「CanoScan 5200F」(2006/09/11〜10/09号)
{商品紹介}

        「CanoScan 5200F」
        キャノン
        売価    13800円(税・送料込み)
        http://cweb.canon.jp/canoscan/lineup/5200f/

キャノンのCCD読み取りによるフラットベッド型(要するに水平に置くタイプ)
スキャナの普及価格機。

実は買ってからもう2年以上経っていて最新機種ではないが、
せっかく書いたので紹介する。
(以下を書いてからも、1年半以上放置していた。)

私とスキャナーのつきあいは実はかなり古い。
最初はX68(初代)につなげていたHAL研究所のハンディースキャナ。
白黒。
結構使った気もするが、いかんせん10MHzクロックにしか対応していなかったのと
画像データが専用ソフトでしか扱えなかったので使わなくなった。

次がEPSONのGT5000WINSでX68とWindowsにSCSIで接続。
でもこれ、どうにも色がおかしくてあまり使わないままに廃棄してしまった。
プリスキャンは良いのだが、本番で取り込むと紫がやたらきつくなるのだ。
今にして思えば初期不良だった可能性が高い。
いわゆる安売りの店で買ったので交換できなかったのだ。
「安売りの店で買ったときは自己責任が伴う」という教訓である。

その次がEPSONのGT9500で、WindowsにSCSI接続。
実はこれ、買ったのではなく会社のお古をもらった物。
さすがにEPSONの最上位機種だっただけのことはあり、
早くて色もきれいだったが、突然エラーを出して動かなくなってしまった。
ドライバーの問題かと思って入れ直しても見たが、
どうにもだめ(PCが正常動作しなくなる)なのであきらめた。

で、しばらくはデジカメで行こうと思っていたのにまた買う気になったのは、
子供会のちらし作りで必要になったからである。
なら子供会の費用で買ったのかと言われれば、そうではない。
自分でも使うので自腹である。

私はスキャナに過度の画質は求めていない。
だから今回は安くてそこそこの性能の物と言うことで選び、
価格.comで人気1位になっているこれに最初から絞ったが、
たまたまソフマップで週末特価で価格.comより1000円以上も安かった
(しかも送料込みでポイントも付いた)ので速攻で購入した。

接続はUSB。2.0に対応しているがうちのPCは1.1インターフェースなので
真の速度は不明。1.1では速くないと書いておこう(いらいらするほど遅くはない)。
少なくとも体感ではSCSIのGT9500より早いか同等である。

・・・と最初書いていたが、後日USB2.0インターフェースを購入して接続。
体感で倍速くらいになった様に思う。買ったボードは
        BAFFLO
        IFC-CB2U2V
        買値    ¥3480
で、PCMCIAスロットに入れてUSB2.0ポートを2つ作り出すカード。
スキャナーをよく使うなら一緒に買って損はないだろう。

ちなみにこのカード、よく似た型番で¥3980円のものもあるのだが、
違いは補助電源ケーブルが付属しているかどうかだけの様であった。
USBは基本的に電源不要で接続できる機器が多いが、
中にはACアダプタが必要となる場合もある機器もある。
USB-HDD等がそのたぐいだが、USB線から供給される電力だけでは足りないのでそうなる。
このとき、補助ケーブルを使えばACアダプタなしで接続できるらしい。
そういういう機器は持ってないし、必要ならACアダプタを使えばよいし、
それだけの違いで500円とはちっと高い気もするので今回は買わなかった。

前述EPSON2機種はSCSI接続だったので何かと面倒だったが、
やはりUSBは簡単でよい。
GT9500は取り込み時の振動が結構あった(ヘッドの動きが激しい)のだが、
これはそれほどでもない。というより、ほとんど揺れは感じない。
(GT9500設置時にも使っていた硬質スポンジの上に置いているからかもしれないが。)

それにしても、          EPSON           EPSON           CANON
                        GT5000          GT9500          5200F
解像度(dpi)             300×300        600×600        2400×4800
読み取り速度            3               5.5             8.25       最高解像度写真/カラー時
        (msec/line)
光源                    希ガス冷陰極管  高輝度キセノン  冷陰極蛍光ランプ
                                        冷陰極蛍光灯
センサ                  CCDラインセンサ カラーCCD       6ラインカラーCCD 
読み取り階調            各色8bit入力    各色12bit入力   各色16bit
                        各色8bit出力    各色8bit出力    各色16bit or 8bit
重さ(Kg)                5               10              4.1
価格                    ¥59800          ¥99800          ¥13800          EPSON機は定価

という性能で、かつ5200Fが一番安いのだから、
デジカメ同様スキャナも進化が大きい商品である。
(それにしても、過去の商品の製品表もちゃんとホームページ上に残してあるエプソンはえらい。)

        ・・・

まずは、子供会のチラシを作ったときの作業時の評価。

チラシはモノクロ印刷なので、原稿は当然多くが白黒、一部がカラーだが
それを白黒で取り込むという作業であった。
白黒変換はスキャナー側で行わせた。
完全2値変換では情報が落ちすぎるので、ほとんどはグレースケールで取り込んだ。

チラシの原稿でスキャナーを使う場合は、独自のフォントとか絵柄、地図などを
取り込む場合だが、全ての原稿がきれいなわけではなく、
中にはFAXや孫コピーの様な程度の低いものもある。
こうなると細かいところが読めなかったり薄かったりするが、
それが読めないのはスキャナー側の問題ではないのだが、出来るだけ読もうとすると
逆にノイズが増えたりする。

また、紙には目には見えない微妙な凹凸や汚れがあり、
スキャナーではこれををも取り込んでしまう。

いずれにせよ白黒画像スキャンではノイズが多く入る、
というよりそれを元に原稿を作る場合、ノイズがまだらとなって印刷されてしまい
良くないので、これをいかに取り除くかが課題になる。

その方法は、1つはスキャナー側の各種調整(主にガンマー補正)で原稿は読むが
ノイズは少なくなる(0には出来ない)所を探すこと、もう1つは
画像編集ソフト側で取る方法である。
全部後者で行うことも出来るが、やはり前段階で調整していた方が断然楽になる。
この方法については後述する。

チラシの場合、600dpi(dot per inch=1インチあたりのドット数)で取り込むのが
良かった。300ではちょっと粗が出るし、1200ではデータが大きすぎて編集しきれなくなる。
まあ、使っているプリンター自体が400dpiなので、それが使えれば一番良かったんだけどね。

        ・・・

今度は他の取り込みの場合。私のスキャナーの使い方は、ほとんどが上記ちらし作りか
同様のこと(ポスター作りなど)なので、それ以外の取り込みは、実は余りしていない。
なので、以下の評価は実験程度の取り込み結果であることをあらかじめ考慮して欲しい。

色の再現性は良い。
これに解像度の高さがあいまるため、逆に、普通の印刷物を取り込むと
その粗やドットがはっきり見えすぎて汚く見えてしまうことがある。
たとえば本のカラー印刷は実はべた塗りではなく、
ちょうどプリンターで打ち出したように細かいドットからなっているが、
この各ドットが見えてしまうので、かえって汚く見えるのだ。
ちょうど虫眼鏡で印刷物を見たような感じである。
こういうときは解像度を落とせばよい。
解像度を上げると細かい線が出るようになるが、データ量が格段に増えるし、
このような問題も起こす。
何が何でも高解像度がよいわけではないという例だ。

プリントされた写真からの取り込みもおおむね良好。
ネガがない写真の焼き増しは、5200Fで取り込んでiP8600で印刷でだいたいうまくいく。
暗部の階調が飛んでしまいがちだが、仕方ないだろう。

        ・・・

フイルムスキャン。
ネガフイルムをデジタル化する機能である。
ネガを専用のホルダに入れてスキャンする。
デジカメもだいぶ画質は上がってきたとはいえ、まだ解像度や
ダイナミックレンジの点で銀塩には及ばない部分がある。
デジカメと銀塩をうまく使い分けるにはこの機能を使うと良いだろう。
まあ、ほとんどの人は過去に録りためた銀塩写真をデジタル化して
ネガを破棄もしくは深くしまい込むために使うのだろうけど。

スキャナでフイルムを取り込む場合、ダイナミックレンジが16ビット在るので
銀塩のそれをたぶん再現できるが、問題は解像度。
スキャナの縦横はプリンタのそれと同じで、A4なら短辺側が横、長辺側が縦となる。
以下しばらく特に注意しない限りこの基準で横:縦の順で記述する。

5200Fの解像度は2400*4800dpi、ということは横1インチ=25.4mmに
2400ドット、縦は同4800ドットである。
        横1mmあたりは2400/25.4= 94ドット
        縦1mmあたりは4800/25.4=188ドット
35ミリフイルムは25*35mmなので(25*188)*(35*94)=4700*3290=1546万ドット相当となる。
スキャナのCCDはデジカメのようにフィルタを付けて一度に複数波長読み取るのではなく、
静止画像取り込みなので複数回に分けて光源の色を変えてRGB別に読み取るので
デジカメのように実解像度が1/4されることはない。
(この理屈についてはDiMAGE Z1の紹介時に書いたので参照のこと。)

一方私のデジカメ DiMAGE Z1は320万画素1/2.7型。
有効画素数は1536*2048となる(デジカメのスキャナの縦横は逆なので注意)。
単純比較で、5200Fで取り込んだ35ミリフイルムの1/5の解像度しかないことがわかる。

ここ↓
http://arena.nikkeibp.co.jp/qa/parts/20040805/109197/
によると、1/2.7型CCDでは対角線長が6.6mmなので、これがデジカメでの横:縦比=4:3で
位置されているとして、三角定理より対角線を5、高さ3、底辺4の直角三角形になるので、
        5:4=6.6:横      横=4*6.6/5=5.28mmに2048画素
                        387画素/mm
        5:3=6.6:縦      縦=3*6.6/5=3.96mmに1536画素
                        387画素/mm
となる。1画素1ドットとするとdpiにすれば387*25.4=9830dpiというすごい数値になるが、
そもそも1インチ幅もないし、デジカメCCDの場合、被写体と密接しているわけではないので
無意味である。

ここのスキャナの解像度とプリンタの解像度の関係について良い説明がある。
http://www.nikon-image.com/jpn/support/guide/scanner/scanhang/
うちのカラープリンターキャノンのiP8600は横4800dpiだから、
それを活かすにはスキャナもそれだけの解像度で取り込む必要があるかと言えば
そうではないということである。
ここの説明によるとおおよそその1/3〜1/4。
従って、横1600dpi〜1200dpiで取り込んで入れば、ソフト側で変な縮小が入らないので
かえってきれいになる可能性もあると言うことである。

ここで縦横3ドットの根拠。
3*3=9ドットにインク8色+白の9色を配置できるのだから、
色の組み合わせは9の9乗=3.8億で、一般にフルカラーと言われるのは
24ビットで1677万色だから、プリンターの色再現範囲を考えれば妥当かと。

ここで用紙サイズを見ると
                横*縦(プリンタ上)
L版用紙        89*127mm     ふちなしを想定                             3.5*5インチ
A4            210*297mm    上下左右に5mmのふちを設定すると200*287mm   7.8*11インチ

だから、プリンターとスキャナの縦横を合わせると、
                横*縦(プリンタ上)
L版            4200*3000ドット
A4            9360*6600ドット

となる。300万画素デジカメの1536*2048(プリンタ縦横)ではまだ
L版で横1/2.7、縦1/1.4位なので、余裕?がある。
35ミリフイルムが2400dpiスキャナで取り込むと3290*4700だと書いたが、
解像度が縦横逆ならL版印刷にはちょうど良い位だと言えるのだが。

・・・話がだいぶそれたが、実際にフイルムスキャンを行った感想。
まずネガをフォルダーにセットし、それをガラス面中にセットする。
さらにスキャナ本体蓋部にあるシートを取り除き、ソフトで取り込みを指示する。
取り込みはかなり時間がかかる。1枚だけでも1分以上掛かる感じ。
それ以上に最大の問題は、取り込んだ画像の色がそのままではプリントされたものと
大きく異なること。

このスキャナにはArcSoftのPhotoStudioというソフトが付いているが、
その上で色味の補正をしなければいい色が出ない。
プリントと比較しながらの調整になるが、なかなか同じ色味にはならない。
もっとも、プリントの色味が正しいとも言えないので、
記憶を頼りに一番良さそうな色にしていくのだが、これはかなり手間が掛かる。
はっきり言って私は1枚であきらめた。
こんなの手間すぎる。ましてプリントがない写真ではもっと大変だ。

このときは結局プリントされたものを取り込んで使った。
他のフイルムスキャンもこんなもんかなぁ。

そうそう、フイルムスキャン時の解像度は、
        印刷用 300dpi
        表示用 150dpi
の2種類しか設定できない。
もったいない。

CanoScanToolBoxというソフトを立ち上げておけば、
本体にあるボタンを押すことで割り付けられて機能を実行できる。
標準では、コピー、スキャン、PDF、E-Mailとなっている。

PDF作成機能は、取り込んだ画像を含んだPDFファイルを作るだけ。
一太郎などからPDFファイルを作ると文字は文字として認識されるが、
この場合は全体が1枚の画像なのでそうは行かない。
ページの入れ替えなどは出来るので、紙の電子ファイル化という意味では
使えるが、サイズはでかいので注意が必要。
文字だけなら、後述のOCRソフトで文字化してから別のソフトでPDF化した方が良いかも。
もっともその場合、ページ編集が出来ないが。

コピーは、スキャンした物を即プリンターで打ち出す機能だ。
プリンターiP8600の紹介時に複合機を買わなかった理由に
スキャナーを先に買ったと書いたのはこれが出来るからである。
PCを立ち上げておく必要があるのは少々面倒だが、
そもそもコピー何ぞほとんどしないので問題ない。

私の場合、画像を直接メイルで送ることはないから、E-MailはOCRと設定し直している。
(画像ソフトなどにもそのような機能があるが、画像を直接メイルで送りつけるような
不躾な奴が居るのか?私なら速攻で削除するぞ。)

OCR化は付属のe.Typistエントリーで行う。
最初は期待していなかったが、なかなかどうして読み取ってくれる。
でもうちでは余り利用することはない。

他にもソフトが付いているが、使わないので紹介しない。

        お勧め度        89%

私の使う範囲においては特に能力的不足は感じない。
昔使っていた機種に比べれば格段の差がある。
価格的にも安いので十分ではなかろうか。

今までスキャナを何台も持っていた割にはほとんど使いこなす・・・
どころか単に使ってすらいなかったので、今度は十分使い倒したいと思う。

今のところ、ちらしづくりにおいては使いまくられている。
が、単にスキャンするだけならいざ知らず。付属ソフトの機能まで
一通り知るにはかなりの時間が掛かりそうである。

そうそう、後で紹介すると書いたモノクロ画像のノイズの取り方。
ジャストシステムの花子には「花子フォトレタッチ3」というソフトが付いているので、
これでの方法。

(1)画像-画像の色数で画像をグレースケール化する。
   スキャナーでモノクロで取り込んでも、花子フォトレタッチ3上のファイルとしては
   フルカラーのままなので、これを変換する。

(2)必要範囲にトリミングする
(3)ツールの同色選択で境界線をうまく含む様に選択する
   「うまく」選択するには、パラメーターの微調整が必要。
   これは慣れるしかない。
(4)F3を押し、マスク化する。
   (3)(4)を繰り返し、残すべき部分を細かくマスク化する。
   同士も同色選択では出来ない部分はマスクを手動で掛ける。
(5)画像全体を選び、図形の長方形にて白で塗りつぶす

おおざっぱだが、これで白部分のノイズはほとんど取れる。
後は逆に黒部分のノイズというか不均一さを取るのだが、それはこれの応用で出来る。
ただ、これで出来るのはあくまで「だいたい」なので、細かい部分は
手作業が必要。
だから、ちらしづくりは「努力と根性が必要」というのである。

後継機種は5400Fというらしいが、
これで使える「FARE Level3の逆光補正」という機能は、
5200Fでも最新のドライバーを入れると使える。
(これを書いている時点ではScanGear CS for Windows Ver10.1.5.0
/ CanoScan Toolbox 4.9.4.1 for Windows)
キャノンのサポートの所にあるので、気になる人は入れると良いだろう。
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