「テレビの音」(1993/03/09;でも再編集時にほとんど書き替え)
テレビの音の話し。

とは言っても、スピーカーから出る音ではないです。
テレビを付けると、音を絞っていても聞こえてくる音があります。

        ・・・

ここでいきなり技術の話し。

で、実はブラウン管テレビの水平同期信号が15KHzです。
テレビと言うのは、実は1本の光線が画面の左から右、
それが上から下へと走査することで1枚の絵を作ります
(人間の目には残像があるので、 こういう方法でも見える)。

日本のテレビの場合、この絵は1秒間に60枚送られています。
ということは、1枚の絵が出来るのに1/60秒=60Hzです。
この数値は言い替えれば先の光線が一番下まで行ってまた上に戻るまでの速度であり、
これをを垂直同期周波数と言います。

一方、光線の左右の動きは、この上から下への動きの中で
240回行われています(日本のテレビの場合)。
要するに、光線は240回左右移動を繰り返しながら上下に動くわけです。

1垂直同期期間の間に240回動くのですから、その周波数は
        60*240=14400=14.4KHz
であり、これを水平同期周波数と言います。

余談ですが、コンピューターのDOSの画面のサイズは640*480ですが、
この480というのは、1/30秒の間に240ラインの画像を
2枚合成して1枚にするということから決められたものです。

実際には、テレビの画面外まで行くため、240回よりもう少し多い回数
数えるので、水平同期周波数は15KHzとなります。

        ・・・

これはテレビの動作周波数(の1つ)であって、その音をスピーカーから
出しているわけではないのですが、でもテレビを付けると音が聞こえます。

なぜ聞こえるかというと、どうやら、中の回路のある何かの素子が共振して
かすかな音を出しているか、ブラウン管の中の電子ビーム制御用のマグネットが、
それで制御するために発生している磁場がマグネットそのものもしくは周りの何か
(ブラウン管自身?)をかすかに振動さしているらしく、その音が聞こえるのです。

人によって聞こえる聞こえないは、小さな音が聞こえない、あまり高い音の領域が
聞こえない、など、個人差によって生まれるものですが、聞こえないからといって
特に耳が悪いわけではありません。

実際、聞こえるといっても16KHz以上の音を完全に聞き分けられる人は
それほどいないらしく、実際15KHz以上を完全にカットして音楽を流しても
そんなに違和感はありません。何となく高音の伸びがないかなと言う感じです。

事実、FM放送は15KHz以上の周波数は出ません。これは15KHz以上
20KHz以下(正確にはいくらか忘れた)の信号にステレオ制御信号などを
入れているため、これをカットするためにこうなっているのです。
しかたがって、FMチューナーを選ぶ時にカタログに、周波数特性の上限周波数に
15KHzよりが書いてあるものはすべてうそつきです。そういったメーカーの
ものは買ってはいけません。

いわゆるテレビはこうなのですが、Windows用のコンピューターディスプレイは
同じブラウン管でも水平同期がもっとずっと速く24KH以上です。
こういうモードの音は聞こえません。
もちろんこれは可聴周波数領域を越えているからです。
体で何か感じるかもしれませんが。

でも、犬や猫、コウモリ等は人間よりもっと高い音が聞こえるので
高周波数ディスプレイのそばでは嫌がるかもしれませんね。
試したことはないですが。
彼らにとっては、今の世の中は非常にうるさいのかも知れませんね。
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