「駆け足永平寺の旅」(1996年07月01日〜07月05日号)
今回の旅行は福井は永平寺とその周辺である。
日帰りだし、あまり場所をめぐっていないので短い予定である。
(実は、行ってからすでに時間がたっているので、忘れかけている
というのもある。)

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ゴールデンウイークの中日、平日ということもあって私は暇であった。
ということで(何が?)、ダイハツ君(仮名)と近距離旅行をしよう
ということになり、私が「永平寺に行ったことがない」で、そこに
行くこととなった。

永平寺に行くには、北陸自動車道は福井北ICで降りるといい。
永平寺へは有料自動車道もあるが、福井北からであればそれを通らなくても良い。
距離的もそれほど遠くない。

北陸自動車道も福井北までなら楽なものだ。
道路的もつらい場所はない。
私の田舎の新潟まではここからさらに300キロ以上有るのだから。

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ゴールデンウイーク中ではあるが、平日というせいか、道もそして永平寺周辺も
空いている。最近は全てを休みにする企業が増えたと聞くが、
やはりまだ平日は仕事の会社も多いのであろう(今年は中3日が平日だったし)。

永平寺の周りでは、駐車場はみやげ物屋のそれに入れることになる。
観光地ではよくあることだが、いくら以上買ったら「ただ」ということである。
まあ、2人いるし、それくらいなら買うだろうからいいだろう。
(こういう時、夫婦で行くと1個しか買わないから足りないこともある。)
永平寺は曹洞宗の総本山である。
道元禅師によって1244年に建立された。
非常に古い建物であるが、今も修行の場として使われている。

まずは拝観料を支払い、大広間へ行く。
ここで待っていると、若い修行僧が来て説明を始める。
永平寺では、このように修行僧が一緒について回ってくれる。
そして、場所場所で説明をしてくれるので非常にわかりやすい。
説明=一般の人に説明し、理解してもらうことも修行なのである。

永平寺では修行僧を撮らなければ、写真も撮って良い。
仏教という物が俗世から隔絶した物ではなく、
どのような理由であれ(それが観光であっても)、
そこに興味を持った人には出来るだけ多くのことを見せよう・教えようという
ことでだろう。

撮影禁止という場所が多い中で、こういう場所はとても新鮮というか、
仏教を一般とは関係ないものではなく、身近なものであるという考えを
実践しているようでとても心地よい。

ここでは食事を作ることも、案内をすることも、そして普通に修行することも
全て同等であり、同じなのだという考えがある。
従って、どれをしているから偉いとかそういうことはないらしい。
そして、全てが同じ時に営まれている。

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私たちはある修行僧に付いて中を案内してもらっているが、
それと同じ時に食事の用意をしている僧もいるし、
別の建物ではお経が唱えられている。
他のお寺では修行というものがあまり感じられなかったが、
ここでは「修行している」というのがひしひしと感じられる。
変な言い方だが、「いきいきとしたお寺」なのだ。

中の1つ1つの建物の説明については省略する。
由緒があり、風格のある建物が整然と並んでいる様は美しい。
修行僧と一緒に回るところと、後で自由行動になるが、それで回るところ等、
かなり広い。1時間はかかる。
また、山肌に作られているので階段が多い。
そのためお年寄りなどには少しきついかもしれない。

そうそう、もう1つ注意がある。
(1つ目は修行僧を撮影してはいけないということ。)
鳴り物には触れてはいけないということ。
永平寺では全ての行動の区切りが鳴り物によって指示される。
時計ではない。したがって、鳴り物の音には敏感なのだ。
子供のいたずらといえども許されない。
くれぐれもご注意を。

永平寺と言えば大晦日の「ゆく年くる年」でいつも雪の中にある。
事実、このあたりは冬場には雪が多く、そのため建物の瓦が傷みやすい。
そこで、瓦の寄進を募っている。
1口千円であるが、それで教本と数珠をいただけるので良い。
中には何千円か寄進し、たくさんの数珠をいただいている人もいた。
(千円分で1ついただける。)

このとき住所を書くのだが、住所を間違ってしまった。
なにか車に酔っていたらしく頭がふらふらで、自分の家の住所すら
間違う状態だったのだ。なんということだ!

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さて、永平寺を後にしてまずは昼食をとることにする。

例のみやげ物屋ではゴマ豆腐を買った。
後日食べてみたが、今まで食べたことのある物とは違い、
堅くなく、どう表現すればよいか、非常に柔らかいゼリーのような感じであった。
かといって風味が悪いわけではない。不思議な触感だ。
またほしくなるから不思議だ。

車で少し走ったところ、京福電鉄(福井支社)線のそばに
そば屋があった。(だじゃれではない。名前は忘れた。「古跡庵」かな?)

こじんまりしたところではあるが、中はいい感じだ。
手打ちのそばである。
精進そばとそば団子をたのむ。

そば団子とはその名の通りそば粉を団子にした物だが、
あっさりとした味がいい。
まあ、濃い味に慣れた今の子供にはあわないかもしれないが、
とても素朴な味だ。それが黄粉と相まって美味しい。

そばの方もなかなか美味しい。
わさびがついていたのだが、これが非常に効いた。
良いわさびを細かくすっているようだ。

中でも逸品だったのが「精進志ぐれ」というもの。
しぐれ煮なのだが、最初食べると貝のしぐれ煮のような味と感じがする。
が、精進料理なのだから貝ではないはずだ。
でもどう食しても貝のように思える。

実はこれは生ふでできているのだ。
精進料理では生ふや湯葉で貝や肉のような感じを出すと聞いていたが、
ここまで似ているとは思わなかったし、とても美味しい。
さらに、生ふということは大豆、体にもいいわけだ。
精進料理と言えばなんとなく品粗に思えるかもしれないが、
なまぐさものが食べられないという戒律を守りながらも、
食べられる物でちゃんと代用している様は、見事と言うほか無い。
あまりに美味しかったので、おみやげに買ってしまった。
(大根下ろしを和えるとGood。)

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食事の済んだ後、今度は「越前竹人形の里」というところへ向かう。
永平寺から近いところにある。

北陸道を走っていると「越前竹人形の里」という看板が福井県内で
よく見える。(多いという意味ではなく、はっきり見えるということ。)
今までそれは見ていたのだが、行ったことはなかった。
せっかく近いところまで来たのだから、行かない手はない。

「里」と言うくらいだから広い場所かと思いきや、平屋の建物が1つ有るだけの
場所だ。中ではまず最初にみやげ物屋があり、その奥に展示館がある。
観光地ではよくあるパターンだ。こういうところにはしょうもない所が多いので
入るのをためらったが(¥300)、せっかくだからということで入った。
(ちなみに、みやげ物屋の部分だけなら無料。)

ここでは竹人形についてのいろいろな物が見られる。
竹の種類、作成の行程など。
竹細工の実演が見られる他、自分でも体験できる(別途料金)。
一番奥には有名な作家の(名前は忘れた)の作品の展示館もある。

実はここが一番良い。
竹でここまで細かい物が作れるものか、と感心する。
組み合わせ、浮かし彫りなど、竹の色や形を考えて作られている。
人形の髪の毛なども1本1本、竹を細く削って付けてあるのだ。
付けてあると言うより植えてあると言った方が良いのか。
「かつらにもなるなあ」等と冗談を言っていたが、それほど見事であった。

このあと、みやげ物屋でいくつかの竹製品を買う。
安い。半分は輸入物かもしれないが。
食べ物類のおみやげは試食のみ。あぁ、試食が有るっていいなぁ。

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というところで、今回の旅行は終わりである。

私の日帰り旅行と言えばハードなものが多い。
富士山、御前崎(静岡)、能登半島や、金沢・富山にも行ったこともある。
そういう意味では今回は(これでも)楽な方である。

最近は近場はかなり行き尽くしたので日帰りで行く場所が減った。
とはいえ、泊まりとなると大変である。
これからは穴場を探していくことにしよう。

穴場情報求む。

        ・・・終わり・・・
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