「映画紹介2006」
(2006/03/06号)
{映画紹介}

        「あらしのよるに」

        東宝
        監督 杉井ギサブロー
        
        http://arayoru.com/pc/

2005年12月10日から公開の映画。
原作はきむらゆういちさんの絵本で、NHKで朝やっているTV絵本でも
放映されていた。

簡単に物語を書けば、嵐の夜に小屋で出会った山羊とオオカミが友達になり、
それぞれの群れからの迫害や追求を逃れて旅立つ話。

元が絵本だけに一応子ども向けのはずで、物語は決して複雑ではないが、
本来食うものと食われるものが友達になるという設定、
そのために群れを終われることになることや、友達のために自分を犠牲にする
辺りはむしろ大人にも考えさせる部分が多い内容である。

1月1日、この映画の朝1番の上映と言うこともあるかも知れないが、
がらがらだった。子ども連れよりむしろカップルが多かったくらい。
アンパンマンやポケモンでは途中で子どもの応援するような場面が
あるが、この映画では静かだった。

キャラクターは一見かわいいものの、映画ではそれなりにリアルな部分もあって、
正直子供受けは悪かった。怖がっていた。
そういう意味でも大人向けではなかろうか。

エンディングはなかなかに感動的。

        お勧め度        85%

上映時間が実は解らない。パンフレットにも書いてないし、
インターネット上で調べても書いてなかった。
長くても90分位だと思うが。

実はこれを書いたのは見た2006/01/01に見た直後だが、
出すのを忘れてて遅くなってしまった。もう京都では公開終了しているはず。
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(2006/05/01号)
{映画紹介}

        「クレヨンしんちゃん 伝説を呼ぶ 踊れアミーゴ」

        92分
        ムトウユージ監督
        東 宝

2006年4月15日公開のクレヨンしんちゃん映画の第14弾。

物語を非常に簡単に書けば、身の回りの人がどんどん偽物(偽者)に替っていき、
その裏で「サンバ化計画」が進行する・・・というもの。
クレヨンしんちゃん初のホラー映画風である。
これじゃぜんぜんわかんない?

前半は、敵の正体が分からないまま偽物が増えていくという、恐怖を増長する場面ばかり続く。
ここは子供にとってはかなり怖いようで、事実帰りたがったくらい。
その後徐々に敵の正体などが分かってくるがそれでもひたすら攻めてくるので、
笑える部分は最後1/4位だろうか。

しんちゃん映画って、基本的には起承転結がちゃんとしているのだけど、
この映画に限って言えば「起承」がやたら長いくせに「転結」が短すぎるので
全体のバランスがかなり悪い。

物語の流れの悪さもあるがそれよりも、しんちゃんシリーズの基本コンセプトである
「家族愛」とか「友情」とかが今までになく描かれ方が少ないのが気になる。
前半では吉永先生の子供達への愛情が良く、
ひろしの家族への思いの場面はそこそこ長いので、「浅い」と言うべきか。
全くないわけではないが、何せホラー部分が長すぎるだけに
なんだか訳の分からんうちに終わってしまったという感じがしてならない。

反面、しんちゃんシリーズキャラクターの細かい設定がいろいろ出てきて、
(まほ〜少女も・え・Pとか上尾先生の好きな人の設定とか)
そういうことが好きなマニアにはたまらない部分もあるんだろうけど、
そんな人はごく一部だから、やっぱり受けは悪いのではなかろうか。

話の流れというか雰囲気は、第8作の「嵐を呼ぶジャングル」に似てる。
敵の追いかけ方や敵が非常にたくさんいるなど、画面構成等が非常に似ている部分がある。
ある意味、ジャングルをホラーで置き換えたような作りにも思えなくもないが、
でもジャングルはそれなりに友情や生身のヒーローの描き方が良かったのに、
こちらはそういうところがない。

サンバ化計画の目的も今一解らないし、最後はあまりにあっけなく
敵をやっつけてしまうし、なんだかな〜という感じだけが残った。
サンバを愛する者の暴走と言ってしまえばそれまでなんだけど。

        お勧め度        75%

子供向けと言うよりホラー好きな大人向けという感じ。
私はホラーが嫌いなので、残念ながらこの程度が限界。

「悪い」とまでは言わないが、いろんな部分でお粗末。

しんちゃん映画恒例のオープニングクレイ粘土アニメもちゃちだし
(これは前作「3分ポッキリ」でもそうだったけど)、
エンディングはものごっつ〜手抜きだし、何か予算不足だったんかいな
という気がしてならなかった。

そういえば敵の親玉の「アミーゴ鈴木」の声ももう少しのりのいい人があてるべきではなかったか、
と思う。妙に暗くて。

次回作は(あればだけど)、もっと気合いを入れて欲しい。
原恵一監督カムバック!
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(2006/08/07号)
{映画紹介}

        「ポケットモンスター ポケモンレンジャーと蒼海の王子マナフィー」
        110分
        東映系

ポケモンの2006年版映画。

物語を簡単に書けば、海の王子と呼ばれるポケモン「マナフィー」を
狙う海賊、守るポケモンレンジャー、それに協力する海の一族、
それに巻き込まれるサトシたちの活躍、という感じである。

物語の筋は非常に簡単であるにもかかわらず、内容は深い。
ポケモンバトルも殆どなければピカチューも殆ど活躍しない。
でも泣かせるというのはたいした手腕である。

かといってしんちゃんの大人帝国や戦国大合戦のように大人向けでもなく、
うまくバランスが取れている。
まあ、子供にとってはちょっと刺激が足りないと思うかもしれないが。

技術的に見ても3Dと2Dの融合や、多CH音声などが効果的で、
特に音声に関しては、今まで見た映画の中で最高の部類に入る。

そういえば、適役のボスの声は藤岡弘;仮面ライダー1号があてている。
でもみごとにあっている。
最初この名前を見たとき、同名の別の人ではと思ったくらい。

        お勧め度        95%

秋からポケモンシリーズは「ダイアモンド&パール」という名前が付いて
旅をするメンバーが替わった。サトシとピカチューは同じだが
このマナフィーで準主人公を務めた女の子は抜けて、別の女の子が加わった。
ということで、この映画が前のメンバーでの最後の作品と言うことになるので、
その子を大画面で見ておきたい人も是非。
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(2006/08/28号)
{映画紹介}

        「ゲド戦記」

        1時間55分
        宮崎吾朗 監督
        スタジオジブリ

あの宮崎駿監督の息子、宮崎吾朗さんの初監督作品。
原作はその筋では超有名な小説らしいが私は読んでいないので、
この映画で描かれた「ゲド戦記」として評価する。

物語の筋を簡単に書けば、老練の魔法使いと悪い魔法使いの因縁の戦いに
少年と少女が巻き込まれるという感じ。
そこに少年の心の葛藤の話がからんでくる。

映像そのものはジブリなので全く心配することはないし
(手抜きなのか狙った効果なのか判断しかねるが、ちょっと雑に見える部分もあった)、
音声の使い方も多CHを活かしていた。

しかし、物語の描写は少々浅い。
パンフレットでは大きく出ている人物がほんの数秒しか出てなかったり、
妙な部分で冗長な描写がある反面、主題となる人の心の問題に関しては台詞で語ってしまっている
=映像としては見せていない。
確かに台詞で語らせるとわかりやすいが、映像作品としては浅くなる。
宮崎駿監督が言葉を減らして映像で見せるのとはある意味好対照である。
というより、そのあたりが経験不足の部分といえるだろう。
初回監督作品としては仕方ないのかもしれないが。

主題もそうだが、画面が全体的に暗く、人の表情なども怖い場面があって、
子供への受けは非常に悪かった。上の子は目を背けることが多いながらも何とか最後までいたが、
下の子は我慢できず最初の30分で外に出てしまった(嫁さんも一緒に)。
全く子供向け作品ではない。

声はちょっと違和感あるかな。ジブリの作品は声優でない人が当てている場合が多いけど
違和感が強くないことが多いが(猫の恩返しは例外)、今回は一部でそう思うことがあった。
主人公(?)ハイタカ(ゲドの俗名)の菅原文太もそうだけど、青年役もウサギという役がちょっと。
残念。

        お勧め度        78%

この映画だけを見るなら、別に物語は破綻してないし、
ちまたで聞くほど悪い作品ではないと思ったけど、まとまりは良くない。
なんでそうなるのって思う部分も多々ある。
まあ次第点ということで。
少なくとも、DVDが出ても買わんでしょう。

原作者のこの映画に対する感想(の翻訳)が↓ここにあったので参考までに。
http://hiki.cre.jp/Earthsea/?GedoSenkiAuthorResponse
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(2006/09/04号)
{映画紹介}

        「時をかける少女」

        98分
        細田守 監督

「大林宣彦監督」「原田知世主演」「尾道が舞台」のあの「ときをかける少女」のリメイク版。
原作は同じ筒井康隆さんだが、今回の作品はアニメで、舞台も尾道ではない。
私は大林版を見てないので、時をかける少女は初見である。

今回の話は、ふとしたきっかけで時を戻る能力を得た主人公が、
気に入らないというか困ったことになるとすぐに過去に戻ってやり直している調子に乗っているが、
やがてそれがどえらい方向へ行ってしまってさあ大変、というものである。

先週紹介のゲド戦記が「暗い」「表現が浅い」(アニメである必要がない)などと酷評したが、
こちらは「明るい」「動きが活発」で、淡い恋心とか友情とか青春模様もおりこんで
非常に楽しい造りになっている。でも最後にはほろりとさせると。
とにかく主人公が元気なので、今のような私(鬱だった)が見ると気分が晴れる。

        お勧め度        93%

音声は5.1CHだけど移動感はほとんどないし、ごくまれに後ろから音がするだけ。

問題は上映館が非常に少ないこと。
大阪なら梅田に1カ所、京都は四条烏丸のCOCONという場所だけである。
いい作品だけに、上映館が増えるといいのだが。

DVDが出たら絶対に買う。
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