「オーディオ実験」(2000/03/06〜05/08号)
        「1999年はオーディオ全体を見直す年であった。」

という話は何度か書いた気がするが、私は10年に1度ステレオ装置回りを
見直すことにしており、前回1989年(この時は全部を買い換えた)から
10年経ったので今回はいろいろとやったのである。
目標は多機能ではなく、より高音質・高画質である。

買った物の筆頭であるAWM、さらにレーザーディスクについてはすでに書いた。
TVについてもすでに書き上がっているので発表待ちである。
これらの大物は買ったが、どうも今1つな気がしていたのである。
確かにそれら新しい装置にすることで大幅な音質・画質向上が計れたが、
だからこそか、かえって従来の装置の能力不足が気に入らなくなったのである。

しかし、ここで全てを買い直すことは予算的にも出来ない。
それに、本当に持っている装置の性能は良くないのだろうか。
カタログスペック的には最近の機種に負けてない気がする。
ということは、能力を引き出せていないのではないか。

ということで、従来の装置の性能を引き出すべく、いろいろと改良・実験する
ことにした。大物買いにお金を使いすぎたので、これにはお金はかけられない。
1つ1万円以下、出来れば1000円、無料なら尚良しで出来る改良・実験である。
なお、以下の値段は大体かつ買い値のそれである。

そうそう、各実験は、実際には単独で行っていない場合も多いので、
ある項目の結果として書いていても、実際には他の項目との相乗効果の場合も
あり得る。あらかしめ、御了承願いたい。

        ・・・ケーブル交換・・・

ケーブルとはオーディオの各装置間をつなぐ電線(一部は電線でなく光ケーブル)
である。これを換えることで音質・画質が変わるとはよく言われるのだが、
果たしてどれ程の効果があるのか。

・スピーカーケーブル
 スピーカーケーブルというのはアンプとスピーカーをつなぐケーブルのこと。
 これを付属の物から高級品に換えると音が良くなるというのは
 よく言われることである。
 これまで使っていた物も付属のではなく少し高級な物であったが、
 実はその効果はわからなかった。
 そのケーブルが何故か黒ずんできたので、今回思い切って交換することにした。
 今度は1メートル¥670で10(=右3+左7)メートル買った。

 その結果は前にも書いたことがあるが、劇的変化であった。
 まるでスピーカーを買い換えたように音に艶が出た。
 これは驚きである。スピーカーはもう1セットあるので、こちらも交換する
 ことにしよう。

・Sケーブル
 Sケーブルとは映像系の接続ケーブルである。
 スピーカーケーブルが音の出口への線なら、これは絵の出(入)口の線である。
 うちではテレビ→ビデオ、ビデオ→テレビ、レーザーディスク→テレビ、
 レーザーディスク→ビデオで4本必要である。
 1本3600円*3本+1本980円。本当は4本とも揃えるべきであったが、
 実は1本買うのを忘れてたのである。そのためしかたなく1本は安い物にした。
 (でも近所の店で売っているような安いケーブルではない。)

 結果は、映像がすっきりした気もするけど、そもそもTVを換えたことによる
 変化のほうが大きいので、いまいち効果がわからない。
 悪くはなっていないのだが。

・単線ケーブル
 世の中には「電話線のケーブルで良い音がする」と言う人がいる。
 線の材質などから考えれば、電話線などいわゆる高級ケーブルにかなうべくも
 ないが、線が細いことと単芯に近い(電線は、通常さらに細いケーブルを
 束ねて作られているがこの本数が少ない)ことにより、電気信号が
 ストレートに通るため、音に良い影響を与えると言うのである。
 論より証拠で、一度作ってみることにした。

 電話線を使っても良かったが、完全な単芯を実現するために、
 会社にあった電線を少しもらった。直径は0.4mm。
 (後述するが、実際にはここで電話線を使わないことが幸いしている。)
 こういう時、電気系の会社にいると何かと道具が揃っていて便利である(極秘^_^;)。
 これに、家にあった安物のピンプラグを分解してプラグを取りだし、
 それにハンダ付けして作った。
 ケーブルは普通の物、一応メッキを剥がして中の銅線を出すこと位はしたが、
 安もんのピンプラグに、普通のハンダを使って付けている。
 余り良い条件ではない。
 有り合わせで作ったので、かかった費用は0円。
 これをCD→アンプの接続に使う。長さは最小限の30cm。

 で、音が良くなるかであるが、確実に変化はある。
 接続ケーブルの違いで音の違いがあることを初めてはっきりと認識出来た位にある。
 ただ、それが良い音なのかどうかの判断は難しい。
 音が割れたり歪んだり、聞こえなくなったりすることはない。
 全体に高音が強くなる。だから、スピーカーで聞くと音が上に方に上がる感じが
 する(スピーカーでは通常上の方に高音用スピーカーがあるから)。
 ただ、これにより音全域のバランスが崩れる。多分に音がシャリシャリして
 聞こえるとも言える。
 アッタクと言う、音が急に出る所での追従性が良くなった感じがある。
 音の変化についてくる感じだ。
 このあたり変化は電話線理論にあっている。今まで使っていたケーブルが
 高級品とは言え1.5mもあって音質に影響があったのかも知れない。
 全体的には、私的には好ましい音の変化であるが、嫌いな人もいるだろう。

 同じ単芯の線でももう少し良い物、金メッキのピンプラグに銀入のハンダで作って
  再実験。結果は?金メッキかどうかでの違いはないようだ。もっと、金メッキは
 経年変化に強いので、長い年月経つと変わる可能性はある。

・電話線スピーカーケーブル
 で、今度は本当に電話線を使ってスピーカーケーブルを作ってみた。
 こちらはハンダ付けがいらないから、楽だ・・・と思ったら、線が細いので
 結構苦労した。

 で、結果であるが、これは×。
 
 電話線のケーブルと一口に言っても、実際にはいろいろな種類がある。
 私の持っている&買った範囲でも、電線だけから成っている物と、電線を繊維芯に
 巻いた物の2種類があった。で、この電線だけから成る方から作ったケーブルは
 比較的加工しやすく、結構良い音を出していたが、繊維に巻いた方は加工しづらく
 音が大幅に小さくなった。こちらの方が10メートルと長かったせいかも知れない
 が、その位の長さでこんな信号が弱くなるようなケーブルでは電話線としても
 失格だと思うが(そもそも20mケーブルなのだ。1450円位)。
 電線だけから成る方で左右スピーカーのケーブル全てを作ることが出来なかった
 ので、今回は×とした。いや、この2種類、外見からは区別出来ないため、
 選んで買うことが出来ない。従って、確実に作ると言う意味でも×である。

        ・・・電源系・・・

家庭用電源であるところのAC(交流)100Vは結構ノイズが多いと
いうのはオーディオの世界では常識となっているので、これを改善しようと
するのである。
これには、装置の追加やプラグの差し込み方までいろいろとある。

・ノイズフィルター付きテーブルタップ
 オーディオ装置がある程度の数になると、テーブルタップは必須である。
 が、普通のテーブルタップではなく電源から入る雑音を
 取る機能付きの物にする。お値段は2500円くらい。

 音的変化は不明(昔からつけてるからという理由もある)。
 ただ、他の装置の電源を入れても「パチッ」という音は入らないので、
 ノイズは取れているようである。このパチ音は装置に悪いので、
 長い目で見れば効果があるだろう。装置が劣化すれば音が悪くなるが、
 これを防げるから。

・電源取りコンセント分離
 これは電気をとるコンセントを装置別に分けると言うことである。
 いままでは1つのコンセントにテーブルタップを付け、そこからPCも
 オーディオも電源をとっていたのである。
 これを別々にする(映像系だけは今までも分かれていた)。

 また、アンプやビデオデッキにあるサービスコンセントの利用も消費電力の
 少ない物の最小限にとどめ、他はテーブルタップからとるようにする。
 これは、サービスコンセントから電気をとると、その土台となるアンプなどの
 電源が不安定になり音に良くないというからである。

 結果は劇的変化はなし。元々うちの装置に大電力を食うものがないからかも
 しれない。

・極性一致
 AC電源は交流なので極性がなさそうだが、実はコンセントの片方はアース
 されていて違いがある。コンセントの差込口が左右で微妙に長さが違う。
 長い方がアースされている方である(コンセントによっては長さの差がない物や、
 工事ミスで逆になっている場合もある)。
 普通の家電製品ではコンセントをどっちの向きに指しても関係ないが、
 オーディオ装置によってはこの差込の方向を指定する物がある。
 実際には「合わせた方が音が良くなる場合がある」というだけなのだが、
 気休めでもやっておくに越したことはない。

 でも、コンセントのアース側は壁コンセントならわかるが、
 テーブルタップやサービスコンセントまで一致させるのは難しい。
 そこで出てくるのが陰極ランプ付きドライバーというものである。
 これは、ドライバーの持ち手の部分にランプが仕込んであり、
 ドライバーをコンセントに差し込んである操作をすると、
 アース側ではこれが光るのである。
 このドライバーは買えばたぶん1500円くらい。たまたま持っていたのでこれを使う。

 で、全部の装置を合わせてみたら、音の広がりと静粛性が上がった。
 ただし、ヘッドフォンで聞いてやっと解るほどではあるが。
 うちにあるくらい(クラス)の装置ではその差があまり出てこないか。

・フェライトコア
 フェライトコアとは、フェライト言う非磁性セラミックで作られた筒である。
 この素材は昔はカセットデッキのヘッドに使われていた。
 これで信号ケーブルと挟むと高周波ノイズが取れると言われる。
 で、某所(わけあって秘密。でも隠匿ではない。)でいくつかもらうことが
 できたので、これをいろんな場所に付けてみた。買えば2個700円くらいである。
 >スピーカーケーブル
        変化なし
 >AC/電源ケーブル
        あからさまな変化なし。
        PCのモデムはより高速でつながるようになった気もするので、ノイズが
        取れているのかもしれない。

 元々フェライトコアは高周波ノイズをとるためにあるので、
 それが多い電源ラインやPCのケーブルにつけるのが良さそうだ。
 オーディオで使うにはあまり効果はなさそうである。
 また、入れ方によってはかえって駄目になる場合があるので要注意である。
 (電話線への入れ方を変えると、モデムのつながりやすさが大きく変わった。)

・TVスッキリー(アンプ/チューナー)
 この装置は簡単に言えば電源を改良するものである。
 この手の装置はたくさん出ていて、1000円クラスの安いものから
 10万円を越える物まで色々ある。
 先に紹介した「ノイズフィルター付きACタップ」その1つである。
 それぞれに効果をうたっているが効果は?である。
 果たしてこの装置はどうか。

 そもそもこの装置を知ったのは某オーディオ雑誌であったが、
 その雑誌はもちろん、インターネットで探してもそれに対する評価が
 まったく見られなかった。
 そういう状態で買うのは勇気がいるが、8500円(送料・税は別)と
 比較的安いし、効果が見られないときは返品も可能ということなので
 買ってみた。効果は使い始めてから2時間位してから出るとのことであるが・・・。

 これはもうびっくりするほどの音質向上である。
 音が鮮明になる。今まで混ざって聞こえていたような音が1つ1つはっきりする
 のである。まず高音がはっきりしてくるが、単にそれだけでなく中音域・低音域も
 改善されている。全体が切れがいいのである。音像定位もしっかりする。
 (無音時の残留ノイズは変わらない。)
 これはもう「百見は一聞」にしかずなので、聞いてもらうしかないかもしれない。

 さらに、音がはっきりするので小音量でもよく聞こえるという効果も出る。
 これはもう間違いなく、今回の実験の中ではスピーカーケーブルの交換、
  後述のCD消磁とともに最大級の変化である。
 この音であれば、他の装置を買い換える必要は当面ない。

 今回はアンプ+チューナーの電源だけに使ったので、早速追加発注して他の装置
 (テレビ系とCD/MD/AWM系の2台)にも使うことにした。
 (この装置の最大の欠点は、出力が300Wまでと低いことである。
 だから1つでは全部の装置に使えないのだ。)

・TVスッキリー(CD/MD/AWM)
 追加注文したTVスッキリーをCD/MD/AWM、さらにカセットなどの
 低消費電力系にも入れた。もちろん、この装置の先にテーブルタップを付けて
 である。
 予想では、AWMはそのものがアンプを持っているので○、CDとMDは
 デジタル出力でなくアナログ出力すれば効果ありと思うがさてどうか。

 たしかにAWMは音に冴えが出てきたような気がするが、CDとMDは?
 でも、全体的に音は鮮明になってきている。
 カセットは聞くものがないので試せてない。

・TVスッキリー(テレビ)
 追加注文したTVスッキリーをTVの電源に入れた。本当はVTRやLDにも
 一緒に入れたかったが、うちのテレビはそれだけで230Wも食う大食漢なので
 無理だった(VTR+LDで60W)。

 で、画質がどのように変わるかであるが、映像の鮮明度が上がっている。
 細かいところがぼやけず良く見える。人間の肌も良く見えるようになった気が
 する。肌に関しては、汗も見えれば産毛まで見える。化粧ののりもはっきり
 見える。水の透明感が増した。ちょっと見え過ぎかも知れない。
 これは入れた時と外した時で比べると良く解る。
 ハイビジョンでの効果が特に高い。
 さらに若干音が良くなったような気もする。
 
 うちのテレビはデジタルテレビだから効果が見えにくいのかも知れない。

・TVスッキリー(VTR&LD)
 最後の1台はこれらに入れた。まずVTRに入れ、そこのサービスコンセントから
 LDへ入れる。
 
 まずVTRであるが、録画の色が綺麗になった気がする。アニメも綺麗だが、
 実写も素晴らしい。録画であると忘れてしまうほどだ。
 テープ走行時に出るノイズも消えているが、チューナーからの映像も改善された
 気がするので、このおかげもあるだろう。
 LDははっきりした効果が見えない。サービスコンセント経由だからかも
 知れないが。
 どちらも音は良くなっている。やはりTVスッキリーは音声系の方が
 効果が見えるというか聞こえるようである。

・コンセント取り替え
 うちの家は築60年以上のため、コンセントも多くが壁埋め込みではなく柱に箱を
 付ける形だし、またコンセント自体が古くて差し込んでもゆるゆる状態で、
 引っ張るとすぐ抜けてしまう。こういう状態は接触不良を起こしやすく、
 電気を流す状態としては良くない。
 ということで、古いコンセントを新しい物に交換した。口数は従来と同じの
 2口で、特に良い物ではなく普通の物。325円。
 交換はブレーカーを落としてからとかいろいろあって1時間以上かかった。
 結構大変である。因みに、コンセントの増設は工事担任者の免許がないと
 やってはいけないが、交換は法律上の問題ないらしい。

 結果、音的変化は特に感じられないが、コンセントがしっかりしたので
 安心は出来るようになった。聞いている途中に何かで引っかけて切れるのは
 嫌だからな。まぁ、これは安心のための作業と言うことで。

・電源ケーブル交換
 各機器の電源ケーブルは抜き差し出来る物と出来ない物があるが、
 出来る物のケーブルを付属の物から無酸素銅(OFCという)という素材を使った
 高級な物に換える。1本600円(定価)である。

 うちの場合単体機器では、AWM、VTR、LDがそのタイプであり、
 TVスッキリーもそうである。
 全部換えるには合わせて7本必要なのだが、6本しか注文してなかったので、
 TVに入れたスッキリー以外のケーブルを交換した。

 理屈で考えるなら、TVスッキリーのケーブルは交換不要なはず
 (その中で発電されるので、その前に付くケーブルの素性は関係しないはず)
 なのだが、はたしてどうか。

 AWMでは音がすっきりしたように思える。きれいに出るというべきか。
 VTRとLDはTVスッキリー導入と同時に変更したのではっきりわからないが、
 少なくとも悪くはなってないようだ。

・極性一致2
 先にアース側を合わせると書いたが、それが出来たのはアース側が解る
 電源ケーブルを持っている装置のみであった。こういう機械では、アース側を
 白く塗ってあるのだ。
 ところが、そういう線でない装置ではアース側が解らない。だから前回は
 諦めたのだが、テスター(電圧を図る装置)を使って調べる方法があるらしい。

 >テスターの棒の一方を自分の手で握り、もう一方を機器のシャーシの金属部分
 >(下のパネルなど)にあてます。コンセントの差込をかえて、電源を入れ、
 >電圧を測定する作業を2回繰り返し電圧を測定します。
 >電圧が低い場合の接続が正しい接続です。 

 と言うことらしいので、早速やってみる。用意するのはテスター(電圧などを
 図る装置)。
 
 実際にやってみてわかったのだが、実は合っている時/合ってない時の電圧の差は
 1Vもない。せいぜい0.5V程度なので、針式のテスターではほとんど解らない。
 デジタル式で交流を0.01V単位で測れる装置が必要だ(今回は会社の人のを
 借りた)。

 多くの装置の場合は2〜3Vの間でコンセントの挿す方向によって微妙に上下する。
 (理論上はアースは0Vだが、実際にはそうはならない。)
 そして、全ての装置に置いて低くなる方を取る。
 装置側に当てるのは、シャーシ(筐体)でなくてもピンプラグの外側でも良い。
 
 測定時の注意だが、電圧変化が微妙なのでテスター棒の握り方、汗の出方、
 壁に触れているなどのちょっとした違いで変わってくるので、出来るだけ同じ
 条件になるようにする。電源が入っている時といない時とでも変わる。
 おそらくは、各装置を完全に分離した時と信号線をつないでいる状態でも違う
 だろう。そうそう、もちろん「感電にも注意」が必要である。

 で、これで全部の装置のアースを合わせたわけだが、その結果、音が少し
 はっきりしてきたような気がする。細かい音が聞こえるようになったと言うべきか。
 手間はかかるが、装置さえ何とか調達出来ればただで出来ることなので、
 やってみる価値はあろう。

・アース
 洗濯機にはアースを付ける線が必ず有る。感電防止のためである。
 塗れた手で電気系を触ると感電することがあるのをアース=大地に(洩れ)電流を
 逃がすことで防止するのである。

 家庭内でアースをあからさまにつなぐのは洗濯機と場合によっては冷蔵庫位だが、
 実は他の電気製品でも、場合によっては付けた方が良い。
 ただ、塗れた手で触る確率の問題だ。
 オーディオ機器と言うのは滅多に塗れた手で触らないので感電はないが、
 先に書いた通り2〜3V程度の電圧が洩れている。プレイヤーに至っては
 10Vを越えることがある。これを洗濯機と同じくアースしたらどうなるだろうか。

 洗濯機用のコンセントならアース端子はあるがそれ以外の物には滅多にない。
 そうすると、アースの基本通り金属棒を地中に埋めるしかない。
 てなわけで、2階から庭にまで電線を延ばして、洗濯機用アース棒を埋めて
 つないだ。

 結果は、CDによって結果が違う物もあるのだが、全体的に見ればだめであった。
 あるCDでは中高音は実にはっきりしてきた。音にかかっていたベールが1枚剥が
 された感じであった。実に音がはっきり見える(変な表現だけど)。
 しかし別のCDでは音の響きがなくなってしまった。音が細切れには綺麗に出るが、
 響きがなく乾燥している感じなのだ。音量を上げても音が聞こえない。
 また、いずれの場合も全体に低音が駄目になった。
 アース有り・無しのこの音の差はかなりはっきり出る。
 うちの装置群(というよりアンプだけか?)ではアースは付けない方がよさそうで
 ある。

        ・・・スピーカー系・・・

・バスレフ穴ふさぎ
 バスレフというのはスピーカーの形式の1つで、スピーカーの背面もしくは前面に
 穴があいている物である。これはスピーカーから低音を出すためにある。
 このように音をあけると低音が出、またスピーカーの効率(アンプが出した
 電気信号を音に換える効率)が上がると言われる。
 しかし、あえてこれをふさぐとどうなるか。

 まずは、完全にふさぐと良くなさそうなのでCDで穴をふさぐことにした。
 これなら真ん中に穴がある。
 低音は出なくなるだろうが、それはAWMで補足するのでかまわない。
 で、結果はどうか。

 音が前に出てくるようになったような気がする。
 しかし、全体に音がこもる(1つ1つの音がはっきりしなくなる)のでだめ。
 穴をふさいだ素材(CD)が悪いのかもしれない。

 今度はタオルで塞いでみる。
 低音は出てこなくなるが、中高音ははっきりする。
 うちの部屋はもともと低音が響きすぎる嫌いがあるので、これ位弱くなっても
 丁度のような気もする。いや、AWMなしでは低音が駄目な位に弱くなりすぎた
 かもしれない。

 バスレフは前にあれば良いのだが、後ろにある場合はスピーカーを壁などから
 30cm以上開けなければバスレフから出た音が壁に反射して音をこもらせる
 原因となる。うちがまさにこの状況になっていたようである。
 距離を置けない場合には今回のように、塞いだ方が良い場合もあろう。

・スピーカー位置調整
 これは単純。
 左右のスピーカーの位置を、視聴位置から同じ距離にするだけである。
 今までは部屋の作りから、置ける場所に適当に置いていた。
 これを、聞くときだけでも移動してこうするのである。

 正確な調整には左右の差を5ミリ以下にしなければならないらしい。
 どうやるかと考えていたが、カメラ用三脚と伸びない糸として工事現場などで
 使われる水糸(100m¥80)というものを使うことで合わせ込んだ。
 誤差5ミリは無理かも知れないが、1cm以下には出来てるだろう。

 結果は明らかで、音がかなり良くなる。特に音の広がり(抜け)と定位が
 素晴らしく改善される。音がスピーカーから離れて広がるのである。
 スピーカーよりずっと横や奥から音が出てくる感じ。
 AWMでもそういう感じがあるが、それに近い存在感が出る。
 そもそもスピーカーのセッティングが合っているかどうかは、
 音を聞いていて、スピーカーの存在が感じられるかどうかで判断して良いらしい。
 そういえばAWMなんて完全にその存在が感じられない。

 スピーカー自体の部屋の中での置き位置、すなわち左右の壁からの距離などは
 余り関係無いようだ。聞く位置からの調整でいける。
 うちの会社の製品に「レーザー距離計」があるから、これを借りてきて
 もっと微調整をやってみるかな。
 
・カーテン
 これも単純。
 うちの部屋には窓があり、音楽を聞く時にここのカーテンを閉めるることで
 音に変化があるかである。
 カーテンを閉めることで、窓に当たって跳ね返る音を減らすのである。
 部屋で音を聞く時には反射音は大切なのであるが、反射がありすぎるのも
 音がこもる原因となり良くない。

 結果は、少し変化がある。
 カーテンを開けている時にはあった音の不要な残響が減る。
 これにより音がすっきりする。
 窓だけでなく、壁にもか布を張って反射を減らすと言いのかも知れない。

 カーテンによる音の変化は、実は非常に微妙で、今までは解らなかったが、
 TVスッキリー導入やケーブル交換で音の鮮明度が増したため、
 こういう物も解るようになったと思われる。
 即ち、何かの改善があれば、それによって他の不満が見えてしまうのである。
 あぁ、果てしなく音質向上のための実験。

・石の板
 スピーカーは、多くの場合何等かの台の上に設置する。
 うちの場合、メインスピーカーはなんとパイプ椅子の上、AWMはキャスター付き
 ボックスの上、サブスピーカーは棚の上とばらばら、かつマニアの人に言わせると
 とんでもないところに置いていた。
 
 スピーカーはスピーカーの本体と言うかユニット自体は振動するが筐体は
 振動しないのが理想であるが、実際には筐体も振動し、その振動はそれを置いている
 台にも伝わってしまう。この振動が不要な音を出すために音を濁すと言うのである。
 
 しかし、うちの部屋内状況ではスピーカーを固定的に置くことは出来ない。
 音楽を聞く時のみ移動してくる必要がある。従って、この置き方から大きくは
 変えられないが少しは何とかしたい。そこで、メインスピーカーの下、
 パイプ椅子との間に振動を遮断するために石の板を置くことにした。
 ホームセンターで売っていた¥550/枚の安い物で、普通は庭などに敷く物で
 あろう。30*30cm、重さは1枚5キロ近くもある。

 で、音の変化であるが、これは驚くほどにあった。高音がはっきりとしてきた。
 また、中音域の今まで聞こえなかった音が聞こえるようになった。
 一番良く解るのが、混成合唱での男女の声がはっきりわけて聞けるようになった
 ことだ。音の分解能が上がったと言うことか。これは不思議な位だ。
 スピーカーの位置が石の板を入れた分上に上がったためかも知れない。
 板の高さはせいぜい3センチほどだが、人間の耳の高さとの差が変わるからだ。

 こういう結果が出ると、AWMの下やサブスピーカーの下にも入れたくなるが、
 いかんせん重すぎる。うちの部屋はそうでなくて重い物が多くて重量オーバー
 気味なのだ。何か重い物を部屋から出さないとこれ以上は入れられない。
 PCでも他の部屋に移すか?

 こういう振動対策用の板はオーディオ用としてもたくさん売られているが、
 そのどれもがとても高い。1万円以上なんてざら、1枚1000円以下なんて
 ほとんど無かろう。しかし、石の板でこれだけの効果があれば十分だ。
 オーディオ用と銘打っている物が、いかにぼったくりであることか。

 今回の実験シリーズでは高音が強くなる傾向の結果が多いが、それらが合さると、
 高音がきつくなりすぎた感じさえある。今まで使っていたスピーカーでここまで
 出るものかと驚いている。初めて、高音を少し弱めた方が良いかも知れないと
 思った。

・AWM台作製
 これまで、AWMはキャスター付きボックスの上に置いていたが、
 ボックスが共振して低音が出ていると言うより不要に響く感じがあった。
 そこで台を木で作った。また、AWMの足の下に特殊ゴムもはさみゆれを防止する。
 天板は1500円位、足は430円*4本、ネジは4本で100円である。
 特殊ゴムは10*10cmで500円位であったか。これを必要な大きさに切って
 使っている(後に防振ゴムから防振スポンジに変更)。

 その結果、低音の不要な響きがなくなり、音がすっきりした。
 本来無いはずの低音が消え、あるべき音が残ったと言う感じ。
 全体的には低音が聞こえなくなったような感じもあるが、良く聞くとちゃんと
 出ている。特に、「トントン」と言う音が綺麗に出るようになった。
  音の厚みがある。綺麗な低音は以外にも音が高く聞こえるようである。

 先に書いた通り、本当はこの台の上にも石の板を置きたい(買って来てはある)が、
 部屋の重量オーバーが恐いので、当面はなしである。

・サブスピーカー下
 サブスピーカーは棚の上なので台などはないが、これも棚を共振させて
 不要な音を出している気がした。これを防ぐために、その下に防振スポンジ
 なるものを入れた。30*30cm位で厚さ5mmの物が340円位。
 これを15*15cmに切って敷く。

 結果、中音は抜けるようになったのだが、音が軽くなった気がする。
 サブスピーカーは元々小さい物で低音が出ないが、棚が共振している時は
 聴感上は低音が出ているように聞こえていた。共振による音は
 全体としては音を濁らすので、やはりそれは押さえるべきだろう。

        ・・・電波状態改善・・・

・FM外部アンテナ
 FMラジオに外付けアンテナを追加する。
 今回付けたのは3素子の八木アンテナというもの。
 素子というのはアンテナの横棒の数で、これが多いほど高性能とされる。
 (より弱い電波でも捕まえるようになる。)
 実はこれは今回買ったものではなく、10年前に買って実家にいるときに
 使っていて、そこを出てから使ってなかったものを久方振りに使うことにした
 のである。3素子なら3500円くらいである(ケーブルを除く)。
 大阪の実家では効果てきめんで、FM名古屋まで聞こえるほどになったが
 京都ではどうか。

 結果は少し残念。それまで付けていた室内アンテナと同じ電波レベルである。
 が、安定はする。室内アンテナではその前に人が来ると途端にだめに
 なったがそれがない。外付けアンテナにしてこれと言うことは、
 私の住んでいるあたりはかなり電波状態が悪いようだ。
 もう少し素子数を増やす必要か。
 まあ、そんなにFMも聞かないので当面これで良い。

 ちなみに、普通の家ならテレビのアンテナからの線を入れればよい。
 うちはちょっと特殊なので出来なかったのだ。

・TVブースター
 TVブースターはテレビの電波を増幅する装置である。
 電波が弱いときにこれを入れるとノイズが減って画面が安定する。
 1入力2出力の物で5000円くらいで買える。
 今までの家ではそれなりに効果があったがここではどうか。

 結果は×。かえって画面が汚くなった。
 なぜか。

 うちではテレビ電波は屋根の上のアンテナではなく、外部からの電波供給に
 よっているからである。要するに、ケーブルテレビみたいなものだ。
 (うちがFMアンテナとしてTVアンテナを使えない理由がこれ。)
 うちの近所にある大きな建物のせいで電波が届きにくく、普通のアンテナでは
 電波状態があまりに弱い。そのため、この建物の上にアンテナと供給装置を
 置いて、付近の家に入れているのである。
 この供給電波が強いため、ブースターを入れると信号が強くなり過ぎ、
 かえってノイズが出るようである。
 ブースターをはずしてだいぶ良くなったが、まだノイズが出てるから、
 逆に分波器で電波を弱めたほうが良いくらいなのかもしれない。

 うちでの電波状態改善はこの建物の上の電波供給装置の改善によるしかない
 のだが、こんな事書いている内に、なんと改修工事のお知らせがあり、
 改修された・・・はずだが、どこが良くなったのか解らない。
 本当に直したのか?(18年ぶりの改修であったらしいが。)

・アンテナケーブル
 BSのアンテナケーブルを少し高級な物に換えた。
 BSアンテナと言っても、アンテナから入るものではなく、うちでは
 先にビデオに電波を入れてからそこからテレビの方へひっぱってくる、
 このケーブルである。

 結果は、かなり絵の鮮明さが増した。
 BS信号は周波数が高いため、普通のTV用のケーブルでは良くないようだ。
 周波数が高い信号は直ぐに減衰する。従って、ケーブルの善し悪しが
 はっきり出やすいのだ。

 また、地上波用のケーブルも少し高級な物にしてみた。
 地上波用・片側自作コネクター・1.5mケーブルをBS用金メッキ1mケーブルに
 換えたのだ。そうすると、こちらも同様の効果が合った。

 余談であるが、ビデオとテレビをつなぐケーブルは映像系が黄色、
 音声系が赤と白だが、この音声系と映像系は材質が違う。
 映像の方が周波数が高いため、減衰が少ないように高質なのだ(素材も違う)。
 同じように見える電線でも種類があるのだ。
 従って、音声用のケーブルを映像系のために使ってはいけないとされる。
 逆はまだましらしいが。

・アース
 アンプにアースをつないだ時は駄目であったが、ラジオに付けた場合はどうなるか。
 AMラジオのアンテナは、その片方がアースになっており、アースにつなぐことを
 推奨している。
 実際につないでみると、電波状態がかなり改善された。
 うちのラジオ(その筋の用語ではチューナーと言う)には電波の強度を示す
 メーターがあるのだが、これが軒並み最大まで振れるようになった。
 今までは真ん中位だったから、見た目上倍になった感じである。
 つないだのはAMアンテナ端子だが、FMの方も同様に改善された。
 
 メーター上で電波状態が良くなったからと言って音が良くなるとは限らない。
 雑音も含めて強くなっていては仕方ないのだ。
 実際の音を聞くと、う〜ん、何か今一。しかし、これは音をCDと比べて
 いるからかも知れない。AMは言うまでもないが、FMでも音の周波数
 的にはCDよりかなり狭いのだ(〜15KHzで、それ以上は強制的に
 切られている。CDは〜20KHz)。
 まあ、合格点か。アースが無駄にならなくて良かったとしておこう。

        ・・・その他・・・

・CD消磁
 CDの消磁とはなにか。
 まず「消磁」というのは磁気を消すことである。
 鉄に磁石をくっつけると鉄も磁力を帯び、磁石のようになるのは経験している
 だろう。これを「磁化」というが、ビデオやカセットのテープへの記録はこれを
 使っている。
 鉄だけでなく、多くの金属はその力の大小の差はあれ、磁化する。

 消磁というのはその逆、磁化された物から磁力を消すことである。
 ということは、「CDの消磁」はCDから磁力を消すことである。
 が、CDは金属ではない。また、CDは磁力で音を記録しているのではない。
 それなのに消磁に意味があるのか。

 実はCDには金属部分がある。CDのレーベルの反対側の面は光っているが、
 あれはポリカーボネイトという一種のプラスチックで挟まれた
 ごく薄いアルミ(または金)の膜である。
 その薄膜にピットと呼ばれる凹凸をつけてあるが、それが音声データである。

 アルミの磁化する力は鉄に比べれば非常に小さいが磁化する。
 スピーカーに近づけたときもそうだが、そうでなくても地球自体が
 大きな磁石だから、ほっておいても磁化する。

 磁化した金属板=磁石が回転すると、周りにある金属上に渦巻き電流が発生する。
 フレミングの右手(左か?)の法則である。
 CDは非接触読み取りなのでCD板上で電流が発生しようと関係なさそうだが、
 実際には、ごくわずかではあるが、CDの読みとりに影響が出るようである。
 それは読みとりミスになるが、これ増えると音が悪くなる。

 ・・・というのが理屈であるが、本当にそうなのだろうか。
 理屈はともかく、知りたいのは効果があるかどうかである。
 で、実際にCDを消磁することにした。

 CDを消磁する装置は、専用器が関口機械販売株式会社というところから
 発売されている。
        ACOUSTIC REVIVE RD-1
        http://www.escort.co.jp/usr/gr98/menu.htm
 これは28000円もする。高い。
 (高級オーディオを置いている店には置いてあることが多いようである。)
 効果がわからないのにこの値段ではおいそれとは買えない。
 そこで、うちにある業務用(?)の消磁器を使った。
 1年程前にテレビ画面の消磁用に買った。確か6000円くらい。

 これはかなり効果がある。高音部がはっきりしてくる。
 低音もすっきりしたような気もするが、高音が抜けたのでそう聞こえるのかも
 しれない。音が良くなったと言うより、本来の音に戻ったという方が
 正しいのかも。買った直後、もっと正確には製造直後の音である。
 ただし、すべてのCDで効果が出たわけではない。

 残念ながら専用機ではないのでちょっと面倒だが、この音ならそれも我慢できる、
 これからは、CDを聞く前に必ず消磁するようにしよう。
 (1回すれば半年は効果が続くらしいが。)

・MD消磁
 CDがいけるなら、MDではどうだろうか。
 ここで1つ気になるのは、MDは磁気記録していると言うことだ。
 磁気で記録している物を消磁したら音が消えないか。

 答えは(おそらく)「大丈夫」である。
 MDにおける磁気の記録はカセットのそれとは全く事なり、
 MDの板上の金属をレーザーで一気に解かしそこに磁力を与えると、
 そこの金属がその磁力と同じ方向に向磁化されて固定されると言う方法である。
 この方法・この板の金属は、その高温でしか磁化方向が変わらない。
 このため、室温のような低温で消磁をかけても大丈夫なのである。
 (ちなみに、MDの読み出しはその磁力を読んでいるのではなく、
 板にレーザーを当てた時、そのポイントが磁化されていると光が偏向する
 カー効果というものを検知して読んでいる。わかったかな?)

 MDはCDと違い、真ん中のクランプと呼ばれる部分が必ず鉄であり、
 またシャッターも鉄ではないが金属である。
 (クランプは、デッキ内部で実際に磁石を使ってホールドされる。)
 板そのものに加え、これら部分があるため、MDの方が消磁効果が高いと
 予想される。
 作業的には、MDの方がCDより小さいので楽。

 結果であるが、これはCD以上の効果が出たものがあった
 (出ないMDもあった)。かなり高音がはっきりする。
 ただし、もともとMDは音が今一のところがあるので、その今一感がより
 はっきりしてしまう感じもする。

・コネクター消磁
 ACOUSTIC REVIVE RD-1の紹介ではケーブルの消磁も効果があると書いてあった。
 そこで、同じ装置で消磁することにした。
 ただしケーブルは抜かずに、指したまま上からである。
 効果は?
 
 はっきり言ってわからない。
 まあ、ちゃんと消磁できているかどうかの問題もあるが、
 CDほど効果はてきめんではなさそうだ。
 このためにいちいちケーブルを抜き差しするのも面倒だし、ケーブルやコネクタに
 負担がかかるので、差し替える時にでもやってみよう。

・防振
 防振とはその字のごとく、振動を防止することである。
 オーディオの場合、スピーカーのユニット自体は振動して当たり前なのであるが、
 それ以外の装置、アンプやCDプレイヤー等は振動してはいけないとされている。

 そんな物振動しているのか?と思われるかもしれないが、
 スピーカーから出る音、そのほか外から聞こえてくる音によって
 微妙に振動している。指で感じるほどの揺れではないが。

 その振動がどういう影響があるの?であるが、アンプという物は実は微妙な物で、
 空気の振動を拾ってその音を出してしまう。
 昔のアナログプレイヤーではレコードの溝を針がトレースして音を拾っていた。
 だから、その針に振動が入ったら他の音が出てしまうのは容易に想像できよう。
 アンプの場合、もっと技術的な理由によるのだが、空気が振動すると言うことは
 空気の密度が変わると言うことで、その密度の変化がアンプの電気回路に影響を
 与えるのである。回路に影響が出れば当然音が変わるのである(これ以上詳しく
 知りたい人は個別にどうぞ)。
 振動による影響は、アンプだけでなく、他の装置にもいろいろな形で現れる。
 後に書くが、CDの読み取り精度にもつながる。

 ということで、いくつか対策してみた。

 全ての装置の下に防振スポンジなるものを敷いてみた。
 先にサブスピーカーの下に敷いたのと同じ物だ。
 この4枚を切って使って全ての足の下に敷く。
 AWMの下のもこれに変更。
 オーディオ用の物はこの大きさでも数千円からする。素材が違うとは言え、
 ぼったくりな気もする(量産効果の問題もあるのだろうけど)。
 
 また、いくつかの装置は足の高さが不揃いなのかぐらつく物がある。
 これらの下には特殊ゴムを入れて固定する。
 スピーカーそのものの防振は以前に書いた通り。

 で、効果であるが、予想以上にあった。
 高音は抜けるように出てくるし、中音もはっきりする。
 低音も軽くはならない。全体的に力強くなった感じだ。
 一番改善されたのはAWMと思われ、今までメイン+AWMで音を出すと
 どこか音のつながりが悪かったが、それが無くなった。
 費用対効果で言えば、一番あったかも知れない。

・防振2
 もっと大きな防振もあった。うちのオーディオラックは東急ハンズで買った
 素材を選ぶタイプの木製の棚だが、これが余りしっかりしていないので手で押すと
 揺れる(しっかりしてないと言うより、重い物乗せ過ぎかも)。
 こんな大きな揺れによる音への影響は、かえって少ないような気もするが、
 子供が揺らして倒れたら大変だし、「安全」と言う意味で、各棚を金属プレートで
 固定する。4枚¥70円*2+釘90本位70円。
 
 これにより、少し揺れが少なくなくなったが、まだ揺れはある。
 根本的に揺れなくすには棚を買い換えるしかなさそうである。
 でも、多くの機械を乗せられる棚があって、大きさも丁度で、
 デザイン的にも良く、しかも安いのってないからなぁ。
 オーディオ用ってむちゃくちゃ高いし。

・CD反り防止
 CDは演奏中は高速回転している(毎秒200〜500回転で可変)。
 ここで1つ考えてもらいたい。円盤の真ん中に棒を通して回すとどうなるか。
 実は、円盤上のある1点で見ると、微妙に上下するのだ。これは円盤の棒への
 固定の精度にもよるし、円盤そのものの変形にもよる。先に書いた振動による
 影響によってCD板が揺れることもある。
 CD盤はプラスチックの一種なので、温度変化や保存方法によって反ってしまう。
 買ったばかりの板でも微小に見ると反っている。この反りをどのくらいで「大きい」
 というかといえば、0.1mmでも大きいのである。
 
 CDに記録されている情報というものは極めて微細なもので、このような上下運動に
 よる読み取り位置の変更は音データの読み取りに影響を与え、はっきり言うと
 音が悪くなる。CDプレイヤーの高級/廉価の差は、今までに書いたことのある
 D/Aという部分と、この上下運動を押さえるもしくはそれに追従する機構(メカ)
 の出来にあると言われる。
 
 どちらも機械を買い換えない限り直すことは出来ないが、CDの反りを押さえること
 は出来そうである。全てのCDの反りを、本でおさえ付けて治すと言う方法もあろう
 が面倒だ。そこで聞く時に少し工夫をする。
 CDの上にCDと同じ形の円盤で、薄くて重くて面上の重量配分が均一なものを
 置くのである。簡単なのはCDを2枚重ねで入れることなのだが、
 うちのプレイヤーではそれは出来なかった。厚みがありすぎるのだ(CDの厚みは
 1.2mm)。そこで、重くもないし重要配分も均一には出来ないが、厚紙でその様
 なものを作ってみた。反りが押さえられたなら、理論的には微小区間で変化する
 データにおいて読みが良くなるはずだから、主に高音に変化があるはずだ。
 
  結果は、音の変化は確かにある。高音はあまり変化ないようだが、低音がぐっと
 出てくる。ただ、ボンボン響きすぎるきらいもある。また全体に音量が大きくなる
 感じもある。これを良い変化とみなすかどうかは難しいが、個人的には余り好きな
 変化ではない。

 今度は防磁板と言う、多分亜鉛と鉄と他の金属から成る薄い板と言うか紙みたいな物
 で同じように作った。ところが今度はそれが薄すぎてプレイヤーの隙間に入って
 しまう。そこで、先の厚紙のそれとこれを張り合わせて見た。
 結果は、(T_T)。
 今度は入らなくなってしまった。要するに厚紙1枚程度の薄さが丁度なのだ。
 それ以上でも以下でも駄目と言うこと。実に微妙である。
 
 ではってんで、今度は厚さ1ミリのゴムシート(10*10cm¥110)を
 使ってみた。しかも今度は円状に切れるカッターまで用意してである(¥320)。
 結果はまたしても(T_T)。入るには入るがCDが認識されない。
 中央の穴が小さすぎるのか?と思って大きくしても見たがだめ。
 
 この方法は、有効そうに思えるが実現出来ないのであった。

        ・・・総括・・・

いろいろとやってみたが、効果があるものもあれば、効果がはっきりしない
ものもあった。それでもこれだけやれば効果も結構あったので、
やる前に比べ、音と映像が相当に変わったと思っている。

映像は間違い無く良くなったが、音は高音が少々きつくなりすぎたきらいがある。
特に小音量時にそれが気になるが、音量を上げた時には、
今までになく素晴らしい音を出すようになった。
(逆に言えば、音量が小さい時の音の出が悪くなったようなような気はする。)
その昔とある場所で聞いた「感動する音」に少し近づいた感じがする。
おもしろい結果である。

何はともあれ、今の装置はまだしばらく使い続けられそうである。
当面出費は控えないといけないから、良かった良かった。

*好結果を出したもののまとめ
        TVスッキリー(アンプ、テレビ、VTR)
        CD消磁
        防振
        スピーカーケーブル
        スピーカー位置合わせ

今回は特にCDでの音の改善に力を注いだが(一番よく聞くから)、
一番驚くのは、今まで悪い録音だと思っていたCDが実はけっこう良い音だった
ということに気がつけるという事実である。
全てのCDではないが、いくつかのCDではまさに「聞き違えた」。
しばらくの間はCDの聞き直しが日課になりそうだ。
(ということは、デジタル録音というものは悪くないどころか良い、
ということを認識したようなことでもある。)

音や絵が悪いと感じたとき、備品の変更やちょっとした対策で
良くなることがあるので、ぜひとも試すべきである。
買い換えはその後でも遅くない。

今回あげた他にもやれることはあろう。
今後ともやっていくつもりであので、追って報告することもあろう。

        ・・・追伸・・・

これを書き上げてからだいぶ後の話。

以前うちのオーディオ構成を発表したが、その直後、
メインスピーカー(JBL LX−44)を買い換えてしまった。
それによる変化は、今回の実験の変化によるものを遥かに飛び越えての
音の向上であった。やはり究極の音質向上は買い換えだと思った。
この話はまた後日である。
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