「ノーベル賞受賞に思う」(本誌未公開新ネタ)
昨日(今日は2002年10月10日)の小柴昌俊さんのノーベル物理学賞受賞に続いて
今度は田中耕一さんのノーベル化学賞受賞が決まった。非常にうれしい話である。
しかも田中さんは京都の民間企業の人だけになおさらであった。

この田中さん、社内では「変人」と言われているとか述べていらしゃったが、
はやり何かしら事を為し遂げる人は「変人」でなくてはならないと再認識した次第である。
私が常々言っていることが、またも証明されたようでうれしい。
偶然ではあるが、夜のNHKでやっていた人間ドキュメントで、ディーゼルエンジンの
改良に取り組んでいる人も「他人に笑われるアイディアじゃなくては真のアイディアではない」
と言っていた。他人から変だと思われる考えこそ進化なのだと言うことだ。

変人とは、要するに他人とは違った考えで行動できる人のことである。
普通=同じ考えの人は、今あるものの継続は出来ても新しいものは創れない。
世の中を動かすのは常に「変人」なのである。
「変人」とは、言う側にとってはさげすみの言葉なのかも知れないが、
言われる側にとっては「勲章」なのである。
世の「変人」たちよ、時代を動かすのは我々である。

こういうこと言うと、今の若い連中の中で突飛な行動をしている奴や奇抜な格好をしている奴らが
喜ぶかもしれないが、それは勘違いだ。

世の中に対して否定や反抗しているだけの奴はなんなる適合不全なだけであって
ここで言う「変人」ではない。規則を破ること、目立つだけのことではだめなのだ。
信念を持って追求し続けること、何かを成し遂げることが大切なのだ。
そのために他人がそれを理解出来なかったり、つきあいが悪かったりすることで「変人」と
呼ばれても、それは仕方ないことなのだ。そこの所は間違ってはいけない。

今回の2つのノーベル賞をもって「日本も捨てたもんじゃない」とか
「日本のレベルアップの証拠」とか言っている奴らもいるが、それもちょっと違う。

田中さんは43歳で、ノーベル賞受賞者としては若いが、普通に考えればそんなに若くはない。
田中さんが若かかりし頃から私の頃(昭和50年代)は、まだ教育はまだなっていた。
しかし今の小学校の教育を聞くと愕然とする。競争がないのだ。
テストで悪い点数でもやり直せばいい点を上げるというのは、
やり直しをする分良いことだとは思うが、運動会でかけっこがないとか、
成績も5段階評価でないとかなのだそうだ。
これじゃあだめだ。

競争すれば出来ない子が差別されると言うことのようだが、これは全くもって
勘違いも甚だしい。こういうのは出来ない子に合わせるだけの教育劣化だ。
これでは出来る子がのびないし、出来ない子もそれで良いと思ってしまう。
かけっこで早いことを誇りにしている子どもはどうなるのだ。
何か1つでも得意な科目で良い成績を取ることに自信を持つ子供はどうなるのだ。
そういうこの自信の元すらつみ取ってしまうのが今の教育評価法なのだ。
要するに、子どもの真の心をつかまずに、大人の頭で考えた子どもの
評価を押しつけているだけなのだ。

出来る子はドンドン伸ばす、出来ない子は出来るものを捜してあげる。
人誰しも何かは出来るものだ。それが学校教育の範疇でなかったとしても、
それを捜し伸ばして上げることこそが必要なのだ。
それぞれの子どもが、何かの得意を見つければ、総合的な点数の善し悪し等関係ない。
すべての子どもが同じことで競う必要も進む必要もないのだ。それでは人が多くいる必要がない。
違う道をみなが進むからこそ、全体としてまんべんなく優秀な社会になるのだ。

腐った今の教育を受けている子どもらが社会に出た時、田中さんと同じ業績を上げられるか。
無理であろう。それはもう、今の20代前半の連中の行動を見てもわかる。
目標がないからフリーターなんて責任のない、続ける必要のない職業形態を取るのだ。
フリーターは仕事じゃない。職業形態だ。何をすればいいかわからないから
今はとりあえず・・・なんて言っている内は絶対に何も出来ない。
何かの職業に就き、やるだけやったがだめ、もしくは合わないなら転職することは
全く問題ではない。しかし最初から中途半端にしかやらないのは問題、
というより話にならない。

今の日本技術はある意味最後の盛りといえるかも知れないのだ。
この後後継者が出なくては、今の喜びは単なるぬか喜びになってしまう。
とにかく、今の内に教育改革を行わないと、今が日本のピークで、
この後は経済も、技術も衰退するしかない。

ノーベル賞は喜ばしいことだけど、日本の将来に対する警鐘であるとも言えるのだ。
そのことをしっかりとらえなければならない。

    ・・・

それはそうと、将来「ノーベルオタク賞」なんぞ出来たら、
私が受賞出来る?
ただの「変人」じゃ無理だって?
う〜ん。
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