「DIATONEがなくなった」(2000/09/24執筆)
ダイアトーンといえば、知る人ぞ知る、三菱のオーディオブランドだが、
特にスピーカーでは有名であり、放送局などにも入っているらしい。
私も10年前、今のステレオセットを買うときには、そのスピーカーを
候補に入れていた。結局はJBLという会社のにしたのだが。
現在手持のものでは小さなサラウンド用スピーカーだけがそうある。
(カセットデッキがA&D=AKAI&DIATONEだが)

が、このブランドがなくなったらしい。1999年の8月で。
正確には放送局向けとカーオーディオおよび、自社テレビなどのスピーカーの
ブランド名としては少し残るようだが、一般家庭用の単品売りはなくなる。

欲しいなら、後は今お店にあるものを手早く探して確保するしかない。
私には今すぐ欲しいものはないが。
何にしても、伝統有るオーディオブランドがなくなるのは残念である。

確かに今はオーディオは苦しいだろう。
一時期のオーディオ不況までではないだろうが
(あの時は山水が外国資本の傘下に入ったし、AIWAが高級オーディオを止めたし、
他のメーカーも軒並みオーディオ部門をなくした)、
今の不況のあおりであろう。
変な会社がつぶれるのはいっこうにかまわないが、
こういう由緒ある、良い物を作るところがなくなるのは実に残念である。

最近は映像ではDVD−Videoが出来、テレビは間もなくデジタル放送に移行し、
音楽でもDVD−AudioやSuperAudioCD(SACD)が出てくる。
「ホームシアター」というものもよく聞く言葉になってきている。
しばらくぶりに音響関係に活気が出てきていると思える。

SHARPのように、一時に高級オーディオから撤退したメーカーが
再度参入するなどという動きもある。
これはオーディオデバイスのデジタル化がもたらした結果であると言えるが
(デジタルはアナログ程感と経験は重要でないから、数学的知識だけである
程度作れるのだ)、良い傾向であることには違いない。

この勢いでそちら方面が盛り上がってくれることを切に祈るのである。
私自身、AWM購入以来、久々にオーディオづいている。
DVD−VideoはPS2でも見えるらしいのでそれを待つとして、
テレビは買い換えたし、その前に、ひさびさにいろいろなCDを買っている。

はやり音楽を聞いている時は落ち着く。
というよりも、落ち着いていないと音楽をじっと聞いている余裕がない。

「日本人は働くなくなった」とか言われるが、それは根気がなくなったとか
不真面目になったということだけではないだろう。
精神的に局限に近い状態で仕事することが多く、疲れていることもあろう。
最近の余りに早く、大きな変革は人を疲労させる。
そういう時に、良い音で音楽を聞くことは気を落ち着かせることになって
疲労を和らげよう(もちろん、それなりの音楽を聞く必要があろうが。
クラシックや演歌なんて良いぞ)。

そのために出費を出来るかどうか。
それも精神的余裕のあり無しに関わると思うが、
ちょっと位自分のために、こういう投資も良いのではと思うのであった。
自分のための投資といって、「生涯勉強」のためだけというのは、
何か嫌である。
勉強しないでも、しないなりに「賢く」なる方法はある。

まあそういうことはおいとくとして、折角の音楽が必要とされる時代に、
それを「鳴らす」ものを作るメーカーがなくなるのは非常に残念である。
(なくなったのはメーカーじゃなくて部隊だけど。)

日本のメーカーが、目先の利益をだけを追わないで
じっくりと良いものを作る、感性にかかわるものを作るように
なって欲しい、そう思うのである。
その心の余裕こそが、今の不況からの脱出の第一歩ではないかとも。
(「お金が無いと余裕が無い」というのは、一種の言い訳だと思うのだ。)

いつか、ダイアトーンが復活することを祈ろう。

追伸:
スピーカーのダイアトーンはなくなったが、その割に三菱は映像系には
大いに強化をしている。久々に力の入った新型ビデオも出たし(でも世間の評判は
今一)、3管プロジェクターという、大画面写す機械等も作っている。
―寸このあたりのちぐはぐな政策が解らんところではある。

さらに追伸:
しかしこうした中、三菱のTVの欠陥問題が騒がれているようである。
最近の機種ではなく10年前の2シリーズ6機種だけらしいが
(ということは、私が前のTVを買う頃の奴だから、選定に入っていたはずだ。
危ない。)、三菱といえば自動車で大問題を起こした後だけに
騒がれやすいのだろう。そんなことが原因で映像系からも撤退と言うことがなければ
良いのだが。

欠陥を隠すことは良くないが、多少の欠陥があったからといって、
それを大きく騒ぎ立ててどうなるものかと思うのだが。
まるで弱い者いじめだ。マスコミは、問題を上げつらうだけで解決策は出さない。
弱い者を捜し出してはいじめてやろうという体質が染み付いているようである。
そんなマスコミの体質を問題にしない、これが日本の弱さの秘訣かも知れない。
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