「ScanSnap FI-S500/やさしくデジタルファイリング V7.0/一発!OCR 一太郎Pro5」(2008/03/25)
{商品紹介}

        OCRソフト
        「一発!OCR 一太郎Pro5」
        ジャストシステム(開発はパナソニック ソリューションテクノロジー社)
        https://www.justmyshop.com/app/servlet/cc11?w=tpcm_ocrpro
        定価 7,140円(税込;一太郎2007ユーザー版)
        買値 同上(送料込み)


        ドキュメントスキャナ
        「ScanSnap FI-S500」
        富士通(PFU)
        http://scansnap.fujitsu.com/jp/archive/s500/
        定価    49800円(税込み)
        買値    36000円(税、送料込み)


        ファイル整理ソフト
        「やさしくデジタルファイリング V7.0」
        http://pac.mediadrive.jp/yf/
        メディアドライブ
        定価    10290円(税込み、パッケージ版)
        買値     7203円(税込み、ダウンロード版)

OCRとは、紙面上の文字を光学的に読み取って文字に変換するソフトである。
たしか、Optical Charactor Readerの略だったと思う。
印刷物を電子データにするときに主に使うが、基本的には画像系のデータから文字を取り出せるので、
PDFから文字データを取り出したり、画面をキャプチャーして表示されている文字を抜き出したりも出来る。

通販などの葉書の後ろに薄ピンクで枠と文字のパターンが印刷してあるようなものは
OCRで読み取ることを前提としたものである。
業務用では、郵便局で郵便番号などもOCRで読み取られ自動分配されている(多くがNEC製)。

で、個人としての私がこれを買った理由である。

昔、気の迷いで買ってしまった通信教育の冊子が80冊もある。
1冊24ページちょっとだが、それなりに場所をとっているし重量もある。
棄てたいのだが、それなりの大金(以前「無駄な買い物」のネタで書いた値段)を出して買ったので
そのまま棄てるのは惜しい。

最近はうちの中での場所の確保と重量削減が至上命題で、
使わないもの、製品の段ボールやCD/DVDのケースなど思い切って廃棄しているが、
それでも足りないので各種「紙」で残されている物を電子化する計画を立てた。
領収書は表計算および家計簿ソフトに入力し、
給与明細は画像として記録した(OCRソフトを買う前に処理したため)。
その一環でこの冊子もOCRで読み取り、電子化することにしたわけである。

こういう作業をしているとホームページの雑記に書いていたら「何かあったのか?」と
心配されたが、実は階段付近の壁や柱にひび割れを発見し、
「これは2階の重量が重すぎるに違いない」と考えて、主に2階の重量削減を
はかり始めたのがきっかけで、後は将来的に子供部屋も必要だろうと思い、
部屋の中で場所を取っている物を整理し始めたら止められなくなっただけである。

OCRといえば、実は仕事でちょっとだけやった事がある。
10年ほど前だが、そのときはそれこそ郵便番号と住所の読み取りを行わせた。
専用スキャナとほぼ専用端末化したPCを使って当時も速度こそ速かったが、
用紙サイズ・文字サイズ・種類にも大きな制約があって汎用的に読み取るなんぞどとてもできない状況だった。
基本的には英数字は郵便番号と注文番号専用、日本語は住所専用(郵便番号から類推できるから)という感じであった。

その感覚があったので本の読み取りも最初は各ページを「画像」で取り込むだけにしていたのだが、
ふと思い立ってこのソフトの試用版を使ってみたところ、
設定さえちゃんとしてやればかなり良く読み取れることが解り、
購入に至ったわけである。
そういえば、いわゆる体験版を使って実際にソフトを買ったのは初めてかもしれない。

このソフトの優秀なのは、画像上のどこが文字(日本語と英語の区分けも可能)、
どこが手書き・どこが印刷文字、どこが画像なのかをあらかじめ簡単に設定でき、
認識率を上げることが可能なことにある。
このレイアウトは自動で行わせることも可能であるが、
多くの場合はちょっと人間がいじってやった方が良くなる。

傾き修正(回転も含む)やノイズ削除などもしてくれるので、
少々スキャナでの読みが荒くてもしっかり認識してくれる。
斜めになった取り込み画像からちゃんと認識された時はちょっと感動する。

残念ながら、認識率は100%ではない。
というか、将来的にも100%は無理だと思うが、特にこのソフトで誤認識しやすいのは、
        誤認識          正しい文字
        D              1>
        jL            」「
        巾              中
などで、目で見ても読み間違いそうな細かい文字も難しい。
例えば「慶應」とか。似た文字が繰り返し出てくるときも間違いやすいようだ。
「毛沢東」と「周恩来」が繰り返し出てくる冊子では、「東」と「来」を
よく誤認識していた。

こういう場合は画像上、文字として切る位置を手動指定して再認識させたり、直接文字を入力してしまう。
修正機能は、同じパターンの所を一括修正する機能があるが、
常に一括になってしまい、ここだけ直したいときには他の部分を「対象外にする」という作業を
しなくてはならないのが面倒。

また、JIS第2水準漢字は人名くらいしか入ってないので、難しい漢字は全滅。
中国や江戸以前の話では難しい漢字がよく出てくたがそれらが軒並みだめだった。
問題は、認識できないだけでなく、確認修正画面でもそういう漢字の一部が入力できないことにある。
手入力で入れようとすると?と表示されてしまうことがあるのだ。
こういう場合は、認識結果を一太郎に転送して入力するしかない。
一太郎には手書き文字入力があって、これが非常に優秀なので出てこなかった漢字はない。
ということは、どうしても出てこない文字はこの処理を使って認識させるという手があるんじゃないか?
次のバージョンくらいで入ってこないかなぁ。要望出してみよう。

ふりがなは(殆ど)読み取れない(多くの場合は無視されるが、読み取られた場合は普通の文字になってしまう)とか、
全角・半角識別を含む文字のサイズなども反映されないとかあるが、
20ページ強を読み取って、うまくいけば10文字程度しか修正しなくていいのだから、
OCR技術の進歩には感心する。

認識率を上げるコツは、

1、文字だけの時はグレー16階調の400dpiにする
  (後述のS500を使うときはスーパーファイン画質にする)
2、写真が入っているときはグレー256階調またはフルカラーの200dpiにする
  (後述のS500を使うときはスーパーファイン画質にする)
3、自動レイアウト認識の結果、ページ内が複数のレイアウトに分かれている時も
  各領域のフォント大きさに違いがないときは1つにまとめてしまう
4、領域はちょっと広めにした方が良い
5、特に自動レイアウトでは画像領域の認識に失敗することが多いので、
  手動で直した方がよい

である。

先に200dpiで各ページをJPEG/PNG化してから読み取らせたこともあったが
かなりの誤認識が出た。JPEGは圧縮時に細かいところが飛んでしまうからであろうが、
理論上画像劣化のないPNGでもだめなのは、やはり細かい文字認識には200dpiでは
足りないということであろう。実は300dpiでも不足で、400dpiが良いという感じである。

読み上げ機能というものもある。認識結果を声に出して読み上げてくれるので、
それを聞けば「誤認識を見つけ出しやすい」と言うのが売りである。
んがしかし、
・いわゆる昔のコンピューターの音声合成の声質(解る?)程度なので長いこと聞くのはつらい
 (WindowsXPが持っている音声合成の質とほぼ同等。)
・単語は単語でちゃんと読んでくれることが多いのには驚いたが、英語で「a」を「エー」
 とよんだり、「.」をピリオドと読んだりするのはちょっとどうかと思う。
 (認識できているかどうかを調べるには良いのかなぁ。)
 しかも、ピリオドの後すぐに次の文章を続けるのでわかりにくい。
 要するに、人間が文章を読む速度というか緩急の付け方と違うので
 かえってわかりにくくなることがある(読み上げ速度の変更は出来ない)。
ということで、「実用にはならない」と思った。
この機能のために音声合成ドライバを読み込むためソフトの立ち上げがかなり遅くなっているようなので、
出来ればOFFして立ち上げを早くしたいのだが。

上記の問題の他、残念ながら、このソフトには解っている限り3つのバグがある。

1、スキャナで上側に空白を開けて読み取り範囲設定をした場合でも
 その部分を読み取ってしまい、下側がその幅分欠けてしまう。
 読み取り範囲設定がうまくできないと言うことである。
 スキャナの上にちゃんと原稿を合わせておけばいいだけではあるが、
 時には原稿の真ん中だけ認識したいこともあるので困る。

2、自動アップデート機能があるが、エラーが出て使えない。
 HPから直接ダウンロードすればアップデートは可能のようだが、
 なんのための自動チェックなんだか。
 (ちなみに、2008/03/25現在、一度もアップデートされたことはない。)

3、誤認識文字の部分をキーボードから入力しようとすると、
  入力している文字が見えないことがある。
  変換キーを2回押すと見えるようになる。

あと、全くでたらめな認識をしてしまうことがたまにある。
どうも、設定領域内に画像領域を含んでいたり、バックに色が付いていたりすると
そうなることがあるようだ。文字の始点を間違えるのだろう。
画像を含む文章の場合は、領域設定は気をつけた方が良い。

1についてはユーザーサポートに報告を入れたが、果たして直るかどうか。

うちでの冊子の電子化手順は、
         スキャナで取り込み
         レイアウト設定&修正
         認識
         誤認識チェック
        〜〜以上を全ページ繰り返し
        その後一太郎へ転送
        落ちてしまったふりがなを追加
        太文字、フォントサイズの設定を行う
とする。
20ページ強で1冊1時間はかかるだろうか。これが80冊あるのだから、
結構な作業量である。画像取り込みだけなら1/3位の時間で出来るだろうが、
文字化しておいた方が将来役に立ちそうなので。
出来上がったファイルのサイズは、写真の分量によって大きく異なるが、
1MB〜15MB位と幅がある。画像だけよりちょっと大きくなることもあるようだ。
なぜ?

そうそう書き忘れていたが、書面を読み取る場合は当然読み取るための装置が必要である。
うちでは以前紹介のCANON製のフラットベッドスキャナ CanoScan 5200Fを使った。
読み取りに使うのはスキャナが普通だろうが、デジカメも可能。
PDF等すでに画像化されたファイルからも取り込み可能であるが、
元の解像度が下がれば下がるほど認識率は下がるので要注意である。

        お勧め度        85%

OCRソフトとしての出来はかなり良い線いってると思う。
私が後必要だと思ったのは
・ふりがな対応
・読み上げの速度調節とピリオドでの一旦停止+音質向上
・一括修正機能の改良
・自動レイアウト設定機能の高性能化
 不要部分の読み取り設定を除けるようにする(除外設定が出来ればいい)
・一太郎へ転送したときにレイアウトがずれるのをなくす
 (今は用紙サイズの設定しか引き継がれないので、レイアウトがずれることが多い)
・全体的な速度向上(天地逆画像の認識に時間がかかる)
・第2水準漢字の完全対応(読み取り&入力)
・バグとり
位だろうか。認識そのものには文句の付けようは殆どない。

あと、出力先ソフト(というかフォーマット)としてExcelはあるのに、
同社の表計算ソフト三四郎がないのはどういう事か。
(発売はJustSystemだが、作成はパナソニック系ソフト会社。でも自社ブランドで出すからには要求仕様に入れるべきだよなぁ。)
いかんぞ。
うちではExcelがないのでOpenOfficeのCalcが自動で割り付けされてしまった。

同じパナソニックの認識エンジンを使ったSOURCE NEXT社の「本格読み取り2」
http://www.sourcenext.com/cp/s/0703/22_yomitori2.html?i=idx">
と言うものもある。こちらは認識周りはほぼ同じ機能で¥1980と約1/3である(特価の場合)。

文字認識ドライバ部分はどちらも同じだから認識レベルは同じはず。
一発OCRには読み上げ機能/「翻訳ブレイン」との連携による自動翻訳/QRコード認識機能があるが、私には不要。
入出力で対応しているファイルもちょっと異なるが、
価格差がかなりあるので、まずは「本格読み取り2」でやってみるのも良いかもしれない。
(パナソニックが出している「読取革命 Ver.11」はもっと高い。)

この手の作業が必要な人には、なかなかの高認識率なのでいいと思う。
まずは体験版で試すと良いだろう。
10日という限定があるが、ほぼ全ての機能が使えるようである。

領収書は別途手入力で表計算に入れるようにしたし、レシートは電子家計簿化してるので、
うちではこの冊子の電子化の後はどう使うか決めてないけど、
まあ、暇を見つけたらX68関係の本を電子化してしまうかな。

「でも大量の書面/書籍を電子化するには、このような1枚1枚手作業でやるようなものでは
時間がかかりすぎるから、専用のドキュメントリーダーを買った方が良いのかもしれない。
PFUのS510辺りが良さそうだけど、5万円するから、個人としてはおいそれとは買えないけど。」

        ・・・等と書いてたのだけど・・・

最初はCanoScan 5200Fで取り込んでいたのだけど、
やはり1ページ1ページ取り込むのは非常に時間がかかるので、
「ScanSnap S500 FI-S500」という文章取り込みスキャナを買ってしまった。

S500はS510の前の機種である。
でも両者の違いは付属ソフトがバージョンアップ&Vista対応しただけで
(あとは、MicrosoftOfficeとの関連性が向上したようだが、私は使ってないので必要ない)、
本体は変わってないらしい。
ということで、見切り価格(というほど安くもないけど)で売られているこちらを買ったわけである。
(S500用ソフトもVista対応だけ版は出されているので、サポートページからダウンロードすればよい。)

最近は「書面は一定以上の解像度で電子化すべし」という法律(通称e-文書法)があるらしく、
それに対応したドキュメントスキャナが安くなってきている。
とは言え、業務用は30万以上するのが多く、この価格帯のものは富士通とキャノンくらいしか作っていない。
キャノンを買わなかったのは調査が不十分で「知らなかったから」であって、
別に詳細に比較してこちらに決めたというわけではない。
(一発OCR!にはScanSnapの名前しか書いてなかったし。)

A4まで対応型だが非常に小さく軽い。手のひらの上に乗る(入りきるという意味ではない)ほど。
電源スイッチはなく、本体カバーを開けるとONになる。
逆に言うと、利用が終わったら閉めなければ電源が切れない。
でもほこり対策も考えればこれは理にかなった方法である。

接続はUSB。データ量が多いので2.0で接続すべし。
でも、その前にソフトのインストール。
本体のドライバー、読み取りソフト、名刺読み取りソフト、それにAdobe Acrobatをインストールする。
PDFを読むAcrobat Readerではなく、それを作るAcrobat本体である。

このインストールであるが、アップデートも含めると結構面倒で1時間以上かかった。
それぞれのソフトはアップデートが出ているのでホームページからとってきてインストールするが、
Adobeのアップデートはなんであんなに手間がかかるんかいなぁと思うほど面倒。
付属CDはV7.0.0なのだが、最新にするにはV7.0.5→7.0.6→7.0.7→7.0.8→7.0.9と
実に5回もアップデートしなければならず、さらに都度再起動を要求されるので非常に時間がかかる。
Adobeはマイクロソフトよりかは技術力はあると思うが、妙なところで手を抜いているし
サポートがなってないのが難点である。

ちなみにこの「Adobe Acrobat 7.0 Standard 日本語版」は単体で3万円以上するソフトらしい。
取説が添付されてないなどの違いはあれ、このソフトの値段を考えるとこの価格は
驚異的に安いのかもしれない。

肝心のスキャンはどうか。

まず読み込める紙の厚さであるが、カタログには何キログラムの紙とか書いてあるけどよく分からない。
普通のコピー用紙からカタログくらいの厚さまでなら難なく読んでくれる。
本の表紙など部厚めの用紙の場合、1枚単位でセットする。
読み込む際に少しそり上がるので複数枚セットしていると紙送りしてくれないことが多い。

逆に、余り薄すぎる紙も苦手なようで、この場合は1枚1枚入れるか、
先にページをぱらぱらとめくってページの離れを良くして入れた方がよい。

名刺は厚めの紙が多いので、10枚くらいセットするのがせいぜい。
5枚位ずつ入れた方が良いかも。ただし、これもあまりに厚いというか「堅い」とだめ。

だいたいではあるが、軽く手でしごいて「しなる」かどうかで判断できると思う。

両面自動読み取り、上下も自動判定してくれるが、
高速化するには表をトレイ側、紙の上をトレイ下;
逆に言えば、人間側には一番終わりのページが上下逆に見えるように入れる。

これスキャンボタンを押せば読み取ってくれる。

S500はちょっと特殊なスキャナなので、Windowsの汎用画像デバイスドライバであるTWAINドライバには
対応してない。依ってアプリケーション別の対応が必要。

最初取り込みに使ったのは、Acrobatではなく「一発!OCR Pro5 for 一太郎」であった。
一発!OCR Pro5 for 一太郎は、ホームページ上のカタログには記載されていないが
実はScanSnapに対応している。
正確には、ScanSnapの設定で「対応アプリケーション」にこれが出てくるので設定するのだ。
ただ、デフォルトの解像度設定では認識率が悪いので、
スーパーファイン画質にしておく必要がある。もう1つ上にエクセレント画質もあるが
そこまでは必要ない(エクセレントにすると極端に遅くなるらしいし)。
これをしておけば、後はスキャナーのスキャンボタンを押すだけで読み取ってくれる。
読み取りアプリケーションは、あらかじめ起動していなくてもスキャンボタンを押せば設定に従い起動してくれる。
(すでに起動されている場合に再起動するようなことはない。)

一番時間がかかるのは取り込みだから、そこだけでも早くなればOCR化の手間は大幅に減る。
ADF=AutoDocumentFeederと言うものがあり、スーパーファイン画質でもA4毎秒1枚ほどで取り込める。
しかも両面同時=2ページ分である。
フラットスキャナーでの手作業ならせいぜい1分で1枚が限界だから、大幅な高速化である。
給紙の性能はプリンターのそれよりずっと性能がよい。
ほぼ確実に1枚ごと給紙してくれる。

例の冊子は表紙だけは紙が厚いので別途フラットスキャナで取り込んだ。
要するに、フラットスキャナも必要だったということだ。

綴じがある書面はそのままでは読めないので外して半分に裁断する必要がある。
基本的には読み込んだ資料は元の状態にはならない=廃棄前提と考えた方が良さそうである。

この手順;S500で全ページを一括スキャンして一発!OCRで文字化、
一太郎で最終調整して保存していたが、
誤認識を探すという作業が非常に面倒で、特に目への負担が大きかった。

結局、このやり方は途中で止めて、AcrobatでPDF化して保存する方法に切り替えた。
PDFではあるが、単なる画像ではなくOCR機能を使って
PDFの画像の上に文字を透明で重ね合わせ、文字列のコピーを可能にしている。
こういうPDFを「検索可能なPDF」というそうな。
このとき使われるOCRは一発!ではなくAcrobat自身が持つ物らしいが、
詳細は不明。ただ、認識結果はなかなか優秀のようである。
(「人」と「入」を間違えているとかあるけど。)

PDF化の場合、スーパーファイン画質、カラー、圧縮度5(最低圧縮)で24ページ読み取りにおよそ1分、
その後のOCR処理に約3分と言うところだろうか。
(最初に一括読み取りを行い、その後OCR処理を行う。)
1ページ1ページ一発!OCRでやるより、全ページ自動だし圧倒的に早い。

Acrobatでは原稿の色の設定を白黒かカラー(もしくは自動)で設定できるが、
グレースケールというのがないので、モノクロ多階調原稿はカラーにする必要がある。
自動認識ではカラーになってくれない。

もっとも、OCRで読み取られた文字が正しいかどうかの確認はしていない。
仮に間違ってても、画像としては読めるのだから人間が必要なときに打ち直せばよい。
最初から全文字正しくしようとするから時間がかかるのである。
まして読む可能性の低い冊子のために時間をかけるのは間違ってる。

なぜか図の部分以外文字化したはずの一太郎ファイルの方が3倍近くでかい。
PDFの文字列画像圧縮の効率の良さはかなりなもののようである。

検索が必要ない=文字列を読み取る必要がない原稿の場合は
OCR作業の時間がなくなるので、正味読み取り時間だけとなる。
こうすると非常に早い。
(ただし、文面によってはPDF化にえらく時間がかかることもある。
処理が進まない場合も、2〜3分程度は待った方が良い。)
画像中心の雑誌や旅行の冊子はこれで保存している。
一旦PDF化しておけば、あとでAcrobatでも一発!OCRでもOCR化可能なので、
必要なら後で処理させればよい。

なお、1ファイル分処理を行うとその結果を表示するダイアログが出るのだが、
これが表示中はスキャンボタンを押しても次の処理を始めてくれない。
先にダイアログのOKを押す必要がある。操作上の注意であり、面倒な点である。
(ただし、先にボタンを押しても、スキャンボタンのLEDが点滅中なら
後でダイアログを消しても開始してくれる。)

実は、キーボードで紹介したAltIMEには特定ダイアログが出たときに
自動的に押すキーを覚えてくれるという便利な機能があり、
これを使えば毎回「OK」を押す必要がなくなる。
(ただ、たまにダイアログの内容が変わるので、そのときは押す必要がある。)

S500自体はA4までの完全可変対応。しかも用紙サイズは自動認識
(ただし、同一スキャン時には1種類のみ)。
それに両面同時読み取り。薄い紙で1回に50枚までセット可能。
これこがフラットベッドスキャナとの大きな違いである。
用紙サイズを認識してその全面を読み込んでくれるから、A4までなら何も考えないで読ませられる。
これは非常に便利。

用紙のサイズはスキャンボタンを押して最初に読んだ1枚目の長さを基準としているらしく、
幅は同じだが、長さが違う用紙(たとえばレシートなど)を読み込ます場合、
一番最初に一番長い紙を入れないといけない。これは利用上の注意。
長いところに短いのが来ても通してくれるが、逆は「詰まった」と判断されてしまう。
紙が詰まったのか長いのかの判断に困るのでこうなっているようだ。

A3にも一応対応でき、A3を半分に折って「A3キャリアシート」という透明の入れ物に入れて読み込ませる。
これで両面を読み取った物を自動的に展開してA3とするわけだ(当然A3としては片面毎の読み取りになる)。
まあまあ綺麗に読み取れるので、A3だけでなくページを切ってしまうと綺麗に見えない物も対処できる。
ただし、折り目の部分が欠けてしまうことがよくある。ちょっとでも傾いていると
だめなようだ。少数を処理するときには丁寧にやればいいが、
大量に処理するときにはそこまで気に掛けてられない。
本当に綺麗に取りたいときは綺麗に折って綺麗に入れるしかない。
ただし、折り目をあまりきつくするとだめなようで、少しふんわりしたくらいで入れるのがこつ。
(そうしないと読み取りエラーが出やすい。)
A3キャリアシートには左右裏表の認識があるので、注意。

A3以上の紙を連続処理したいときは、紙を裁断し、JPEGで取り込んで後で結合するという手段を使う。
しかし、S500はどのサイズでも紙の端0.5〜1ミリくらいが読めないようなので文字が欠けてしまう。
小さな文字が裁断部にあると完全に1文字の半分〜2文字欠けるのでこれを
どうやったら少なくできるかを色々実験したが、
・裁断面で揃える
 多くの場合、複数の紙を一緒に裁断すると微妙に幅が異なってしまうが、
 最終的に合わせたいのは裁断面なので、そこが揃うように入れる。
・裁断面を右にして入れる
・折り曲げてある冊子の場合、折り曲げ場所を伸ばして、そこから少し(1センチ)くらいのところで裁断する
 曲げ部あった場所は紙が丸くなっててそもそも読み取りにくいので、そこを裁断面にすると絶対に文字が欠けるので。
 新聞なら行間を狙うとなお良い

でも最終的に完全になくすのは無理で、
また出来るだけ少なくするには裁断面を曲がらないようにきれいにすればましになるが、
あまり1枚1枚に手をかけるとS500でやる意味がなくなるので、
結局は「どこまで許容するか」で判断することにした。
写真程度なら良いのだが、地図や新聞の文字だと困ることがある。
どうしても情報欠落が許せない場合は、フラットベッドスキャナで1枚1枚処理するしかない。
その資料の価値によって判断するしかないというわけだ。
私の場合、S500で管理したいのは「あまり見ないがあると便利な資料」であり、
本当に持っていることに価値あるものは取り込んでも原本も残す。
そういうものはあまりないので、これでよい。

キャリアシートは基本的には500回くらい使ったら擦り傷で透明度が落ちるので使えなくなる消耗品である。
(擦り傷というより、紙送りのゴムの黒い筋が2本付いて取れなくなる。)
S500に標準で1枚添付されているが、5枚で3000円くらいで別売されている。
うちではとにかく利用頻度が高いのでちょっと高いがあらかじめ買っておいた。
2枚あると新聞などの読み取りがスムーズになるので、よく使うと思われるなら
最初に一緒に買っても良いくらいだ。

紙を読み取る際に端っこが薄くめくれることがある。
大事な紙は1枚ごと入れる方が良いと思う。

S500には「スキャン」と「e−スキャン」の2つのボタンがある。
e−スキャンではA3取り込みに制約が出る(事実上禁止に等しい)されるし、
解像度も限定がかかる(スーパーファインは使える)が、
別々に起動ソフトやその設定が覚えさせられるので、便利である。
うちでは前者はPDF、後者はJPEGで取り込みと設定してある。

ちなみに、5200Fでも標準添付のソフトでPDF作成できる。
S500と並行で作業させたり、後で双方のPDFを結合させたりすることも可能。
S500で読めないページはそうしている。

連続で読み込ませていると時々詰まることがある。
紙が詰まるとすごい音を立てた後止まる。
ページを裁断した場合はその切り口で引っかかったり、折れ曲がりで引っかかったり
することが多いが、冊子に綴じ込まれている葉書に引っかかるというのも時々ある。
読み込ませる前にそういうのが付いてないか確認した方が良い。

新聞の場合、輪転機で紙をつかむためか錐で突いたような穴があいていて、
これで紙がくっついていることがあるので、一度全てのページを開いてくっつきを
とっておいた方がよい。そうしないと2枚以上で取り込んでしまうことが多い。
場合によっては、紙の吸い込まれ具合を見計らって入れて1枚1枚手入れした方が良いこともある。
手間はかかるが、それでもフラットスキャナより数段楽で早い。

詰まっても、直前までの画像は有効なので、紙を直して続きをスキャンさせればよい。
ただし、A3対応スキャンで失敗したときは続きが出来ない。
しかも、A3キャリアシートでの読み込みでは結構エラーが出る。
これはソフトの問題。改善して欲しい(S510のソフトでは改善されているかも)。

余り一度に多ページを読み込ませると、全処理終わった後に「PDFが作れません」とエラーが出てしまう
ことがある。感覚的にであるが、A4で100枚(両面で200ページ)を超えるようなとき、
また取り込み中に裏で別のソフトの起動・終了を繰り返したときに出やすい気がする。
ページが多い場合、100枚以下をめどに分割し、後でAcrobatでくっつけた方が
無難である。
この現象は、メモリーを追加しても発生したので、PCの実装メモリー量には依らない
ようである。

自動方向調整、傾き調整もあるが、
「自動」ゆえに誤認識により間違って傾けたり回転させることもあるので、
明らかに揃っていることがはっきりしている場合はOFFにした方がよい。
(その方が読み取り後の処理も少し速くなる)

S510の付属ソフトのバージョンアップの内、AcrobatがV8.0になったのはかなり大きい。
V7との機能上の細かい違いも多数あるが、表示時にグラフィックボードを直接叩くようになったらしく、
表示速度が格段に上がっている。V7での表示はかなり遅い。
これが速くなるだけでも編集の効率がかなり上がる。

あとPDFの複数ページを1ページに結合したり、1ページ内を分割できたりする機能も欲しい。
これはAcrobatというかPDFを編集するソフトに求めるもの。
紙の大きさの加減でどうしても裁断して読み込ませなきゃならない場合や、
逆に小さいので折りを伸ばして読み込ませたりすることがあるからだ。
(折りを伸ばすと、1ページ内で向きが逆のものができる。)
V8でも(たぶん)出来ない。

名刺の読み取り&管理は付属の名刺ファイリングOCR V2.0というソフトを使う。
こいつは認識こそこそこ良い(各社が毎に異なる名刺のレイアウトをよく自動認識する)が、
修正が行いにくい。
ユーザーが領域を指定して認識させようとしても勝手にそれを変更したりする。
OCRで読み取れない領域があるとそうなるようだが、よく分からない。
また、修正を行う部分を拡大表示するのだが、これが入力欄の真下に来るので文字が見えにくい。
たとえば、会社名の下にはそのふりがなを入れる欄があるが、
会社名修正時にはこのふりがな欄が隠れるので、双方が合っているかどうかの確認が出来ない。
もう1欄分下に表示されればいいのだが(そう出来る設定が欲しい)  。
また、カーソル処理にも問題があってさらに修正をしにくくしている。
その辺りが直ればいいソフトなのだが。
ひょっとするとS510のV2.1では直っているのかな?。

名刺ファイリングOCRにはViewerも別に存在し、これは標準ではWindows起動時に自動的に立ち上がるようになっている。
このソフトは、名前(個人名でも会社名でもOK)を入れると名刺のデーターベースから探し出して
表示してくれるというものである。名刺データの追加や管理時には本体を立ち上げるが、
確かに通常利用時はこれで十分である。よく考えられている。

紙を送る部分のピンチローラーと紙押さえのパッドも消耗品という扱いである。
もっともそんなすぐにはへたったりしないが、常時のメンテナンス(掃除)は必要である。
確かに大量に紙を読み込ませると結構な紙の粉が出る。これが残ると紙滑りが生じてしまう。
今はほこり取りブラシでおおざっぱにとり、エアダスターでブラシが届かない部分を飛ばし、
ある程度の枚数(感覚でいえば1000枚くらい)読ませた後には、
カセットデッキのピンチローラー用洗浄液できれいにしている
(メーカーで専用洗浄剤も売ってるが、そういうゴム用清掃液なら良いはず。なければ中性洗剤でもOK)。
ゴムの汚れの主原因はインクとほこりと紙の細かい裁断片である。

うちの機械は一時期、紙を読み込むときに「きーきー」という音が鳴るようになってしまったが、
エアダスターで拭いたら直った。

ページを裁断した雑誌などからは結構大量の紙の粉が出る(部屋中に白いほこりが積もる。
頭に積もるとふけに見える)。
このメンテナンスだけでなく、部屋の掃除、もしくは健康管理にも注意が必要である。

パッドユニット          0637840 1,995円 交換周期(目安): 5万枚 または 1年ごと
ピックローラユニット    0637830 6,195円 交換周期(目安):10万枚 または 1年ごと

うちではたった一ヶ月で1万枚以上スキャンしたから、このペースで行けば
5ヶ月未満で交換となる。もっとも、最初はスキャンする物が多かったからこのペースになった
のであって、今後はそんなハイペースではないだろうが。

この消耗品の購入はPFUダイレクト(http://www.pfu.fujitsu.com/direct/)から行うことが出来る。
普通のお店ではほとんど売ってないので、ここで買うのが良いだろう。
ちなみに、別途送料がかかる。

このローラーだけでなく、スキャナー部分も定期的にきれいにしておく必要がある。
両面ラインスキャナなので、本体側と蓋側の2カ所にガラスの部分がある。
のり付けの本を裁断した物を読み込ませると、スキャナの端っこに
のりがくっついてしまうことがあり、これがスキャナ部の汚れの主原因になっている。
ここが汚れてくると読み取り画質が落ちたり、特にA3キャリアシートの認識に失敗するようになる。
A3キャリアシートで読み取ろうとしても何度やってもエラーになる場合は、
これを疑った方が良い。のりはなかなか取れないが、根気よく洗浄剤で拭き散る。

そういえば、丸1日取り込み続けたとき、本体がハングアップしてしまったことがあった。
3回。
そのときはPCを再起動してもだめで、本体の電源を再投入=一度蓋を閉めて再度開かないとだめだった。
2/3回目は2000ページ以上取り込みしてたときだった。あまり長時間連続稼働しない方が良いのかもしれない。
なお、こういうときはあわてず、S500のふたを閉めて電源を切り
再度ふたを開くとソフト側は読み込めたところまでを覚えてくれているので、
その続きを読み込ませばよい。

        お勧め度        95%

個人でここまでする必要があるのか、と聞かれると返答に困るが、
少なくともそういうことをしたい人にはとても良い機械ある。
きれいに読み取らせるためには結構こつがいる。
修練が必要な機器といえよう。

ただし、基本的には文章(紙面)の読み取り用スキャナであるため、
解像度とか取り込み範囲の設定とかグレースケールへの対応などは
5200Fのようなフラットベッドスキャナに譲るところがある。

それと、取説がとにかく読みにくい。
必要な情報がどこにあるのかわからない。
というか、個々のソフトの使い方については最小限しか書いてないので、
基本的にはソフトのヘルプを読むしかない。
マニュアルは1から作り直した方が良いと思う。
元々業務機の流れだからこんなんなのかなぁ。

厚めの紙が読ませにくいとかも。葉書2枚くらいの厚さの紙が楽に読み込めればもっと楽だったのだが。
その完全な代用にはならないと言うことだ。
やはり用途に応じて使い分けるべきだろう。

なお、S510とS500に違いについては↓ここに詳しい記事があるので参照すると良かろう。
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2007/0201/pclabo38.htm

・・・うちのS500は、酷使したからかもしれないが、
半年ぐらいで紙の読み込みの調子が悪くなり、
11ヶ月目でとうとう全く給紙しなくなってしまった。
で、上記消耗品を交換したが改善されなかったので修理に出した。
この記事はその修理中に公開したので、修理後の状態は追って追記する。

        ・・・取り込んだのは良いものの、整理が非常に面倒・・・

さて、大量の紙をPDF化したのはいいものの、その整理に困るようになってきた。
(名刺は先述の名刺ファイリングOCRで十分。)
現在はフォルダ単位で記録しているが、その間を超えての自由な閲覧が面倒。
ということで、ファイルを整理するソフトを探し始めた。

まず候補に挙がったのがS500のも体験版が添付されていた富士通の
「楽2ライブラリ パーソナル V4.0」。
紙のファイルフォルダをイメージした画面で管理/閲覧できる。
でも価格は2万強もする。
実はS510に同梱のセットもあって53000円くらいで売られている。
S500は36000円で買ったから差額17000円。
最初から解っていれば同梱セットを買った方が良かったのかもしれない。
AcrobatもV8だし。

別のファリングソフトもいろいろと探していたら、
メディアドライブ社の「やさしくデジタルファイリング V7.0」がなかなか良さそうに見えた。
ダウンロード版なら約7200円と安い。
体験版がホームページにある。

「一発!OCR 一太郎Pro5」を作っている
パナソニック・ソリューションズ・テクノロジー社の「ファイル管理革命」もあったが、
これはちょっと用途が違う、というか機能が足りない。
ダウンロード版が5800円と安いのだが、しょうがない。

ということで、体験版のあった「楽2ライブラリ パーソナル」と「デジタルファイリング」
を入れて触ってみた。
ぱっと見前者の方が綺麗だが、ファイルの入れ方などが「直感」では解らなかったのでやめた。
こういうのはいちいち説明書を読まなければだめなようではいけない。
後者はその辺りが解りやすい。
ということで、早速ダウンロード版を買った。

ダウンロード版には「デジタルファイリング」と名刺の管理ツールのエントリー版というのが入っている。
が、それぞれの説明がないので、どちらをインストールしたらいいか解らない。
その上、名刺管理ツールはインストーラーが画面を残したまま終わってしまうというバグまである。
(だいぶ長い間ほっておいたら消えるようではある。)

デジタルファイリングは、基本的にはエクスプローラーに似ていて、
フォルダにファイルを入れ、中を見ると縮小画面が表示される。
ダブルクリックすると画像なら内蔵編集ツールが、他ならその編集ツールが立ち上がるようになっている。
縮小画面表示をONにしているエクスプローラーと一緒じゃないの?
といわれそうだが、確かに似ている。

縮小画面が全て見えるので、重複して取り込んでいる資料がすぐ解ったり、
スタックといって、ファイルを種類毎に重ねてまとめたり(ドラッグして重ねると
ファイル群として1束で管理できる)、画像ならその単位で一括PDF変換できたりする。

この縮小画面、インポート時に自動的に作成されるのだが、
元々縮小画面を作りやすい(持っている)画像系やPDFファイルならすぐに出てくるが、
WORD/一太郎やExcelではいちいちそのソフトが起動して仮想プリンターというもので印刷して
サムネイルを作るので非常に時間がかかる(印刷は先頭ページだけなのだが、それでも)。
基本的に最初のインポート作業は時間のあるときにやらせた方が良いと言える。
なおこの際、その文章がマクロやパスワードを含んでいた場合は確認をしてきたりするので
要注意である。それとキー入力をしてたら入力されてしまうことがあるとか、
仮想印刷じゃなくて実プリンターから印刷されたことがあるので、
この辺りにはバグもいそうである。
(一太郎にExcelのワークシートを挟んでいた場合にそうなる。)

このプリンタードライバーとしてインストールされるので、他のプログラムからも指定可能
ではないかと思う。そうすると、印刷内容を画像として出力することが出来る。
これはこれで使えそう。
一応ヘルプには「このソフト専用」と書いてあるが。

紙面が大きすぎてA3キャリアシートを使っても1回では読み込めない場合、
紙を裁断して画像で読み込ませ、それを「画像結合」して1枚に仕上げ、
その後でPDF化するということも出来る。
(残念ながらe-スキャンボタンで起動するとA3キャリアシートでもA3で取り込めない。
ゆえに裁断が必須になる。)
出来るにはできるが、やはり切断部分は情報が飛んでしまうことが多いので、
あまり細かい文字がない部分で切断した方がよい。

家では基本的に画像とPDFしか管理してないが、他の各種文書(MsOffice系、一太郎など)も
管理できる。会社では殆どのファイルを管理させた。

その他音声ファイルも管理できるので、うちでは勉強用教材にカセットが付いてたのがあって、
その音声データは先日デジタル化したのだが、
冊子のPDFにこの音声データを結びつけておくという使い方も出来る。
今のPDF化が済んだらやってみようと思う。

データはHDD内(「デスクトップ」と呼ぶ)だけではなくCD-R等外部メディアや、
ネットワーク上のデータも管理出来る。
「ネットワーク」上のファイルは、本体は元の場所に置いたまま、
管理下に入れる。
もうすでに自分である程度分類をしているなら、
自分のHDD内でも、デスクトップに入れるより、「ネットワーク」に入れた方が良いのかもしれない。
うちでも一部(この機能に気づいた後)はそうしている。

ヘルプには
「デスクトップ上のファイルは削除した場合に元ファイルも削除されるが、
ネットワーク上のは表示上消えるだけ=管理外になるだけで元は消えない。」
と書いてあるんだけど、実際には本体が削除されてしまう。
それが仕様言えばそれまでだが、少なくともヘルプは誤記である。
要注意。ヘルプ通りの動きの方が良い場合もあるのだが。

フォルダには、分類を拡張子別とか発行日別に分類し直せる「仮想フォルダ」機能もある。
しかし、これがまた使えない。
そんな分類するやついるか?ってな感じ。こんな機能要らんから
フォルダの自由な並べ替え機能を入れてくれ。

Webサーバーというのは、実はヘルプを見てもそのままの表記でないのでわかりにくかったのだが、
「管理しているソフトを外部から参照できるようにする機能」である。
自分のPCをWebサーバーにしてそれを可能にする。
パスワードも設定可能なので、少しは安心だが本当に大丈夫?という気もせんではない。
なお、ブラウザとしてはIEしか対応しておらず、Firefoxでは「IEで見ろ」と表示される。
困ったもんだ。

その他、V7.0には結構問題点もある。

・全体に処理が重たい
 とにかく画面の更新が遅い。スクロールですらスムースでない。
 1つ1つの処理で待ちが入るので、人によってはいらいらするかも。

・ファイル名が変更しにくい&拡張子まで変更できてしまう(拡張子表示時)
・ファイル名を替えるとき、文字列がCTRL−Cでコピーされないときがある
・ファイル名入力時にATOKの手書き文字認識からの入力が出来ない
 ファイル名は変更できるが、「拡張子まで表示」をONにしてるとその拡張子まで
 変更できるようになってしまう。あと、その変更時にファイル名部分をコピーしようと
 反転させてCTRL-Cを押してもクリップボードに入らないことがある。
 同じファイル名を付けることは結構多いので(特に束にしたファイルで)、
 これが出来ないとつらい。CTRL-Vでの貼り付けは出来る。
 束のファイルを一括ファイル名変更(ベース名+連番)出来ればいいのだが。
 あと、ファイル名で難しい漢字を入れたいときにATOKの手書き文字入力を使おうとしたら
 結果の入力が出来なかった。結局テキストエディタ上に結果を出力して
 それをコピーして入力させたが、当然面倒。

・フォルダ名に半角「&」が使えない
 実際には、入力は出来るが表示されない。
 でも、変更しようとすると入力欄には出てくる。

・ファイルを削除したときに戻す機能がない
 削除だけでなく、全般的に1つ前に戻す機能がない。だから「しまった!」というときに困る。
 スキャンし直しを何回したか。
 削除したファイルは「ゴミ箱」に入っているので、戻してフォルダの再認識をかければ復活するが、
 他はだめ。画像をトリミング失敗したとき、誤ってファイルを移動させたがそれがどこかわからない
 (ドラッグ中にボタンを放してしまったときにある)など、かなり困る。
 UNDOはどんなソフトでも必ずあると思っていただけに全く「ない」というのはある意味衝撃的だ。

・スキャナツールで内蔵ドライバを使う場合、スキャンエリアの自動設定がされない。
 だから、毎回手動で設定する必要がある。
 これは複数部分を一気読み取りする場合などには便利なのだが、自動設定もあって欲しかった。
 メーカー(うちの場合Canon)のドライバーを使えば解決するのではあるが(選択できる)。

・スキャンしたときの色合いがやけに暗いときがある
 原因不明。スキャナ側の問題ではないと思うのだが。

・色が薄い場合、プリビューでは真っ白になって見えない場合がある。
 だから、「感」で読み取りエリアを設定しなければならない。

・画像編集画面で、画像を回転させるとツールバーが消える
 これは他のソフトでも起こるので、WindowsXPのバグかもしれない。

・画像結合を繰り返すとメモリー不足になり急に動作が遅くなり、再表示にも時間がかかるようになる
 どうもメモリー不足でメインメモリーからHDDへのメモリー待避が行われると発生する模様。
 プログラム的に言うと、Windowsから画面再描画イベントが発行されてきたときの処理が足りないと思われる。
 これは完全なバグ。マウスカーソルを当てると表示される。

・画像結合のあと、2枚に選択枠が表示されているのに選択状態が解除されていることがある
 画像は2枚を選択して結合処理をかけるのだが、結合されたファイルが出来ても
 画面上、この2つの画像上に選択枠が残っているのにそのまま削除しようとしても「出来ない」ことがある。
 結合中に他のソフトを動かすとだめになる(動かさなければOK)。バグでしょ、これは。

 どうもこのソフトはリソース管理にバグがいるらしく、
 長く処理を続けると処理が遅くなり、
 特に画像結合をしようとすると「リソース不足」と出て処理できなくなることがある。
 こういうときは一度ソフトを再起動すれば大抵は直る。
 分断確保されたメモリーをまとめる常駐ソフトを入れていても改善しないので、
 メモリーではない何か別の情報記憶領域(それがリソース)を確保したまま解放しないためにこうなると思われる。
 再起動直後でも処理できないときは、結合後の画像が大きすぎるのであきらめるか、
 別の画像ソフト(うちでは花子フォトレタッチ3)で処理するしかない。
 が、たいていはソフトの再起動でうまくいく(Windowsの再起動は不要)。
 花子フォトレタッチ3でも9999*9999までしか扱えないが。

・大量(120ページくらい)のJPEG画像を一度にPDFに変換しようとすると、
 途中で物理メモリーが足りなくなってスワップするだけでなく、スワップファイルも容量不足になってしまう。
 しかし、エラーを出さずに白紙のページを入れて知らんふりをする。
 私はたまたまメモリー監視ツールを入れていたのでこの動作に気がついたが、
 そうでなかったらわからないところ。取り込んだ物をいちいち確認するなら気がつくだろうけど、
 そうでなかったら原本を捨ててから「あぁ!」となってしまう。
 うちでは1GBのメモリー、33GBのHDD容量があってこうなった。JPEG画像の大きさはA4。
 非常に危ないバグ。JPEGからPDFへの変換はあまり多数一度に行わない方が無難。

・フォルダの並べ替えが出来ない
 これは整理するツールとしては問題があると思う。
 Windowsのエクスプローラーと同じ処理を使っているのだろうが、ここは何とかして
 順番の入れ替えをサポートして欲しい。
 エクスポーラーと同じだからこそ、他のソフトへドラッグ&ドロップが出来るのだが。
 HPには「フォルダ名の前に数字を入れて並べられるようにしてくれ」と書いてある。
 そんな面倒なことしてられるかい!
 なんなら、内部的には前に数字を付けるが、表示には出さないとかしてくれればいいのに。

・ファイルをインポートすると元のファイルは削除してかまわないのだが、
 このときに元ファイルを握ったままにすることがあるらしく、
 削除できなくなることがある。LZHなど圧縮ファイルがそうなりやすい。

・WebサーバーのFirefox対応
・一太郎のシートにExcelのシートを入れていると実印刷がかかる
・一太郎のファイルが圧縮形式(.jtdc)だと印刷に失敗する
・インポートに長い時間かかると勝手に落ちることがあった

・起動アプリケーションの設定に入れてもいないソフトの名前が出ているのはいや
 自社製品なんだろうけど・・・。

・起動アプリケーションの設定に入れたソフトは、やさしくファイリングが起動中は
 その本体プログラムを握られてしまうため上書きできない。
 すなわち、ファイリングを起動中に、アップデートなどをしようとするとエラーが出る。
 他のソフトを起動しながらアップデートを行う方が悪いのではあるが。

特に、処理が重たいのは結構苦痛で、何をするにもかなり待たされる。
うちのDELL Inspiron6400はそんなに遅い機種じゃないのにこれだから、
EPSON BN100では耐えられないかもしれない。
DELL Inspiron4100ではかなり遅く感じたが、6400とのマシン性能の差ほどの差は感じなかった。
これは不思議。

一番遅いのはデータをインポートした後に必ずあるサムネイルの再表示で、
ファイルが多いフォルダで作業すればそれだけ再表示するサムネイルが増えて遅くなる。
そのため、ファイル取り込み作業は他のファイルの入ってないどこか一時的作業フォルダを使い、
終わってから本来のフォルダに移動した方が良い。
・クリック時に表示フォルダの最新情報に更新
・インポート時に自動的にOCRをかける
も、不要なら外した方が良い。それぞれ必要時に手動でやれば十分。

かなり有効に使えるが問題点もあるということで、ここはそれらを理解した上で使う必要がある。
もちろん、上記の問題点については要望を出したが、果たして次のバージョンで改善されるかどうか。
V7で出てすでに3年近くも経過しているようだから、そろそろバージョンアップがあっても良いと思うが、
逆にもうないのかも。

        お勧め度        82%

なんやかんや言いながらも整理が楽に出来るようになったのは事実。
値段もそれほど高くないので、ファイル管理で悩んでいる人は使ってみたらいい。
でも、妙な制約やバグが結構あるので、そういうのが気にならないか「ソフトのバグとはうまく
付き合える」人向けである。
他社の同様のソフトもいろいろ試したが、今のところこれが一番出来が良いと言える。
ほんと、各所で詰めが甘いのが残念。

「やさしくデジタルファイリング」には「やさしく名刺ファイリングエントリー」
というのが付属している。同社の出す名刺管理ツールのお試し版のようなものだが、
体験版ではないので利用期間制限はない。

が、こいつは「全く」使えない。S500をサポートしてないからだ。
取り込める画像もBMPとTIFだけなのでS500からは出力出来ないから間接的にも使えない。
TWAINには対応しているから、フラットベッドスキャナで1枚1枚取りこめというわけである。
いくらエントリー版だからといってこの制約は「事実上利用できない」に等しい。
うちではこの事実が分かった時点で速攻で削除した。
S500をサポートしているソフトにこんな物を添付する同社の意図が理解できない。

後で解ったが、S500付属の名刺ファイリングOCRで取り込んだデータの文字部分だけはCSVでエクスポートして
こちらに読み込ませれば使えることが判明。
でも、画像は送れないし、設定項目などは名刺ファイリングOCRより使えそうな部分もあるが、
名刺画面を表示しようとすると落ちるなどあまりに安定性が低い。
デジタルファイリング本体もそうだが、この会社、あんまり技術力はないのでは、
デバッグが足りてないのでは、と勘ぐってしまう。

        ・・・結局の所・・・

実は、デジタルファイリングに同社のOCRソフト「eType V11.0」を加えたセットが
売られていると判明。
http://pac.mediadrive.jp/et/lineup.html
しかも、eTypeエントリーというソフトを持っていればアップデート版でいける。
そのエントリーソフトはCanonのスキャナーに付いていたのでうちにはある。

ということは、これを買っておけば一発OCR!も要らなかったので
一番安上がりだったわけだ。このアップデート版は7300円くらい。
eType V11は一太郎連動や読み上げはないが、全体的に機能が上。
第2水準漢字も完全対応してるし。

最初からここまで解って買うというのは難しいことだが、
他の人は私と同じ過ちを繰り返さないで、ということで。

でもやっぱり出来が「あれ」なので、他社から、同じくらいの価格で、
もっと完成度の高い物が出ていて欲しいと切に願うのであった。
おしまい。
<戻る>