「ネタの話し」(1996年09月24日〜10月03日号)
ネタと言っても、寿司ネタの話しではない。
魚はやっぱり漁港で仕入れたものに限る。
安くてうまい。
大阪で食べる魚は、確かに東京に比べればおいしい(もちろん同価格帯での比較)。
しかし、新潟には負ける。新潟でお寿司を食べたとき、
余りのおいしさに泣いた。いや、ほんと。
・・・おっと、そういう話じゃないって。 
たまには「オタクラ」のネタがどのようにして創られているかを
語ってみるのもいいかも知れないなどと思ったりしたので、
書くことにする。
(このようにして、簡単にも言える言い回しをあえて長くすることで
行数を稼ぐと言うのも1手である。)

        ・・・

どうしてこんなに多種多様(本当か?)なネタが書けるのか。
その謎を解くには、私の過去をお話ししなければなるまい。

私はかつてスナフキンだった頃(=無職だった頃)、
とある箱損(良い誤変換なので残しておいた)じゃない、パソコン通信の
局(ネット)でシグ・オペというものをやっていたことがある。

        ・・・

シグ・オペとはSignal Operatorの略で、簡単に言えば、
ネットの中にはいくつかの話題別の話す所=ボードと言うものがあり、
そのうちの1つの管理を任されている人だ。
(ちなみに、ネット全体の管理者のことはシスオペ=System Operatorという。)

自分の任されたボードを活気あふれたものにするか、閑古鳥を鳴かせるかは
シグオペの管理いかんによると言ってもいい。
管理と言っても、パソコンの管理ではない。そういうことはシスオペがするので、
シスオペは、自分のボードに人が書き込んでくれ易いような雰囲気をつくることが
大切なのだ。

例えば、人が何か書いたら、必ずそれに返事(これをレス=レスポンスという)
をするとか、人がのってきそうなネタをふるとかだ。
他にも話題があぶなくなりそうなら修正するとか、
危険発言者を排除するとかあるけど、主な仕事は「のせること」にあるわけだ。

で、そういう立場を1年以上もしていたせいで、
ネタを書くのが上手(と自分では思っている)になったわけだ。

通常、ボードというものは割とまとまった流れのあるネタでまとめられるのだが、
私の持っていた所は、それこそ何でもこいのボードだったので、
ありとあらゆるネタをつくった。

・・・いろいろとあって、もうこのネットとは縁を切ったので、
今はそのようなことはしていないが、
そこで文章を書く練習が出来たと言っていい。

        ・・・

ではなぜ「オタクラ」をはじめたか。

パソコン通信のシグオペとは縁を切った私が、
会社の中でのLAN上のメイルというものを見たとき、
「これは同じようなことが出来るのではないか」と思ったこと
から始まったと見ていい。

LAN上のメイルと言うものは、パソコン通信とは構造がだいぶ違う。
正確に言えば、パソコン通信のネットにも電子メイルはあるが、
みんなが読み書き出来る掲示板が中心だ。要は多対多のやりとりなのだ。

これに対して、LANのメイルは個人間のやりとりが中心だ。
ということは、完全に同じ形態をつくることは出来ない。
やりとりの形態も、レスの形態も変える必要がある。
どうしたらいいか。
そのなかで考え付いたのが新聞形式だ。

同じ文章を書くのでも、家と会社では大きく違う。
これは雰囲気という問題もあるが、それよりも書くためのツールの違いと
いっていいだろう(マシンも違うけど)。

家でも会社でもエディターという、いわばプログラマー御用達(ごようたつ:
ごようたしと読むのは間違い)の文書書きツールを使う。
これは、WORDなどと違ってフォントや色をを変えたりすることは出来ないが、
文章のここの部分をあちらに移すとかいう編集や、
複数の文章を同時に、交互参照しながら作るのに適している。
これを使って、一気に考えを書いた後で、後で文章の位置を入れ換えて
編集するわけだ。

変換効率という意味では家の仮名漢字変換より会社のものの方がかなりいい。
でも、キーボードの慣れということもあって、総合的に見れば、
家の方が書き易いか。

        ・・・
 おっと、私がなぜオタクラを始めたかを書いていたんだっけ。

私のボックスを編集局と位置付け、私からまずネタをふる。
それに対して読者からの感想を待つ。
感想があれば、その内容によってはこれを公開し、レスも付ける。
これで、仮想のLAN通信ホストが出来るわけである。

でも、外から見ればこれは個人間通信である。
ということは、誰もが見ることが出来るオープンな掲示板と違い、
読者を制限することで、逆に内容を歯に衣を着せずに自由に書けるように
なったわけである。
これは私にとってはうれしいことである。

        ・・・

どういう時にネタを思い付くか。

これも先の話しと同じところから出発するが、
自分のボードを活性化させるためには、とにかく幅の広い読者を
得ることが必要であった。

そのため、とにかくありとあらゆることに気を付け、
ネタにするように心がけた。
日頃身の回りで起こったこと、聞いたこと、テレビで見たこと。
旅行の感想やゲーム記、その他、いろいろと書いた。

そのときは、スナフキンだっただけに、1日の時間はたっぷりあったから、
とにかく思い付いたらすぐに書き留めた。
小さなネタからは短い文章、大きなネタからは長い文章、
長さはいろいろあるが、とにかく数を増やした。

いまでもネタはいろんなところで思い付く。
でも、すぐ書くかといえばそうではない。
今は、そうした時間もないから、
たいていは、思い付いてもそのままにしておく。
そして、後でまだ覚えていたらその時初めて書き始める。
書き出したら後は一気である。

一度書き始めたら後の文章というものは泉のごとく沸き出してくる。
このあたりは過去の練習の賜(たまもの)か。
読者に言わせれば、的を一気に射ないで回りくどく、
冗長で読みにくいだけかも知れないが。

        ・・・

どんなネタが好きか。

私のネタはなにやら文句ネタが多いようにも思われるかも知れないが、
私とて、あまり文句は言いたくない。
しかし、世間には言いたくなるような事柄が多すぎ、
また、私もそういうことの方が書き易かったりするので多くなってしまうかも
知れない。

でも基本的には何かにこだわったネタというのは避けようとしている。
片寄った思想というのもそうだが、1つのネタだけで書き続けるというのも
やめている。同じネタで書く時は必ず間をあけ、
話しの筋も変える。
ただし旅行ネタだけは別。
それでも途中に別の話を入れて、気分を変えることもあるけど。

実は一番好きなのは、科学ネタね。
科学といっても物理とかそういうのだけでなく、
文系科学ネタ(いろはうたとか)も含む。

科学ネタは科学的論証をちゃんと持って書かなければならないので
そういう点ではちょっとたいへんだけど、
その分書いた方も勉強になるからいいってわけ。
おもしろいよけっこう。

最近は書いていないが(新聞を読まない/TVを見ないのでネタが入らない)、
時事ネタだけはちょっと違うかも知れない。
他のネタは自分の思ったことが中心であるが、
時事ネタは起こったことに対するコメントが中心となる。
世間的に大きな話題であっても、私の心を引かなければネタにはならない。

どちらが好きかといえば、どちらも好きである。
(書き易さから言えば、時事ネタの方が楽かも知れない。)

そういえば、比較的長文の論説は楽に書けるけど、
1回切りの短い「投稿」の文章の方が苦手なんすよね。
こういうのも珍しいかも知れない。

        ・・・

ということで、今回のネタのネタはおしまい。

ちなみに、この文章全体を書き上げるのに使った時間は2時間である。
これを早いと見るか、遅いと見るかはあなた次第である。

        ・・・以下、続編・・・

早速ではあるが、ネタ話しの続き。 
1回=1日の大ネタの量をどの位にしているかご存じだろうか。

基本的には、1日35行位をめざしている。
以前はもっと長かったが、読む分にも長いと苦労するだろうと言うことで、
これぐらいに落ちついた。
絵のない文章だけではこの位が丁度だと思うが、短いだろうか。

そうそう、この行数はバイト数=実際の文字数とは違う。
1行が端から端まで埋まっていずに、1行の文字数が少ないが行数が多い場合もある。

私の書き方の場合、原稿用紙じゃないんだから、
1行の文字数をそろえようとは思わない。
行端の改行というものも1つの句読点のように使っている。
だから、1行の文字数や、空行(改行だけの行)の数がいろいろなのだ。
電子文章時代の書き方だといっていいだろう。

        ・・・

オタクラが始まった初期は1日1論説で、長くてもまとめていたが、
最近は複数回に分けて掲載することが多くなった。ほとんどがそうか。
これは、1回の文章が長くなったということもあるが、
分割して回数を稼がないと、あっという間にネタが尽きてしまうというのもある。

いくら私がネタをたくさん作れるといっても、
それにも限界はある。
1日にどんだけ書いたってせいぜい2、3ネタを書くのが精いっぱいだ。
それ以上書いたら首がこってしまう。
今は月に2、3も書いたらいいようにしている。
(ただし、小ネタは毎日だけど。)

本当はだ、複数の人間で書いているともっと楽何だろうけど、
現在は書き手は1人である。

        ・・・

たまに投稿や、人の口から出たふとした言葉がネタになることもある。
こういう時は実に楽だ。
話しの筋を考えなくていいから。
ちょっとした質問でも何でも、そういうのがあれば本当にうれしい。
難しいのは元ネタの発想であって、文章にすること自体は比較的楽なのだ。

・・・ああ、こういうことが学生の内に言えてれば、国語の点も悪くなかったろうに。
なんせ、中学3年間、一度も70点以上取れなかったもんなあ。
昔は国語が一番苦手、作文が一番苦手だったんだよ、私は。

        ・・・

まだ50行ちょっと?
まだ書かなきゃね。
じゃあ・・・

時事ネタはね、時事ネタだけに旬というものがあって、
それが起こった時からあまり日が長くあくと使えなくなることもあったりする。

単なる事実ならいいんだけど、日を経るに連れて変化する場合などはたいへん。
季節の話し何かいい例だし(梅雨が開けそうな頃に梅雨の話しをしてもだめでしょ)、
時事ネタでなくても、科学ネタで書いてから掲載するまでになにか発見があって
変わってしまう場合なんか、載せる前に修正をしなきゃいけないもんね。

だから、時事ネタ以外は出来るだけ変化しないものを選ぶし、
載せる時にはもう一度読み直してみるわけ。
・・・これはうそか。最近はほとんど読み返してない。

そうそう、時事ネタで、それに関して自分が知っている事実をテレビとかで
放映されない前に言っておきたいというのもあるね。
私の情報網を使って知り得た事件の裏ネタを書いたりする時は
けっこうわくわくしたりして。

        ・・・

70行ちょっと?
もういいかな。

ということで、いろいろと苦労してネタは作られているのでした。
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