「LD紹介1996」
(1996/06/26号)
        「STAR WARS」
        
        ジョージ・ルーカス
        20世紀FOX
        ¥5700
        121分

かのSFの名作、STAR WARSの記念すべき1作目である。
これが公開されたのが1977年だから、すでに20年近く経っているわけであるが、
未だに色あせぬおもしろさと映像の美しさを持っているのは驚愕すべきことである。
(ここでいう「SF」とは、Sience FictionというよりもSpace Fantazyと言った
方がいいであろう。単語の綴は自信無し。)

STAR WARSの後にも特撮的にはもっとすごい映画がたくさん出てきたけど、
ここまで人の記憶に残っている作品は少ないだろう。
それほど画期的であり、単にSFというだけでなく、冒険物としても
すばらしかったと言える。

原作ありの映画では、どうしても原作のイメージがつきまとい、
常に「原作とは違う」という人が出てくるのだが、STAR WARSでは
本は映画を小説化した物であって、「先に映画ありき」であった。
その意味でも、自由であり、のびのびしていたように思える。

公開された当時、映画館の前で並んだことなどを思い出しながら見たわけだが、
やはり良い。「ハリソン・フォードが若い」などというミーハーではないが、
出ている人が若いのも「ああ、もうそんなに時が経ったんだなあ」と思えて、
妙に感慨深いものがあった。

今回は第1作しか手に入らなかったが、近い内に3作を揃えよう。

        お勧め度        90%
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(1996/07/01号)
        「バットマン フォーエバー」

        ティム・バートン
        ワーナーブラザーズ
        ¥3800
        122分

映画バットマンシリーズの第3作目である。今回はバットマンの相棒「ロビン」が
誕生する。

バットマンと言えば、原作では明るいヒーローであるが(日本でも昔やっていたらしい
テレビシリーズではそうだった)、映画では過去に暗い影を持つ人間、
それによって人格に一種の異常をきしているという「暗さ」を常に含ませている。
今回からは主人公バットマン役の人が代わったが、その路線は変わっていない。
舞台のほとんどが夜というのも、その「暗さ」を強調するためであろう。

考えてみれば、日本にはこの手の「暗い」ヒーローというものはあまり存在しない。
あえて言うなら昔の「タイガーマスク」や「AFTER」におけるエイトマンなどが
相当するかもしれないが、現在のヒーローものにはほぼ無いと言っていい。
あまりはやらないようである。
ところがアメリカには他にも「ダークマン」等何種類かいる。
このあたりが世のアメリカと日本の世相の違いかもしれない。

バットマンの誕生も暗いが、ロビンの誕生も暗い。敵役もみんな暗い。
普通ならこれでは映画にならないが、そこをちゃんとした映画に仕立ててしまうのは
やはりアメリカ映画のすごさだろうか。

そういえば、あのマイケル・ジャクソンがバットマンが好きで、
「ロビン役で出たい!」と言っていたようだが、今回のロビン役はもちろん
彼ではない。しかしそれで良かったと思う。この役はマイケル・ジャクソンでは
演じきれなかっただろう。

そんなくらい映画を好きな私も「暗い」と思われそうだが、
「そうじゃない」とは言い切れない、と言うところでおしまい。

        お勧め度        60%
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(1996/07/10号)
        「モルダイバー」(全6巻)

        北爪宏幸
        パイオニア
        ¥4800*6
        30分*6

一言で言えば美少女ヒロイン物であるが。まあそう簡単には言い切れない。
もう少し詳しく、かつ簡単にストーリーを言うと、

        「兄の発明した強化スーツを着た美少女が活躍する物語」

となる。この強化スーツに筋肉ムキムキ型と美少女型があって、それが自由には
選びにくい、というのもポイントである。
まあ、そのほとんどはギャグであるから、そんなに真剣になって見るものではない。
気晴らしアニメである。
が、私はこういうのりは好きで、ずっと前に紹介した「トップをねらえ!」も
少し近い物がある。

この手のアニメでは必ず「敵」がいるのだが、その敵が光っていないと
いくらヒーローばかりが強くても話は盛り上がらない。
バットマンでは敵が非常に個性的(ジョーカー、ペンギン、キャットウーマン、
ツーフェイス、リドラー)なのが、あの話が暗いにもか変わらず
おもしろくしているポイントである。
まあ、「モルダイバー」ではヒロインと言っても完全無欠ではなく、
どこか抜けたヒロインであるからおもしろいのだが、ここにあの「ボヤッキー」
率いる敵が出てくることでいっそうおもしろくしている。

「ボヤッキー」といっても、あのヤッターマンの彼そのものが出てくるわけではない。
その声をやっていた「八奈見乗児」が敵の親玉の声をしているのである。
しかし、アニメにおいては「声」が非常に重要だということを再認識させてくれる。
元々敵も抜けている設定なのだが、ここに彼の声が入るとキャラクターが生きてくる。見事である。

最初はギャグ路線、最後はすこししんみりと、ストーリー展開もそこそこ
めりはりがあって、いわゆる「バカアニメ」(ドラゴンボールや一発ギャグ物)では
無い、見た後の余韻というのだろうか、それもある。

1話30分*6話なので一気に見るには大変だが、ちょこちょこ見るには
良い時間では無かろうか。まあ、万人向けではないが、この手のものが好きな人には
お勧めである。

        お勧め度        50%
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(1996/07/11号)
        「となりのトトロ」

        宮崎駿
        Animege
        ¥9538
        86分

かの宮崎駿の映画監督第4作目である。(ルパン3世カリオストロの城、
風の谷のナウシカ、天空の城ラピュタに次ぐ。現在までに、この後に
魔女の宅急便、紅の豚が発表されていて、近日、最新作「もののけ姫」が
公開される。)

ストーリーはあえて説明しないが、日本の昭和30年代を舞台にし、
少女達と森の精(風の精か?)「トトロ」の心温まるふれあいの物語である。

実は、この手の作品という物はアニメでも映画でもあまりないのではないかと思う。
そんなにたいした話ではないし、ヒーローなどもいない。悲劇物でもない。
成功物でもない。ちょっとだけ非現実だけど、でも何となくありそうな感じで、
何かなつかしさを感じさせるのである。それは宮崎作品(もしくは彼の率いる
「スタジオ・ジブリ」の作品)の共通した特徴かもしれない。
それでいて大ヒットさせるあたり、やはり彼はただ者ではない。

かつて、アニメ(というか漫画)は手塚治によって作り上げられたが、
手塚は感激を得るのに安易に「死」もしくは悲劇を多用しすぎた。
それは彼の後を次いだ者達にも一様に言えることで、それは確かに
容易に感激を得られるが、逆に作る側には話の展開を規定してしまい、
見る側には話の先をわかりやすくしてしまっていた。
少なくとも私はこのような作品の作り方にはうんざりしていた。
(世の中で「手塚治が偉い」といくら言われようとも、私が彼の作品を
今一好きになれない理由はそこにある。もっとも全てを読んだ訳ではないので、
かなり偏っているとは思うが。)

ところが、宮崎アニメにはそういうところがない。
安易でない方法で、しかもそれは各作品で違う方法で感激を与えるということは
非常にすごい技である。今、このような手腕を持っているのは日本ではだた一人、
いや世界でも彼が随一ではないだろうか。それが宮崎アニメが世界でも通用する
理由であろう。(ディズニーアニメが非常に近いところにあるが、ディスニーでは
人間を主人公にしないとか、しても史実の人であったりで、「空想」という面では
今一である。それがいけないと言っているのではなく、宮崎アニメとは少し違った
ものである。)

このトトロでも同じで、さらに、子供だけでなく大人までを感動させる。
いやむしろ大人の方が感動するのではないだろうか。大の大人を感動させる
数少ないアニメとしても、この作品は是非ごらんになってほしい逸品である。

ちなみに、このLDは結婚の祝いに某氏からいただきました。
ありがとうございました。

        お勧め度 95%

−5%は「高い」ということ。洋ものがだいたい120分ちょっと
(LDにして2枚組)で6000円以下、最近はもっと安いのに対し、
宮崎アニメは短くて高い。別に作品は長さで質が決まるわけではないので長さは別にいいが、
単位時間当たりの単価が高い!という感じは拭えない。
さらに、この「トトロ」は妙に画質が悪い。
うちのLDとの相性が悪いのかもしれないが、他のLDではここまで悪くないので、
おそらく元が悪いんだと思う。非常に残念である。
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