「BJプリンター S500」(2002/04/15号)
{商品紹介}

        「BJプリンター S500」

        キャノン
        
        定価 34800円(税別)
        買値 22800円(税別)
           専用紙(A4 50枚)+特殊用紙お試しセット+ケーブル

        パラレル/USBインターフェース
        2400*1200dpi

キャノンの2001年暮れプリンターシリーズの中堅機種である。
価格も手頃なのでこの暮れシリーズの機種の中では一番売れているようである。

本体の安さだけならSHARPとかもあるが、インクの手に入りやすさも
値段のうちと考えるとS500が良いと思った。
(もっとも、何枚打つかにもよって変わると思うが。)

物の色や大きさなどは現物を見れば解るので、
ここはやはり実動作の付いて語るべきであろう。

*速度
これはもう速いの一言に尽きる。
オタカレ(注;オタクラで作っている特製カレンダー)のように
カラーの絵の部分と白黒のカレンダー部分がある場合、
どちらも去年まで使っていたEPSON PM770より数段速いが、
特に白黒部分での加速が素晴らしい。

これはもうプリンター側が待っている感じである。
PCというより、インターフェースの限界ような気がする。
(同じ絵を複数部打ち出すとよく解る。)
うちでは普通のプリンターポートを使っているが、
より速く印刷するにはUSB接続にする方が良いのであろう。
(が、うちはWindows95なのでだめなのである。)

カタログスッペック上では次の通り。まあ、実際の速度はもっと遅いだろうが。
        カラー  毎分12枚
        白黒    毎分17枚

そうそう、給紙もとても速い。
前の用紙の排出とほぼ同時に次の給紙をしている。気持ち良いぐらいのつながりで、
さすがは4モーターである。

・・・後日談・・・
うちのマシンが1.2GHz CPUのWindowsXPマシンとなり、
USBでプリンターに接続できるようになったので早速印刷してみた。
その速度たるや、まさに驚愕である。
普通紙、普通画質ではA4 1枚フルカラーが1分以内。いや、15秒ほどか。
時計で計ったわけではないので体感時間だが、いずれにしても
本当にあっという間に印刷完了した。
今まで見てきたプリンターから想像された速度とは次元が違う。
やはり今まではプリンター側が待っていたのだ。

毎分12枚は誇張のような気はするが、4枚は確実そうである。
ちなみに、会社の同僚が買ったA3対応のこのシリーズのプリンターも
同様に非常に速いそうである。今のキャノンプリンターシリーズは
軒並み速いのであろう。


*インク
インクの減りはとても少ない。これもPM770と比べて数倍少ない。
PM770では絵がいっぱいの自作カレンダー1部(14枚)でインクの半分が減ったが、
S500では6部印刷してもまだ半分である。
葉書で言えば、PM770では60枚で空になったが、S500はメーター上
あまり減らない。素晴らしい経済性である。
一応書いておくと、PM770はカラーは一体タンク、S500は全色独立タンク
である。

インクの使用量の少なさは、その排出量の少なさによるようで、
用紙への裏映りも少ない。PM770では裏までインクが滲んでべたべたになったのに
比べると雲泥の差である。
PM770でいえば、印刷の失敗も多い上にインク詰りも多いので
ヘッドクリーニングで使ってしまうインク量も馬鹿にならない。

キャノンのインクにも1つだけ注意が必要な点がある。
買ってから一番最初の印刷の時、印刷がかすれてだめであった。黒もカラーも。
クリーニングを何度書けても駄目。「こりゃひょっとして不良品?」と
思っていたところ、あることに気が付いた。
インクタンクにはシールがあって利用前にこれを剥がすのだが、
この剥がし方が不十分だとインクが出にくくなるようである。
取説にも剥がし具合に付いては書いてないので要注意。
一端ここさえ気が付けば、後はかすれもなく順調である。

*画質
気になる人が一番気になるのはこれかも知れないが、
はっきり言えば、画質だけはPM770の方が上である。
S500では専用紙で、設定を「綺麗」にしても粒子感が残る。
専用紙といっても光沢紙は(高くて)使ってないので、
それ位の紙を使うとどういう比較になるかは解らない。
でも、私にとってみれば十分なレベルである。
コピー紙を使った場合の比較では、S500の方が圧倒的に綺麗であった
と書いておこう。これは例のインク滲みのためである。

画質で1つ気になるのは、S500にはVIVIDという画質自動設定機構があるが、
これを設定すると画面に表示されている色と違って印刷されてしまう。
画面の方がおかしい・・・ということでもない。
どういう観点からこういう色にしているのか。
なお、VIVIDを設定しても印刷速度は(ほとんど)落ちない。
VIVIDというのは、人間が目で見て経験的にきれいと思う色に合わせるという
処理らしいのだが、そういうのは人によって違うから、私には合わないと
思えるのだろうか。

画質と言う面では、印刷の正確さに付いても触れておくべきだろう。
S500では紙滑りが事実上ないため(いったんずれても印刷開始位置を正確に合わせ込む機構がある)、
印刷ミスが皆無である。
PM770ではよく紙滑りが起こって印刷位置がずれてしまった。
特に年賀状印刷では年賀状を何枚も無駄にしたが(大損害!)、今回はこれがなく非常に良かった。
また、PM770ではインクたれが起こって用紙を汚すことがあったが、
これもS500ではない。

ただし、印刷画質ではないが用紙の面で1つ注意がある。
S500で葉書印刷した場合、葉書の端が荒れる場合がある。
少しめくれるのだ。
どうも給紙部分にあるローラーが引っかかるためらしいが、
気になると気になる。
注意書が入っているので「仕様」と言えばそれまでだが、
まあ、S500唯一と言える設計ミスであろう。

*静粛性
これはもう本当に静かである。
夜でも打ち出せる。
PM770では夜打ち出すと二階で印刷しているのが一階でも解ったが、
S500は隣の部屋でもう解らなくなる。
上位機種のS700ではさらに音を小さくできるモードがあるらしいが、
これで十分だとも思う。

*付属ソフト
結構使える物が多い。画像の一覧ソフトはオタカレ作成時に重宝した。
PM770の時はほとんど無用の長物だったことを考えると素晴らしい。
ただ、ちょっと使い勝手は悪いが。

        お勧め度        90%+5%

だいぶ迷って買ったのだが、大満足である。
画質以外の全てにおいてS500の圧勝である。
PM770が2年前の機種だと考えても、この差は大きい。
+5%は速いPCでの評価。このプリンターは、高速PCとの組み合わせにおいて
いっそうその実力を発揮するから。

超高画質を求めないなら、これで十分であろう。
(それを求めるなら、もう1台買えば良いだけだと思う。)
実際的使用に即した良い機種である。

追記:
最近どうにも電話回線にノイズが入るので調べていたら、
このS500のACケーブルをコンセントにさしていると
かなり大きなノイズが出ることがわかった。
どうもこのプリンター、電源OFF時にも電流を少々使い、しかも
それがかなりのノイズを出すようである。
電話のノイズの原因はこれだけではないのだが、これをはずすだけで
半分くらいになったからかなりだ。

ACラインのノイズ対策をしても減らないので、根本的に、使わない時には
コンセントを抜くしかないようだ。
もしこのプリンターを導入した後に電話にノイズが入るなら、
疑ってみると良い。
まあ、うちの場合は電話線を10m位引き回しているせいもあるのだが。
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