「RD−X4でBSアンテナ電源設定が勝手にOFFになる問題の顛末」
(2005/01/17〜24号)

うちのDVD&HDDレコーダー、東芝RD-X4(EX)はBSアンテナ電源の設定をONにしていても、
時々勝手にOFFになる。
いや「なった」。
過去形なのは解決できたからであるが、その顛末を書いたのが以下の文章である。

最終的解決はあまりにもあっけなかったので、この話は途中まで書きながらも
仕上げるかどうか迷ったのだが、BSアンテナ関係など調べた情報は一般的に役に立つこともあるので、
何とか書き上げた。

ただし、私は電気屋ではないし、確実な裏付けを取ったわけでもないので、
あらかじめそのつもりで読んで欲しい。

        ・・・

まずは、うちでのBSアンテナ線の接続状況である。

        BSアンテナ → RD-X4EX → RD-XS30 → TV

うちにある現役BS視聴機器はX4、XS30、TV(SONY KV−29DRX5)の
3台であり、これらが渡り配線されている。

BSアンテナは地上波のアンテナと違って電源を供給する必要がある。
通常、その電源はBS機器からアンテナ線を通して供給される。
アンテナ線はいわゆる同軸ケーブルで2線なのにどうしてテレビの信号と電源を
同時に流せるかというと、「電源重畳」という方式を使っているからである。

BS信号はFM波周波数変調=交流成分であり電源は直流(15V)である。
この2つは同じ信号線に同時に流すことが出来る。
原理を簡単に例えるなら、川で泳ぐ場合、水が電源で「泳ぐ」という行為が信号となる。
水を抜けば「泳ぐ」行為だけが取り出せる
(この例だと川底でばたつく様に見えるだろが、それはたとえなので。)
分離は簡単で、コンデンサという交流しか通さない素子を通すと
電源成分が落ちるので、後は信号のみ拾える。
(BSアンテナ側は、逆にコイルという直流しか通さない素子を通して電源を取得する。)

アンテナ信号を複数機器で共用する場合、上図のように出力を持つ機器を通す
渡り配線をするか、元から必要数分配するかどちらかである。

分配するには分配器というものが必要となる。
BS放送に対応したものの場合、以下の2種類が存在する。
電源重畳をする必要があるから、その「電源」に関する仕様の違いである。

一端子電通
        アンテナと分配される1つの端子の間の回路のみ電源を通す。
        他の線は電源成分をカットしている(たぶんコンデンサをかましている)。
        この電源通過の端子に常にBSアンテナ電源を供給できる装置を接続できる場合、
        またはそこにしかBS機器をつながない場合に使う。

全端子電通
        アンテナとすべての分配される端子の間で電源を通す。
        ただし、そのままだとどこか電源を通した回路から
        他の回路に電気が行ってしまうので、(たぶん)逆流防止をしている。
        (逆流防止はおそらくダイオードという電流を一定方向にのみ通す素子にて。)
        どこの回路にBSアンテナ電源を供給できる装置を接続できるかわからない、
        もしくはすべての回路に供給できる回路を接続する場合に使う。

X4/XS30/DRX5どれもBS視聴時のみアンテナ電源を供給するタイプであり、
常時給電不可なので、どれかの電源がONでないとBSは見られない。
うちの場合、3つの機械が非同期に動作する可能性がある。
従って、分配機を使うなら全端子電通型でないといけない。

BSアンテナへの電源供給は1つの機器から行われていればいいので、
一番先にBSをONにした機器だけが供給する。
後からONになった機器は、まずBSアンテナ栓にすでに電源が供給されているどうかを
確認し、されていないときだけ電源をONにする。

現状の渡り配線ではXS30とTVがX4の後ろにつながっているため、
それらが作る電源重畳信号がX4の中を通ることになる。
この場合、XS30またはTVでBSを見ているときはX4からはBS電源は供給されない。
途中でXS30およびTVのBS電源が切れた場合は、それを検知してX4が電源を供給し始める。
この間、わずかではあるが映像が乱れる。

なお、各機器自身はそのアンテナ電源を利用はしない=BS回路を流れる必要はないので、
一番川上にあっても良い(X4の前に電源供給器を置いても良いということ)。

ここまでがBSアンテナ電源に関する基礎知識。

        ・・・

うちのRD−X4でBSアンテナ電源設定が勝手にOFFになるのは事実であり、
しかも不定期ではあるが頻発する。

東芝のRDシリーズFAQにも情報はないし、問い合わせをしてもなしのつぶてだし、
インターネットで調べても、同様の症状を書いている人は、現行機種のXS53で
1人しか見つけられなかった。
このような接続をしている人は少ないのだろうか。

なかなかその原因が特定できなかったが、ある推測を立てていた。

X4を買った直後、BSのアンテナ線を接続してて誤って心線をショートさせたときに
アンテナ電源設定が自動的にOFFになったことあった。
これは言うまでもなく、電源をショートさせたら機器に悪影響が出るので安全のためであるが、
ひょっとして、このショートと同じだと思わせる要因があるのではないか。

となると、やはりX4の下流に付けているXS30またはTVから供給されている
BSアンテナ電源が関係している可能性が高い。
「ひょっとすると、先にXS30またはTVでBSを見ている状態でX4のBSを見ようとすると
その際の電源チェックで誤判定して電源設定をOFFするのではないか」。

本来このような場合は、一時的に電源供給を止めるだけで「電源設定」そのものをOFFに変更する
のはやり過ぎである。が、そうなっているならいるで回避する策を見つけなければならない。

このように推測していろいろと再現試験をしてみる。
組み合わせは以下の通り。

        先      後
(1)XS30      X4
(2)DRX5      X4
(3)X4        XS30
(4)X4        DRX5
(5)DRX5      XS30
(6)XS30      DRX5

結果はすべて問題なし。単にX4の電源を入れるだけでなく録画したらどうかとやってみたがこれも大丈夫。
勝手に電源設定がOFFになることはない。
さて、どうしたもんか。

さんざん調べて実験していると、XS30でBSを見ている時にX4をBSではなく
地上波チャンネルに合っている状態で電源を入れるとOFFになる「様な気がした」。
で、やってみたら再現した「ような気がした」。

この情報を、この時点でも東芝に報告した。
東芝のRDシリーズにはメイルでの問い合わせ窓口がない。
電話はあるが、非常にかかりにくい。
FAQを見ると、「この情報で問題が解決したか?」という項目があって、
ここで「いいえ」を選ぶと質問内容を送ることが出来る。
送れるだけで個人的に回答は来ない。これが「窓口がない」と書いたゆえんである。
後日FAQに載るのを待てというスタンスだ。
個別メイルにいちいち応えていてはらちがあかんというのはわからんではないが、
何とかして欲しいところでもある。

なぜ地上波なのかは分からないが、とりあえずX4の中を他の機械からの電源重畳信号を
通さないようにすれば問題は解決するのではないか。
そう思い、全端子電通型3分波器を購入した。

購入したのは日本アンテナの「CD-3P-SP」という物。
全端子電通型3分波器であるのは当然だが、どの端子から同時に電源を供給しようとしても
ショートすることがない「画期的な構造」とメーカーのカタログには書いてあった。
そういう物でないと困るのでこれを選んだのだ。

ちょっと余談だが、この分配機、上新電機のWebで購入したが、ちょっとしたいきさつがあった。

最初よく似た型番だが「CDW−3P−SP」(定価6300円)を購入した。
上新のWeb上には「どの端子から通電してもショートしない画期的な分配機」という
一文があったが、メーカーのホームページを見ると全電通型ではあるがこの文言がなかった。
CD−3P−SPにはそれがあった。
で、上新に確認メイルを送ったら「間違いでした」ということでWebを修正した上、
いったんCDW−3P−SPをキャンセル、
別途CD−3P−SP(定価5250円)を購入となったのである。
最初CD−3P−SPは同ホームページ上には存在しなかったが、
私が購入したいと書いたら、追加してくれた。

実は同時にF接栓用リングとかアンテナ線の固定具などを買っていたが、
結局2回に分けての購入になり、本来分けると価格的に送料がかかってくるが、
今回は上新側の手違いなので双方とも無料にしてもらった。
(後で解ったが、CD−3P−SPにも4つF接栓リングが付属している。
別に買わなくて良かった。)

さて、物が届いて渡り配線を

        BS  → 3分配機 → RD-X4EX
                        → RD-XS30
                        → TV

という配線に変更して実験。
上記の手順では設定はOFFにならない。
「これで一件落着!」
と喜んだが、念のためしばらく様子見することにした。

        ・・・

ところが翌日。設定を確認したら「OFF」になってる。
「なんてこったい。この分配機でもまだショートしたと判断される状態になるのか?」

こうなると、もうBS機器からアンテナ電源の供給はあきらめて、
別途電源供給器を買うしかない。
X4の仕様は非常に非現実的な悪仕様であるが、そんなこと文句言っても仕方ない。
録画が出来ない方がよっぽど大きな問題なのだから。

ということで、今度はBSアンテナ電源供給器を探した。
実は、このような物は一般用にはほとんど売れていない。
集合住宅でBSが視聴できる環境があるが、こういう環境では
専用の電源供給器があってそこから供給されている。
でも一般家庭ではBS機器自体が電源供給できるので需要が少ないのだ。

という中でも探すと、マスプロのWP7というものが見つかった。
ブースター電源部というのが商品名だが、これが使える。
売価で8400円位。
先の分配機等と合わせて1万5千円ほど。どえらい出費である。
これは上新にはなかったので別のWeb店にて。

で、支払いを済ませて物の到着を待っている間にその事件は起った。

        ・・・

東芝のRDシリーズでシュレック2(角川エンタテインメント)というDVDが再生できない
という問題が発覚した。それに対応するためのバージョンアップを行うというのである。
さすがに枚数が出るDVDへの対応は早い。

で、そのソフトのRD−X4(EX)対応版が発表されたとき、
そこに書いてある修正内容を見て驚いた。

(1)DVDソフト、シュレック2の特殊なデータの対応を行い、再生可能としました。
(2)レート変換ダビング中、1分程度でダビングがごくまれに中断する場合がありましたが改善しました。
(3)見るナビでタイトルサムネイル一覧とタイトルリスト一覧表示でフォルダの
  収録時間の表示が異なる場合がありましたが改善しました。
(4)ネットdeナビの見るナビでタイトル番号がずれる場合がありましたが改善しました。
(5)DEPGのデータ取得時、インターネット回線が遅い場合(混み合っている場合)、
 まれにBS電源設定のパワーセーブモードが切りに変わる場合がありましたが、改善しました。

(1)はそういう名目だから当然として、(2)〜(4)はそういうこともあるのか
言うくらいに見ていて、問題は次の(5)。

「おぉ!?これこそまさにうちの現象ではないのか!!」

なぁんと、東芝でもこの現象はバグだと認識していたのだ。
しかも、DEPGが原因だって?これじゃあ分からんはずだ。
もっと早くにFAQに書かんかい!

「まれ」とあるが、まれじゃないぞ、まれじゃあ。しょっちゅうだ。
回線が遅いと言ったって、うちはADSLの1.5Mで、実行値でも1.2Mは出る環境だ。
これを「遅い」と言われると、世の中この程度の人はもっといると思うぞ。
混み合っているというのも、そんなにしょっちゅうはないはず。
待ち時間が異常に短かったのではないか?

バージョンアップして数日様子を見たが、確かにもう現象は起らない。
あぁ、なんてこったい。

全く、運の悪いときというものはこういうものかも知れんが、
もう1日発注を遅らせていれば無駄な出費は抑えられたものを。
(分配機は1週間ほど前だったので仕方ないかも知れないが。)
結局、買ったBS電源は届いたものの全く使っていない。
弁償しろ、東芝。
(2005/10/01売却。感謝。)

        ・・・ちゃん、ちゃん(T_T)・・・

今回はアンテナ回りのいろいろな変更や実験も行った。
それについても書いておく。

*アッテネッター 
マスプロ        ATT6KFD
                −6dBタイプ

うちのテレビ信号は近くのビルから供給されている(そのビルのせいで電波が届かないので)。
ところが、一部のチャンネルで横縞ノイズが入る、と言うより横の波打ち現象が起る。
これはいわゆるちらちら入るノイズとは異なる。
このような画面は「信号が強すぎる場合にも発生する」らしいので、
信号を減衰するアッテネッターを入れてみた。
実は買ったのはもう1年以上前のことなのだが、うまくアンテナ線途中に入れることが出来ず
掘っておいたのだが、今回良い方法が分かったので実行したのだ。

結果はだめ。
縞ノイズは心持ち減ったかな?という程度だし、いかんせん他のCHに白反転ノイズが入る
ようになってしまった。
どうもこの縞ノイズは電波の強さによるものではないらしい。
(供給の都合で隣接するCHに無理矢理変換されてきているので、
CH間で干渉が出ている可能性もある。)

買ったのが前なので値段は忘れたが、定価は2100円のようだ。
結構高い。
同様の物が日本アンテナからも「HAT6-SP」標準価格2,520円(売価は1700円前後)で出ている。

*アンテナ終端抵抗
日本アンテナ DF-75C-SP

XS30/X4は地上波、BSともアンテナは入力と出力がある。
この出力側を使わない場合にここに終端抵抗を付けることで信号が安定し、画質が上がるという情報を得た。
特に今回、BS側は渡り配線を止めるので、各出力が空くことになる。
そこに付けるのだ。
結果は、先の縞ノイズも減ったような気もするし、全体的に画像がきれいになった気がする。
600円くらいなので、試してみる価値は十分ある。


*5C用ケーブル止め
日本アンテナ CC-5-SP(20個入り)

アンテナ線は、変形させると電波の通りが悪くなることがあるらしい。
内部で反射を起こすと思われる。
物理的ストレスを掛けるなということである。
ゆえに、単なるコ状釘ではなく、これのようなちゃんとした専用留め具を使った方が良い。
ということで、今回専用ケーブル止めを買った。これでコ状釘は全廃。
外すときに見ると、だいぶ線が圧迫され変形していた。画像がきれいになったのは
このおかげもあるかも知れない。もっとも、すでに変形してしまった
ケーブルは外しても変形はほとんど戻らないので、関係ないかも知れないが。
今後は最初からこれを使おう。
値段は、定価945円で売価620円位。

ちなみに、アンテナ系の上新の品揃えはなかなか良い。
(でもヨドバシも同等である。)
先にも書いたけど、ブースター電源部だけは楽天の店で買ったのだけど。

        ・・・

で、結局最終的なアンテナ配線は以下のようになった。

        BS  → 3分配機 → RD-X4EX → 終端抵抗器
                        → RD-XS30 → 終端抵抗器
                        → TV

        VHF → ブースター → 2分配機 → RD-X4EX  → 終端抵抗器
                                      → RD-XS30  → TV

とりあえずこれで安定ではあるが、何にしても無駄な出費であった。
結局は分配機も電源部もいらなかったのだから。
(終端抵抗とケーブル止めはあってもいいのだけど。)

RDシリーズは使い勝手の良い製品ではあるが、
品質面ではいつも何かしら問題がある。
東芝にはもっとじっくり製品をチェックし、逆に問題は速攻で直してもらわねばならない。
どうも、悪い意味で大企業ゆえに足の遅さだけが目立っている気がする。
(自分も製品を作っているので、逆に言われると耳が痛いのだけど。)

        ・・・と、ここまで書き上げて数日後・・・

東芝から連絡があって、ファームアップのCDを送るのでこれで様子を見てくれと。
「もうとっくにバージョンアップして直ってるんですけど。」
直してくれるのは良いが、遅いんだって。
直すのは後でも良いから、バグなのか仕様なのかだけでも教えてくれれば
無駄な出費はせんで済んだのに。まったく。

        ・・・ちなみに・・・

このバージョンアップ後も2回ほど現象は発生している。
バージョンアップしてから余り日がない内にであるが、
その後数ヶ月は発生していない。

思うに、メイルにアクセスしている間にX4が予約メイルを受信しようとしてタイムアウトを起こすと
OFFになってしまうのではないかと。最近はそういうことにならないように気をつけて
メイルを読んでいるので大丈夫なのではないか。
X4専用にメイルを持てると良いのだが、共用するなら気をつけるべき項目である。
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