「タブレット&マウス FAVO F−410」(2003/06/30号)
{商品紹介}

    タブレット&マウス
    WACOM
    FAVO F−410
    定価    12500円
    買値    9979円

タブレットとマウスが一緒に入った製品である。
マウスは解るとしてタブレットとは何かというと、
板の上でペンを動かすと、その軌跡が画面表示表示されるものである。
・・・等という説明は今はもう不要なのかも知れない。
昔はパソコン用語を説明するのはえらく苦労したが、最近は一般常識のように
なってきているのはありがたい反面、ちょっと自慢できることが減って寂しい気分でもある。

それはさておき、タブレット自体(全身はライトペンかな?)は昔からある入力装置だが、
最近はここまで価格が下がっていたのである。
昔から何度も欲しいと思いながら買えなかったが、
今回会社の資料作成に必要、と言い訳を付けて買ってしまったのである。
資料作成の中で図面を書くことが多いが、これを綺麗に入力するのは
かなりの手間なのだ。だからこれを手書きのまま入れるために買ったのである。
このシリーズのものはペンだけでなくマウスも付いているので、
最悪コードレスマウス(ホイール付き)としても使える。そういう読みもあった。

私は仕事柄、PCを触っていることがほとんどである。
プログラムを組んでいることもあるが、最近は製品の開発が始まって
しばらくの間集中している時だけであり、それ以外のほとんどは文章を
書いていることの方が多い(オタクラ・・・じゃないぞ。それも多いけど^_^;)。

で、製品企画書などになると、図面もかなりの数が必要となる。
これをいちいち作図ツールでパーツを選んでマウスでちまちま・・というのは
非常に面倒である。その時間がおしすぎる。
あまりに時間がない時は手書きしてスキャナーで取り込んだり、そのまま
コピーしたりであったが、なんとかこれをPC上で行いたかった。
ここにタブレットを使うのが目的である。

で、実際に買って導入してみる。
「おぉ!?」

接続は最近はやりのUSBなので簡単。電源も要らない(USBから供給されるから)。
マウス側も電池不要なので、コードレスマウスを使っているが電池交換が
面倒という向きにはいいかも知れない。ただし、ちょっと解像度は低め。
マウスとしては普通だが、無線だからと言って特に良さが
あるわけではない(私はマウスのコードが気にならない方)。
マウスだけを使う分には接続するだけでOK(少なくともWindowsXPでは)。
ペンを使うにはドライバーのインストールが必要。

まず最初の注意点は、マウスとペンは同時には使えないこと。
従って、ペンを使う時にはマウスはタブレットボード上からおろす必要がある。
マウスが優先だから。
結構面倒。
(上位機種では両方同時使用が可能なものもある。)

認識モードはペンモードとマウスモードがある。
マウスモードは認識エリア上で動かすとその分移動するもので
相対移動である。ペンモードは認識エリアを画面一般とするもので、
絶対座標である。
マウス、ペン共に双方の設定が出来るが、やはりその名の通りの設定の方がよろしい。

認識エリアはA6サイズだが、これが狭いか広いかで言えば「狭い」。
認識エリアが狭いために動かしているうちに急にカーソルが止まる現象がよく起こる。
ペンは絶対座標なので画面さえ見ていればそういうことはないが、
マウスはしょっちゅう。こういう時は認識エリア内に戻す必要がある。
面倒。

問題はペンでの動作。
どうやっても綺麗に図面が入れられない。

1つの問題は解像度。
絶対座標ということは、うちの環境では1024*768になるのだが、
これでは解像度が低すぎるのかも知れない。
でもまあこれはまだ我慢できる。
最大の問題は「クリックが入りすぎる」と言うことである。

このペン、というよりタブレットの板の方は、少し強く押すことで
クリックされた状態になる。
描画ソフトの上では、このクリックされた状態で動かすと線が描かれる。

ところが、このクリック感度がくせ者で、柔らかいから堅いの設定が
出来るのだが、これを一番堅くしても普通にペンを持って動かすと
およそクリックされっぱなしの状態になる。
描画時にはかまわないが、これがウインドウ操作時になると
クリックしながら移動=ドラッグ状態になってしまいすこぶる使いにくい。
というより、ペンでのウインドウ操作は事実上できないと思って良い。

ということは、描画時にはペンを、ウインドウ操作時にはマウスを使うことになり、
このタブレットだけでそれを行おうとすると先に書いたとおり、
ペンを使う時はマウスを板の上からのけないといけないので非常に面倒なのだ。
いや、面倒というよりいらいらする。

結果、従来のマウスはそのままに、描画時だけペンを使うのが一番、
と言うことになる。

描画ソフトではペン先や色を選んだりという操作も多いので、
ペンとしての描画性能はともかく、全体の操作の流れがとぎれることによる
使い勝手の悪さは致命的でさえある。

ウインドウ操作時用に、たとえばペン上に付いているスイッチを押している時は
板押しによるクリックが無視されるようにでもなっていれば良かったのだが、
ドライバーの設定のどこにもそういうのはない。
物の出来というよりドライバーの出来が悪いのだ。

結局、ペンを使うよりマウスだけで描く方がうまく入力できるくらいだ。
描いたものをメモとしてデスクトップに貼っておけるプログラム(電子黒板のような
もの)があり、これは良いのだが。
結局、タブレットがこのソフトのおまけと考えれば納得できると言うところだ。

    おすすめ度  35%

だめ。

問題は、
・ドライバーのできが悪い
・認識エリアが狭い
の2つにつきると思う。認識エリアについては上位製品を買えば解決されるが、
ドライバーはどうであろうか。
少なくとも、ペンで全てを済ますことは事実上不可能。

タブレットに対する期待が大きすぎたのか、このタブレットだけの問題なのか。
この調子で行けば、マイクロソフトが提唱しているタブレットPCなんぞ、
およそ使い物にならない気もする(タブレットPCで使われている
タブレットはWACOMのもの)。

結局、図面を手書きで入れるのは半分あきらめている。

インターネットを見ても、この製品に対する評価で悪いものは
あまり見あたらなかったが(1つだけあった)、なんでこんな物が、
いやいや、こんなくそドライバーのままで売れているのか理解できない。
個人で買っていたら、怒りまくっているであろう。
同じ値段なら、スキャナを買った方がよほど良い。
紙に書いてスキャンした方が。
黒板機能とかは当然使えないけど、そんなに使わないし。

机の上にあまり場所が無く、無線マウスを使いたい場合になら
ちょっとは価値があるだろうか。
その程度。
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