「ゲイツ98」(1998/06/19号)
某ゲイツ窓98が近日発売とか。

「基本ソフト」とは言いながら、NHKまで宣伝に一役買わせるのだから、
まあさすがはゲイツというところか。

その日本語版の発表に、パソコンメーカーの社長が出てくるのはありがちとして、
ゲイツ自ら日本に乗り込んでくるのは、どういうことかというと、
それは彼が日本を大変重視しているからに他ならない。

実は95はアメリカでは思いの他売れておらず、今でも3.1の利用率が高い。
これは、95が多くのハードウエア資源を要求するわりに遅い、よく落ちる
という状況があるからだ(アメリカでは未だに486DX2クラスのマシンが
現役なのだ。まあ、普通に考えればそれが当たり前だと思うけど。資源を有効に使わ
なきゃ)。
それに引き替え、日本では、一部の優良企業(=物事を良く知っている)を除き、
多くが95に乗り換えた。

日本人は新しいもの好きというか、長いものに撒かれろが好きというか、
大企業が好きというか、「マイクロソフト」というだけで信用するお利口さんが
多いのでこういう状況になる。中には「マイクロソフト」というだけでほいほい
入れてしまうような「ア!ストライク」のような輩までいる始末である。

これはパソコンを作っている会社に取っては有り難いが、それ以上にOSを作っている
ゲイツ君には有り難いことなのだ。従って、彼が日本語版を大切にし、
発表のためにわざわざ来るのは当然なのである。
日本はお御得意様なのだ。
(この状況は95だけでなく、Windows−NTやExchange等も同様。
アメリカではそんなに売れてないんだぞ、両方とも。)

んがしかし、今度の98ははたして95のように爆発的に売れるかどうか。
(95っていうのは、あのドラクエよりたくさん売れたんだぞ。)
3.1から95への変化は見た目もそうだったが、中身も結構すごかった。
(まあ、それだけにソフトの互換性の問題も大きかったのだが。だからS社での
95化でもえらく苦労したのだ。)
だからそれなりに換える価値はあったと思う。

が、今回の98はどうだろうか。ゲイツ曰くほとんど作り直しに近いというが、
それはユーザーには解らないし、見た目もほとんど変わらない。
立ち上がりが速くなるとか、新しいインターフェースが使いやすくなるとか、
いろいろ言われているが、その反面95より速いCPU、多くのメモリーを
必要とする。それは取りもなおさず、今のままのマシンでは遅くなるから
さらなる投資をしろ、ということだ。

95の時、それに釣られてマシンを新規購入もしくは買い換えた人が多かった。
でも、それに見合った効果があった人ははたしてどれだけいただろうか。
私が思うに、少なくとも50%の人は床の間の飾りものになったのではなかろうか。
もしくは家にまで仕事が入り込んで、さらなる苦労をしょいこんだか。
こんな役に立たないものにさらに投資をする人は少ない。

さらに多くの追加を必要とすることが解り、コンピューターが車と同じく
持っているだけでお金がかかるもの、と理解しただけであったろう。
有効利用されているマシンは少なく、使われる前に捨てられるマシンは、
環境問題まで起こす状況である。

95化によってSOHOなども容易になったが、95のままでも十分なのが現状で
ある以上、98の売れる見込みは余り無いのだ。
(誤解の無いように言っておくが、いわゆるSOHO=Small Office Home Officeは
95があったから出来たのではない。ISDN等の速い通信手段が一般化したこと、
それよりもなによりも、それを求める・認める社会的環境が出来たからである。
95の登場は、それが通信環境と整えるのが楽なOSであった、というだけである。)

こういう状況である以上、98が爆発的に売れるようなことはないと言える。
PCメーカー社長達が列席したのは、まさに売れることを期待してであるが、
現在の不況云々は抜きにしても、もう少し頑張らんと売れないよ、
他人任せの状況で売り上げを大きく延ばそうなんて、甘い!ということである。
本当に数を売りたかっから、プレイ・ステーションのように良いソフトを揃えなきゃ。
使いたいものがそれえば、買いますって。

ということで、うちのマシンも一応「98対応」とは書いてあるが、
事実上動かないと思うので入れる気は全く無いのでありました。

おしまい。
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