「FinePix 4700ZB」(2003/03/10号)
{商品紹介}

        デジタルカメラ
        「FinePix 4700ZB」
        富士フイルム製
        定価    ¥128000(税別)
        買値    ¥29800(税別)
                USB接続キット+ビューワーソフト+店の3年保証付き

以前からデジカメには興味はあったが、その画像から見て銀塩(=フイルム)
カメラには遠く及ばないので思い切れなかった。値段的にも高い。

しかし、ホームページを作るようになって画像が欲しいと思うようになり、
また会社のデジカメを借りてその限界を正しく理解するに至って、
「そのような物だと思って使えば使えるところはある」と思い、
それでも余り高いのは買えないのでいい物はないかと考えていた或る日、
会社の出張の途中のあき時間に、本当にたまたま入った店で
たたき売られていたのを見つけて買ったのがこれである。
・・・長い1文でしたな。

この4700Zは、2000年3月頃発売の機種で、ハニカムCCDと言う物を積んで
「200万画素だけど400万画素以上相当だ」等と言って他社の顰蹙をかった
機種である。
Bはその限定黒モデル。

値段を見ても解る通り、当時の最高級に入る。
それが新品で10万円以上安くなっているのだから、まさに
たたき売り状態である。
さらに、本体だけでなくパソコンへの接続キットも付いてだから安い。
(USBでの接続キットで16Mスマートメディア付き。
当時はこれだけで1万円ほどしたらしい。)

ただ、実用にはスマートメディア64Mクラスが必要と思ったので
1枚同時購入。
定価では¥5480らしいが、¥2980で。

そうそう、古いので、ユーザーカード(葉書)の無料期間が期限切れであった。
危うくそのまま出すところだった。

        ・・・

いろいろな情報や経験から、デジカメを買うなら200万画素以上と決めていた。
この4700Zは正味でも「一応」200万画素なので問題ない。

ここでなぜ「一応」と書いたかというと、実は画像として200万画素のサイズ、
だいたい1600*1400位がちょうどそのくらいだが、このサイズがないのだ。
サイズ選択は2400*1800、1280*960、640*480で、432万、122万、30万画素相当となる。
この機械の売りの200万画素のモードが実は「ない」。これが「一応」と書く
ゆえんである。

サイズ的に小さいとはいえ、画質的には1280*960のFINEにすると、驚くくらいに
きれいである。ハニカムCCDは構造上他の機種のCCDより1画素その面積が大きいため
感度が高い。それを十分に生かしている感じだ。
これなら撮影場所によって、画面上で見る限りにおいては銀塩に匹敵するとも言える。

が、しかし、2400*1800の432万画素モードはこれはCCDの200万画素を越える
=補正が入った画像なので実は画質が落ちる。
素直に200万画素をそのまま出すモードがないのが非常に残念だ。
(ハニカム配列なのでそのまま出せないのであろうとは思うが。)

これを買う前にこのホームページで出している写真を撮っていたのは
maxcell WS30 SLIMという機種で、640*400固定サイズである。
小さくて軽いのは良いが画質(と言うより解像度)は×であった。
少なくとも4700Zはこれよりかきれいである。

        ・・・デジカメの付いての感想・・・

どうも世の中にはデジカメをフイルムカメラの進化した形ととらえ、
まるでCD誕生でアナログレコードがほとんど衰退した(ただし日本のみ)かのように、
フイルムカメラも衰退する、デジカメがすべて取って換わるかのように言う人がいる。
将来的にはあり得るかもしれないが、現状ではまだほど遠い。
こう言う人は、実はフイルムカメラを(あまり)使ってないはずである。

この2者、使えば使うほどその特性が異なることに気が付く。
特に一眼レフフイルムカメラとはかなり違う。
残念ながら、(私に手が届く範囲の機種で)機敏さと画質において
デジカメはまだフイルムカメラには及ばない。

一番違うのは、シャッターチャンスへの対応だ。
デジカメはまだまだ遅い。ここぞと言うときにシャッターを押しても
その通りに撮れない。連写という意味ではない、最初の1枚だ。
このストレスはまだかなり大きい。4700Bでもまだシャッターを押してから
実際に撮れるまで1〜3秒かかっている。静止物体の撮影ならこれでもいいが、
移動物体の撮影はこれでは全くだめ。私は鉄道写真を撮るので
これは必要事項なのだ。よく動く子供の写真、風のある野外での草花の撮影でも
ぶれてしまう(連写機能を使えば若干解消されるが、ねらったところで撮れない
という意味では本質的な解決ではない)。

明るさへの対応もまだまだだ。
デジカメでも昼日中の撮影ならきれいだが、ちょっとでも暗めになるともうだめだ。
CCDは画素数が増えればふれるほど1ピクセルごとのサイズが小さくなってしまい
受光感度が下がるという宿命を持っている。このため、電気的増感をしなければ
300万画素でISO100相当にしかなれないのだ。
(600万画素になるとISO80程度まで下がってしまう。
ハニカムCCDは構造上同じが素数でも普通のCCDより1ピクセルの大きさが
大きくなるが、それでも不十分。少なくとも第一世代のものでは。)
電気的増感をしてISO200/400/800にするとノイズが増える。
(このカメラではISO200/400/800相当となっている。)
デジカメではフラッシュの使用を前提とする必要がある。
(だからどんな安物にもフラッシュがついているのか?)
ということは、自ずと撮影できるものが限られる。

この差を埋めるにはまだだいぶかかるだろう。
特に明るさへの対応の問題は、画期的な技術革新がないと解決できないと思う。

デジカメ→プリンターの印刷がプリント並みだという人もいるが、
これも「そうか?」と思う。
仮にそうできるプリンターがあったとしても高い。
いや、プリント専用のプリンターなら比較的安くてきれいであるが、
この用途にしか使えないし、サイズも固定される。
結局、フイルムカメラと同じ画質を得ようと思ったら、かなりの投資が必要となる。
エプソンなんかはフイルムより安いなどと言っているが、
A4サイズ以上ならともかく、普通のプリントサイズでは元が取れないはずだ。
インクも高いし。
普通の人がそんなにA4サイズ以上で打つか?

思うに、フイルムからで撮影した映像はそれ自体がそのまま作品になるが
(プロの人は違うんだろうけど)、デジカメは撮った物は一時利用か
その後加工に使うか、素材的要素が強い。
ホームページで公開するのも、結局はホームページの素材としてである。

でも、デジカメもいわゆる安もんフイルムカメラに比べたらいいところまで来ている。
画質と操作性において。
(「うつるんです」のような使い捨てカメラは別。あれは純機械なので反応はいいし、
意外にも画質が良い。)
でも価格的には安もん銀塩の方がずっと安い。

逆に、デジカメにはフイルムカメラではできない芸当もある。
どうでも良いような撮影の方が多いと思われる場合には、
デジカメの撮ってすぐ見て捨てることも出来るというのは便利だ。
また、これは一部の人には重要であろうが、現像にはちょっと出しにくいような
画像を撮れる、というのもあるだろう(でも犯罪に使ってはいけないぞ)。

その他、手前の撮影物遠くの背景ともにピントが合いやすいとか
(これはかなりすごい。)、
1回のシャッター押しで明るさを何段階か変更しながら撮影できるとか、
色調の変更を行えるなどだ。
試し撮りにはもってこいである。

デジカメはデジカメ。
これに過度の画質などを求めたらいけないし、
それぞれの特性をよく知って使い分ける必要があるのだ。
要するに、デジカメはデジカメとして割り切って使う必要があると言うことだ。

やはりここぞというところでは銀塩を使い続けるだろう。
でもホームページに載せるとか、年賀状で使うとか、
そういう場面ではデジカメだ。

        ・・・

私の主な撮影対象は、現在のところ野辺に咲く花と鉄道である。
野辺に咲く花とは、主に雑草の花であるが、ここでは接写=マクロ撮影を
使う。4700Zではマクロモードで20cm位まで近づけるが、
残念ながらピントがはずれることが多い。マクロ+自動フォーカスがだめなのだ。
だから、マニュアルモードで細かく合わせるか1対象に対して何枚かとって
いいのを選ぶしかない。
時間的余裕がなくて1枚しか撮れず、後で「残念」になった花はかなり多い。

鉄道に関しては先に述べたが、何せシャッターを押してから実際に撮れるまでに
時間差があるので、これを考慮してシャッターを押さなければならないのが難点。
4700Zの大きな欠点の1つに、シャッターを押すとき液晶画面に映っている画像も
止まるのであるが、これが撮像と異なることにある。
写ってない画像がそこにあるので、勘違いしてしまうのだ。

これを買ってからは、いつも持ち歩くようにしている。
携帯性という意味では、小さくまあ軽いと言えるのでよろしい。
(予備の電池必要なのでそれが重いけど。)

何か写すようなものないかと見るようになってからは、
自然と周りのものに気がつくようになった。
基本的に撮影対象は自然物か列車のみであるが、
道ばたにも結構きれい花が咲いているものだ。
今まではあまりに小さく気づかなかったが、今はそれを見つけるのが楽しみだ。
こういうとき、田舎に勤めている良さを感じる。

ズームは光学(レンズの移動ね)で3倍、さらにデジタル処理で拡大出来る(倍率不明)。
一般にデジタルズームは絵がぼろぼろになるので使い物にならないが、
このFINEPIXのは使える。最高解像度(2400*1800)の時は
使えないことから予想されるが、このカメラの売りの「432万画素相当」への
画像補完処理を使っているためらしい。

        ・・・

たたき売りになっている理由は、後でいろいろ調べて解ったが、
「電池の持ちが悪い」と「画質が悪い」と言うことらしい。
デザイン、操作性、速度に付いては余り文句は聞かない。

確かに電池の持ちは非常に悪い。
フル充電でも良くて60枚、でも30枚も撮れないことがある。
10枚程度でアウトになることもあった。
最近の機種が1000枚以上が普通なことから考えるとそのひどさがわかる。
よく写す人であれば、これはもう使い物にならないだろう。
私のように毎日せいぜい10枚、予備電池常に携行でようやく何とかである。

電池の減りを示す表示は一応あるのだが、これがええ加減で使い物にならない。
1枚前までフルだったのに、急に無しになることが多い。
(これがこのカメラで使うニッケル水素電池の特性、とも言えるが。)
フル表示の時は大丈夫、というくらいにしかあてにならない。
後どれくらい持つというのはわからないのだ。
また、切れるとレンズも動かなくなるので、最悪レンズが飛び出たまま
ということもある(書き忘れていたが、このカメラでは
撮影時にレンズが飛び出す構造なのだ)。
撮影モードで電池が切れるときはレンズを引っ込めてから切れるが、
撮影モードから再生モードに写るときは引っ込めないため、
その状態で切れるとこうなるのだ。
このあたりは設計ミスであろう。

電池の持ちに関しては、この機種に付属の電池=ニッケル水素電池
の特性も知っておく必要もある。
ニッケル水素電池にはメモリー効果というのがあって、十分に放電し、
また端子をきれいにしておかないと、フル充電できていないのに
充電できているかのように振る舞うことがある。
こうなると、最初は使えてもすぐに使えなくなってしまう。
このため、充電時には端子をきれいにし、また充電器にはめるときは何度か
抜き差しした方がよい。最初はこれがわからずになんと1枚もとれないままアウト。
最近は、「電池切れ」と表示された電池はその後懐中電灯に入れて完全につかなくなる
まで放電させてから充電するようにしている。こうすれば完全放電からのフル充電
なのでメモリー効果も出ずにめいっぱい充電される(はず)。

慣れないと非常に使いにくい。
これに懲りたのか、この次の機種ではリチウムイオン電池に変更された。
(撮影可能枚数的にもかなり改善されている。)

普通充電器では13時間かかるが、
予備電池が2セットあれば大丈夫。4本¥1580くらい。
急速充電器は電池4本付きで¥3980くらい。
(ACアダプターは¥3180。)
結局は急速充電器を買ったけどね。単に急速なだけじゃなくて
現在の充電状態などを調べて最適な充電してくれるとか、
過充電しないなどの機能もあるので。

最近気づいた問題としては、連写時のデータの保存方法がある。
このカメラには3枚連続で撮影する連写モードがあるが、
実はこの連写モードで撮影した画像はすぐにはメモリーに保存されない。
いったん画面上に縮小表示され、それで良ければ決定のボタンを押すことで
初めて記録されるようになっている。
ところが、その決定の前に再生モードに移行してしまうと画像が消えてしまう。
再生だけでなく、撮影のモード切替でも同じである。
せっかく撮った物が台無しになることもあるので要注意である。
モード切替の時に警告音でも鳴ればよいのに。
(これに気が付かずに「あれっ、撮ったはずの画像がない!!」という目にあった。)

インターネットで調べると、
この電池の他にも先に書いた200万画素モードがなく最高モードにすると画質が悪いなど
についてはかなり酷評もある。
そのほか使ってみてわかった画質的問題点を言えば、
・白飛びしやすい
 画面中に白があるとそこが焼けて真っ白になりやすい。
 テーブルクロスの引いてある机の上や白い壁の部屋でフラッシュをたいて撮影すると
 ほとんどだめになる。フラッシュ光量を下げればいいのかもしれないが、面倒。
 画面内で明るさ=輝度の変化が大きいとうまく調整しきれないようである。
・暗い(とはいっても蛍光灯で普通に見える)部屋の中でフラッシュをたかずに
 撮影すると画像全体が黄色くなる。
 人の目には十分の明るさに見えても、少しでも暗いかなと感じたらフラッシュを
 付けた方がよい。ところが、フラッシュをたくとその後液晶に黒画面が表示される
 (ブラックアウトする)のがこの機種の欠点である。
・マクロ撮影でピントが合わないことが多い
 特に画面真ん中に青いものを持ってくるとほとんどだめ。
 青い小さい花を撮影するとほとんど失敗するのだ。黄色も失敗しやすい。
 しかし紫はうまくいく。青色にピントが合わないのか?

などがある。このあたりは気になるのだが、こういうことはまず1台使ってみなければ
わからないことだから、勉強機種としてはしょうがないこととしよう。
今度はいい機種を買えばいいだけである。
(わからぬまま最初から大金を出すのは買い方としては良しと
思わない性格である。)

後、銀塩の安もんカメラに付いている機能はすべてはいっていると考えて良い。
オートフォーカス、自動露出(何種類かのプログラムあり)、
シャッタースピードは3秒から1/2000秒(当然バルブは無理ね)、
セルフタイマー、フラッシュ(自動、強制、シンクロ、赤目軽減)等は当然ある。
での、このセルフターマーは少々使いにくい。
デジカメでは自分を撮影することも多い。
こういう場合、セルフターマーの連続使用になるのだが、
これが2キー押しなので不便なのだ。リモコンで出来るようになると
非常に便利なのだが(CCDは赤外領域も写るから難しいのかなぁ。
なら超音波式リモコンを付ければいいのに。高いのか?)。

そうそう、こいつは一応動画撮影も出来るが、こちらの画質は
端から期待してはいけない。
また、暗ら目(蛍光灯を付けている部屋の中)部屋で撮影すると、
しょっちゅう輝度が変わって=しぼりが変化してしまい見づらい。
やはり動画の撮影を主とするならデジタルビデオである。

200万画素でこの価格は、モデル落ちならまあ普通だし、
4700Zに関して言えばこの値段も、インターネットで調べても
これ以下はなかったので、一応お買得と言えるだろう。

        お勧め度        48%

29800円くらい出せば、1モデル前くらいの200万画素クラスでいろいろと
選べるようになっているので、やはりそちらの方がいいだろう。
デジカメは進化が速い。2モデル前ではかなり見劣りする。

4700Bは特に電池の問題と画質の問題があるので、
思いっきりおすすめはできない。
ただ、この値段クラスの機種はたいていプラスチック筐体でちゃちなので
そういう意味ではこのアルミ筐体は高級感があって良い。
デザイン重視の人にはいいかな?

ただし、アルミといっても柔なので、落とすとへこんでしまう。
一度ソフトケースに入れたままだが落としてしまい、電池蓋が曲がって少し締まりが
悪くなってしまった。
気を付けて。

        ・・・2003/10/28追記・・・

やっぱりこの機種電池持ちがべらぼうに悪い。
充電したて電池でも1枚も取れないことがあった。

再生は可能なのに撮影が出来ないところからすると、撮影時にやたらと電力を
使う模様。従って、ちょっとでも電圧が落ち、電流が絞り出せなくなった
電池は使えない。
ところがこのような状態の充電池は、このカメラ以外から見るとまだ十分に
充電されている状態なので、このまま再充電するといわゆるメモリー効果で
あまり充電出来なくなる。

ということで、このカメラで充電池を使うと電池自身もだめにするので、
カメラで使えなくなったら、他の単3機器で完全放電してから再充電
するしかない。

・・・ってそんな面倒なことしてられるかい!
発売当時ならまだしも、今この機種を買ったらだめ。
「私は実使用しない、デザインだけが気に入ってるんだ!」
という人以外には、いくら安くてもおすすめしない。

        現時点でのおすすめ度    0%
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