「滋賀県の環境条例に思う」(雑記2002/10/19;再編集)
 滋賀県でブラックバスを釣った後リリース(逃がす)ことなどを禁止した条例が可決された
(2003年4月1日から施行)。

私にしてみりゃやっと出来たかという感じ。いろいろと反対意見も出ているらしいが、
はっきり言って「自分勝手なこと抜かすんじゃない」と思えるものばかりだ。
一部を除き、琵琶湖周辺で生活している人間ではない奴らが、
自分の遊びを制限されるのがいやで文句を言っているようにしか思えない。
下手な理屈を付けて。

 たとえば琵琶湖の生態系を壊したのは外来魚じゃなくて環境破壊だとか、
釣った魚を殺すのは忍びないとか、
リリース禁止したら釣り人が来なくなって結局減らないだとか、
ブラックバスは少ないからリリースは良くて、多いブルーギルだけ禁止せよとか。
どれもとってつけたような屁理屈である。どれ1つとして生態系保全・回復のための
提言が含まれていない。自己弁護だけなのだ。

 確かに外来魚だけが生態系の破壊の原因ではないだろう。でもそれらが関係している
証拠がないというなら、逆にそれらが関係していない証拠もない。事実として、
それらの食べているものを調べると、琵琶湖固有種が多く見られる
ところから、無関係でないことだけは明らかだ。

「釣った魚を逃がすから良いのだ」等と言うのは偽善者である。魚にとって見れば
釣られること自体が問題なのだ。殺すのはいけないがいたぶるのは良いというのは
あまりに人間勝手な理屈だ。

リリースを禁止しても人は来るだろう。
別に釣りを禁止しているわけではない。
釣った魚の回収手法さえあれば問題ない。

ブルーギルもたしかに多いが、ブルーギルは雑食で藻なども食べてくれるのに対し、
ブラックバスは肉食で魚やエビしか食べない。従って生態系への影響はより大きい。
数の問題でなく何を食べるかが問題だ。
(個体の食べる量の違いもあるだろうが。)

さらに書けば、釣り客が釣り糸やルアーがどれだけ捨てていて、それがどれだけ環境に
悪影響を与えているか。湖の底をさらうと切れて流れたルアーがごっそりとれるという。
中には溶け出して環境に悪影響を与える物質が出ている場合もあるという。
釣り糸に絡まった鳥の写真は良く出てくるが、そこまで行かなくても
あの糸は溶けないので汚いゴミとなる。

そう、彼らの言う屁理屈はすべて打破出来る。

    ・・・

 滋賀県ではこの条例とは関係なく外来魚の駆除も行っているし、
生態系保全のため、護岸工事でコンクリートを使うのを止め蘆を植えたりしている。
であれば、さらにもう一歩進んだ策としてこういった条例をもうけるのは
当然であると言える。

そういう場所に来ながら、自らの欲望だけを満たそうとするのはあまりに
身勝手というもの。
生態系も守り・回復させつつ、遊びも出来る環境を提案出来なければならない。
それをしないのであれば、所詮は「遊び」で片づけられるのだ。

タレントの清水某が県を「科学的根拠がない」と提訴したようだが、
己の方がよほど科学的根拠がないのだ。

県を非科学的というなら、外来魚を駆除しても生態系が戻らない科学的根拠を示すべきだ。
所詮は自分の遊びが制限されるのが嫌なだけ、わがままを言っている子供と同じだ。
共存は推し進めるべきでも、無秩序な遊びは制限されなくてはならない。
それが今回の条例の持つ意味である。
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