「松下電器 インダストリー総合展002」(本誌未公開ネタ)
うちの会社は松下電気系の商社とつきあいがあるので、
松下の内覧会の招待券をもらえた。
ということで、2002/09/19に
東京ビッグサイトおよびそのそばに新しくできたパナソニックセンター
に行ってきた。

実は2年前にも行っており、そのレポートも紹介したので
覚えている人もいるかもしれない。

ここで先に書いておこう。
この9/19という日付は、後日紹介する「白馬旅行」の
最初の日と同じである。どういうことかというと、
この見学のために東京へ行き、帰りに白馬へ行ってきたと言うことである。
当然、会社には内緒である(^_^;)。

これを書いたのは見てすぐのことであるが、発表機会をうかがっている内に
1年近く経ってしまった。まあ、もうこの時期であればこの内容を公表しても良かろう、
という思惑もある。

        ・・・

最初にまず東京ビッグサイトへの行き方について研究結果を書いておこう。
東京ビッグサイトの場所はいちいち説明しないが、
そこへ行くには、東京駅から出発するとして、
(1)東海道線などで新橋へ戻り、そこからゆりかもめに乗って国際展示場正門駅で
   降りる
(2)都バス(東16)で東京ビッグサイト東棟前で降りる
(3)京葉線で新木場まで行き、そこから臨海副都心線で国際展示場駅で降りて歩く

等がある。このほか、水上バスで行く手段もあるようだが、
東京駅からの接続が悪いので考慮しない。

2002年12月からは、
(4)山手線で大崎まで行き、そこから臨海副都心線で国際展示場駅で降りて歩く
という手も出来る。

値段は、詳細は忘れたが、高い(1)¥320くらい>(3)¥230>(2)¥210位安いで
ある。新橋および新木場は東京都区内なので、新幹線で大阪方面から行く場合は
追加料金は要らない。となると、その先の乗り継ぎ列車・バスの価格が
決め手となる。ゆりかもめは結構高いのだ。

時間的には早い(3)≒(1)>(2)遅い、
歩く距離では遠い(3)>>(1)>(2)近い、
楽さは(3)>(2)>>(1)である。
歩く距離は新木場周りが一番遠いが、これはまず東京駅での京葉線乗り換えが
遠いこと(新幹線から700mもあるのだ)、そして国際展示場駅から
ビッグサイトまでがまた少し距離がある(500m位か)からである。
しかし、この歩きを考慮してもこのコースが一番楽である。
その心は、すべて通常列車であるので車両が大きく、
時間的にもまず遅れることはなく、また空いているからだ。
一番お勧めしておく。
バスはうまくいけば30分ほどだが、渋滞すると40分を超えることもある。
結構混むので座れないと苦しい(座れても苦しいが)。
ゆりかもめは滅多に座れない上に車両がかなり狭いので、毎回必ずしんどくなる。
遠回りするため、30分近くかかるのもいけない。
また、新橋駅での乗り換えも結構遠い。

次回は(4)のコースにチャレンジしてその結果を見てみよう。
臨海副都心線は新木場から国際展示場駅までは中1駅と非常に近いが(5分)、
大崎からは中4駅以上ある。しかし京葉線乗り換えが山手線乗り換えになるので
早くなると思う。

ちなみに、パナソニックセンターは国際展示場駅のすぐ横なので、
こちらに寄りたい人は、やっぱりこの臨海副都心線コースがよい。

        ・・・

今回の展示の大きなテーマは環境とキーデバイスメーカーとして多分野でNo.1に
なるという意気込みであった。
(デバイスとは、簡単に言えば部品のこと。キーデバイスとは、
その部品がその商品の心臓になるような重要な部品のこと。
テレビならブラウン管がそうかな。)

デバイス展示が多いので、実商品の展示は少なかった。
これは新設のパナソニックセンターにお任せということらしい。
これは前回とは大きく違った点である。
(前回は実商品がかなりあった。)

展示を見ていると、ICそのものからそれを基盤に付ける実装装置まである。
このあたりは総合メーカーの強みか。
デバイスにはおもしろそうな物もあったが、これは!という物はほとんど無かった。
今は即実用の物を作るのが先決と見える。

松下が今押しているデバイスや、おもしろいと思ったデバイスの一部を
紹介しておこう。
ここから先は専門用語が出てくるが、残念ながらいちいち説明している
時間がない。どうしてもわからない人は自分で調べてみるか、後で聞くように。

・DVD−Multiドライブ
基本的にはDVD−RAMのドライブであるが、以下のようなメディアに書き込みが
出来るものである。実は、Panasonicブランドで出ているDVD−RAM
ビデオレコーダー(E30やHS2という機種)に使われているドライブでもある。
上記商品に使われているドライブを外販するのだ。
松下はDVD−RAMの推進メーカーなので、ここには力が入っている。
家電やデスクトップPCに使うような5インチベイタイプと、
ノートPCに使うようなスリム型があった。

                        5インチベイタイプ      スリム型
DVD−RAM          2倍速書き込み          ←
DVD−R              2倍速書き込み          ←
DVD−RW            等倍速書き込み          ←
CD−R                12倍速書き込み        16
CD−RW              8倍速書き込み          4
CD−ROM            32倍速読み込み        24
DVD−ROM          12倍速読み込み        8

インターフェースはIDE/ATAPIタイプのみ。
発売は年内予定、サンプルは11月予定であった。
価格は現行機種から据え置きを予定。
現行機種(DVD−RAM専用ドライブ)もそのまま発売続行で
値段もそのままの予定。
じゃあそっちの方が損、と思われるかもしれないが、そちらは
発売から1年以上経過しているので品質保証はしやすい。
いわゆる「こなれている」というわけだ。

・SDカード
いわゆるメモリーカードである。SONYで言うならメモリースティックと同じような
もの。SONYはそれが使える商品を一気に揃えたが、
松下も遅ればせながら揃えてきた。デジカメ、デジタルビデオ、パソコン、
ポータブルオーディオ、テレビにも使えたりする。
実はこのコーナーで、コンパニオンのお姉さんと2ショットで
デジカメ撮影してもらい、その場で印刷してくれる。
これがまた綺麗で。お姉さん・・・いやまあそれもあるけど、印刷もね(^_^;)
家内には見せられない写真か?(別に顔はにやけてないし、大丈夫だと
思うけど。)

メモリーカードとしてはスマートメディア(SM)というものもデジカメに
使われていたりするが、大容量のものがあるとか(SMは128Mまでだが、
SDは512Mまで発売され、将来は1Gを超えるものも予定されている)、
SMより一回り小さいとか、読み書き速度が速いとかの特徴がある。
そうそう、著作権保護処理が強化されていると言うこともあるか。
今後SMはなくなる方向なので、SD対メモリースティックの様相である。
ただし、現状では同一容量ではSDはSMやメモリースティックより高い。

・指紋認証モジュール
1ラインスキャナーとソフトの組み合わせで、かなり小型の装置で
指紋の認証が出来るらしい。
指紋認証の他OCR/バーコードリーダーの機能もある。
光学周波数解析方式というものらしい。まあ方式は良いとして、
なかなか使えるのでないかと思った。
携帯電話程度のCPUで動作可能(最近の携帯電話はすごいCPUなので
本当のところどの程度かは不明だが)とのことで、今後これを使った機器が
出てきそうな気がする。

・虹彩認識カメラユニット
人が近づくと自動的に目の位置を判断してそこにカメラを向けて虹彩を読みとる装置。
虹彩を読みとれると言うことは、目の奥の網膜パターンも読めると言うことで、
映画にあるようなそれで本人確認をする世界が
もう実現出来ているわけである。
今回展示されていた装置の特徴は、人間がレンズをのぞき込むことなく
立っているだけで行けるところ。簡単に識別出来るわけだ。
人間の目の位置を画像認識で見つけ出し、
そこに正面を向くようにモーターでカメラを動かす仕組みである。
ゆえに中はカメラを動かすためのモーター(駆動装置)の固まりである。
実は最近の製品の中にはモーターがいろいろと使われていて、その制御が
重要になっているのである。たとえば、携帯電話のマナーモードの振動は
モーターで起こしているし、ハードディスクもDVD−RAMドライブも
モーター無しでは動かない。

・MPEG4マルチコーデックLSI「Marvie」
MPEG2というものを聞いたことがあるかもしれないが、
MPEG2はDVDビデオでも使われる高画質圧縮手法だが、
高画質であるがゆえにデータ量も大きく、電送するなら高速通信網が
必要である。これに対しMPEG4は比較的低速な通信回線でも
画像が送れるようにしたものである。
今回展示されていたICはNTT系の次世代携帯電話の
FOMAに使われる。FOMA自体がぽしゃる可能性があるが、
まあ、このチップ自体には他で使う道もあるので大丈夫だろう。

・エコーネット
電灯線=コンセントを使って通信をしようという規格である。
通信といってもインターネットではなく、家電同士をつなぐ通信を
考えればよい。たとえば、テレビを付けたらカーテンが閉まって
エアコンが動き出すという感じである。
今回の展示であったのはそこまでのものではなかったが。
通信速度が9600bpsなので画像伝送などで使うには難がありすぎ。
(一応電送していたが。)

・その他1
杖にナビが付いたものがあった。おもしろそうな商品であったが、液晶が小さすぎて
お年寄りには見えない。松下は、目の付け所は悪くないが商品としての完成度
(ユーザーにあっているか)がいまいちなことが多い。要するに、思いつきで
商品を作っていて実際のユーザーを見ていない。まずデバイスありきで商品を
作るとこの罠に陥る可能性がある。他人のふり見て我がふり直せである。

・その他2
ナノテクノロジーというコーナーもあって、新機軸の素材開発の成果発表も
少しだけあった。分子レベルで構造決定された素材だ。
今までにない機能的な特徴を持つようだ。
将来はこういうものが広く使われるようになろう。

と言う感じであろうか。

環境関係の展示もあったのだが、これはちょっと説明が難しい。
たとえば、鉛を使わない半田(電子部品をくっつけるボンドみたいなもの)
だとか、リサイクル手法だとか、リサイクルしやすい新しい素材とかが
展示されていた。そうそう、部品点数の削減もあったか。
このあたりは地道な努力であるが、大手が率先してやるのは良いことである。
(リサイクルはすでに法制化されているし、無鉛半田についても数年後には
法律で義務になる。)

この展示会では、私のような業者の人間も来ているが、
実は松下社内での交流会も兼ねているらしい。
松下は非常に大きな会社なので、その内部でも他の部署が何を作っているのか
知らないことが多い。だから、こういう場所で見て、聞いて回るわけだ。
営業の人は同窓会みたいになると言っていたが。

        ・・・

こちらの展示場を後にしてもう1つ、9/14に出来たばかりという
パナソニックセンターに行くことにした。

これは、臨海副都心線の国際展示場駅すぐ横に出来た松下の新しい常設展示場で
ある。1Fが現在の製品(SD関係とDVD中心)の展示、2Fが未来の家庭
およびシステムキッチンの展示場となっている。
広くはないので1時間もあれば十分見て回れる。

未来の家庭は、まだモック(手作りサンプルと思えばよい)の状態で、
一応簡単なデモはしてくれるがぴんとこない。
一方システムキッチンは現行商品があり、簡易見積もりも出してくれるので
現実味を持ってみることが出来た。常々台所の使いにくさを実感してるだけに、
このくらいの価格何とかなるな、と言う感じもした。
借家じゃなかったら、即やってしまうかもしれない。

1Fで50インチPDPに5.1CHサラウンドでDVD/BSハイビションを
鑑賞できる(欲しくなるだけという話もある)。またSD商品の展示もあるが、
SDでは松下だけでなくSDコンソーシアムの主要会社の製品展示もある。
SD啓蒙の拠点とも言える。

1Fには喫茶店もあるの休憩可能、とだけ書いておこう。
建物内は禁煙なのでGood。

        ・・・

それにしても、こういう展示会にお金をかけられるのが大企業らしい。
この総合展の費用も5億円ほどとか。
まあ、見る分にはただなのでどうでも良いのだが。

そうそう、この展示会に来るとお土産がもらえる。
前回は小型懐中電灯で、これは結構使いでがあったのだが、
今回はSDメモリーカード(8M)とそれをPCで読むための
アタプターPCカードであった。

SDカードは入るときにもらえ、先に書いたデジカメでの撮影時には
このSDカードにその画像を記録する。と言うことは、そのデータを
もらえると言うことである。展示場内では特に他に使える場所はないが。

最後、帰るときにアンケートに答えるとPCカードがもらえ、
これを使うとSDカードをPCから読み書き出来るようになる。
お土産がこういうものになるのも、SDカードの利用推進ということもあろうが、
PCがより一般的になった証拠でもあろう。

ということで、簡単なレポート終わり。
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