって優劣を付けようなどという気もない。
方向が違うが、どちらも良い店である。

主任さんはシャラモンのシェフをご存じだったが、給仕をしてくれた方は
「ご一緒したことはないが、名前は常々聞いている」と言われていた。
シェフの名前は、今でも語り継がれるほど「伝説のシェフ」となっているようであった。
今でも交流があるとかで、主任さんも先日京都の店に来たとおっしゃっていたし
(で、シャンペンの大瓶を開けたとか宿を決めてなかったとか、いろいろエピソードはお聞きした)、
こちらのシェフ達も正月に来たと言うことであった。
その内京都でお会いするかもしれない。

私はグルメぶる気はまったくないが、おいしい店はおいしいと紹介するし、
そうでない店はそうでないと言う。
おいしい店を知っているとなにかと便利であるし、何より自分が楽しめる。
全国でそういう店をたくさん見つけるのは喜びである。
もちろん私の手の届く範囲で、であるが。
今回はそういう意味で楽しかった。

後いくつか。
お箸が用意されている。シャラモンもそうだが、フランス料理といえども構えず=気楽に食べるには
お箸が一番だ。この点でも家族連れに好かれるであろう。

店内の公用語は「フランス語」である。なもんで、注文を受けたときの店内での受け答えなどが
フランス語してる。「シルブプレ」とか。
「ウィ、オーナー」はなかったな(元ネタが解る人は通)。あっ「オーナー」は英語じゃないか。

店内で時々拍手が聞こえてきた。
後に出たアンケートでも生年月日を書く項目があったので、
誕生には拍手の他何かしらサービスがあるのかもしれない。
→後で確認したところ、やはりそうらしい。
フランス語で歌を歌ってくれるのだそうだ。
来年の誕生日にでも行ってみるかな。

ハンバーグの味比べでは、
        グリルDEMIの一番良い時>ここ>グリルDEMIの通常時>森のハンバーグ屋
という感じである。

最後に1つ、非常に重要な点。
ここは完全禁煙である。非常に素晴らしい。
シャラモンもそうなって欲しい。
(シャラモンの分煙は、実効上良く出来ている方だとは思うが。)

店を出たのは13:20くらいであるが、このときにはもう待ち行列があった。
GWなので混んでいたのかもしれない(尾道は長期休暇には帰省で人が多くなるらしい)が、
これだけの店なら繁盛して当然、昼であっても予約していくのが吉である。
(これでも最近は減ったそうなのだが。)

        ・・・

L'SPOIR du Caf'eを堪能した後、古寺巡りを再開する。
駅前に戻って13:30近く。
今からの時間を考えると、古寺巡りを優先させると七佛巡りを終えられない可能性がある。
帰りの電車は19時だが、お寺は17時には閉まると考えておくべきだ。
特に山の上にある千光寺では時間がかかりそうだ。
まずは速攻で千光寺まで戻ることにする。
千光寺はロープウエイで上がればすぐだろう。

あぁそれなのに。どこでどう道を間違えたかまたえらい坂を登るはめに。
素直に道路に沿っていけば良かったのに、階段を上ってまた横に移動すれば良いはずだと
思ったのが間違いであった。

が、ここで1つ発見をした。
私が歩く前を、アブのような虫が飛んでいる。
よくよく見るとそれは「道標」、ハンミョウである。
ハンミョウは歩く人の前々を飛んでいくため俗称で「道標」と飛ばれるのであるが、
確かに私の行く方向へ飛んでいってくれる。
近づくとすぐに飛んでいってしまうのでなかなかその姿をゆっくり事は出来ないが、
体長は2センチほど、小型のカミキリムシのような形で大きいあごをもち、
体には玉虫のような青緑に輝く部分と群青色の部分に白の斑点と赤の横帯がある。
肉眼ではじっくり見られないが、写真に撮るとその美しさがよく解る。

昔は大阪、箕面あたりでもよく見かけたものだが、最近はとんと見なくなっていた。
絶滅したものかと思っていたが、生き残っていたとは。
この尾道では、この路地だけでなく、行く先々でたくさん見かけることが出来た。
この町はその地形ゆえに、山側は大規模な再開発が成されていない。
それが多くの神社が残り、こうした自然が残っている理由であろう。

一方で、歩いているとつぶれた家を1つではなくいくつも見かける。
土塀が崩れ、屋根が落ちた家もあった。
また、下水の整備も成されていない部分がある。
お年寄にはこの町は住みにくいであろう。人が居なくなった古い家はつぶれるに任せるしかない。
古きものや自然環境を残しながら住みやすくしていくのは難しいことだと思うが、
何とか共存する道を模索して欲しい。

歩いていると千光寺新道という「道」と言いながら実体は「階段」に出た。
本日2度目。この坂の一番下付近に、そこそこ有名らしい豆菓子屋がある。
「豆菓子 木谷製菓本舗」というらしい。
階段脇に面白い看板が出ているのですぐに解る。最初は「何じゃこれ?」と思うけど。
後で買おうと思っていて結局後で行けなかった。
ちょっと残念。

登っていくと、脇に古いロシア製のカメラを展示しているところや
犬が出迎えてくれる休憩所というか喫茶店がある。
「手作りわらびもち『昇福亭』」と書いてある。
わらび餅と言えば、京都では「御所雲月」のが飛び抜けておいしかったが、
ここのは果たしてどうだろうか。手作りだからうまいという保証はない。
寄ってみたいがおなかは空いてないのでパス。
この犬、新聞にも出たことがあるそうで、確かになかなかに落ち着いた雰囲気を持っている。
ほえることなく、目の上に小さな葉っぱを乗せて眠たげに横になっていた。

そこからさらに登っていくと、志賀直哉の旧居横を通って右に曲がり、
さらに階段を上ると、なんとそこに千光寺があった。
千光寺はロープウエイを乗って行く頂上にあると思っていたが、
それはもっと上の展望台の所まで行くのであって、お寺自体は少し下ったところにあるのだ。
ここまでならロープウエイに乗らずに歩いてもなんとか来れる。

千光寺は真言宗の単立寺院で開運厄除け祈願のお寺である。
山の崖っぷちに立っていて、本堂は社と一体になっているのでわかりにくいが、
舞台作りである。
ここからは尾道の町が一望できる。

大和のセットも眼前に見えるが、何か余り人が多くないような。
やっぱり平日だから人が少ないのかそれとも甲板上に余り人を上げないように入場制限をしているのか。
何せ木造だから。そういえば、ここから見ると裏と言うか内側がよく見える。
鉄骨で組んだ張りぼて。興ざめと言うより「6億かけてもこの程度?」とかむしろ壊れないかが不安になる。

今まで回ったお寺の中でここがダントツに人が多い。
ロープウエイを使えば登りなしで来ることが出来るし、
この景観ゆえでもあろう。

尾道のお寺には特徴ある所が多いが、ここもちょっと中華風(と思う)の社や、
数珠がつるされたお堂、巨石などいろいろとある。
本堂横の巨石は三重岩といい、見た目大きな岩が3段に重なっているように見える。
(本当に重なっているのかもしれない。)
そういった違いを見て回るのも楽しい。

朱印をいただく。
ここではいろいろとお守りを売っているが、ここは迷わず(本当は少し迷ったのだけど)
「足腰お守り」をいただく。先にも書いたが前の日にも少し腰を言わしており、
本当に最近腰の調子が安定しない。以前なら一度ぎっくり腰になっても
その後しばらくはならないものだが、今年は毎週、下手すると毎日のように腰がずれる。
中腰になるとだめだ。完全に癖になっている気がする。今日はとりあえず何とかなっているが。
本当に腰を何とかしたい。

うぅ、急におなかの調子が!
でも千光寺内にはトイレがない。そういえば、ここに来る手前、ちょっと下にトイレがあった。
急いでそこまで戻って用足し。
ぎりぎりセーフ。
私は良いものを食べるとそれ以前の物を出したくなるおなかなのだが、
それに加え、昨日は牛乳を飲み過ぎて出過ぎで
(それ以前が便秘だったので、今日の昼のためにおなかを開けておきたかった)、
その後遺症がまだ残っているようである。

用を済ませて再び千光寺へ。
巨石の横から鎖を登って上の修行場へあがれるようになったようなので、
行ってみることにした。最近改修され再開されたらしい。100円。
なお「命の補償はしない」とのことなので、くれぐれも自己責任で。

ここの鎖場は伊達じゃない。
鎖を持って坂を登るという感じではなく、鎖の話に足をかけて崖というか大きな岩をよじ登っていく。
岩にも足をかける部分、手を掛ける部分が少しはあるのでそれも使いながら登る。
これを3回くらい繰り返す。
正直かなり大変。今回は荷物を減らしてカメラバックだけにしていたが、
それがあるだけでつらい。でも荷物を置いて登ってはいけない。
一度登ったら同じ場所には降りてこられないから。
絶対に両手が開くこと、自分の体を引き上げられるだけの腕力があること、
それなりの靴であることが必須である。
(滑らない手袋があればなお良いだろう。)

何とかかんとか一番上まで上がると小さな祠があって、そこからまた尾道の町が
一望できる。境内より数段高い位置にいるので視界はさらに広くなる。

ここでちょっとやばい状況。おなか・・・ではない。
貧血を起こしそうな気配がある。ここで貧血起こしたらしゃれにならないくらいやばい。
寝られる場所がないから。持ってきてたお茶を一気飲みして落ち着かせる。
私は日頃は貧血を起こしたりしないが、朝急に走ったり、食後に過激な運動をすると
貧血を起こしたり起こしそうになったりする。
(朝遅れそうになって電車に駆け込んで、そのまま崩れてしまうことが以前は年に1〜2回あった。)
だから貧血が起りそうな気配は分かる。
ここで完全に落ち着くのを待つのは出来ない。狭い場所だし、後から人が登ってくる。

また同じ鎖を降りるのかといえばそうではない。
降り口は登りとは反対側で、こちらは至って楽。
こちらから登ってくれば何の苦労もなく上がってこれるだろうが、
まあそれでは修行の意味がないと言うことで。

岩を降りて、林間の坂をちょっと登ると階段があって(階段との間に鍵付扉があり
進入禁止のようなことが書いてあるが、開いてる)、それを上るとそこに展望台があった。
このあたりが千光寺公園。
例のロープウエイで来るのはここである。

その林間の坂の所にはいろいろな俳句や詩が刻まれた岩が立っている。
文学の小道と言い、25の石碑があるそうだ。
私は特に見て回らなかったが、それを見ながらゆっくり下るのも良かろう。

展望台の建物は2Fに食堂&土産物屋があるが、3Fは無料。
ここからの眺めももちろん良いが、さっきの修行場の方がよく見えたと思うのは
苦労した甲斐の分かもしれない。

なんかタイかフィリピンから来たような外国人の一群がPSP(PlayStationPotable)で遊んでいる。
「おいおい、こんなところに来て景色も見ずにゲームかよ」と言いたいが、当然言わない。
「言えない」の間違いではない・・・と思う。
わざわざ海外旅行に来て、景色が良い場所でゲームするっていうのはどういう事なんかなぁ。
(なんか「済みません」と声をかけられたような気もせんではないが無視した。
こんな連中を相手にしている暇はない。))
まあ日本でも景色の良い場所でも携帯電話ばっかり見ている奴らが増えているので
彼らだけを責める気はしないが「もったいない」。
一期一会、今ここにいてこの風景を見ることが出来る喜びを享受できないとはかわいそうでもある。

下りはロープウエイを使う。正式名称は千光寺山ロープウエイ。
本来なら上りに乗って下りはゆっくり降りるべきだろうし私も最初はそのつもりだったが、
今のしんどさでは下りを歩くのはつらい。
ロープウエイは大人片道280円、往復440円(子供半額)。往復の方がお得。
多客時にはピストン運転(まあ10分以内くらい)されているらしい。
所要時間は3分だが、その間向かって左手に千光寺やその下に咲く藤、前方に大和や尾道の町並み、
山麓駅近くでは艮神社の真上を通過するので、その大楠の木などがよく見える。
乗って楽なのは上りだろうが、景色を見るならむしろ下りの方が良いような気がする。

ロープウエイを降りて今度は大山寺(たいさんじ)へ向かう。
途中の古寺はとりあえずパス・・・のつもりだったが、
真横にある御袖天満宮には行く。

御袖天満宮もかみちゅ!の舞台になっている。
艮神社の所でも書いたが、そことここを合わせて舞台にしているからだ。
確かに境内までの階段の風景や手水鉢、牛の石像、絵馬を掛ける場所などはここから取られたものであろう。
ここは天満宮なので菅原道真が御祭神。
牛の像があるのもそれゆえ。
菅原道真が九州は筑紫に赴くときこの地に寄ったというのが由縁らしい。

ここもひっそりとして訪れる人も少ないが、私が来たときにいた青年はかみちゅ!巡りをしているに違いない。
行動や雰囲気から解る。見るのはかまわないけど、無礼なことはするなよ。
人の掛けた絵馬を写真に撮っていくなんて余り良いことだとは思わんぞ。

そういえばここは大林宣彦映画「転校生」のロケ地でもあるそうな。
一夫と一美が抱き合って転がり落ちた石段がここだとか。
そういえば「転校生」は見た気がするが、もうずいぶんと前のことだからすっかり忘れてる。

そういえば、ここの鳥居の前もそうだしその他の場所もあるのだが、
ところどころ角に小さなフクロウを模したような石像が置いてある。
何かと思ったら、どうもそこにQコードという物が一緒に埋め込んであって、
それに対応した携帯電話で写すと情報が得られるようになっている、のではないかと思う。
私は持ってないので詳細は不明だし、それに関する情報自体がパンフレットにも
看板にも書いてないので、知っている人は少ないのではないかと思う。
それともまだ稼働してないのかな?

大山寺は御袖天満宮の真横にある真言宗醍醐派の寺院。合格祈願の寺だそうだ。
天満宮の真横にあると言うことは当然縁があるからで、
そもそもはこのお寺は天満宮の別当寺だったらしい。
(「別当寺」神仏習合説に基づいて神社に設けられた神宮寺の一;広辞苑 第五版)

ここには庚申堂があり、その前に「見ざる」「言わざる」「聞かざる」の猿の像がある。
「庚申」とは「こうしん」、訓読みすれば「かのえのさる」であるが、
江戸から明治初期の庚申会の名残であろう。庚申会とは元々は道教の教えらしいが、
仏教では青面金剛(しょうめんこんごう)または帝釈天を祭って徹夜をする行事で、
その日眠ると体内に住む三尸(さんし)という3匹の虫が体内から抜け出して天帝にその人の罪業を告げ、
そのために命を縮めるといわれたらしい。猿の像との因縁はおそらくその罪を「見ない、言わない、聞かない」
と言うことであろう。椎谷では不動尊の所に庚申絵の石碑が残っている。

現代は、基本的には夜中は寝るもんだと決まっている。
しかし昔は、庚申会もそうだし源氏物語を読んでも解るが、夜通し何かをするという
風習があったようだ。
もっともそのためには月とか星とか虫の音とか「愛でるべき対象」があることが前提である。
今はそういう物が身近にない。
バタンキューで眠るしかない現代の夜は、ある意味悲しいものである。
まあ、今徹夜したら1週間は元に戻らないけど。

ここで朱印をもらうのにはちょっと苦労した。
どこでもらった良いか解らないのだ。千光寺は別として、
他のお寺は普段は表に人が居ない。呼び出して押してもらうのだが、
ここはどこで呼んだらいいかすら解らないのだ。
結局、社の横の住居らしきところ押していただけるのだが、
何も書いてないので解らない人もいるのではなかろうか。

ここで次の西國寺までの道のりを聞く。
最初持光寺でもらったパンフレットではわかりにくいのだ。
というか、千光寺か天寧寺の人に「大山寺で西國寺までの道のりを聞いて」と言われたから
なのだが、はてどちらで言われたんだっけ?
ここで道のりを聞くと共に別の地図をもらった。こっちの方がずっとわかりやすい。

西國寺から右手(西)に出て左手の白壁に沿って登り、最初に右に曲がる道の所
(角に消防装置の赤い箱があるところ)を右へ曲がり、しばらく道なりに歩く。
ここにもお墓が多い。

また、ここから眼前に新尾道大橋がよく見える。
新尾道大橋はここから因島はいくつかの縞を経て今治に続く本四連絡橋の1つの初めの橋である。
ここから見て手前が自動車道の新尾道大橋で、奥に列んで歩道もあるが尾道大橋である。
この尾道大橋もかみちゅ!に出てきているが、如何せん歩いて行くには遠いので今回はパス。

しばらく行くと三重の塔が見えるので階段を上って境内に入る。
地図上では一旦下って参道から入るようになっているが、この階段を上った方が早い、
と教えてもらった。

西國寺は真言宗醍醐派大本山である。
大本山とは総本山の下にあって所属の末寺を統括する寺のことらしい。
ということは、先の大山寺はここに所属する寺院となるわけか。
今までの中で一番境内が広いと思われる。

うっ、またおなかが痛み出した。
境内脇にある休憩所で聞くと、ちょっと下って左手にある駐車場脇にトイレがあると。
急いでそこへ向かってすっきり。
先にも書いたが、お寺巡りをしている人はそんなに多くないが、
そのおかげでトイレも待たずに済んでいる。これで待たされたらと思うと、
おなかの弱い私はちょっとぞっとする。

尾道マップの偉いところは、トイレのある場所が明示されているところである。
だから、おなかの調子が怪しいときはそれを目安にして先に移動すべきか
ここで済ませるべきかの計画を立てられる。
もっともそれは「だいたい」の位置なので、詳細の位置はそこで聞くしかない。
その間耐えるのがまた・・・って、尾籠な話はこれにておしまい。

トイレ脇に猫がいる。
そういえば尾道は猫が多い町だ。ここに来るまででも何匹か見かけた。
海の町には猫が多いというのはよくある話である。椎谷は少ないけど、それは冬の寒さゆえか。
かみちゅ!でもTV未放映話だが猫の話があったし、猫の物の怪が出てきた。
その物の怪は、道路脇に置かれている実在する猫の置物がモデルになっているそうだが、
今回はそれを探し当てることは出来なかった。

ここでも社務所で人を呼んで朱印をいただく。
先ほどの境内横の休憩所ではおばちゃんが暇そうにおみやげかお守りの整理をしている。
トイレを教えてもらったのだからお茶の一杯でも飲んでいくべきだろうが、
今はおなかの調子をちょっと様子見状態なので失礼する。

ここには藤棚があって綺麗に花が咲いている。
この藤の花はちょっと変っていて、普通に見る明るい紫だけでなくピンクの花が咲いている。
そういえば、トイレに行く途中から見えた藤の花は白だった。
他の場所でも白を見たし、尾道では紫、白、ピンクの藤が見られるようだ。
藤棚の向こうに三重の塔が見えて美しい。

後でこれを書くときに冊子を見直して解ったのだが、西國寺は健脚祈願のお寺だった。
しまった。もっとしっかりお祈りしてくるんだった。
仁王門の所に大草鞋があったそうだが気が付かなかった。
今度伺うときは是非!

ここ西國寺を初め、市内いくつかの場所に「有名人がスケッチをした場所」という石碑がある。
たしかにスケッチしたいと思わせるような風景ポイントである。
誰それがここで描いたと書いてあるが私には解らない。
でも確かにスケッチしたくなる風景ではある。
写真はそのままを写してしまうので、意外と要らない物まで写し込んでしまい、
後で見るとがっかりすることもある。絵だと要らないものを省いて「見たい風景」を現出させてくれる。
私にその才能があれば、言葉で語るよりこの町の美しさを伝えられるのだろうと思うのだが。

今度は浄土寺というところに向かう。
ここから浄土寺までは地図上で見ると結構距離があるように見える。
縮尺から測れば600メートルほどなのだが、これまでの間隔から見れば倍以上あるので
遠く感じる。
まあ、実際に歩いてみるというほどではなかったが、一旦下ってまた上るのは今の足腰にはちょっとつらい。

この途中に、「姿三四郎」のモデルになった人の碑が建っている。
晩年をこの尾道で過ごしたそうだ。
その小柄な体格からは想像も付かないほどの大技「山嵐」を繰り出したらしい。
能ある鷹は爪隠すと言うところであろうか。
私の場合は「脳ないとんびで隠す爪もない」というところか。

浄土寺は真言宗泉涌寺派大本山である。必勝祈願だそうだ。
ここ境内が広そうだが、おりしも5/3から何かの催しがあるようで、
その準備のテントなどが張られており狭くなっていた。

ここ浄土寺の裏手の浄土寺山にも鎖場があるらしい。
写真を見ると千光寺のに比べずっと長い。
最初寺の境内にあると思っていたが、後で調べ直したら山はちょっと離れている。
まあ、今の体調では登るのは無理だろうが。

このお寺は室町幕府の足利氏との縁が深いのだそうだ。
中には国の名勝、築山泉山式庭園があると、後で知った。
行ったときに気が付けばよかった。

朱印をいただいてすぐ次の海龍寺へ。
すぐ隣で1分もかからないそうだ。

確かに境内出てすぐの場所に海龍寺はあった。
真言宗泉涌寺派のお寺である。
ここで全七ヶ寺の朱印が揃う。
社殿横の社務所で呼び出していただく。
七ヶ寺行くと朱印帳を納めて掛け軸にする台紙をいただける。
そういえば、私が到着するときに出て行った人もそれを持っていたようだ。
あめ玉もいただいた。感謝。

このお寺にはだるまおみくじがある。
だるまおみくじは各所で時々見かける。
京都では赤山禅院とか北大阪では箕面の勝尾寺にあるが、
ここのだるまさんはちょっと顔つきが違う。
いただいても良かったのだが、私は正月以外は余りおみくじをひかない方なのでやめておいた。

ここには人形浄瑠璃の竹本弥太夫や落語の文楽のお墓がある。
そのため、技芸事上達の祈願をするそうだ。
さしずめ私の場合は「作文能力向上」であろうか。
人が読んで面白い、惹かれるような文章が書けるようになりますように。
太夫の塚は社殿のすぐ横にあるので解ったが、文楽の墓は解らなかった。
境内裏手を工事していたのでそれで隠れていたのかもしれない。

一旦浄土寺に戻り休憩。さすがに炎天下歩き回っていたのでのどが渇いた。
自動販売機でアクエリアス500mlを買って一気のみ。

ここには鳩がたくさんいる。
鳩の餌を売られているのだが、鳩の方も分かっているもので、餌を持っている人には群がっていくし、
私のようにそうでない人に向かっても、物欲しそうに近づいてくる。
何か持っていればやったのだが、まあ仕方ない。
子供が鳩に襲われて助けを求めているが、その「おばあちゃん」は助けようとしない。
良いのか?それで。

休憩していると、その「おばはん」が悪臭を放とうとしたので早々に立ち去る。
全く、ゆっくり休憩できんでないか。

        ・・・

さて、これで七佛めぐりは終了したので駅へと戻りながら古寺巡りを再開することにする。
今の時間がおよそ15:50。10時半から回って、途中1時間半ほど休憩してだから正味4時間ほど
歩き回ったわけか。
お寺の閉まるまでの時間を考慮すれば全てを回ることは無理だが、
ある程度は回れるのではなかろうか。

まずは西郷寺(時宗)。浄土寺と西國寺のちょうど中間くらいに位置し、久保小学校の脇にある小さなお寺。
訪れる人はいるけど住んでいる人は居ない。
「堂内には“鳴き龍天井”があり、手を打つと冴えた音が返ってくる」とあるが、
お堂内には入れそうにない。

次に正念寺と言うところに向かおうと思うが、どうにも道を間違えたようで迷ってしまう。
以前紹介のPRO TRECKの時計をしていたので方角を調べてみると
全く違う方向に歩いているようだが、どう行けば戻れるのかが解らない。
私は旅行先で歩くのが好きな割によく道に迷うという、困った方向音痴である。
        
途方に暮れていると地元の人に助けられた。
「どうされました?」
正念寺に向かいたいことを告げると、正反対の方向の道を示された。
ありがとうございます。

古寺巡りは単にパンフレットに載っているだけでなく、町中に道標が立っており、
細く入り組んだ道が多い町中ではあるが、そこそこわかりやすい。
「そこそこ」と書いたのは、実際に歩くと解るが、その道標が見やすい場所にあるとは限らないため、
見落とす可能性もあるからだ。また、一度違う道に迷い込むと脱出が難しい。
海や鉄道が見える場所なら迷いにくいが見えない場所に入り込むと余計。
私のように迷いやすい人は気をつけた方が良い。
(歩くのは好きなんだけどよく迷うんよ。)

正念寺(時宗)は・・・忘れた。

次に向かうは浄泉寺(浄土真宗)。また地図を広げていると地元の方が教えてくれた。
それも親切に、入り口が解るところまで誘導してくれた。
尾道の人は優しくてありがたい。
ただ、お年寄が多いのが気になる。
年を取ってのこの坂の町はつらいだろう。
足腰は鍛えられているとは思うが。

そういえば、ここでは保育園もいくつか見かけた。
町の広さから言えばかなりの密度といえるだろう。
小学校が少なくとも2つ、高校もある。あれっ中学が見あたらん。
それぞれは余り広くなさそうだが、それだけ子供がいると言うことだろうか。
なら町としては安泰・・・だろうか。

浄泉寺の入り口はなんと鉄道の線路の下にある。
国道2号線に対して線路は一段高い場所を走っているのだが、
この段差の部分に門と通路がありくぐると境内に入れるのだ。

ここにある手水鉢の揮毫は江戸後期の儒学者頼山陽のものらしい。
その他16畳分もあるという大きな鬼瓦を初めすごい作りの屋根で建物の由来が書かれていたが
詳細は失念。
このように、古寺巡りのお寺にはどこも由来が書かれた立て看板があるので読むとおもしろい。

そういえばここは通称「昼寝寺」と言うらしいことを、先ほど道を教えてくれた人に聞いた。
お寺に行くと「昼寝お断り」という書いてある。
本堂の中が見られなかったので理由は分からなかった。
昼寝したくなるほど広い本堂という意味であろうか。
そういえば、本当の縦屋の外にある廊下は歩くと鳴く。

次は常称寺、時宗のお寺である(時宗は鎌倉時代、一遍上人によって開かれた浄土教の一派。
平生を臨終の時と心得て常に念仏をとなえ、諸国を遊行ゆぎょうして民衆を教化したことから「遊行宗」とも呼ばれる。
;明鏡国語辞典)。そういえば、七佛めぐりには含まれていないが、尾道には時宗のお寺がいくつか見受けられる。
鐘楼のある特徴的な山門をくぐって境内に入る。
ここは小さなお寺であるが、延命水という名水が涌いている。

延命水は境内奥にあるお堂の脇にある龍の水口から出ている水
・・・ではなくてそのちょっと手前にあるお堂に付いている蛇口から出る水がそれのようである。
まあ、源泉は同じだろうと思うが。
多分これであっていると思うが、詳細は書かれてないので不明。
ちょうど行きにお茶を入れていたペットボトルがあるので入れて帰った。
棄てないで良かった。
海に近いからと言って塩味などはしない。味的に透明な感じの水である。

そういえば、ここ常称寺の山門は鉄道を道路を挟んで向こう側にある。
鉄道と道路によって町が分断された名残である。
少々痛んでいるのが見て解る。

ここから山側に上ってれんが坂というのを歩く。
その名の通りれんがが敷き詰められた坂であるが、これがまたとても急。壁に見える。
かなり疲れてきている今の私にはかなりきつい。
犬を連れたおばあさんが歩いてらしたが、ここを歩ければ足腰も強くなろうて。

この先に、かつては「タイル小路」というのがあったらしい。
映画「時を掛ける少女」で出てきたそうだが「撤去されました」と看板が出ていた。
撤去直前の写真も見たが、タイルがかなりはがれていたので仕方なかろう。

そこを登り切ってから下って福善寺(浄土真宗)へ。
昔の大木の根の部分や昔使われていた鬼瓦などが置かれていたが、本堂は閉まっていた。
どうも境内は工事中のようで、階段で山門を抜けて下るが、
この階段が完全に工事の足場に覆われているので降りるのに一苦労。

この後行ったお寺についてはいくつかを除いて忘れてしまった。
と言うのも、ここまでは地図上に印を付けていたのだが、この先忘れてしまったからだ。
覚えているのは天寧寺の三重の塔(お寺の裏の山手にあって、本堂からはちょっと離れている)と
海福寺(時宗)だけ。
妙宣寺は入ろうと思ったが、すでに門が閉まっていた。

千光寺道のあたりから膝が痛み出した。
背中もだいぶ痛い。腰をかばって歩いているせいであろう。
だいぶ疲れも出てきて、意識が不明瞭になっている。
もうこれ以上回るのは無理。
後は道路に沿って素直に駅まで戻ることにしよう。1人旅だし、歩けなくなるとやばい。
とは言いながら、いくつかは寄ったのだけど。

海福寺には三首塚と言うのがある。名前だけ聞くとちょっと恐ろしい気もするが、
由来を聞くとそうでもない。
昔尾道に現れた義賊が捉えられて斬首されたが、その後海福寺住職の枕元に立ち、
「首を奉れば、首から上の病を治す」と告げたのでそうしたという。
私の場合、首から上では例えばてっぺんが薄くなってきているとかいろいろと不具合があるが、
「頭が悪い」のが最大の問題なのでお参りした。果たしてどうなるか。
「そんなもんは直らん!」と一喝されそうだが。

そういえば海福寺は、すぐ横に住職さん(と思う)が住んでいて、
入り口すぐは普通の庭のようにも見える。
私が行ったときもご夫婦で庭仕事されていた。
今日はもう閉めるつもりだったのかもしれないが、お許し下され。

最後にもう一度持光寺へ。
以前尾道を訪れた際、枝振りが見事な松を見た記憶がある。いわゆる臥龍(形状)の松である。
だが今回はそれを見ることが出来なかった。
持光寺には、ずばり「臥龍の松」と呼ばれた松があったらしいが、
平成10年に枯れたそうな。私が以前来たのは平成7年より前のはずだから、あの後のことか。
その松の根っこ付近部分だけが残されていた。

すぐ脇に見事なススキ(のような草)が生えている。

後で調べると、光明寺の近くにも「幡龍の松」というのがあるらしい。
ひょっとすると見たのはこちらかもしれない。

        ・・・

半ば足を引きずりながら駅にようやく到着。ここで17:50位だろうか。

尾道ではあと1つ食べたいものがあった。「尾道ラーメン」である。
しかし、この足の調子では余り遠くには行けない。
駅前を見渡すと、駅隣接の立ち食いそば屋に尾道ラーメンのメニューが、
また交差点向こうに1軒専門店らしきのが見える。
さんざん悩んだあげくにその向こうの店に行ったら閉まってた。
GWに閉めているなんて、ろくな店じゃない。

仕方なくその立ち食いそば屋に入って食べた(450円)。
しかし、これがまた「あれ」。味はしないし麺はゴムのようだし。
まあ、アルバイトのおばちゃんが作る物に、なんぞ味など求めていいものか。
「たまにはまずいものを食べておかないと、おいしい物の味が分からなくなってしまう」とだけ書いておこう。
しかも後から店に入ってきたバカ共が悪臭放って最悪。

今回の旅行において特筆すべきなのかもしれないが、本当に臭い連中と出くわさなかった。
最初のタクシーと新幹線は臭かったが、後は大和のセットでも町中でも
殆どといって出くわしていない。駅前で若゛者が若干いたし
実は海岸沿いに出るとくたびれたというか暇をもてあましているようなおっさん連中が
大量にいてしかも息臭連中が多かったのだが、風のおかげで煙害にはあまり遭わなかった。
レスポアールは禁煙だったし、町中でも吸い殻を見かけることは少なかった。
非常に気持ちよく回れた。
それが最後に台無しにされた気分である。
尾道は町中禁煙にせい。

早々に店を出て駅で土産物を買う。
そういえば、今まで荷物になるのがいやで何も買ってなかった。

        ・・・

{おみやげ紹介}

        「尾道田楽」

        (有)金萬堂本舗

        8個入り
        500円くらい

餅粉、砂糖、麦芽糖、水飴、くるみ、きなこ、醤油

一口大のお餅。いや、お餅というより本わらび餅に近い感じ。
ぬめっとした感触が特に。
食感はお餅とわらび餅のちょうど中間くらい。

くるみを細かく砕いた物を混ぜ、回りにきなこをまぶしてある。
甘さも抑えられており、なかなかおいしい。
甘い物が嫌いなうちの子供が、止めるまで食べたくらい。
袋を開けると徐々に堅くなってしまうので、早めに食べきった方が良いだろう。

小さい箱で、持ち帰りにも苦労しないのも、おみやげとしては良い点かも。
包みは布製で、なかなか綺麗な紋様が施してあり、他でも使えそう。

        お勧め度        90%

        ・・・

{おみやげ紹介}

        「尾道でべら焼き」

        (株)天鼓

        5枚入り
        500円くらい

でべら(かれい)、削り節、食塩、砂糖、胡麻、澱粉

「でべら」とは押しつぶして干した鰈(かれい)のこと。
これをソースせんべいに使うせんべい生地の真ん中に入れた物と言えば想像が付くか。
1枚1枚は長さ10センチ強、5センチ幅の長円形で見た目も似てる。

材料から見ても解るとおり、味の調整はあまり行われていない。
なので、でべらの味と削り節の味が全面に出てくる。

この手の鰈の丸干しを使ったお菓子は新潟の漁港でも売れているが
添加物が多くて、1〜2本食べるにはおいしいと思うがそれ以上は
味のくどさというか不自然さで嫌になってくる。
その点、これは不要な物が入ってないのでそんなことはない。
非常に穏やかな味で食べてほっとする。

かなり素朴な味で塩辛さなども控え目なので好き嫌いが出るかもしれない。
でもこれくらいの味がおいしいと思うくらいでないと、味覚が鈍感とも言えるが。

        お勧め度        88%

魚を丸ごと食べることになるので子供のおやつにも良いと思う。
これくらいの味で慣らすためにも。

        ・・・

元々の予定では18:59の列車で福山に戻るつもりだったが、
45分ほどあるし、それまでにも列車があるようなので早めの列車で向かうことにした。

福山駅前には福山城跡があるが、今の時間からは入れまい。
駅構内で体を休めながら待つことにする。
一人で旅行してて退屈なのはこういう待ち時間であるが、
まあ、ぼ〜と時間を過ごすのはさほど苦とは思わない。

福山城跡にはいくつか建物が再建されている。
ライトアップされた姿が綺麗なので撮影したが、どうにもイメージが違う。
AUTOで撮影すると感度アップされてしまい、暗いはずの風景が明るく写されてしまう。
プログラムモードにして絞りとシャッタースピードを調整して何とかそれらしく写した。
まだこのあたりの使い方を習得できてない。

そういえば、尾道でも山手に城らしき物が見えるが、あれは展示館&展望台なのだそうな。
多分民間の。

そういえば、ラーメンがあまりにあれだったので胃にも全く満足感がなく、
これを買ってしのいだ。

{おみやげ紹介}

        「一口揚げカップ」

        (株)阿藻珍味
        250円

魚肉(鯛、その他)、たこ、にら、紅しょうが、南京、人参、グリーンピース、
とうもろこし、卵白、澱粉、食塩、小麦蛋白、大豆油、調味料(アミノ酸など)
保存料(ソルビン酸)、甘味料(ステビア、甘草)、着色料(赤102)

簡単に書けばはんぺんを一口大にした物をカップに入れたもの。
一口大の揚げたこにら、カボチャ、生姜が各4個という構成。

まあ、酒のつまみであろう。
買うときも「ビールは要らない?」と言われた。
疲れてなければ飲んだかもしれないけど、飲んだら起きられなくなるような気もしたので止めた。

そこそこおいしかったし、おなかにも満足感があった。
変なスナック菓子を買うよりよほど良いだろう。

        お勧め度        85%

        ・・・

帰りの列車は以下のようになった。帰りは京都まで1本である。

        18:30 尾道
                        普通
        18:50 福山
        19:25
                        のぞみ48号
        20:45 京都

福山で列車を待っていると、100系こだまと700系レイルスターが来た。
そういえば行きには0系こだまも走ってた。
JR東海からは0系も100系も引退しているが山陽新幹線ではまだ見られる。
色こそ昔の白地に青ではないが。
なくなる前にじっくり撮影しておかねば。

列車に乗って一口揚げカップを延命水と共に食べ、
しばらくしたら寝てた。さすがに疲れている。

新大阪から人が増えるかなと思ったがそれほどでもなく、
隣の席はずっと空いたままだった。おかげでゆったり出来た。
帰りの車両は禁煙車両に囲まれた禁煙車だったので臭さもなく快適。

いや、快適なはずだったのだが1つだけ困った連中がいた。
「バカ親」だ。
車内などでは騒がないということを教えなければならないのに、
少々ならまだしも、子供と一緒になって大声出して騒いでいるとはどういう事か。
そんなんで育てられた子供は将来絶対わがままになる。
親ばかはまあかわいいものだが、バカ親はだめだ。
短い時間だったから我慢したが、東京までだったりしたら注意していたかもしれない。

京都からはタクシーに乗って帰宅。
21時過ぎには着いたから、楽。

兎にも角にものどが渇くのでジュースやらお茶やら大量に飲んだ後、
さんざん汗をかいたから、シャワーを浴びて寝ましたとさ。

        ・・・

後で気付いたことをいくつか。
今回の旅行では前に紹介したデジカメ、NikonのD50を持って行ったが、
その紹介時も書いたとおり、写真の下部が黒くなってしまう現象が多発した。
約一割の写真がそうなっている。

最初、液晶で見たときに何か下が暗いなと感じたが、
海を写している写真が多かったので水面がそう写っているだけだと思った。
でも他の写真でも出てくるにいたって、何かおかしいと思い始めた。

最初はレンズにてまたは荷物がかかってしまっていたのかと思ったが、
気をつけてもだめなので、故障を疑った。
でもちゃんと写っている写真もあるし、時々下部だけ黒くなるという故障は
CCDの原理からして考えにくい。

最初に疑ったのがレンズフードのせい。
自分で書いたD50のネタを読み直すと「フラッシュの時はフード外さないと影が出る」と書いている。
しかし、フードを外しても発生する。
結局、ニコンのサービスセンターに持ち込んで見てもらうと「故障」という結論であった。

一眼レフカメラでは撮影前は鏡で光をファインダー側に導いているが、
撮影時にはこれが跳ね上がって奥にあるCCDに光が当たる仕組みになっている。
この跳ね上がりが遅いと鏡の影が映り込んで暗くなる。

CCD上の結像は実物に対して上下左右が逆になる。
CCDでの上は実像の下である。鏡の跳ね上がりが遅いとCCDの上側に影が入る=
映像の下側に影が入ることになる。

おそらくは、この尾道撮影までは晴天下での撮影がなかった=シャッタースピードが速くなかったので
表面化しなかったのであろう。
フラッシュを焚いた画像はほぼ問題ないが晴天下では出るというのも、
フラッシュ時は晴天下に比べシャッタースピードが遅いからであろう。

おそらくはそういう理由だと思うが、修理内容は電子部品の交換と書いてある。
実際の所どうだったのだろうか。

故障でせっかくの画像の多くが写し損ないになったのは残念ではあるが、
まあ、思い出は残るので良しとしよう。

尾道のガイドブックとして「尾道散策204選」という冊子があるらしい。
その名の通り市内204カ所を写真付で紹介している冊子で、
しかも400円と安い。
新尾道駅やロープウエイの山麓駅にあるらしいが今回忘れてて買いそびれた。
尾道のHP http://www.city.onomichi.hiroshima.jp/ (「尾道まちめぐり」のところにある)
にもいくつか載せられていてなかなか良さそうだったのだが。

冊子といえば、「尾道おちこち」という尾道散策情報誌がある。
福利物産(株)という会社が作っているが、駅内にあるコンビニなどに置いてあるようだ。
まだ第3号という出来たばっかりの感じだったが、なかなかに良い情報が詰まっている。
帰りに見つけたが、先に見ておれば散策ルートも変ったであろう。
入手をお勧めする。
折しも今回の特集は踏切&ガード(トンネル)。

町中にはスタンプを置いている所がある。
私が解った限りでは尾道駅、大山寺に2つ、海龍寺に2つある。
大和の所にもあった。ロープウエイにもあったけど、これは今1つ。
私のようにスタンプ集めを趣味にしている人はノスタンプ帳を忘れずに。
スタンプは無料で集められるので良いのだ。

        ・・・

という尾道1日旅行であった。
今日の歩数は・・・って、万歩計忘れてる!

こんな歩き回った日に限って忘れてるとは。
ということで歩数は解らないが地図上で見れば、町の端から端まで往復+艮神社まで往復以上だから
8キロ以上歩いたのは間違いない。
しかも坂の町、さらにシェイプアップシューズで。
だからあとでふくらはぎが痛いこと痛いこと。
これは翌日まで残っていた。体の痛みはひいてたし、後日に疲れもあまり出てないが。
若い証拠?(^_^;)

多少の疲れがあろうとも、翌日(以降)は非常に良い気分であった。
やはり人間、たまには疲れるまで体を動かす必要があるようだ。
肉体的にも精神的にも窮屈な環境のデスクワークだけじゃだめ。

今回はお寺巡りだけでなくかみちゅ!のロケ地を探すためかなり複雑に歩いている。
路地を見つけては入り込むという感じであった。

今回は余りロケ地を見つけられなかったが、見つけた部分をここにまとめておく。
・来福神社(艮神社、御袖天満宮)
・主人公達の通っている学校(土堂小学校)
・DVD第5巻表紙の主人公達が座っていた防波堤のベンチ(海辺)
・DVD第5巻表紙の踏切(千光寺前踏切)
・日の出渡船(福本渡船)

そのため、地図上に示されたお寺巡りの経路以外にも、
レスポアールに行くために往復したことを含め、相当歩いている。
この坂の多い町でそれだけ歩いたのだから、それなりに体や膝に来ても致し方ない。
いやむしろ、ここまでよくもったものだと思う。
日頃からシェイプアップシューズで鍛えているからだろうか。

でも総合的に見れば体力が落ちていることは間違いない。
平地を歩き続ける持久的な運動は何とかなりそうだが坂を上るので難儀したし、
特に鎖場で感じた心臓の弱り方はちょっといけない。
単に歩くだけでなく、少し心臓に負担がかかるくらいの歩き方が必要そうだ。
そうでなくても心拍数が少ないと言われているだから、
心臓強化が今後の課題になるだろう。

尾道という町はなかなか面白い町であるが、
さすがにあの坂は疲れる。
今の自分の体力の限界を知るには良いかもしれない。

通常旅行ネタは、行った後しばらく疲れていたり時間が取れなくてなかなか書き始められない&
書き終わるまで時間がかかるので忘れていることも多いのだが、
今回はGW中と言うこともあって、すぐに書き始めた。
それ故に忘れている部分は少ないと思うが、
本当に久しぶりの旅行記だったのでうまく書けてない部分もある。
まあ白馬4が4日間で69Kバイト、こちらが1日で70Kだから、
忘れさえしなければこれくらい稼げると言うことか。
まあ、今回は「大和」「レスポワール」「七佛巡り」「かみちゅ!」等ネタがあったからではあるが。

それほど広くない町ではあるが見所はたくさんある。
お寺の多さなどから見ても解るとおり、かつては中国地方の一大都市であったのだろう。
ゆえに、歴史があり国宝なども多く、まだ見ていない史跡が多い。
また今回はかみちゅ!の舞台となった部分をまだ余り見られていないし、
向島も回っていない。

鉄道の、尾道市街を走る部分には実に踏切が多い。
踏切だけでなく陸橋や逆に下をくぐるトンネルもある。
浄泉寺の入り口のような場所もある。
それぞれになかなかに絵になっている。事実映画にも使われたことがあるそうで、
そういった場所を1つ1つ見て回るだけでも楽しそうだ。

レスポワールもまた行きたいし(今度行くときはシャラモンから連絡を入れておいてもらおう^_^)、
尾道ラーメンもちゃんとしたのを食べたい。
先日の情報ホームページも見つけたので、今度はもっと下調べをして、また遠からず訪れよう。

行ったことがない人も是非一度行くことをお勧めする。
でもそのときは、絶対に歩きに適した服装&靴で行くように。

でもやっぱり旅行は良いねぇ。
それに体を動かすことがあれば、日頃の鬱憤も忘れるってもんだ。
今度はどこに行こうか。
今年は連休が殆どないが、どこかで会社休んで行っちまえ!

        ・・・おわり・・・
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