「素人学芸会」(2002/03/11号)
金曜日の夜、某CHでやっている「ミュージック・ステーション」
という番組を見た。

        「!!」

最初素人のカラオケかと思った。
ひどい。いくら最近の歌手が下手だといってもこれは。
民放は無料だから許せるけど、これで金取られたら怒るぞ。

極最近の若い歌手は歌が下手な分を踊りで誤魔化しているけど、
その踊り、いやあれは「踊り」じゃなくて「動き」だな、
にしても単調なので、振り付けというものには程遠い。
さらにその上、最近の連中は肌が汚く、それを隠すためか化粧もひどい。
子供の落書きのようだ。
はっきり言って、聞くにも見るにも耐えない。

別に歌が下手なだけなら構わない。
昔だって、例えば「八時だよ全員集合」でも新人歌手が出て、
下手な歌を聞かせていたのだから。でも、今ほど下品じゃなかった。
それは下手な子は下手なりに一生懸命なのが解ったから、
応援したくなったからだ。

ところが今の若手というのは、何か勘違いしているようで、
自分がうまいと思っているか、ただ単に人気が出れば良いと思っているか、
若気の至りとしては許されるが、ダイヤの原石の輝きというか、
本物になる光はかけらもない。

ちょくちょくメンバーが変わ(増え)ても平気で継続している
グループがあるが、それを見えに付け、そう思う。
子供の寄せ集めだから、代わりはいくらでも補充出来る。

まあ、本人達はまだ良しとしよう。
もっと許せないのはそういう連中の歌を、非常に悪い音で録音して
売りまくっているレコード会社の方だ。

一度「モーニング娘。」という連中の曲の録音を聞かせてもらったことがある。
余りの汚さに絶句し、最後まで聞けなかった。
録音が悪すぎるのだ。
たまたまこれだけかと思っていたが、どうもいろいろ聞いてみると、最近の
日本の若手の録音は軒並み駄目らしい。

どうやら、聞く側の年齢層を考慮すると、聞かれるのは大凡ラジカセであり、
最近のラジカセはまた音が滅法悪いので、それで聞いた時に
そこそこに聞こえるように音を細工してあるのだそうだ。

こういう話をすると、「最近の若い歌手は映像と合わせて何ぼだから・・・」
という連中がいる。確かにそういう歌手は歌だけでなくその動きと共に
評価しないとまともに評価出来ないのかも知れないが、
だからといって、売っているCDの録音が悪くて言いという理由にはならない。
映像付きでも音は重要だ。いや、もし絶対に映像と共に評価しろというなら、
音声だけのもの、CD等を売ってはいけない。

要するにだ。安作りの素人まがいの歌手だから、そんなに金を掛けられないのだ。
また、どうせ速く消えるから、言いものを作ってやろうという気もないのだ。
適当に作って適当に売るということ。

こういう状況で「CDの売り上げが落ちている」と言って騒ぐのだから、
本末転倒である。この理由をCDのコピーのネット配信にあるという。
それもあろうとは思うが、本物でないのだからコピーしてやろう、
そう思うというのもあるのではないだろうか。
コピーしても変わりない音であるとも言える。
本物で、感動する歌なら、買おうと思うはずだ。

偽物で誤魔化そうとするのは、別に音楽業界だけではない。
最近話題(?)の食品業界を始め、いろんな業界でそうなっている。

そもそも日本でこんな偽物が増えたのは、戦後日本が資材がなく本物を
作り出せない時に、せめて本物らしい物を作って心だけでも満足しようとした
先陣の知恵の末路である。
その当時、それを作ったことを責められない。むしろ素晴らしいことだが、
本物が作れる時代になっても、利益が上がる故にそれを続けてきた
企業の醜態が今の世の中である。

本物を知らずに育った世代が本物を見極められないのは道理だが、
本物は一度知れば直ぐに解る。
紛い物はしょせん紛い物だ。

最近は幸いなことに「本物」の情報が手にはいるようになった。
少しの努力で本物が手に入るようになり、また本物を知り、それを望む人も増え、
高くてもそれに投資する人が増えてきた。
それによって、本物を作り続けた人の苦労もむくわれるようになってきた。

日本が偽物が充満する世界で終わるか、本物を見きわまる国になるか。
その重大な瀬戸際が、今来ているように思われる。
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