「猫ネタ'99」(1999/06/07、06/21、07/19、
08/25、08/27、09/13、09/22号)

        ・・・猫シリーズ1:木登り猫・・・

ここは親戚の家。
外で庭にある水槽を覗いていたら、向こうにいたはずの猫が
突然私の真横のあったかえでの木に登った。

ちょっとびっくり。
さっきまで地表にいたはずの猫が今は私の肩の真横にいるのだから。
どうも、そこから私の背中にとび移りたいような感じだった。

で、「うりゃうりゃ」と手を出したりしてからかっていると、
なんとまあ、細い枝を伝っててっぺんまで登ったではない。
地上2メートル以上か。

途中で落ちそうにもなりましたがそこは猫。
抜群のバランス感覚で乗り切った。

木の上でも特に怖がった様子は無く平気な顔で枝から枝へ移り歩いている。
まるでとび職のような猫だ。

で、登ったはいいけどどうやって降りるのかなと見ていたら、
(泣き叫ぶようなら降ろしてあげなきゃいけないし。)
一瞬躊躇したように見せかけて次の瞬間にはうまいこと
幹を伝って一気にかけ降りて来た。
さすがだ。

この猫、前は松の木のてっぺん(3メートル以上)まで登ったことがあるし、
よほど木登りが得意なであろう。
「木の彫り猫」・・・じゃなくて、「木登り猫」と命名してあげよう。

        ・・・猫シリーズ2:静電気猫・・・

今の季節、乾燥しているからということもあってか
猫の毛を撫でるとそれだけでばちばちいう。
別に下敷きでこすったりしているわけでなく、ただ単に手で撫でているだけでだ。

すごい静電気が発生している。
何回か擦るともう手を近づけただけでも毛が波打つようになる。
静電気の作る毛模様。
おお、なんとなくミステリーサークルのようではないか。

しかし、猫はそれほどいやがってはいないようにも思える。
背中の筋肉をぴくぴく動かしながらも平気な顔して外を眺めている。
結構気持ちいいのかも。

下敷きでこすって顔に近づけてはどうか。
下敷き自身をいやがるが、それ以上はなんとも思っていない様子。
猫自身もこの毛皮では静電気が生じるのはしかたないと思っているのだろう。
静電気が何たるかは解らないだろうけど。

しかし、静電猫遊びをした後に金属に近づいてビリッと来て困るのは
実は人間だったりするのであった。
静電猫遊びもほどほどに。

        ・・・猫シリーズ3:かみ猫・・・

親戚の家の猫は1匹は日本猫(若い)、もう1匹はペルシャ猫(年寄)である。
ペルシャの方はどこからともなく流れて来て居着いた流れ者であるが、
日本猫の方は赤ん坊の時にもらわれて来たここ育ちである。
ああ、昔は片方の掌に乗る位だったのに今では体調60センチの大ネコに
なってしまった。)

で、この日本猫の方がよく噛む。小さい時からそうであったが、今でもよく噛む。
しかも生後1年経つのにいまだに加減をしない。

ちょっかいはこっちから仕掛ける時もあるけど、
時々はふいをつかれてしまうこともある。
小さい時の猫はこっちの思うままに動いたけど、
大きくなると自分の気の乗った時しか動かなくなる。

        「痛い!やめんかい!」

というほどに噛まれることもある。
あんまり痛いので家に帰って見ると血が出ていることがある。
肉まで食い込んでいるのだ。
こりゃ痛いはずだ。

以前に比べたらあんまりかむ機会は少なくなったけど、
かまれた時の痛みは変わらん。
早く加減を覚えるように。

        「にゃ〜」

        ・・・猫シリーズ4:おしゃべり猫・・・

一方、ペルシャ猫は年をとっているせいもあるが中々に達観していらっしゃる。
ちゃんと鳴いておねだりをする。

        餌が欲しい。
        こっちに来て欲しい。
        戸を開けて欲しいなど。

このときニャーとなく。
ちょっとかすれた声で。

これが本当にこちらにしゃべりかけているように鳴くから
こちらもついつい聞き返してしまう。
「外に出たいの?」って。

やはり猫というは年をとるにつれて人間の扱い方を学ぶようだ。
どうしたらいいのかというのがよくわかっている。

そして最近はそれを若い猫に教えているのかもしれない。

        「こういう時は人間をうまく使うんや。
                ええか、ニャーと少し甲高い声で鳴いたら
                        人間はたいていなんかしてくれるさかいにな。」

        「わしはもう年寄やさかい、甲高い声は出えへんけど、
                そういう時は相手の目をまじっと見つめて鳴くんや。
                        そしたら一発や。」

などと言っているのかもしれない。

本当に人間をうまく使う猫だ。
感心してしまう。
と言いつつ使われているこちらも情けないが。

        ・・・猫シリーズ5:おねだり猫・・・

日本猫もおねだりをすることがあるが、こちらはもう少し物静かである。

魚を焼いていたりするとコンロの前で座ってずっと待っている。
時には戸棚に前足をかけて伸びて覗き込もうとすることもあるし、
逆にその前で丸くなって座り込みをすることもある。

そして時々ニャー!と甲高い声で鳴いてねだる。
これがまた可愛いんだな。

乾物を置いておくとその周りを回ってねだる。
イカや鯵の干物などおいておいたらその袋の周りでうろついてる。
滅多に自分でその袋をやぶったりはしないで物干しそうに回っているので
ついついこっちもあげたくなってしまう。
なかなかにおねだりのうまい猫だ。

この前はスルメを欲しがったからしかたなく上げてしまった。
でもあんまり猫にイカはやらないほうがいいらしい。
なぜ?
(多分、消化酵素がないんだとは思うが。)

        ・・・猫シリーズ6:お迎え猫・・・

どちらの猫も不思議とこちらが家に行くと出迎えてくれる。
特にクラクションを鳴らすとかしているわけではないのに出てくるのだ。

時には家から飛び出てくることもあるし、
遠くから見つめていることもある。
木の上から、別の車の影から。
草むらから、コンクリートの上でねっころがりながら。

匂いか気配か。
いずれにしてもすごい。
他の車も通るだろうにちゃんと家の車の時だけ出てくる。
第6感というやつかもしれない。

とはいえ、今は寒いせいか家にこもっていることも多いので
出て来ないことも多いけど。
暖ったかくなったら迎えに出て来てね。

        ・・・猫シリーズ7:猫の彼女・・・

これはまた別の親戚の家での話。

その家では2匹の雄猫(年取ったペルシャと若いトラ猫)を飼っているのだが、
ふと庭を見ていると、その2匹が別の1匹の猫を連れて帰ってきた。

どうやら雌猫のようだ。
体つき、動作から何となくそんな気がする。

トラと雌猫は微妙な距離をおいて向き合っている。
雌猫の方はちょっと気まずいらしく周りを眺めているが、逃げようとはしていない。

年取ったペルシャネコの方はどうやら仲人のような感じがする。
2匹の間に入ってにゃあにゃあ鳴いている。
日頃そんなに鳴かない猫だけに珍しい。

と思っていると、となりの犬がそれをかぎつけて鳴き出した。
(となり家との境付近で見合っているのだ。)

しかし、猫たちはいっこうに動じる気配もなく、
そのままの状態でいる。

雌猫があらぬ方向を向く。
トラがそわそわして座り直す。
ペルが犬の吠え方に合せて鳴く。「ワンワン にゃんにゃん」

見ている方も緊張してきた。
するとペルがこっちを睨んで「あっちいかんかい、見せもんちゃうぞ」という
顔をしたので取り敢えず向こうに行くことにした。
(さすがは年取った猫だ。目つきに厳しさがある。)

しばらく聞いていると何やら走り出す音。
犬も鳴きやんだ。

見に行くと、猫たちの姿はなかった。
どうやらうまくいかなかったようだ。

人間でも猫でも女の子を落すのはなかなか苦労することのようですな。

        ・・・

そのあと、トラネコは失意の様子で隣の家の屋根の上で寝転んでいた。
ペルの方はすぐ元気にご飯を食べに戻ってきた。

夜もう一度行ったら、またおそらく同じ猫に2匹でアタックをかけてた。
となりの家に入って行ってしまったから、その後どうなったかはわからないが。
で、夜の12時過ぎ、戻ってきたら、何もなかったかのような顔で
すりすりしてくるのであった。

まったく、生まれて2年も経たない猫が色気付よって、
お・ま・せ・さ・ん。
(猫の世界じゃそうでもないのか。)
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