「映画・番組紹介1997」
(1997/02/06、03/06号)
{番組紹介}

    「キューティーハニーF」

    6ch(大阪)
    毎週土曜日 夜7:00〜7:30

セーラームーンがいよいよ最終回である、
最近の回を見ればそれがわかるのだが(見ているのか?という突っ込みは却下)、
よりにもよって、後番組が「あれ」だとは・・・。

何だと思います?
今から20年ほど前に、健全な青少年にちょっとしたときめきを与えたあの番組、
あの変身シーンが「素敵」だったあれ。

そう、「キューティーハニー」が帰ってくるのです。
新番組の名前は「キューティーハニーF(フラッシュ)」。
なんとまぁ・・・。

しかもあの歌もそのまま。あの歌といえば・・・

    ・・・

    このごろはやりのパスワード
    脳みそ小さなのパスワード
    あっちに行ってよ、ばかー
    だってだってだって だってだってなんだもん
    お願い、お願い! 近寄らないで
    あなたの愚行が めちゃくちゃしちゃうの
    いやよ いやよ いやよ
    近づいちゃ いやー
    パスワードフラッシュ

(パスワード;後日発表予定のフィクションの登場人物。
馬鹿の象徴として描かれる。)

    ・・・

という歌があったっけ?
まあ、昔の話だけど。

それにしても「QTすずき」もとい「QTハニー」か。
さっそくビデオに予約を入れなくては・・・

    ・・・

で、以前紹介したキューテーハニーF(フラッシュ)の最初回を見た。

私は、アニメは一応最初回と最終回は押さえるようにしているのだ。
アニメと言えば子供のもの、と思いがちだが、以外と大人の話題になることもある。
それが社会現象になることもあるので、バカには出来ない。
例えば、「セーラームーン」を見てはいなくても、名前も知らなかったら、
少なくとも子供を相手にする仕事は出来ない。

そういうたいそうな理由を付けつつ、一応押さえておくのだ。
ほとんどはその後見続けないが、たまにははまってしまうものもある。
途中から見初めてはまった時、「あぁ、何で最初から見なかったんだ!!」
と思うのがいやだしね。

オープニングの曲は、昔のものと全く同じ歌詞だけど、曲は微妙に違う。
特に「だってだってだって、だって、だってなんだもん」の部分と、
「ハニーフラッシュ!」の唄い方が違う。
今のはさらっと唄いすぎている。昔の方がいろっぽかった。
などと思ってしまうのはおやじかも知れない。

絵柄が違う。
むむ、この絵柄は以前「セイントテール」書いていた人のにちょいと似ている。
あっ、一般人にはわからないネタを出してしまったか。

それにしても、やはり少女漫画にリメイクされているだけあって、
登場人物がかっこ良くなりすぎているぞ。校長先生だけはあのままだったけど、
後は軒並昔のイメージの一新する変わりようだ。
男なんて軒並ハンサムだ。

永井豪の原作のイメージと比較すると、そのギャップに驚く。
永井豪の描く男のようなHさがない。
今はかっこいい男でないと受けないんだろうけど、昔を知っている人間には、
ちょっと「何」である。

番組そのものは、セーラームーンの後を継ぐだけあって、セーラームーンの影響が
色濃く出ている。美少女が敵と戦うものである。
変身シーンのエッチさ、決め言葉、あやしい(?)男なども同じ系統だ。
でも、ほとんどは元祖キューティーハニーでもやってたことだから、
キューティーハニーの影響をセーラームーンが受けたのか。
セーラームーンのように、正義の味方が多人数になることはないようだけど。

セーラームーンほどの人気が出るかどうかは、女の子の人気・・・ではなくて、
その筋の青少年の人気を得られるかどうかだから、そこそこはいくんじゃないかな。
セーラームーンほど長くは続かないような気もするけど。(あれは5年位続いたか?)

まあ、子供と話をするなら、一度は見ておく必要がありそうですぜ。

「あなたの人生、変わるわよ」

    ・・・もう手遅れなんですけど・・・

わ〜おぅ。
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(1997/10/08号)
{番組紹介}
    
    「ウルトラマンダイナ」(1997号)

    毎週土曜日 午後5:30〜6:00(だと思う)
    4CH(大阪)

なかなか見られなくて、ようやく見たけど、はっきり言ってちゃち。
前のティガの方が数段良かった。
前のティガでは初の女性隊長だとか、イメージが暗くまとめられているとか、
結構エキストラが多いとか、V6が主題歌を歌っているとか、特徴があったけど、
今回は何の売りもない感じ。
エキストラも少ないし、画像も取り立てて言うこともない。

のりとしてはウルトラマンタロウのような軽いのりがあるように感じたが、
余り軽いのりはウルトラマンシリーズにはいらないと思う。
タロウで明るい路線にした後レオで戻したではないか。
また同じ過ちをするつもりなのか。

何にしても、たぶんもう見ることはないと思う。
(ティガはたまたま見てしまったら、最後まで見るくらいの価値はあったが、
今回はたまたま見ても時間の無駄だから消す。)

そういえば、挿入される曲の一部が「帰ってきたウルトラマン」に似てる。
「ワンダバダバ、ワンダバダバ、ワンダバダバワン」という曲。
(わかるかい、そんなんで!)

くだらない番組ファンの人だけにおすすめ。
(そこまで言うか。)
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(1997/07/30号)
{映画紹介}

    「エルマの冒険」

現在公開中の映画である。対象は小学生以下の子供。

少年エルマが冒険家の老猫から聞いた話から、動物島にとらわれている「竜」を
助けに行く話である。
ヒーローものでもないし、悪役の動物達もおちゃめなのでほのぼのしている。
子供の情操教育にはいいであろう。

しかし、話に目利張りがないので全体的に散漫で、印象深い場面もないのが
問題である。だから、アンパンなどの話に比べるとわかりにくい。
元が(たぶん)外国の漫画なのでそうなのかもしれない。
そういう面では、ちょっと物足りないかも知れない。
(子供が笑う場面は何回かあるが。)

そうそう、もう1つ気になったこと。
せりふの間違いというか、色の間違いがある。
せりふで「黄色の角が・・・」というのがあるのだが、
画面上、どう見てもその角の色は「黒」なのだ。
それを何度も連呼する。
あれは子供に間違った色を覚えさせてしまうのではないか?
もう少しちゃんとチェックをしてほしかったものだ。

実際のところ、この映画の制作費のほとんどは音楽を監修している
小室哲也に渡ったのではないかと思われる。
もう少し映像や話の筋に力をいれてほしかった、惜しい1作である。

・・・で、何でこれを見たかというと、本当は「もののけ姫」を
見たかったのが、余りの混雑にやめたからである。
「STAR WARS 帝国の逆襲」でもよかったけど、前に見ているし。
ということである。
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(1997/10/17〜10/20号)
{映画紹介}

    「コンタクト CONTACT」

    監督 ロバート・ゼメキス
    原作 カール・セーガン
    主演 ジョディ・フォスター

先に紹介したカール・セーガン博士原作の同名小説を映画化したものである。

基本的ストーリーは原作となった小説にそっているが、
主人公と他の登場人物の間柄については、減らされたりかなり変更されている。
小説の方が全世界的だし間柄も複雑だが、映画では簡略化されている。

また、原作は話が全地球規模の広がりを持っていくのだが、映画では
ほとんどアメリカだけ(一部北海道も出てくる)となっている。
このあたりは映画化にともなって制作上手間のかかる部分を省いた形になっている。
(原作では当時のアメリカ大統領は女性になっているが、映画ではクリントンが
出てくるのだ。ほんと、そっくりさん。)

このような変更点はあるが、ちゃんと要点を押さえてあるので、簡略化された分
かえって話がわかりやすくなって良い。
映画の作成途中まで、原作者のカール・セーガン博士とその夫人が
かかわっていただけあって、そのあたりは無理のない変更になっている。
ある意味、映画の話は小説をより進化させた形とも言える。

内容は原作の紹介の時に触れているのでここではくわしく述べないが、
あらすじはほぼそのとおりである。
ただ、小説の中で副主題になっている、人類を超越した存在を知ることによって
世界は一体という意識が生まれるとか、宗教との関わりの部分については
若干弱くなっているといえる。
そういう意味に加えて映像の絡みもあって。よりSF的になったといえるが、
もっとも、それをそのまま描いたら余りに重すぎるし時間もかかりすぎるので、
これはこれでよかったと思う。
そうでなくても2時間半もあるのだ。

    ・・・

小説では時代背景が昔であったが、さすがに映画は最新のものになっている。
むしろ近未来的かもしれない。ソ連はロシアになっているし、コンピューター関係は
最新だし、通信手段もインターネットを通じた映像付のものというのも時代である。
メッセージ解析までが小説では長く割かれているのに対し、映画ではコンピューターを
使ってほんの一瞬で出来ている。このあたりはコンピューターの進化を見ての変更か。

映画では小説では言葉で述べられている装置や風景がちゃんと目に見えると言うのは、
やはり説得力がある。百聞は一見にしかず、まさに映画の力である。
ジョディ・フォスターの演技も迫真ものである。
(だからといって、スクリーンに向かってフラッシュを焚いても写真は撮れないぞ。
だれだよ、写真撮ってるのは。本当にいたのよ、そういうのが。
確かに非常に綺麗な場面だったけどね。)

主演のジュディーフォスターはすでにアカデミー賞候補だとも言われるが、
確かに彼女の演技はすごい。アクションでも社会派でも無い映画を
ここまで趣の有る作品に仕立て上げているのは、もちろん原作の良さもあるが、
彼女の演技の賜であろう。

何にしても、小説ほどは重たくないので余り気張らずにいってみていただきたい。
原作を知らなくても大丈夫。(一部の場面だけは知らないとわからない部分もある
が。)

もののけ姫とは違った意味での、深い感動がある。
(映画を見終わったあとにあれこれしゃべるような感じでなくて、じっと静かに
していたいような感じ。)

お勧め度    130%
        平日の昼間なら混んでないようなので、休みでもとってでも
        見に行くことをすすめる。休む価値があるという意味で100
        +30%

そういえば中のせりふで、加速器に載せたダミー人形の名前を「エルマ」だという
部分があるが、先に紹介した「エルマの冒険」は、やはり海外では
有名な子供向け絵本のであろう、と言うことを認識したのであった。
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(1997/10/01〜10/06号)
{映画紹介}

    「もののけ姫」
    監督 宮崎駿

うわさの超大作である。公開から1ヶ月、ようやく見に行くことが出来た。
すでに1ヶ月経っているにもかかわらず、しかも日曜の朝一番(8:40〜)
にもかかわらず満員であった。まだまだ人気は衰えないらしい。
(実はこの日は2回も見てしまった。1回目にあまり良い席で見えなかったので、
続いての2回目に良い席を取って見たのだ。映画で2回連続見たのは、初めてだ。)

で、その内容だが、これはあまりにすごいとしか言い様がない。
くわしいことは自分の目で見て確かめてもらいたいが、
今までに宮崎アニメのような大きなさわやかさも明らかなハッピーエンドもない。
ある意味暗い終わり方だが、それでも胸にこみ上げるものがある。

これは、日本、いや世界のどのアニメよりも訴えかけるものがある。
いや、アニメだけでなく、全てのメディアを通じての意思表示の中で、
最もすごいものかも知れない。

前にも書いたが、私見を言わせていただけば、宮崎駿はすでに手塚治を越えている
と思う。別にこの作品からではなく、ずっと前から。
手塚治の漫画、アニメ界に残した足跡は偉大だが、その作品の中で感動を呼ぶ
手段として安易に「死」を使うことが多すぎる。手塚治に影響を受けた
作品にもそういうものが多い(松本零士もそう)。
だが宮崎駿は「死」を中心に描かずにでも感動を作り出せる。
むしろ反対に、「生きる」ことを感動の中心にすえているのだ。
そういう意味ではすでに越えているし、物語を創作出来る力も考え合わせれば
現在、世界で一番であろう。既存の物語をアニメ化することしか出来ないディズニー
なんぞ足もとに及ばない。(キャラクターに命を吹き込むと言う意味では、
ディズニーはすばらしいが。)

アニメという手段は、訴えかけることがわかりやすいようではあるが、
この映画の場合には、それほど表面化していないためにわかりにくい。

    ・・・

この映画は、声優陣がすごいとか、セル画数が飛び抜けて多いとかそういうことが
言われるが、映画を見ているとそれは突出していない。
声は実に良くあっているし(ちょっと聞こえにくいけど)、セル画の多さよりも
映像の細かさが目に付く。画面上の実に細かいところまで描き込まれている。
それでいて全てがうまく調和している。
ここはさすが宮崎駿と言うところか。
(視点が連続で動くところで、動態視力が追い付かないほど速い所が数ヶ所あるのが
難点か。)

そういうところはあるが、表面上の細かさや美しさに惑わされること無く、
根底にある「意志」を読み取って欲しい。
この映画の訴えをどれほど感じることが出来るか。
そういう意味では、この映画を小さな子供に見せるのは、無意味とも言える。
今までの宮崎ものと同じ感覚で見てはいけない。対象年齢はずっと高い。

そう言えば、この作品はディズニーを通じて全世界に公開されるそうだが、
はたして日本人以外にこの話が理解出来るだろうか。
基本的な訴えたいことは世界共通なことであろうが、時代背景などがまったく日本的
だからなぁ。世界に公開するために何か手を加える、ということを全くしなかった
監督の采配に感謝。

追伸:
映画の中の随所に、過去の宮崎キャラクターがこっそり出演しているので
探してみるのもおもしろいぞ。紅の豚のカーチスとか、風の谷のナウシカの長老とか。

お勧め度    200%
        まともな人間なら絶対に見に行くべし。後悔すること無し。

・・・本文に対する若干の補足である。

あれは別に宮崎駿の「もののけ姫」を見ろ、と言っているのではないが、
あれを見て何かしら思うところがないのであれば、
あれを単なるアクション映画だと見るなら、
もはや人間を辞めたほうがいい。
そんな人には未来はないからである。
いや、「そんな人に与えておく未来はないから」とも言える。

自然は人間がなくても生きていけるが、逆は成り立たない。
・・・早く見に行かな。
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