「700系のぞみ」(1999/11/26〜12/03号)
700系のぞみに乗った。
(実はこれを書き上げたのは4月の話だが、7月にもまた乗った。)
先頭車両の形状から「かものはし」と呼ばれるあれだ。

確かにその形状は特異だが、意外にも直に見るとそんなに違和感はない。
少し横から見ると確かに変だが、正面から見るとそうでもない。
(試作車両はほんまに先頭がかものはしだったが、量産車両は
少し修正されたようだ。)

以前に紹介した500系のぞみは独特の形状で、前からはもちろん
横から見るだけでも一発でそれと解ったが、700系は横からでは
よほど気を付けないと300系(普通ののぞみ)と区別が付かないだろう。
側面の線が太いとか、所々に700系と書いてある位でしか解らない。

いきなり余談。
新幹線のような前の丸いというかとがった車両の形を「流線型」という。
飛行機や速い車も流線型である。
これは別にその方がかっこよく見えるから(だけ)ではない。
ちゃんと「空気抵抗を減らす」という効果があるからそうなっている。

ところが、流線型にして意味があるのは時速120キロを越える速度からだそうで、
それ以下では前が平面でもほとんど影響無い。
通勤車両などは前が平らであるが、あれは時速120キロ以上で走らないから
いいのである。逆に、以前紹介のJR西日本のサンダーバード号は
最高速度160キロまで出すので流線型に意味があるのである。

昭和初期(だったけかな?)に流線型がはやったときがあり、
機関車などが流線型になったときがあったらしいが、
その当時の最高速度はせいぜい100キロであり流線型にする意味は
流体力学的にはなく、さらに流線型は整備に手間がかかるので
(カバーで覆うから)すぐに廃れたそうである。

        ・・・

車内はさすがに新しい車両だけあって綺麗だ。
シートの色は青い目。300系とは違うが、700系と同じかな(忘れた)?

車内は広々としている。それが700系の売りの1つのはずだが、
でも300系と差ほど変わるものではない。
もちろん丸い胴体のため車内の狭い500系に比べれば随分と広いが。
座席の前後と通路は若干広いのかな?
光の通り具合が良いので広くは見えるが。

700系の最大の売りは騒音の少なさと振動の少なさだそうだが、その面ではどうか。

確かに300系に比べれば随分と揺れは少ない。これははっきり解る。
最高速度は700系の方が上なのに振動が少ないというのはすごいことだ。
山陽新幹線の広島−小倉間は新幹線が目一杯飛ばす区間で、500系もここで
時速300キロを出す。ここでの振動の差を比べてみたが、差は大きい。
特にトイレにいるとその差は歴然である(どこがどう違うかは明言を避けておこう。
食事中の人もいるだろうし)。
(それでも揺れるには揺れるので、細かい時の物を読むにはまだつらい。)

騒音はどうか。ちょっと静かな位か。さすがにトンネル内はうるさいけど。
もっとも、沿線での騒音が低減されているかも知れないので、
車内からの評価だけでは不十分だが。

これも500系との比較は難しい。
(一度に3つの車両に乗れれば良いが、往復で2本が限界だから、体感の
日をおいての比較は難しい。)
因みに最高速度は、500系が300キロ、700系が285キロ、300系が
270キロ、100系が220キロである(0系は210キロか?)。

        ・・・

1つ見つけた700系のおかしなところ。
700系のトイレは空気を外に出すタイプの換気扇ではなく外の空気を入れる
タイプである。どうもそれが外の空気をほぼそのまま入れているような感じなのだ。
なぜわかるか。

新幹線はトンネルに入る前に必ず通気口を閉じて車内の空気圧が変わらない
ようにする。新幹線のように高速な列車がトンネルに入るとトンネル内の気圧が
急激に下がり、高い山に登った時や高いエスカレーターで一気に登り降りした時の
ように耳がツーンとなるのだ。これを防ぐためだが、700系のトイレにいる時に
列車がトンネルに入ると耳がツーンとなる。ということは、外気がそのまま入って
いるということだ。もちろん、客室内にいる限りそういうことはない。
いかんぞ、これは。

ということで、JR西日本と東海の共同開発の700系だが、
それほど大きな売りがあるとは思えなかった。これから300系の換わりになって
いくのならわかるが、500系のようなものがある今、振動の少なさだけで
人気が出るか。良い車両には違いないんだけど。

        ・・・追伸・・・

そういえば、今回初めて新幹線の新しい駅「厚狭」(あさ;小郡と新下関の間にある)
を通過したけど、何か田舎の無人駅みたい。

駅前にもあまりなさそうだし、高い金出して駅作ってもらったそうだけど
(新幹線に新しい駅を作る時は、100%地元持ち)、税金の無駄使いだと
思えるけど。

10年後になくなる方にかけようかな。10年後があれば。

        ・・・新幹線よもやま話・・・

500系、700系のぞみが出た後も、新大阪−東京間は300系のぞみ以上には
時間短縮されていない。山陽区間は大幅に短縮されたにも関わらずである。
その理由は、東海道新幹線の設計の古さにある。

東海道部分は結構カーブやアップ・ダウンがあるのだ。
勿論、在来線に比べればはるかに少ないが、それでも山陽に比べれば多い。
特に豊橋−浜名湖間はそれが多く、速度を考えればジェットコースター並である。

また、住宅密集地域を走ることも騒音対策面から速度アップを阻んでいる。

山陽新幹線ではトンネルを多くしてでも出来るだけ直線かつ勾配が少なく路線を選び、
また住宅密集地を避けるようになっている。これにより300キロ
走行が可能になっているのである。

しかし、例のトンネル内コンクリート落下事件もあり、
今後もスピードアップがなされるかどうか。
(あれの原因は高速列車がトンネル内に入る時、出る時に起きる
急激な圧力変化だから。)
スピードアップはなくても、スピードダウンを余儀なくされたりすると
大変だなぁ。

おまけ;
新大阪から東京へ向かうとき、富士山は右左、どちらに見えるだろうか。
ほとんどの人は「左」と答えるであろう。
確かにそれは正解であるが、ごく一部区間でのみ間違いになる。
静岡県は安倍川付近でほんの少しの間だが右手に富士山が見える区間がある。
ほんのちょっとなので見逃しがちだが、思い出したら気をつけて見てほしい。

        ・・・

さて、今日は横浜出張だけど、何系の新幹線の乗れるやら。

        ・・・おわり・・・
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