「BOSEネタ2題」(1999/11/12、11/15号)
        ・・・「BOSEスピーカの特長;クリヤーな音の秘密」・・・
        ・・・某所より転載・・・

およそ10年前に某社においてオッサン(仮名)の「マキシマ」や「シーマ」の
車載用 高級スピーカシステム(フロントL・R、リヤーL・R)の4個キットを
組立、1日 MAX1,000キット(4,000個)を製造していた事があります。

この時、スピーカとアンプはBOSE(USA)から輸入し、成形プラスチックの
キャビネットに組み込んで検査、出荷をするのですが ところが輸入されてくる
「スピーカー」単体の不良率が5〜10%で大変でした。
この不良の解析をして初めてBOSEのスピーカの特長に触れました。

<特長>
その1
        ボイスコイルがアルミリボン線で造られ軽量(1/2:同レベルの日本製比)
        なお且つコイルの抵抗値は1/2 :同比………・巻線が少ない
その2
        スピーカーマグネット(フェライト)の磁力が強力(日本製の約1.5倍)
        (近くに腕時計を置いたらパーになる:勿論アナログ式)
その3
        コイルボビンとマグネットの隙間クリアランスが0.3mmで非常に狭い
        (これが大変シビアーであるためUSAで組み立て時50%は不良になる)
        (また日本で組込み時にフレームに歪み応力が加わるとすぐ擦れる)

        話に聞いたところBOSEの工場の組立ラインは「本生産ライン」と並行して
        上記不良を分解(材料を再生)する「分解ライン」が設置されているとの事で
        した。(初めから歩留まりが悪いのは不良とは考えていない)
その4
        同じ音圧(音量)レベルを得るのに電気入力電力Wは約2倍必要

などが大きな特長で、ここにBOSEスピーカの基本的「思想」があります。

 もともと音響工学では電気信号を音(空気振動)に変換する部分(exSP)の効率が
一番ネックでありBOSE博士はここに着目して、生産性を犠牲にしてでも変換時の
忠実性を追求し、理想形を求めたのでしよう。

その他コーン紙の素材やフリーエッジ構造など、振動系全体を軽量にする為の工夫が
されており、これらが「音の切れ」の良さの秘密でしょうか。

要注意は「当たりはずれ」が多いこと、電力消費が高いこと、高音域(バイオリン)が
弱いなどマイナス面の短所もあります。

        ・・・以上・・・

ということで、BOSEスピーカーの謎の一面が見えたのでした。
バイオリンがそれほど高音だとは思わなかったりしますが、高音に弱いのは
間違い無いですな。うちでも高音だけは別スピーカーに任せてる。

        あっ、「マイナス面の短所」って、マイナス面は短所だよなぁ。
        そんなところで揚げ足取るなって(^_^;)。

しかしねぇ、実は私は高校に入った年に、大阪は石橋の音研というオーディオ屋
(今もあるのかなぁ)で、究極とも言える良い音を聞かされただけに、
それ以来聞いたどんな音にも満足出来ないでいたりするのでした。

自分が持っているLP(当時はレコードの音が勝負だった)と同じもので聞かせて
くれたんだけど、良くもここまで音が違うものだ、というかここまでの音が
入っているのか/引き出せるのか、ということをしみじみ思ったものです。
音楽を聞いて涙したのはこの時だけかも知れません。

あの時のオーディオセットが一体いくらするのかわからないけど、
いつかはあの音を再現させたいと思うのでした。

        ・・・あのデモについて・・・
        ・・・某所より転載・・・

まず、今回のBOSE社のスピーカーセットの内容は横に置いて、プレゼン自体に
関して聞いた皆さんはどう感じたのでしょうか?

確かに上手で、衝動買いタイプでおだてに弱い私など、フラフラっとなりましたが、
どうも冷静に考えて見ると「何かおかしい」と思うんです。

  1.密室効果
  2.限定効果(あなただけ特別)
  3.割安感の演出($4600と言った後でモニター価格の提示)
  4.売る為のプレゼンではないことの強調(実際は…?)

実際本当に良いものだとは思いますし、その点誤解のないようにお願いしますが、
プレゼン自体のやり方は、「素晴らしい」「当社も取り入れよう」「営業は見習う
べきだ」という程のものではなく、むしろ「技術的には優れていても、マネしない
方が良い手法」と個人的には感じました。

もちろん売るためのテクニックはある程度必要で、営業は多かれ少なかれ、
勉強し実践していると思います。しかしあのやり方は一歩間違えば新手の
「○○商法」に近いものがあります。

こんな風に感じてしまうのは、私がヒネクレ者だからかなあとも思うんですが、
会社内で行われた事でもあり、プレゼンそのものに関しての、率直なご意見、
ご感想があれば、電子茶話会でわいわいやるのに丁度良いと思い、
取り上げてみました。

        ・・・なもんで、こう書いた・・・

私は物を買った口ですから一言書かねばなるまいでしょう。

まず物についてですが、決して悪いものではありません。
とてもあのサイズのものから出る音とは思えないくらいのものです。
音像定位と低域から中域までの音の抜けにはすばらしいものがあります。
CDの元の録音の善し悪しの差までわかるほどです。
あえて書くならもう少し高音が伸びたらとか小音量時にももっと音が前に出てほしいと
思いますが。

が、他の部分はちゃちです。25万と言う価格を考えればちょっと納得行かないものでは
あります。無音時のノイズの出が大きいとか、内蔵CDの音の出が良くないとか(たぶん
D/Aがちゃち)、カセットの周波数特性が悪いだとか、書けばいろいろあります。
しかし、それらをスピーカーへのおまけと考え、主に外部入力から入れた音を
聞くようにすれば問題ではありません。

さて、デモの話。
あのデモのことを考える上ではその背景に付いても若干知っておく必要があります。

この製品(AWM)、およびそのシリーズは日本ではBOSEの日本支社が扱うものでは
ありません。日本でのこれの販売は「BOSE感性工学リサーチ」と言う会社だけが
行っています。アメリカにおいても、このシリーズの一番初期のモデル(AW-1)こそ
一般に売られているものの、それ以降の商品(AW-10とAWM)は売られていません。
(ちなみに、AWMはAW-10の不評部分のうち簡単な部分を軒並み改良すると同時に
スピーカーを改良したもの、AW-1はAW-10のCDなしとなっているようです。)
すなわち、このシリーズは一般店舗には全く出ず、(ほぼ)全てデモ+直販によって
いるということです。しかも、もう数年続いています(うたい文句もほぼ同じで)。

ここで考えるべきは、
 1、BOSEが直接販売していない(一般市場に出していない)
 2、逆に、一般市場に出る前に少なくとも2回はモデルチェンジをしている
 3、開発にかなりのお金がかかっている
というところで、ここから以下のようなことが想像できます。
 1、このシリーズが狙う市場は一般家庭であるにもかかわらず、開発費を
        かけすぎたため普通の売り方では費用が回収できないので、
        最も利益が上げやすい直販だけにしている
 2、物を売ると言うことよりも、販売におけるデモの効果などについての
        心理調査が主である
        だから、専門の会社を作りやらせている。
        「感性工学リサーチ」と言う会社名からして、それっぽい感じがします。
 3、開発費と言いながら、実は心理研究費なのではないか?

ここであのデモを考えます。
非常に旨いものです。
単に口がうまいと言うことだけではなく、良い音を求めている人の感性を実に旨く
突いてきます。このやり方は決して一朝一夕に出来たものではないでしょう。
数年かけてこのシリーズを売りながら出来てきたものだと思います。
おそらくは、これこそがBOSEの最大の収穫なのでしょう。

私は常づねPowerPointによるプレゼンほど中身の無いものはない、
と思っていましたが、それを確証できた感じがしました。
人に聞いてもらうのに必要なのは見た目ではなく、人の注意を引く「コツ」なので
あるということを。
その「コツ」については学ぶべき点が多いにあります。
営業トークに使わなくても、人に自分の思いを使える手段として。

ただ、あれが物の売り方としては使われる場合は危ないやり方にもなりかねないと
言う気はしないではないです。
物を直接見せて、その良さを直に確認させて納得させて買わせる。
ある意味では悪くないと言うか、宣伝で躍らせて買わせるよりなんぼか良心的と
思いますが、もしデモ品と実際の商品に差があった場合や扱い方で効果が大きく変わる
物の場合は危険です。
Am某の方法もこれに近いところがあることからしても注意は必要です。

そこで、あれを聞いて考えるべきは、人間の「旨く言われるとついふらふらと行って
しまいやすい」という心理を考え、それに対抗する策を、日ごろから考えておくべき
だ、と言えるのではないでしょうか。
そういう意味でもあれを捉えれば、より意義深くなるかと。

・・・で、本当のところ、AWMを買って満足しているのかどうかと言えば、
音は良いけど、もう少し安く!!というところでしょうか。
場所を選ばず良い音!という割に結構場所を選びますし。
もっと他のスピーカーも見るべきだったかもしれません。反省。
        ・・・

ってなわけで、確かにあのデモのやり方は人それぞれ受け取り方が違って
見えるだろうなぁ、と思っていたらやはりそういう人がいたのであった。
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