「DVD紹介2004」
(2004/01/20号)
{DVD紹介}

        「クレヨンしんちゃん ヘンダーランドの大冒険」
        
        定価    3990円(税込)
        買値    3420円(税抜)

        バンダイビジュアル
        1枚
        100分

クレヨンしんちゃんの映画、1996年公開の第4作である。

世の中にはクレヨンしんちゃんを毛嫌いする向きもあるようだが、
そういう人はこの作品の真意が全く理解できていない。
おそらく、そういう人はちび黒サンボも否定する、
真意より上辺を重視する人なのだろう。
最近は、こういう見かけのきれい好きというかきれい事ばっかり言うというか
似非正義がはやっているようで実に不快である。

それはそうと、クレヨンしんちゃん映画の一番のテーマは家族愛である。
テレビシリーズはちょいと違う部分も多いが、映画では
日常と非日常の対比の中でそれを見事に描いている。
日常にはあまり感じない家族の愛、絆を非日常時に再認識するのだ。
特にこの作品中では、日常の描写が絶妙なのでそう感じる。

それを堅苦しい実写映画で見せられると、感動はするが少々息苦しいのが、
ギャグありのアニメ見せられるとかえってすんなりと
感動できるのが不思議と言えば不思議である。
その意味で、しんちゃん映画シリーズは実に希有な良作だと言える。
更に、クレヨンしんちゃんは基本的には大人向け映画であるが、
子供も楽しめるのだから、ある意味ジブリよりすごいかも知れない。

大人帝国には及ばないが、この話もなかなか泣かせてくれる。特に
「俺たちの子供が、今ちょっぴり大人になった」というせりふが良し。

あえて粗をあげるなら、終わり方がちょっと強引な気もした。
前半の日常の描写に時間をかけすぎた感じ。
100分という、子供も見るアニメにしてはぎりぎりの長さ
近づいたので急いで終わらせたのであろうか。
残念。

        お勧め度        93%

大人帝国は何度見ても泣けてくる至極の名作であるが
内容が大人向けなので、子供も感動できるという意味では
こちらも負けず劣らずよろしい。

そういえば、クレヨンしんちゃんの映画には、
        おかまが出てくる
        最後に塔に登る
というのが多い。大人帝国にはオカマは出てこないが、
今まで紹介した他3作にはみんな出てくるし、最後に塔に登るはぜんぶそうである。
同じような設定を使いながらマンネリを感じさせないのも
このシリーズの絶妙さと言えよう。
しかしなぜおかま?作者に特別な思い入れがあるとか。
別にかまわないんだけど、おもしろいから。
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(2004/02/02号)
{DVD紹介}

        「クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦」
        
        定価    3990円(税込)
        買値    3420円(税抜)

        バンダイビジュアル
        1枚
        98分

クレヨンしんちゃんの映画、2002年公開の第10作である。

最初に正直に告白してしまおう。

        「大泣きしました」

大人帝国は共感という意味で泣いたが、これの場合は人間物として泣いた。
これは本当にクレヨンしんちゃんの映画なのであろうか。
いや、この変幻自在の物語の幅の広さこそが、クレヨンしんちゃんシリーズの
良さであろうが。

今回はお馬鹿なところは非常に少なくかなりシリアスである。
そういう意味ではもはや子供向けではない。
大人帝国の時はまだ子供でも笑える場面があったが、
こちらは非常に少ない。真剣に見入ってしまった。

とはいえ、その少数のお馬鹿場面が物語に緩急を付けて
見る側が力みすぎないようにしているのも見事である。

映像的にもアニメ、しかもしんちゃんの映画だからと言ってその描写に
手抜きがあるかと言えばそれが全くない。
合戦の模様なんぞ、実写ドラマより迫力ある。
かなりの時代考証をしたと見た。

私およびもう少し上の年代の思い出に深く共感を与えた大人帝国、
日本人が好きな戦国時代の話を基本とした今作品。
共に完全に日本人の心に訴えるポイントを持っているのが
感動を呼ぶ最大のポイントだと思う。
この二作は共に原恵一監督の作品だが、実にすばらしい。

子供向けという範疇に入れられながらも、それを遙かに超えた質を持っている、
クレヨンしんちゃんシリーズに脱帽。

        お勧め度        99%

100%をあげてもいいのだが、しんちゃんを初めとする野原一家が
主人公ではなかった点だけ−1%しておく。その活躍が少なかった分。
(今回の主人公はしんのすけの出会った侍である。)

戦国物と言うより、その時代を借りた恋愛物であり、
戦いのむなしさを描いた反戦物であり、いろいろな側面を持っているように思う。

そこら辺の実写映画なんぞ全く歯が立たないほどの秀作である。
そういやこれを書いている今はラスト・サムライなる映画が
公開されているが、それがこの映画に勝るであろうか。

日本の劇場アニメと言えばジブリが世界的にも有名すぎるが、
こういう作品もあることを知って欲しい。
まあ、先にも書いたとおり、大人帝国とこの作品は名作だが
日本人の心を知っていないと理解は難しいので、海外では受けないかも知れないが。
(この2作以外のしんちゃんは理解できるだろうけど。)

あっ、そういえばこの作品にはおかまも塔も出てこない。
塔は出てくるけどしんちゃんは登らないと言うべきか。
そういう意味ではちょっとシリーズ中異彩を放つ作品かもしれない。
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(2004/03/15号)
{DVD紹介}

        「アンデルセン 愛と冒険の物語」

        137分+スタッフロール

あのアンデルセンの人生と彼の書いた物語の合体したような映画。
伝記物語の中に、彼の書いた話をちりばめて構成しているのである。

アンデルセンと言えば、子供の頃「そ〜れ〜ゆ〜けアンデルセン♪」
という主題歌のアニメがあったと思う。
今となっては、どの童話が彼の話かわからないが、
いろいろな話を聞いたのは間違いない。
その、一種郷愁からこのDVDを見たくなった。

映画中で私がわかったのは、マッチ売りの少女、親指姫、人魚姫、
みにくいアヒルの子、雪の女王くらいであろうか。
全く知らない話もあった。どうも20作品くらい入っていたようだが。

伝記としてみてみると、最初はともかく、コペンハーゲンに出てからは
結構順風満帆な気がする。それほど細かく描かれているわけではないが。
真実かこの映画だけの話かわからないが、2人の女性との関係が中心に
話が進んでいく。この関係が微妙で、最後はちょっと切ない終わり方であった。
ちょっと「あれ」な終わり方である。
そういう意味ではすっきりしない。

アンデルセンの行動はかなり奇異であったが、やがて認められていく。
ここでも「変人に見られる人ほど偉大になる」が証明されたと言える
のではなかろうか。加えて言うならば、どういう彼の才能を
温かく見守る人に巡り会えたことの重要性も見るべきであろう。
変人を、偉大にするかただの変な奴で終わらせるかは、周り次第である。

この作品、珍しく4:3サイズであった。
一応スタッフロールもあったが、ひょっとすると、どこかのテレビ
番組だったのかもしれない。それか、どこかの映像作成会社の作った
世界の有名人の伝記シリーズか。特典映像を見るとそんな感じもする。

        お勧め度        75%

まあ、必ず見なさいとは言わないけど、見て損するとも言えない。
アンデルセンの世界の実写化作品としても意味がある。
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(2004/03/15号)
{DVD紹介}

        「タイタンAE」

        95分
        20世紀FOX

アメリカのアニメ映画。
アメリカでは2000年の夏(6月)に公開されたらしい。

タイトルにある「AE」とはAfter Earthの略らしい。
30世紀に人類が「何か」を発明したが、
それを好ましく思わない宇宙人に地球を破壊された跡の話。
主人公が冒険の末に「何か」を捜してハッピーエンドである。

まず一番に感じたのは「動きが変」。
日頃日本の緻密なアニメに慣れ親しんでいるだけに、
キャラクターの動きに"ものすごく"違和感を感じた。
はっきり言って気持ち悪い。
人の動きがナメクジみたいにグニャグニャでだからだ。
これはディズニーのアニメでも同じなので、あちらの人間はナメクジから進化した
のかもしれない。まあ行動原則を見ても猿から進化したようにはとても思えないが。

・・・とまあ精神論は置いといて、この映画はセルアニメと3D−CGを
組み合わせたものでもあるが、この2つの間にも違和感がある。
どうもアメリカンアニメは性に合わない。
しかし、その違和感さえ何とかなれば、後は結構いける。

物語はある意味子供向けで特に訴えかけるものはないが、
かといって全くつまらないわけでもない。
冒険的話としてはよくまとまっている。
どんでん返しもあって単調ではない。

この映画の圧巻は、最後の方で氷の固まりの中を飛ぶところがあるのだが、
ここが3D−CGと音響の効果が相まって非常に臨場感がある。
CGも氷の感じが良く出ていたし、
特に音はかなり低い音が入っており、空間の雰囲気を見事に出している。
うまいなぁと思っていたらこの部分、STARTWARS EPISODE1の
CGチームが作っていたそうだ。さすがだ。

        お勧め度        80%

特に音響効果がすごいので、そのあたりを中心に楽しむと良いであろう。

でもやっぱりアニメは日本の独壇場と思うのは、
決して身びいきではないと思うのだが。

そういえば、日本でも最近のアニメはほとんど(すべて?)
コンピューターを使ったデジタルペインティングで、
多くの場合3Dモデリングされた物体も取り込まれている。
こういう3D物体はその周りを回ったりするような視点を変えて見る場合や
遠近感を表現する場合に効果的だが、このように
計算によって遠近感を出しているものは、どうもその遠近感がおかしく
感じられる。

遠近感はその物体の大きさの変化で表現されるが、
人間の目と頭での理解による大きさの変化は、
計算によって導かれる大きさの変化と異なる。
これは、たとえば月の大きさが見た目と数学的大きさとでは
全く異なるのと同じだ(月を写真に撮ってみると非常に小さいのに、
目で見ると大きく見える)。
注目している物体は、計算値以上に大きく見えるのだ。

手書きの頃はそれが自然に表現されていたのだが、
最近のCGはそれがだめだ。
ジブリ(およびそこで勉強した人)の作品はこの「見た目で描く」と
いうことに注意されている(と聞く)ので違和感が少ないが、
タイタンAEを含め他の作品は軒並みだめ。
もう少し、人間がどう見えるのかを勉強して欲しいところである。
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(2004/03/22号)
{DVD紹介}

        「ああっ女神さまっ(1)」
        
        定価    6000円(税別)
        売価    1480円(税込)

        KSS
        1枚
        63分

藤島浩介の同名漫画の映像化版第1号。
元々はもうだいぶ前(15年ほど前?)に出たビデオ版。
その後レーザーディスク版も出て、私はそれを持っているが、
それをほぼそのままDVDにしたのがこれ。

内容については省略。
知りたい人は原作を読んで。
簡単に書けば人間界に来た女神と青年の恋物語・・・でだいたい正解。

LDも持っているし、それをDVD−Rにもコピーしてあるので
本来なら買う必要はなかったが、中古でこの値段であったので
つい買ってしまった。

これのオリジナル(ビデオ版)が発売された当時、その画質は驚異的に
綺麗であったが、今となってはもう普通以下。
このDVDの画質も少し汚いかな?と言う感じ。特に最初に出てくる
KSSのロゴがにじんで非常に汚いので本編も危惧したのだが、
そちらはましだった。
LDと同程度か、それ以下。
(家で作ったコピーと同じ以下だから。)
でも現在のDVD画質に慣れていると決して綺麗とは言えまい。

内容は今更再評価するまでもないが、まあおもしろい範疇であろう。
ただし、原作を知っていればの話。
知らずにこれを見たら、なんかよくわからないであろう。

        お勧め度        78%

あくまでコレクターズアイテムとして、この価格でなら、と言うところ。
6000円ではぼったくり。過去にビデオテープやLDで出ているのだから、
今更この価格というのはね。日本のアニメは高すぎ。
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(2004/03/22号)
{DVD紹介}

        「みんなのうた 笑顔」
        
        定価    1500円(税別)
        売価    1350円(税別)

        コミックス・ウエーブ
        1枚
        28分

NHKのみんなのうたで放映された「笑顔」(岩崎宏美)のDVDシングル。
(この岩崎宏美は「ふたりっこ」の彼女ではなく、元祖の方である。)
でも、その筋の人は、以前に紹介した「ほしのこえ」の作者、
新海誠さんの作画と言うことで買うのであろう。
私は両方の名前で買ったのだが。

歌は、かなりストレートな感情を歌ったもので覚えやすく好感が持てる。
大ヒットするものではないが、結構口ずさみやすい。
ちょっと短いような気もするが。

映像は3種類、本放送版、フル動画版、絵コンテ版とあり、
さらに岩崎宏美のインタビュー、新海さんのそれ、
制作風景なども入っている。
「岩崎宏美が老けたなぁ」というのもあったが、
制作風景は、CGをやっている人には結構参考になるのでは
ないだろうか。正直、今のパソコンではここまで出来るんだ、と
感心した次第(やはりMACだった)。

        お勧め度        90%

CDシングル買っても¥1000なのだから、+¥500で映像付きというのは
お得。
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(2004/04/05号)
{DVD紹介}

        「海がきこえる」
        
        定価    4700円(税別)
        売価    4230円(税別)

        スタジオジブリ
        2枚組
        72分

スタジオジブリの、もうだいぶ前の作品。
映画ではなくたしか10CH(関西ね)でTV公開されたもの。
そんなわけで、ジブリの中ではかなりマイナーな作品ではあろうが、
私はこの作品がいたく気に入っていたので、ずっとDVD化されるのを待っていた。

久々に見たその作品は、やはり良かった。
もろに(当時の)青春ど真ん中、しかも清純な青春恋愛もので、
見ていて感動というか、すがすがしい気分にしてくれる。
同じ青春ものでも「ピンポン」などとは正反対のタイプいえる。
(個人的には「ピンポン」等の不良路線を交えた描写は大嫌い。)

こういう感じの作品は当時はあったのかも知れないが、
最近は少ないのでは無かろうか。
ストレートに青春ものだが、かといって薄っぺらなこともなく、
実に感情に移入しやすい。
舞台が高知というのもその良さの1つかも知れない。
(東京だと無理だろう。)

ある意味、ほとんどひねりのない青春物とも言える。
盛り上がりがないと感じる人もいるかも知れないが、
無意味な盛り上がりなんぞなくても描けると言うことを証明した作品である。

ジブリの作品ではあるが、いわゆるジブリ臭さはない(と思う)。
あの宮崎駿監督がタイプの作品として認めたとか認めなかったとか。
悪い意味ではなく、「自分には創れないものを作っている」という意味で。
(宮崎監督が認めた青春ものが「耳をすませば」。)
監督は望月智充さん。最近の作品ではNHK BS2で土曜日の朝にやっていた
「ふたつのスピカ」も監督されている。
(これを最初に書いた時点ではまだやっていたのだが、3/27で終わった。)

原作は氷室冴子さん。
作品は・・・なんて素敵にジャパネスクとかいろいろあり、
実は結構好きな作家である。最近は読んでないけど。
独特のうまさがある。

画質は問題なし。
音も問題なし・・・と言いたかったのだが、残念ながら音には大きな問題がある。
一部のせりふの音が割れるのだ。しかも大切な場面のせりふが。
音量が大きすぎてビビると言った方が良いか。
BGMも一部ひずんでいる場所がある。
オリジナルの問題なのか、DVD化に際してのミスなのか。
話が良いだけに、この部分が気になって残念。

        おすすめ度      90%

この作品の声優人の中に島本須美さんがいるのだが(めぞん一刻の管理人さん
とか、ナウシカの声の人)、彼女が高知弁の指南役をしているというのが
おもしろかった。スタッフロールも眺めるとたまにおもしろいものが
見つかる。

そうそうもう1つ。
映画中、野外の喫茶店かなんかのシーンで見覚えのある後ろ姿が。
ポルコ・ロッソ(紅の豚)がいる。
探してみると良かろう。
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(2004/04/05号)
{DVD紹介}

        「風の谷のナウシカ」
        
        定価    4700円(税抜)
        買値    3980円(税抜き)

        スタジオジブリ
        2枚組
        116分

今更紹介するまでもない、宮崎駿監督のオリジナル映画の第1作。
・・・他に何を書けと。

実は宮崎アニメの中で特に好きというわけではないのだが、
今まで全て買っているので、お約束的なところもある。

公開されてからもう20年ほど経っているのだろうか。
未だに色あせぬその物語の映像には、感服するばかりである。

        お勧め度        80%

映画内容的には、ひょっとすると好き嫌いが出るかも知れないけどね。

音はモノラルだけど、結構細かい音は入っている。
この当時はまだジブリはなかったようだけど、
宮崎監督の映画に描けた意気込みは感じられる。

ただ、最近は少しジブリに食傷気味なのも事実。
新しい風を吹き込んで欲しいね。
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(2004/04/26号)
{DVD紹介}

        「ママは小学4年生 DVD−BOX」

        5枚組(各5〜6話)*2
        120分*5枚*2セット
        売価    22000円(税別)*2
        買値    (1)17600円(税別・送料込み)
                (2)19800円(税別・送料込み)
        VAP

1992年のアニメ作品のDVD−BOX。
略してママ4。

簡単にあらすじを書けば、未来から来た自分の赤ちゃんを
育てる羽目になった小学4年生の女の子の話。
一応はどたばた喜劇ものになるのかな。
でもちゃんと赤ちゃんを育てる大変さも描いている。
まあ、ちょいとご都合の部分はあるけど。
(本当はもっと大変だ!)

DVD化に際してデジタルリマスタリングしたらしいが、
はっきり言って画質はまだ悪い。
29インチのテレビでは何とか見られるが、プロジェクターで60インチにすると
もうだめ。更に、一部大きな乱れもある(画面最上部だけなのだが)。
音質も良くない。エヴァンゲリオンのリマスタリングが入魂の一作だった
事を知っているだけに、同じ「リマスタリング」といいながらこの程度なのは、
内容が良いだけに非常に残念(画面の揺れはかなり押さえられているけど、
粒子状のノイズが目立つのが特に)。

発売は(1)(2)の2回に分けてなされた。
(2003年暮れと2004年3月。)
合計10枚で4万円強、1枚4000円超となるからちょいと高いか。
まあ、リマスタリングしていることと売れる本数が少ないことを考えれば
これくらいなのかも知れないが。
そういえば、予約限定発売なので、後日店頭で見つけて買うというのは
至難の業かかもしれない。
        ・・・再編集時注・・・
梅田のヨドバシカメラのDVD売り場にはたくさんあった(2004/5/30現在)。
ここは他にも本当にいろいろある。手に入れ損なったと思っている物が
あるなら、一度行ってみると良いかもしれない。

作ったのはガイナックスといって、ロボットアニメものでは有名なところ。
そこがこういうものを作ったということで、当時は結構話題になったとか。

内容は結構良くて、子供にも安心して見せられる。
正直に言うと、最終回では泣いてしまった。
(ただ、この最終回につながる前4回の話が子供向けかと言えばちょっと
そうではないのだが。)
ただ、最終回で、後日談のまとめ方が少々不足だったかな、という気がする。
せっかく引いた伏線(というか設定)がそのまま説明されなかった部分もある。
SF上の設定としてはタイムパラドックスを解消する終わり方だったけど、
ちょっと惜しいかな。

で、実はこの作品、SF界では結構有名らしい星雲賞のビジュアル作品部門
というのを受賞している。
総監督さんはSFとして作ったつもりはなかった、と言っているが、
タイムパラドックスネタがあったりする部分がそうとらえられたのかも。
実際にはほとんどが日常ネタなのでSFを感じる部分は少ないのだが、
まあ、そういう一面も持っている作品と言うこと。

        お勧め度        83%

そういえば、DVD−BOXの(1)(2)とも購入すると
フィギア(人形)がもらえるんだけど、まだ手に入れてない(来てない)ので
出来は不明。そういうのを集める趣味はないけど、くれるのならもらうぞ。
2004/6月初旬に到着。基本的にはジャケット内にあった写真の出来そのまま。
悪くない出来だと思うけど、顔が少々違うような気がする。
あと未来ちゃんの(服の)しっぽの色も。結構ずっしりした重みがある。
600円の送料だけでもらえるのだから、良いのではなかろうか。
とはいえ、4月中で締め切りだったので今から申し込んでもだめだけど。
<戻る>
(2004/05/10号)
{DVD紹介}

        「アドベンチャー・オブ・インディ・ジョーンズ コンプリートDVD」
        
        定価    13800円(税別)
        買値    8820円(税別、送料込み)

        パラマウント ホーム エンタテイメント ジャパン(株)
        4枚組
        
        レイダース失われたアーク        115分
        魔宮の伝説                      119分
        最後の聖戦                      127分

DVD化されてない最後の大物の1つと言われたインディージョンズシリーズが、
とうとう発売された。しかも一気に3本。
定価は13800円だが、2003年内だけ特別価格で発売されていた。

おそらくは、現在作成中と言われる第4作目に向けての宣伝も兼ねた
発売であろう。

これだけ待たせたのには理由があって、映像的にはかなりデジタル修復を行い、
音声的にも5.1CH化したためである。
ただし、英語だけ5.1CHで日本語は2CHなので、
まずは英語で視聴。

修復されたという映像は、確かに多くの場面で綺麗である。
一部にまだノイズがあるが、許容範囲であろう。
音声の5.1CH化は、悪く言えば内よりかはましという感じか。
いずれも、後の作品になるほど綺麗&効果的である。

作品については今更語るまでもないであろう。
おもしろい物はおもしろい。
最近この手の素直に楽しめる冒険ものがないのが残念。
映像の綺麗さや派手さにこだわって、見手が
楽しめる作品とはどういうものかを考えてないんじゃないか。
悪く言えば、監督の自己満足だけ。

        お勧め度        80%

こうなると、残りの大物は後1つだけ。
STARTWARS旧3部作である。
ジョージルーカス曰く、新3部作が終了した後と言うことであるが、
早く出て欲しいものである。
(2004年9月に発売予定!)

それにしても、このDVDの名前も売っている会社の名前も長ったらしくって
いかん。覚えてもらえんような会社名付けて楽しいんかいな?
<戻る>
(2004/05/10号)
{DVD紹介}

        「茄子アンダルシアの夏」

        1枚
        47分
        ¥3840(税別、送料込み)
        VAP

2003年劇場公開のアニメ作品。
スタジオジブリの絵に似ているが、この作品自体はジブリの作品ではなく、
ジブリで作画監督をしていた高坂希太郎が監督している作品である。

変な名前であるが、黒田硫黄という人の「茄子」という作品の中の
1エピソードだそうである。確かに作品中に茄子がでており、
それに主人公の思い入れがある。

自転車レースを題材にした作品であるが、後はどう表現したらいいのか、
ある自転車レース選手のそれに掛ける意味を描いた作品と言えるのであろうか。

自転車レースの描写が非常に細かいということで、その筋では
有名だったらしいが、確かに非常に臨場感がある。
自転車レースを知っている人には、にやりとする場面が連続するのであろう。

短いだけに中だるみはない。
一気に見終われる。
感想はどういえばいいのだろうか、あぁ、こういうアニメもありね、
と言うふうに思った。主人公の心の動きが良く表現されている。

        お勧め度        81%

これを作ったのはマッドハウス(http://www.madhouse.co.jp/)というアニメ作成会社。
マッドハウスは「カードキャプターサクラ」なども手がけていて、
絵のうまさや丁寧さには定評がある。
日本(世界?)ではジブリが有名だが、ここもその筋では有名なのだ。
が、最近どこぞに買収されたと聞いた。
(「携帯電話向け有料情報提供のインデックス」とな?聞いたことないなぁ。)
この質が保てればいいのだが。
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(2004/06/07号)
{DVD紹介}

        「ザ・ドリフターズ 結成40周年記念盤 8時だヨ!全員集合」
        (通常版)

        3枚組
        101/93/95分
        定価    10290円(税込み、送料別)
        買値    8232円(税・送料込み)
        TBS

かつて土曜日夜8時から、4ch(関西圏)でやっていた、
「8時だヨ!全員集合」のDVD。
志村けんの参加以降分。

少し前に発売されていたが、その時には買おうとは思ってなかった。
が、いかりや長介さんの訃報があって、しかもテレビの追悼番組を見る内に
何となく欲しくなって買ってしまったのである。
(こういう人は多かったようである。)

内容については今更説明の必要はないだろうが、
今見ても笑える。
子供も大笑いしていた。

ドリフの笑いには、うんこねたが多かったり、ストリップネタがあったり
食べ物を粗末にするコントなどもあり下品だと言われる(思う)こともあるが、
全体的に見ればブラックとか手抜きな部分はなくて良質だ。
(ドリフに比べれば、ひょうきん族の方がよほど
お下劣だし、最近の若いお笑い芸人のなんて芸の内にも入らない。
私は特に99のやっているものが大嫌い。)

最初の20分のお笑い劇は、アドリブを許さなかった(らしい)
いかりやさんによる完全に練り込まれた一種芸術的な笑いであって
(一部には滑っている部分もあるが)、
だからこそ世代を超えて笑えるのであろう。

多くの舞台が見る人にとってわかりやすい設定であるというのも
その一因であろう。一部の例外はあるが、家庭や学校コントが多い。
とにかく、細かいところまで計算された大衆の笑いである。

このレベルのものを毎週、しかも(コントも演奏も)生でやっていたというのは、
今にして思えば驚異的だと言える。
特に客席との一体感がすばらしい。
最初に「おぃっす!」だけでつかめるなんて特にそう。
今こういう芸人、というか企画を行うことは無理なのではなかろうか。

収録されているコントは、一応代表的なものなのだろうけど、
ちょっとはずれ気味のもあるので、もう少し良いものを
収録して欲しかった、という気もする。
さらに、収録されている内容(と類似のコント)の多くが追悼番組で
放映されてしまったのがちょっと残念。
それだけ代表的なコントだったんだろうけど。

        お勧め度        82%

何せ古い番組なので、画質や音質は高望みしちゃだめ。
一部にソース起因の映像の乱れもある。
でも予想よりかは綺麗で、古いアニメのDVD(たとえばママ4)より
ずっと上。

全部で289分。
同様の物で、「俺たちひょうきん族」もDVD化されているが、
あれに比べてもこちらの方が安いし、家族で見られるから
いいかも。

私は全員集合より、あれが終わった後時々やっていた
「ドリフの大爆笑」の中の「もしも」シリーズが好きだった。
あれもDVDにしてくれないかなぁ。

いかりやさんの訃報を聞いたとき「うそっ!?」と思ったのと同時に、
「あぁ、また1つの時代が終わったなぁ」と言う感じがした。
21世紀に本物のお笑い芸人は生まれるのであろうか。
最近の若手を見ると本当に芸が浅くて見るに堪えない。
いかりやさんが晩年はドラマの中にその味を出していたが、
後輩の育成指導もしていて欲しかった、と少し思う今日このごろである。
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(2004/06/21号)
{DVD紹介}

        「マトリックス レボリューションズ」

        ワーナーホームビデオ
        2枚組
        定価    3129円(税込み)
        売価    2380円(税、送料別)
        本編    129分

マトリックス三部作の最終章。
で、映画館で見て「なんじゃこりゃ!?」となった作品。
DVDの発売を聞いたとき、買うか迷ったが、
DVDでは日本語で聞けるので、もう少し内容がわかるのではないかと
思って買ってみた。

せりふがわかると、映画館で見たような理不尽な怒りというか
わけのわからなさは解消される。
それにより、この作品がマトリックスの続編ではなく、これ単体で見るなら
そこそこ見られるものであることもわかった。

がしかし。やはりこれをマトリックスの最終章として考えると
これはもう駄作としか言いようがない。
それでおしまい?そんな終わらせ方?そんな話?
・・・まさに、支離滅裂なのである。
監督が見せたかった画像は出来てるんだろうけど、
だから何?と言う感じ。

一番の問題は、物語が破綻していること。
この3作目では、結局ネオはスミスをやっつけることでマシンを手を打つ。
実際、マシンはネオがスミスを倒したことで人類への攻撃をやめる。
しかし、1作目ではスミスはマシン側の存在であり、そのときにも
マシンは人類を攻撃している。ではそのときの攻撃の理由は何だったのか。
1作目の理由が正しいなら3作目の終わり方はおかしいし、逆もしかりである。
2作目でネオの前に前任者がいたという下りがあるが、その都度スミスのような
存在がいたのであろうか。でも前任者はネオとは違う選択をしたような感じだった。
ということは、そこで前のスミスのような存在にマシンは乗っ取られているはずである。
でもそうではない。かように支離滅裂なのだ。

さらに、3作目の終わり方をとるとしても、マシンそのものがなくなった
訳でもないのになぜ「戦争が終わった」というのか。
またスミスのような存在が現れたらマシンはそのバグ取りのために人類を
滅ぼそうとするのではないか。
マシンが帰っていくのではなく動かなくなったのであれば「終わった」は
正しいといえるが、そうではない。
ここも大きく「おかしい」と思う部分である。

物語の最初と最後でに若干のつじつまが合わないことはよくあることだが、
ここまで目的が変わってしまってはいけない。
まして最初から「3部作」と行っていたわけだからあらすじはできていただろうに、
これはいただけない。
だからこそ、この「マトリックス レボリューションズ」を駄作だと
言い切るのである。

インディージョーンズの時にも書いたが、最近は観客の楽しめる
作品が減っている。映画が作り手の自己満足に終わっているのだ。
この作品はその代表となるであろう(ターミネーター3もね)。

        お勧め度        55%

映画よりかはまし程度。
買う必要はないんじゃない?レンタルで十分。

そうそう、映像はかなり汚い。元々暗い画面が多い作品だが、
そこにノイズがかなり入っている。
音声もいまいち。さらに、本編終了後にオリジナル予告編集が入っているのだが、
この部分で音声が乱れる(というよりノイズしか聞えない)。
DVDもこの程度かい!
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(2004/10/04号)
{DVD紹介}

        「STARWARS TRILOGY BOX」
        20世紀フォックス ホームエンターテイメント ジャパン(株)
        4枚組
        定価    9500円(税別)
        買値    7500円(税別)

        EPISODE IV     新たなる希望    125分
        EPISODE V       帝国の逆襲      129分
        EPISODE VI     ジェダイの帰還  136分
        おまけ                  241分

あの、スターウォーズの初代3部作のDVD−BOXである。
その初回公開版ではなくて、1997年に公開された「特別編」のDVDである。

以前(1997/12/26号)でLDの特別編を紹介した。
特別編というのは、初回公開時のフイルムに対して大幅な高画質化と
CG等による画面への追加、音楽の差し替えなどを行った作品である。
その後に公開されたEPISODE1を前にして、STARWARSシリーズを
思い出してもらおうという意味もあったと思われる。

そして、今の時期にこれを発売するのは、おそらく来年公開となる
シリーズ最終作、EPISODE3への布石である。
EPISODE3でダース・ベーダーが生まれるわけだが、
その後の話を先に再確認(もしくは知って)もらおうと言うことであろう。

内容については今更解説するまでもないので省略する。
特別編と初回版の違いもLD紹介時にしているので基本的には省くが、
私は初回の方が好きだと、もう一度書いておこう。
特別編の方がルーカスの意図に沿っているとは言われるが、
どうにも小手先の改良のようで好きになれない。

まあ、そうは言ってももはや初回公開版が発売されることは絶対にないので、
これで我慢するしかないが(DVDでは選択で初回版も見られたらいいな、
と密かに期待していたのだが、それはなかった)。

今回改めて特別編3部作を見たが、まず驚くのがその画質の良さである。
特別編作成の第1目標が古くなったフイルムの映像を元に戻すということが
あったらしいが、これが30年近くも前の作品とは思えないほどに見事に
綺麗になっている。LDよりこのDVDの方が一層そう思える。
引き込まれそうになるような美しさだ。

ただたった1カ所だけ、EPISODE4(一番最初の作品)の中で
C3−POが映っている画面の真ん中後ろの映像が黄色く変色している
部分が残っていた。背景も砂漠で黄色だが、それとは違って古ぼけたフイルムの
色であった。背景と似た色なので修正をし忘れたのか、
意図的にそうしてあるのかは解らない。

音は全面的に5.1CHになっていて、かなり効果的である。
基本的にBGMを後ろから鳴らすようにしていて、効果音は全体から、
という構成になっているように思った。だから、リアのスピーカーも
少し良い物でないと音がこもって聞えるかも知れない。
移動感はかなりある。

まずは日本語吹き替えで聞いたが、悪くはないがちょっと違和感はある。
全体的にTVでの公開時の吹き替えの方が良かったと思う。
もっとも、スターウォーズの初代3部作は英語で聞いてもかなりわかりやすいので、
字幕で見るのも悪くはない。

このDVDは基本的にはLDの特別編と内容は変わりないが
(日本語吹き替えが聞けるなどはDVDならではだが)、
気づいただけで1点違いがあった。
それは、EPISODE6;「ジェダイの帰還」の一番最後で
ヨーダ、オビワン、そしてアナキン・スカイウォーカー=ルークの父が
映るシーンがあるが、このときのアナキンの俳優さんが変わっている。
おそらく、もともとの人では新3部作のアナキンに似てないからだと思う。
今のアナキン(EPISODE2で演じた人)とは違うとは思うが、
似ている人に変わっていた。

そうそう、今「ジェダイの帰還」と書いたが、
初回公開時の日本語副題は「JEDIの復讐」であった。
元々英語の副題が「JEDI's Revenge」であったのが公開直前に
「JEDI's Return」に変更されたのだが、日本語版は差し替えが間に合わなかったから
「Revenge=復讐」のままになったという曰く付きである。
今回はそれが本来の題名に直されている。

そのちょっと前の場面で喜びに沸く各星の人々を映すシーンがあるが、
ここの都市がEPISODE1/2で出てくるそれらになっている。
LDの特別編からそうだったのかも知れないが、ひょっとすると
DVD版で差し替えられたのかも知れない。

何にしても、STARWARSが好きな人なら、買う価値十分である。

        お勧め度        90%

それにしても、STARWARSも息の長い作品である。
私が見たのは最初のEPISODE4を見たのが小学校5年か6年の頃。
EPISODE5が高校2年、EPISODE6が大学3回生くらいだから、
映画で6を見てからでも15年以上経っている。
その間思い出の中で色あせることがないのだから、いかに印象が強かったか、
ということだ。
他にこのような作品はないからね。

さて、来年はいよいよ最終作EPISODE3の公開である。
本DVDについている、おまけ;作成秘話などを見ながら、待つとしようか。
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(2004/07/26号)
{DVD紹介}

        「クレヨンしんちゃん ブリブリ王国の秘宝」
        
        定価    3800円(税別)
        買値    15%引き(税別)

        バンダイビジュアル
        1枚
        96分

クレヨンしんちゃんの映画、1994年公開の第2弾である。

あらすじは、ブリブリ王国の秘宝を巡る話・・・って、タイトルのまんまじゃん。
え〜と、その王国の王子としんちゃんがうり二つで、
その二人の存在が秘宝の鍵となっており、
それを使って世界征服をたくらむ奴らと一戦交える話。
最後がちょっと違う気もするけど、まあそんなところ。

前に紹介の第1弾は駄作であったが、
これはなかなかおもしろい。
「大人帝国」が大人向けであったのに対し、これは子供向けではあるが、
かといって大人が見てつまらないと言うこともない。

クレヨンしんちゃんシリーズに共通する「家族愛」がこの映画から
始まったと言える点でも評価できよう。

        お勧め度        86%
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(2004/07/26号)
{DVD紹介}

        「クレヨンしんちゃん 雲黒斎の野望」

        バンダイビジュアル
        1枚
        99分
        3990円(税込み、送料別)

クレヨンしんちゃんの映画、1995年公開の第3弾である。

簡単に書けば野原一家が戦国時代にタイムスリップして、悪者をやっつけるという
内容。実はその悪者が未来人で過去に行って悪さをしてたとか、
やっつけたつもりが・・・とか、まあ、どんでん返しもある。

が、内容は全体的にあまり起伏がなく平面的な感じ。
家族愛という面でも今回はあまり描写がないし、
しんちゃんの活躍の場面はあるのだけど、どうものりが悪い。
登場人物がみんなバラバラに行動している感じでつながりが悪い。

それでも子供には大受けなんだけど。
なんせ「うんこ」ですから。

        お勧め度        68%

監督は本郷みつるさん。第1作のアクション仮面VSハイグレ魔王はまあ駄作
(でも最初の作品だから仕方ない)であったが、2作目のブリブリ王国の秘宝が
なかなかおもしろかっただけに、この3作目の内容は少々納得いかないところ。
(4作目のヘンダーランドの大冒険も良いのだが。)

まあ、クレヨンしんちゃんシリーズは他が軒並み高評価だけに、
相対的に低く感じてしまうだけかも知れないが。
これだけを見れば、ここまで低く評価しないでも良いかも知れない。
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(2004/10/18号)
{DVD紹介}

        「クレヨンしんちゃん 爆発!温泉わくわく大決戦」

        バンダイビジュアル
        1枚
        113分
        3990円(税込み、送料別)

風呂嫌いの集団「YUZAME」と日本の温泉を守る「温泉Gメン」との
戦いに巻き込まれた野原一家の活躍を描いた映画。
映画では第7作目。

クレヨンしんちゃんシリーズの映画はほとんどが100分程度なのだが、
これだけが例外的に長い。これは、本編の前に「クレしんパラダイス メイド・イン
・埼玉」という短編集があるからで、本編だけなら相変わらず100分ほどである。

この作品は内容が非常に丁寧に描かれている。
リアルにする部分は徹底的にリアルにし、逆にデフォルメする部分はする。
しんちゃんシリーズでは、そもそもキャラクターそのものがかなりデフォルメ
されている。でもそこから多くの表情を読み取れる。
このバランスが絶妙なので全体の質が高く感じる。

また、他のしんちゃん映画の多く(大人帝国以外)が日常からかけ離れた空間での
話になっているのに対し、これは日常とさほどかけ離れず展開されるので
かえってリアルである(大人帝国には負けるけど)。

丁寧さ良い例は的の巨大ロボット出現以降の周辺描画である。
ニュースでは高速道路が普通とか新幹線が止まっているという交通情報、
日本政府の対応が悪いから円が急落したとか、
弾薬をどれだけ使って効果がないから野党から追及されるとかがあり、
他に自衛隊出動や報道管制を決めるときの総理官邸の様子、
はてはニュースキャスターがおもしろい話題があると飛びつくが証拠がないと
すぐに忘れ、また出てきたらわっと押し寄せるところなんぞ、
マスコミをパロっている感じがする。

設定でのデフォルメというかある種の簡素化もおもしろい。
敵の親玉が風呂を嫌いになった理由とか、ロボットの動力源がエアーウォーク
(という商品名だと思う)であったりするのが笑える。

そういえば、戦車1台12億円というせりふもあるが、
なんか高いか安いかわからん。
ちなみに九州新幹線800系は1両2億5千万円である。
それの8両1編成だから、20億円となる。
さて、どちらが高いと思うやら。

今回はまた、登場人物にも個性があっておもしろい。
敵の名前もおもしろいが、特に温泉Gメンの隊長が和風でGood!!

この映画ではクレヨンしんちゃんの映画の本質である家族愛についても
十分描かれているが(飼い犬のシロも家族として同等に描かれているのが
かわいい)、怪獣映画としてみてもかなり優秀である。
ロボットが電線やワイヤーをぶち切るときの様子や爆弾の破裂する様子が細かい。
一方でお笑い的な部分もあって、ゴジラのパロディーが入っているのは誰にでも
わかるであろうが。

監督は大人帝国、戦国大合戦と同じく原恵一さんであるが、
いやはや、この人の映画の作りには恐れ入る。
クレヨンしんちゃんという舞台を借りて、毎回いろいろな映画の
世界(分野)を描き出しているのである。
だから子供から大人までおもしろく、飽きさせないのであろう。

前後の監督がクレヨンしんちゃんという世界にこだわっていることに
比べると、この人の映画の広がりがやたらある理由がここにある。

        お勧め度        97%

秀逸。
大人帝国や戦国大合戦のように涙するというものではないが、
良い意味で丁寧に作られた映画を見たという充実感がある。
その2作のように、ぐっと来る感動がない分気軽なため、
かえって見る回数が増える、という不思議な1作である。

これを見た後に焼き肉を食べたくなり、温泉に入りたくなり、
マッサージして欲しくなること必至。

補足。
音は5.1CHで、かなり凝っているので気を付けて聞くとよい。
露天風呂での虫の声や森の中での鳥の声が臨場感を増している。

DVDのメニューを選択すると、項目毎に背景の絵が微妙に変化する。
ここまで芸が細かいものも珍しい。

最後に少しだけ「メイド・イン・埼玉」について。
これははっきり言って何のためにあるのかよくわからないが、
実験的アニメという位置づけだろうか。
本編とは極一部を除き関係ない。
結構シュールな部分もあるので子供にはわかりにくいかも知れない。
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(2004/11/15号)
{DVD紹介}

        「クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶジャングル」

        バンダイビジュアル
        1枚
        91分
        3990円(税込み、送料別)

映画では第8作目で原恵一さん監督作品。
南の島への豪華クルーズ付きアクション仮面映画試写会の途中で起こった
事件を描いた作品。

最初に書いておけば、しんちゃんの映画の中でこれははっきり言って好きでない
作品である。だから、発売されても買ってなかったのだが、他の作品を
これまでに出ている他の作品を全て買ってしまったので、ある意味お約束的に
買った。

この作品が好きでない理由は、他のに比べ的が野蛮に思えるから。
まあ、猿とそれを制した男が敵だから、まさに「野蛮」なのだが、
どうもそれが他の作品と比べ異質なので受け入れがたかったのだ。

この作品では珍しく?しんちゃんの活躍が中心に据えられている。
というか、画像の視点の多くがしんちゃんの側にある。
また、映画第1作目では異次元から来たという設定になっていた
アクション仮面も生身の人間として描かれ直している。
非現実的な設定と肉弾的な設定が合わさった部分もまた、
違和感を覚えていた。

DVDでひさしぶりに見たが、やはりその感じはぬぐえないが、
決して悪い作品ではない。
特にしんちゃんと友達、ひまわりの活躍、人間アクション仮面の
活躍の描かれて方という点では全ての作品の中で一番と言える。

監督さん曰く、先の「温泉大決戦」を大人向けに作りすぎたので
今度は子供向けにしたと言うことだが、これとて言うほど
子供向きではないような気がするのだが。まあ話のあらすじは
ずっとわかりやすくと言うか単純になっているが。

        お勧め度        68%

やっぱり低め。ただし、この評価点は他のこの監督さんの作品の質が
あまりにも高いので相対的に落ちたというだけの話。
客観的に見てこれが悪い作品というわけではない。

音は5.1CHでなかなか良い。
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(2004/11/22号)
{DVD紹介}

        「べーしっ君(1)」(通常版)

        荒井清和
        価格    ¥1,980(送料、税別)
        1枚
        たのみこむ(http://www.tanomi.com/shop/jyuchu/items00944.html)

かつて、アスキー出版の出していたログインという、
まあゲームを中心に載せていた雑誌に連載されていた4コマ漫画を
簡易アニメ+音声付きにしたDVD。

声優に巨人の星の星一徹・星飛馬親子(加藤誠三・古谷徹)を配した
豪華な布陣で作られている。

内容は当時のコンピューター事情を知っていれば笑えるのだが、
今これだけを見て理解できるかどうか。

昔はその内容を見て笑った口なので、懐かしさで頼んでみたが、
ちょっと拍子抜けの感もある。
悪くはないが、なんかのりが悪い。
さすがに4コマ(一部動画)では難しいか。
かといってアニメに出来るものでもないのだが。
思ったより話数が少ないのも減点ポイント。

実は最後の作品だけカラーで、新作である。
だからといってそれだけ浮いていると言うことではないが、
すばらしいということでもない。

        お勧め度        60%

正直、買うまではないかと。
2作目が出たとしても買わない。
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(2004/12/06号)
{DVD紹介}

        「トップをねらえ! リマスター版」

        4枚組
        定価 13440円(税込み)
        買値 10515円(税、送料込み)
        バンダイビジュアル(株)

1988年にガイナックスが作成したオリジナル・アニメ・ビデオ
「トップをねらえ!」のリマスター版。
実はDVD化は2度目らしいが、前回はLDと同じマスターから作られた。
今回のリマスター版というのはガイナックスの創立20周年記念で作られ、
もうすぐ出るこの続編「トップをねらえ!2」の発売に合わせて「1」を再確認してもらう、
という意味もあるのだろう。
「映像を徹底的に修正して綺麗にした」ということである。
実はこの作品はLDで持っているが、購入した。
2005年10月までの1年間の限定発売。まあ、買おうと思う人は
1年以内に買うと思うから、事実上限定じゃないのと同じだと思うけど。

この作品、過去に紹介したことがあると思っていたが、どうも初めてのようなので粗筋。

21世紀に宇宙に乗り出した人類はそこで宇宙怪獣と接触、戦争になった。
人類は怪獣と戦うべくトップ部隊を言うものを編成し応戦する。
そのパイロットとなった「タカヤノリコ」達の物語。

簡単に書けば「宇宙怪獣と戦う美少女達の活躍」となるかも知れないが、
設定が嘘を交えながらも正当なSFしており、また美少女、戦闘服がレオタード、
乳揺れ、恋心、合体メカなどその筋の人が喜びそうなネタが満載されていたため、
大ヒットとなった(はず)。

特に、光に近い速度で航行するものにとっての時間はそうでないものに比べ進みが
遅くなると言う「相対性理論」、というより日本では「浦島効果」の方が有名だと思うが、
この効果によってお互いの間に流れる時間が変わった人達の悲喜こもごもというのも
描かれていて、それが涙を誘う。
最初は10年、次に15年、最後はなんと1万2千年後までになる。

        「オカエリナサイ」(イは本当は左右逆向き)

この作品は見て欲しいから、筋の紹介はこれくらいにしておくが、
私が見たことのあるオリジナル・アニメ・ビデオの中では最高傑作と言えるだろう。
(すべてのアニメの中でも最高の部類に入る。)

初めて見たのは、昔読売テレビで時々やっていた「アニメ大好き」という番組
中であったが、その後LDで購入した。中古で3枚組16800円だった。
(でも大元は1枚税込みで7600円位である。)
LDには特典は全くなかったが、今回はいくつか特典も付いている。
ブックレットはそこそこ読み応えがある。特にリマスターのやり方についての説明は有益だった。

ではこのリマスター版の映像はどうか。
はっきり書こう。全6話の中で、第1話は「どこがリマスターやねん!」
というほどひどい。映像もさほど綺麗でない、というか綺麗なのと汚いのの混在が
目立つし、、最悪なのは揺れすぎること。
古い作品をDVD化したものには時折このようなものがあるが
(アルプスの少女ハイジ第1話とか、エヴァンゲリオンとか)、
画面が揺れまくって見にくいことこの上ない。
LDからDVD−Rにダビングしてあったものと見比べてもかなり悪い。
(LD版の第1話にも少しは揺れがあるが、このDVDに比べればはるかにまし。)

ところが第2話からは一転して切れが良くなり(境界線がくっきりしている)、
発色も良く、揺れも少なくなる(全くなくなりはしない)。
ここからは「あぁリマスターだ」と実感できる。LDとこのDVDでは
ベールを1枚取り去ったくらいに綺麗にはっきり見える。
特に第5話の美しさは特筆もの。実は、この作品は1〜4話が16ミリフイルムに
焼き付けされ、5〜6話が35ミリフイルムとなっている。
第6話は基本的に白黒なので綺麗になったかどうかがわかりにくいが、
5話はそれがわかりやすい。元が良い上にリマスタリングされているので
本当に綺麗だ。

音はLDのままPCM。
でもLDの時には気が付かなかった細かい音が入っていることに気が付いた。
後ろで話されている細かいせりふなんかも聞えるようになる。

細かいと言えば、この作品は映像中にいろいろな作品のパロディーがちりばめられている。
題名はすでに気づいているともうが「エースをねらえ!」のパクリで、
設定的にもコーチがいたりお姉様(お蝶婦人のパクリ)がいたりである。
そのコーチが宇宙放射線病で・・・というあたりはエースをねらえの他、
宇宙戦艦ヤマトも入っている。惑星で雷王星が出てくるのもそうか。
最初の戦闘マシンの名前が「RX−7」というのはマツダのスポーツカーの名前
である。

この他に、映像中の描き込みにもいろいろあり、
ポスターではトトロ、ナウシカ、ヤマト、サンダーバード、それに
ヴァン・ヘーレンまで出てくる。小物ではケロリンは2回出てくるし、
クレクレタコラ、噴火する富士山(小物?)、せりふでは紅葉まんじゅうに吉備団子まである。

また、長い年月の話であるが、その間の環境変化、メカや技術の発達なども見物かも知れない。
地軸がゆがんだので沖縄でも雪が降るとか、上記戦闘服=レオタードのデザインの変化とかも(^_^;)。
その反面全く変わらない部分もあったりしてその対比をするなど、
マニアックな視点で見ても楽しい。

が、そういうところでつかんでおいて、最後はちゃんと物語で感動させてくれる。
実に良くできた作品である。

監督は不思議の海のナディアやエヴァンゲリオンの庵野秀明。
この両作品にはトップをねらえで出てきた設定、映像、せりふが
ふんだんに出てくるので、通しで見るとおもしろいかも。

        お勧め度        85%

古い作品でありながら今でも通用する内容を持っていることは
すごいことである。
でも、ちょっと高いかな?という気もする。
リマスターの手間を考えれば妥当なのかも知れないけど、
そうすると第1話の出来がなぁ。

ところで、もうすぐ続編の「トップをねらえ!2」が発売される。
しかし、この「1」の中で

        「これで最後にしたいのよ」

と言うせりふがあったのに続編というのは、「1」を知っている人間にしてみると
ちょっとなぁ、という気もする。
余程うまく設定を作らなきゃ通用しないのでは。
当面は買う気はないので、様子見。
<戻る>
(2004/12/13号)
{DVD紹介}

        「映画あたしンち」

        1枚
        1:35
        メディアファクトリー
        買値    3420円(税、送料別)

関西では6ch、土曜日19:00からTVで放映中の「あたしンち」の
映画版のDVD。2003年公開。
実は、そのTV放送も見てないくせにちょいと気の迷いで買ってしまった。

あらすじを非常に簡単に書くと、雷のショックで心が入れ替わってしまった
みかん(娘)とママの物語、となる。
入れ替わっている間にみかんは修学旅行があるし、ママは同窓会がある。
それをいかに乗り切るか、そして二人は元に戻ることが出来るのか、
という展開となる。

まあ原作もギャグはあるが日常のちょっとしたことをネタにする
ほのぼの系なので、この映画もその路線は大きくは外してない。
異常事態がありながらも進む日常の過ごし方の話といえるか。
そういう意味では安心してみていられる作品ではある。

家族愛も語られているが、しんちゃんのように爆発的団結という感じではない。
むしろこちらの方がありそうな感じではある。
普段は冷めているゆずひこ(息子)の行動と、口数は少ないが
やることはやる親父の姿が良い。

音は5.1CH。

        お勧め度        83%

反面、盛り上がりに欠けるという部分があり少し低めにしたが、
決して悪い作品ではない。DVDを買うべきかどうかは別にして、
一度は見たらどうかと思う。

DVDは本当に板のみのシンプルなもの。
紙の資料や他の宣伝すらない。
しんちゃんですら資料が入っているのに。
国産としては安めなんだけどなぁ。
<戻る>
(2004/12/27号)
{DVD紹介}

        「スパイダーマン2」
        デラックスコレクターズエディション

        定価    3980円(税込)
        買値    3180円(税・送料別)

        (株)ソニー・ピクチャーズ エンタテイメント
        2枚組
        127分

あのスパイダーマンの第2作目。
映画でもかなりヒットしたらしいが、見に行くことが出来なかった。
今年の夏は他にもいろいろと見たいのがあった、というのもあるが、
主な理由は「混んでそう」であった。
混んでる映画館は好きじゃない。
それはいいとして、DVDが発売されたので早速買ってみた。

物語については見て欲しいので書かないとして、感想だけ。
いや、正直すごい。
この話の流れからして次回作はないと思うけど、それゆえにこの作品に全力投入している。
見終わってから、感動というか良いものを見たなぁという満足感でいっぱいであった。

        お勧め度        98%

先にお勧め度を書いてしまうが、これだけ高く付けられる。
ぜひ見て欲しいからネタバレにならないように書くつもりだけど、
ある程度はばれるので、絶対に知りたくない人はこの先を読まないように。

        ・・・

        中休み

        ・・・

物語は前作の設定を思いっきり引き継いでいるので、まずは前作を見るなりして
思い出して欲しい。DVD発売直前にはTVでも放映されたから見た人もいるかも知れない。

引き継いだ設定の中で、特に大きいのが
・ハリーの親殺しの疑惑
・メリー・ジェーンとの恋
である。
この第2作目は、この両方のテーマが大きく語られると同時に、
主人公ピーター・パーカーが「スパイダーマン」として生きるかどうか、
スパイダーマンであることの苦悩が語られる。
スパイダーマンの存在する意義についても。
はっきり言って、敵との戦いはそのための手段にすぎない気もする。

TVアニメ版スパイダーマンはあまりにも救いのない終わり方であったが、
この2はちょっと強引なまでにうまく大団円にしている。
途中はちょっと「このままで大丈夫か?」「えっ、ばらしちゃうの!?」と思うような進み方をするが、
この最後を見て、そこへの伏線であったと思えば納得できる。
特にピーターとジェーンのすれ違いやハリーとピーターの確執が深まるにつれて
そう思うが、それはまあ監督にしてみればしてやったりの感想であろう。

ただ、このエンディングだと次回作はない・・・と思っていたら、そうそうに
次回作が決定しているのだとか。一体どういう方向に進めるつもりやら、
単なるヒーロー物にしてしまうとスパイダーマンである必然がなくなると
思うのだが。
(ターミネーター3のように、監督が替って駄作が登場、ということだけは
やめていただきたい。)

音声は5.1CHで、前作同様に非常に効果的に使われている。
特に今回は重低音の使い方がすばらしく、特に敵に移動時の音はうまく恐怖感を演出している。
絶対に5.1CHシステムで聞くべし。

ただ、映像は全体的に暗めだと思う。
うちではDVDの映像調整ディスクで調整してから作品毎に映像設定を変えたりしないので、
余計。
調整するなら少し明るめにした方が良いだろう。
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