「低公害」(1993/9/18号)
今日テレビを見ていたらこんなことを言っていました。

    「世の中の公害の半分は車が原因です。」

だから低公害車をもっと普及させるように努力しましょう、
ということだったのですが、果たしてこれは正しいといえるでしょうか。

決して間違ってはいません。
特にここで言う「車」の中にバイクが含まれている場合はまったく
正しいといえるでしょう。

「公害」といい概念に大気汚染の他に騒音や心理的なものも含めると
「車」のもたらす悪影響というものは計り知れないものがあります。
(心理的というのは、車という生身の自分をはるかに超越した力を得ることで
自分が強くなったような気がして、周りの迷惑を考えずに我侭をするということ。
車に乗っているバカはこれによる公害。車に乗ったら性格が変わるというのは
ずばりこれ。)

ここで言う「車」のなかにバイクが含まれていないとすれば、これは大きな誤りです。

車の中でも自家用車のエンジンというものは、現在のガソリンを燃やして動力にする
エンジンの中では最も効率がよく、排気ガス中の大気汚染成分濃度はきわめて
低いものがあります。さらに、意外でしょうが、低燃費車より高馬力車の方が
低くなります。それは高馬力の方が完全燃焼に近くなるからです。
完全燃焼すればCO2は出てもNOxという窒素酸化物はあまり出ないものなのです。
(排気ガスを引き込んで自殺するのはNOxが原因ではなく、酸素不足=CO2中毒に
よるものです。NOxは目やのどの痛み等直接的な被害が出る成分です。)

ところがバイクというものには排ガス規制がありません。
このため実は自家用車よりもバイクの方が排ガス中の有毒成分が多いのです。
もちろん、バイク排ガスの量や、その台数は車に比べ少ないですが、
だからといってそれを無視するわけにはいきません。
バイクといても原付きもありますから。

世の中には牛や羊ののゲップが大気汚染になるといっている学者もいるようですが、
そんなものよりこちらの方がもっと大きな問題になります。
にもかかわらず余り注目されていないのは、匡体が小さいとか人が見えるとか
そういうことによるのでしょう。

日本の自家用車は世界でも一番厳しい基準をクリアしていますので、有毒成分は
一定以下にあります。だからといってそれが大気汚染の元にならないというわけでは
ありませんが、自家用車だけでなく他のものに対してももっともっと厳しく注意すべき
であると思うわけです。

でも今一番悪いのが商業車やディーゼル車かな。(実はこいつらが一番いけない。)
ディーゼル車全廃賛成。

    ・・・2003/05/19追記・・・

実は、ディーゼル車も燃料の軽油を厳選し、黒煙の対策をすれば
二酸化炭素の排出量はガソリン車よりも少なくなるので良い。
まあ、理想的内燃機関とされるカルノーサイクルに、ディーゼルの方が
近いのだから当然だとは言える。
実際にヨーロッパではそういう方向であると聞く。
今日本ではディーゼルは乗用車では風前の灯火であるが、
復活の可能性がないわけではない。
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