「ビデオのはなし」(1997/06/24〜06/26号)
唐突にビデオの話である。
ビデオと言ってもテープの話ではなく、デッキの方の話。
しかも、ハンディーマシンではなく、据置マシンである。

やはり据置ビデオはビクターが良いようである。
以前は良かった三菱は、最近は本当に質が落ちている(私も確認した)。
東芝は比較的良いが、停電時の補償が非常に短い(数分)なのが難点だそうだ。
松下はよくわからない。

あまり画質や音質を気にしなければ、ようするに見るだけなら、安売り屋に行けば
1万円台でもビデオは手に入る。ある意味良い時代ではある。
しかし、困った問題もあるのである。

メーカー関係者に聞けば、もやはビデオデッキでは利益が上がらないらしい。
安くなりすぎたからだ。国内で価格破壊を進めたのはSONYだが、
今では海外の安物が出回るようになり、しかもそれがそこそこ売れているから
問題である。だからあまりメーカーが力を入れなくなり、生産は軒並み海外に
移っている。

このため、中間クラス(10〜15万円まで)はもとより、
優秀な高級機も少なくなってきている(25万円〜)。
そういうものを出しているメーカーも減った。
以前は、各メーカーとも1機種はそういう上級が有ったものだが。

あまり映像の美しさにこだわらない人が多いのだろう。
良い機種が売れないので無くなってしまうのだ。
ビデオに限った現象ではないが、実に嘆かわしい世の中である。

ということで、その筋の人達は機種選びにえらく苦労しているそうである。

・・・ちなみに私は最初に買ったビデオデッキ以外は皆中級機であった。

        ・・・

その私のビデオ遍歴も、早いもので、ここ13年の内に5世代も経っている。

        特徴                            メーカー        買値    定価
HQ/モノラル                          日立            5万    7万(壊れた)
HiFiステレオ/デジタルキャプチャ    三菱            12    25(妹の家で現役)
アモルファスヘッド                      日立            10    15(壊れた)
19ミクロンヘッド/BS                     SHARP      12    17(お蔵入)
19ミクロンヘッド/BS/タイムスキャン      Victor    15    10(現役)

日立は操作性が良い。メカの反応性は悪いが、予約のしやすさなどは一番であった。
リモコンの作りも悪くない。予約録画が電源を切るだけで有効になるのは
私の使った中では日立だけである。これは意外とやりやすい。
他のメーカーは、予約スイッチと言うものがかならず有るので、
これを入れ忘れるとパーである。

三菱は、当時流行のデジタルプレイが出来るものであった。画面分割などが出来ると
思えば良い。今のデジタルビデオとは全く違う。これは本当は高級機である。
従って作りもしっかりしている。ジョグシャトルは当たり前、インシュレーターや木製
パネルまで付いているのだ。モデル落ちで安く買ったが。
リモコンでの操作性はあまり良くない。

SHARPは画質は綺麗なのだが、すぐに操作がおかしくなる(キーを押しても
その通りに動かない)などの問題が出た。テープを巻き込んだ時から使っていない。
たぶん今でも動くとは思うが。動作(反応性)は早かった。リモコンも悪くはない。
予約はしにくかったが。

現役はVictorのVX1という機種。この機種はタイムスキャンといって、
2〜7倍速で再生/逆再生出来、しかも映像が乱れないという優れものである。
神秘の技術(デジタル技術)によって逆再生でもちゃんと音声が出るのである。
逆再生時の音はあまり役にたたないけど。

これを買う時には同クラスの各メーカーの機種をいろいろと見て回ったが、
その中で一番映像が綺麗であった。
ビデオの映像の綺麗さは、主にヘッドとチューナー部分の出来による。

        ・・・

ヘッドは、3倍モードでも綺麗なものはたいてい19ミクロンヘッドと呼ばれるもの
で、中級機以上ではかならず付いていると思ってよい。これとS−VHSテープとの
組み合わせでは、並の機種の普通のテープで標準で取った画像より綺麗である。
映像の綺麗さで買うなら、並の機種で標準で取るより、中級以上機を買ったほうが
ランニングコストが安くなるかも知れない。

チューナーの善し悪しはわかりにくいが、ようは、テープやレコーダー部分が良くても
ソースが駄目だと駄目なわけで、テレビからの録画がほとんどである据置ビデオデッキ
では非常に重要なのである。

ヘッドの良さはメーカーの用意したサンプルテープを見比べればわかるが、
ポイントは赤と青である。特に赤色は色が落ちやすい。汚くなりやすいのだ。
実写映像では目立たないが、特にべったりした赤が多いアニメでは顕著な差が出る。

チューナーの出来は、実際にその場でテレビを録画してもらうしかない。
これをしてくれないお店では買わない方がよい。
サンプルテープでは良くても、自己録画再生で画質が落ちる機種は多い。
(サンプルテープはプロのマシンで作ってあるので綺麗なのだ。)

で、一番良かったのがVictorのこの機種だったわけだ。
まあ、VHSの開発メーカーの面目躍起と言うところだろうか。

あと「録画の予約が8本以上無ければ駄目」というのはお約束で、
Gコード予約だとか、BSなんかはあまり意味がないと言うのが、
私の録画するものの特徴をつかんでいて、実におもしろい。
Victorの今機種は、このVX1を始めとして、リモコンが非常にチャチなのが
欠点である。裏面はスライド式なのだが、ここに普段使わないスイッチが多いなら
まだしも、録画にかならず使うスイッチが全てそこにあるのだから困ったものである。
私も愛用者葉書に「他は良いけどリモコンがあかん」と書いて出したが、
他でも同じような意見を聞く。メーカーはちゃんあと愛用者葉書を読んどるのか?

話によると、今ビデオ愛好家の中で一番評価が高い機種はVictorの
HR−20000という機種らしい。ただし現行機種ではないので、
世ほど探さないと手に入らないらしい。それ以来、Victorであっても
万全と言える機種はないそうである。

そこまで求めることはないにしても、そこそこ綺麗な画像を得たいなら、
やはりそれなりの出費はしたほうがいいよ、という話であった。
まあ、ドラマを取ってみたらすぐ消すくらいなら、こんな機種はいらないだろうけど。
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