「バーチャルアイドル」(1996年05月14日〜05月15日号)
最近のCG(コンピューターグラフィック)の質はすごくて、
有名所では「ジュラシックパーク」や「ジュマンジ」では
恐竜や動物がCGなんだけど、ほとんど本物と見分けが
つかない状態である。(もっとも恐竜の本物は見ることが出来ないけれど。)

動物をCGで現すのは比較的簡単なんだけど、人間の場合はそうはいかない。
なぜなら、人間は「部分」が多くて細かいからである。
また、動きも他の動物に比べて複雑だから。(顔の表情なんてすごいもんだ。)
(まだ「TOY STORY」程度が限界。)

でもそういうものも何年か後にはクリアされて、人間も含めて完全なCG映画が
出てくるかも知れない。
いや、映画はともかく、どこぞのCMなんかはそうなるかも。

そういう時代には、CGで作られた仮想のアイドル「バーチャルアイドル」が
出現するかも知れない。勿論、彼女がCGであることは極秘で、
生年月日などの情報がすべて作られる。いかにも実在するかのようにだ。
でも、TV以外の活動はいっさい秘密のアイドル。

バーチャルアイドルのはしりといえば、「メカゾーン23」の「EVE」が
最初だろうけど(あぁ、マイナーなネタ)、本当にそれが出来そうな気がする。

「それくらい別にいいんじゃない?」と思うかも知れないけど、
それはそれで恐ろしい問題もある。
(その問題を提起したのもEVEだったなぁ。)
それについてはまた明日。

        ・・・

実際の姿が秘密の謎のアイドル「バーチャル・アイドル」。
今の芸能界は、プライベートなことまで全部暴露されている状態の中で、
1人だけまったくプライベートがわからない、というのは
大きな魅力になるかも知れない。
人の想像が膨らむとすごいですからな。

でも、それがなぜ危険をはらむのか。
これは、ヒーローやヒロインの影響力というものによるのだ。

戦時中には、アイドルなどがいろいろな戦争賛歌を歌っていた。
これは日本だけではなく、他の国でもそうだし、
歌手や俳優のの戦地慰問なんていうのも、考えてみれば危ないだけで
何の戦力にもならないようでいて、実は戦士の意気を高めるという効果がある。

多くの一般的市民にとって、国の言うこと、役人の言うことは聞く耳持たず
であっても、ヒーロー・ヒロインの言う言葉にはなぜかしら聞いてしまう
ところがある。

なぜなら、実在の人はその意志によって戦争を反対することもできる。
ところが、バーチャルアイドルはコンピューターによって作られた
仮想の人格だから、それは操作する人間によってどうにでも動くのだ。
「都合の言いように動くアイドル」なわけだ。

こういう者が、一般民衆の心を知らず知らずの間に、それを操作する人間の良い様に
仕向けていくとすればどうだろうか。
これがバーチャルアイドルの危険性なのだ。

今はまだ出来ない。
でも、近い将来出てくる可能性は十分にある。
そのとき、どのようにして対応するのか。
やはりそれは「自分の意志を持つ」ということしかないであろう。
マスコミやヒーロー達の言葉は自分の意志ではない。
どの様な時にも自分で判断し、行動する意志が必要なのだ。

今でも本やマスコミの言葉をそのまま鵜呑みにする馬鹿が増えている。
近くにもほらあそこに・・・
くれぐれもそうならないように。
<戻る>