「Logicube ECHO」(2005/07/11号)
{商品紹介}

        HDDドュプリケーター
        Logicube ECHO
        ¥88200(直販価格、確か税・送料込み))

ハードディスクを2台つないでコピーする機械である。
元々はアメリカの会社の機械であるが、
日本では(株)アスク(http://www.ask-corp.co.jp/logicube/index.html)
が正規代理店になっているようである。
そこのオンラインショップで購入した。

この手の機械は各社から出ているが、どれも結構高い。
その中で、このECHOは比較的安価ながらそこそこの性能を
もっているらしいということで、仕事柄絶対にHDDコピー機が必要だったので
買ったのである。

ECHOはLogicube社の製品群の中では一番安価である。
コピーは1:1でしか出来ない。
(高級機になると、1:複数が出来るものもある。)

製品の構成は、
        小型の本体
        接続ケーブル4本(送り元、先それぞれのデータと電源)、
        ACアダプタ
        英語マニュアル
        日本語マニュアル
        25ピンパラレルケーブル
        3.5’フロッピー1枚
である。最後の25ピンパラレルケーブルとフロッピーは
本体内蔵ソフト(ファームウエア)の更新用である。

ECHOはスイッチ3つといくつかのLED表示だけで構成され、至ってシンプルである。
コピーも大方自動化されており、大きく分けて

CleverCopy
        FAT16/32/NTFSのファイルシステムを自動判別して最適なコピー
        パーティションサイズを変更してのコピーも可

MirrorCopy
        物理セクターをそのままコピー

の2つのモードに、ベリファイ付きかどうかも選択できる。

キーはこのモードを選ぶ「Mode」、コピーの開始/中断をする「Clone」、
そして状況表示を切り替える「Display」の3つである。
表示切り替えでは、容量、進捗度表示と転送速度(MB/分)を切り替えできる。

本機は基本的に3.5’HDD用ではあるが、変換アダプタを使えば2.5'HDDでも
問題なく使える。

私の場合、ミラーコピー以外は使わない。
私の作っている製品はFAT32を使っているが「準拠」であり、
改変チェックのために特殊な細工がしてあるのでWindows上からは再現できず、
またCleverCopyも使えないのだ。

送り元と先は同じメーカーでなくても良いのはもちろん、
容量も異なっていても良い。
基本的には先≧元とする。
MirrorCopyの場合は元と同じセクターまでコピーするし、
CleverCopyでは左記の要領にあわせてファイルシステムの管理領域を広げてくれる。
先<元の場合は、Mirrorでは入るところまで、Cleverでは入るなら縮小して入れる。

表示はLEDだけであるが、取説は結構良くできているので困ることは少ない。
というか、上記のように操作はきわめて簡単なので、
よほどエラーでも出ない限り取説を何度も読む必要はない。

転送レートは「550MB/分を超えます(ATA100のHDDを使用した場合)」とあるが、
実測で40GBクラス(ATA133)で約2時間かかる。
        40G=40*1000MB/120分=333MB/分=5MB/秒
といったところ。
ATA100の理論値は100MB/秒だから20倍も遅い計算になる。
まあ、このクラスなので内蔵CPUの性能から想像してやむを得ないところであろうか。
この速度では、やはり80GBを超えるHDDをコピーするときはつらい。

コピーする際には、くれぐれも送り元と先のつなぐ場所を間違えないように。
私はこれで1台内容を壊してしまった。
左側が元、右側が先である。
マジックで大きく書いておいた方が良いだろう。

ここで1つ発見した問題というか事実。
私の(会社が)買った2台は共にファームウエアのバージョンが1.3であったが、これでは
送り先に160GB HDDをつないでコピーすると、セクター番号0x8000000以上のコピーが出来ない。
ここは、24ビット数値で最上位ビットが1になる部分なので、
何かしら内部の処理にバグがあると思われる。
ただ、もともと説明書には「132GBまでサポート」と書いてあるので
この容量で問題が出ても文句は言えないが、
このセクター番号自身は67GB以上で到達するアドレスなので問題だ。
まあ、少なくとも80Gまではコピーに失敗していないが。
(失敗を確認したのは、元120GB、先160GBで、MaxtorHDD)

現在、製造元のホームページを見るとEchoはまだ発売されている。
http://www.logicube.com/products/hd_duplication/echo.asp        アメリカ
http://jp.logicube.com/                                         日本(実に中途半端な日本語ページ)
しかしどうも書いてある仕様が異なる。転送速度も約1GB/分と倍に上がっている。
(別の場所には850MB/分を超えると書いてあったりする。どっちやねん。)

ファームウエアもV1.8になっており、ここでは
        2TBまで設計上対応
        250GBまでテストした
と(英語で)書いてある。
試しにこのファームに入れ替えたところ、160GBのコピーがうまくいくようになった。
        ファーム        V1.3→V1.8
        取説            V1.1→V1.2
となる。
仕様の違いはすべでファームウエアの改良による物だった。

新ファームで転送速度も再計測したが、800MB/分=13MB/秒(40Gで50分)であった。
いや、体感でもはっきり解るほどに高速化されている。
実測値にも現れているが、体感でも倍くらい早く感じる。
全く同じハードでソフトの改良だけでこれだけ速くなるとは。
まだアップデートしていない人は早々に行った方が良い。
ただし、最新ファームおよび取説を得るにはユーザー登録が必要。
(ただ、そのユーザー情報を入れる画面にセキュリティーがかかっていないのが難点だが。)

日本の代理店であるアスクにはこの手の情報は一切ない。
上記160GBの問題もメイルにて伝えたが、全く回答がない。
何のための正規代理店なんだか。
他で安く買えるなら買ったら良いんじゃないか?
(77000円くらいで買えるところもある。もっとも、元会社は全部アスクになっているが。)
英語が出来れば、Logicubeでも$515で直販しているので、そこで買うのが良いかもしれない。
(日本語ページには価格は載ってない。)
アスクにもユーザー登録があるが、そちらに登録するなら本家にした方が良い、と書いておこう。

このファームの入れ替え方については旧取説にも記載されているが、
実際にはそのままではうまくいかない。
V1.8ファームセットにはReadme.txt(秀丸で開く場合「欧文」でエンコードしないと文字が化ける)が
付いていてそこに詳しい記述があるが、要約すると
        ノートPCではだめなのでデスクトップを使え
        パラレルポートをEPP(V1.9)に設定せよ
        RAMDISK付きブートフロッピーを作りそれで起動し、RAMDISK上で実行せよ
となる。「何でノートPCでだめなんだ?」と思ったが、事実出来なかった(DELL Inspiron4100)。
何かあるのだろう。
最後の「フロッピーから起動」は、おそらくファーム書き換え中に
裏で何か走るとうまく書き換えできない可能性があるのをおそれてであろうと思う。

会社にはたまたまブートFDもデスクトップPCもあったからいいものの、
なかったらアップデートできないというのはちょっと困ったもんだと思う。
せめてノートPCでの書き換えは何とかして欲しい。
(ブートFDに関しては、FDさえあれば、ブートイメージそのものはインターネットから
入手できる。その入手先も記載してある。)
なお、書き換えに掛かる時間はおおよそ5分である。

データ復旧作業前には元を残しておく必要がある場合もあり、元々そのために購入したのであるが、
Windowsに依存しないHDDコピー機があると、そのHDDが論理的に壊れているのか
ハード的に壊れているのかが分かるので、HDDの故障解析にも役立つ。
というか、その手の仕事をするにはこの手の機械は必須といえる。

        お勧め度        80%

使い勝手が悪い機械ではないし、実際だいぶ助けられた。
132GBの壁はファームのアップデートで解決できたし、転送速度もだいぶ上がったが、
まだ十分な速度とは言えないのが実情だ。
なぜなら、HDDの容量がこれを買った頃の30Gからいまは160Gクラスが主流になっているから。
これを初めて買った2年前ならもっとお勧め度は上げられただろうが。
でも、初めての人、時々しか使わない人には良いかも。
決して安くはないので、誰にでもと言うわけにはいかないが。、

最近見つけた別のコピー機は、速度もかなり速いが価格も20万を超えていた。
(それはLogicube社ではないが、同社にも「SOLITARE TURBO」という上位機種があり、
転送速度は最大1.8GB/分、やはり24万くらいする。)
この手の仕事を続ける以上、いつかはその手の物を買う必要があるとは思っているが。
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