「あぁ、それなのにMD」(1997/04/17〜05/12号)
先日のMDの話を書いてから、ふと思い立って据え置きのMDのデッキも
買ってしまったのである。
そう、例の消費税アップ前に何か1つ買っておこうと思って、
コンピューター用品とMDを考えたのだが、
より使うのはどちらかと考えたとき、MDであろう、
ということで買ったのである。

いつもならあちこち回るのだが、今回は最初に入ったところ、
上新の一番館で決めてしまった。後から考えると、これは大きな間違いであった
かもしれない。

        ・・・

買ったのはDMD−1500というDENONの中堅機種である。
定価は85000円だが、売値が60000円だったので買ったのである。
(実は、このDMD−15000は'95/12年発表の機種なので、古いのだ。)

DENONは、デジタルオーディオ機器では音が良いと定評であり、
事実、以前(だいぶ前だが)CDプレイヤーを買ったときにいろいろとき
聞き比べたときは、圧倒的にDENONが良かった。

この機種も音は良い。元の音源の音に忠実であり、いらない脚色はしない。
メリハリはないかもしれないので、若い人向けでないと言われるが、
私はこういう音の作りの方が好きである。
もちろん、低音から高音、大きな音はもちろん小さな音まで表現されている。

DENONという会社は(正確に言えば日本コロムビア)、
良いものを作るが売るのが下手である。音を聞けばいいのは解るが、
カタログスペックでその良さをアピールできていない。
自動車で言えばダイハツみたいなメーカーである(本当か?)。
(業務用がかなり売れているので、民生用は重視していないのかも知れない。)

この機種、音以外の部分、たとえば編集機能などでは他メーカーに大きく遅れている。
「あったら便利な機能はなくても良い」てな感じで、ごく普通、ポータブルでも
あるような機能(の改良位)しかない。
モノラル2倍時間録音が出来ないという点は、ポータブル以下かもしれない。
(コンポーネントステレオにはモノラル録音はいらん、というのも理解は出来るが。)
発表された時期を考えれば十分なのではあるが。

また、下位機種と上位機種の値段の差が「何」によるのかがわからないので、
上位機種を買わせることが出来ない、というのも欠点であろう。
特に日本人は見た目や機能で判断するから、こういうところの差は大きい。
次機種では直してくるだろうが。
(下位機種であるDMD−1300は、'96/10発表の機種なので、
1500の性能そのままに、値段を下げて競争力を出した機種かも知れない。)

とまあ、こういう―寸した欠点は、この際どうでもよい。
音がよく、ちゃんと聞けさえすれば。

        ・・・

ところがである。うちで使うには非常に大きな問題が発覚したのだ。

        「音が飛ぶ」

のである。飛ぶと言うより詰まると言うべきか。
一瞬音が詰まったり、ひどくなるとプチッという音が入ってしまう。
アナログ出力で聞いてもデジタルでも同じなので、元のMDからの読みとりに
失敗しているとしか思えない。

で、初期不良で新品交換してもらった。
物は新品交換してもらえるが、交通費はかかる。

それでもやっぱりだめなのである。むしろひどくなったくらい。
どうもこの機種の固有の問題らしい。

今までポータブルで録音したディスクの内、少なくとも3枚で、この現象が出る。
曲は同じだが、その曲の中で、どこで出るかは不定である。
聞くたびに変わる。一瞬飛ぶ時から、いったん飛び始めるとずっと連続して
飛ぶこともある。もちろん、今までのポータブル機種では出こういうことはない。

DMD−1500で録音した物はとりあえず問題ないのだが、
今まで録ったものを録音し直すのも大変だし、なにより、
他のマシンで録音したものが「まともに聞けない可能性がある」というのは
将来に不安を残す。音が良いだけにどうしようか悩んだが、
結局別メーカーに変更してもらうことにした。

再度お店へ持って行く。また電車賃がかかる。
今度は、店員にも現象をちゃんと耳で聞いてもらい、
他のメーカーへの変更を了解してもらった。

新しい機種を選ぶため、いろいろと聞いてみる。音飛びはどうか。
DENONの上位機種も大丈夫、実は下位機種も。
(短い時間しか聞いていないので、もっと長時間聞けば飛んだかも知れないが。)
SONYはポータブル、デッキともOK。
KENWOODはダメ。一発で飛んだ。
(私はどうもKENWOODとは相性が悪いようだ。いや、KENWOODが
私を納得させるものを作らないという方が正しいか。「最近のKENWOODはだめ」
という声は他でも聞くし。少なくとも、ここ5年は駄目だ。)
そのほか、各種コンポーネントステレオも大丈夫。
ということは、やはりポータブル側の問題でもなさそうだ。

さら音質面でいろいろと聞き比べ、結局総合的でいちばん優れていて、
かつ値段も大差ないSONYのMDS−JE700というものに変更した。
こちらの方が安いので、返金もしてもらった。

しかし、最初に買ったとき+2000円くらいかかってしまったのである。
もちろんその補償はない。日本橋で買うというのも、買値は安くなるが
こうなると考え物である。
いろいろな経験は出来たが。

        ・・・余談・・・

それにしても、レコードからのMDへの録音をしているとMDのディスクが足りない。
まだ10枚以上いるぞ。

それにしても、MD機器や板に付いている「私的録音補償金」ってなんだ?
いったいいくら取られてるんだか気になる。

CDやレコードからの録音で取られるんならわからんでもないが、
生録とか自分で作った曲を録音するにも必要なのか?

一度「協会」とやらに電話してみようか。

        ・・・

結論から言えば、MDには相性というものがあるようだ。
精密な録音機器だけに細かい違いで問題が出るのだろう。
(音が飛ぶ曲を取り直してもやっぱり飛ぶので、メディアの問題もあるかも知れない
が、それならすべての機種で飛ぶはずだし。読み取りエラー発生時の処理の違いかも
知れない。DENONやKENWOODは破綻して音が飛ぶが、SONYは前後から
適当に補間してごまかすとか。)

全て同じのように思えるカセットでさえ、実はメーカーによってテープのスピードが
若干異なり、曲の速さ(音程)が変わったりするのだ。
(カセットテープのスピードは、正確には4.76cm/secであるが、これがメーカーに
よって4.75だったり、4.8だったりする。でも公称はどれも4.8cm/secである。
SONYは4.8で、Victorは4.75のような感じである。A&Dは4.76か?)

さらにMDでは、カタログによると同じ圧縮方法ATRAC(前にやったやつ)でも
20ビットやら16ビットやら、新ATRACやらいろいろ書いてある。
実は、同じく音が飛んだKENWOODも20ビット録音再生だとか、
新ATRACだとか書いて有る。DENONも20ビット再生である。
このあたりの細かい違いが、機種毎の互換性に問題を出しているように思える。
困ったことである。

ここで一言言っておくと、DMD−1500が全く悪いと言うことではない。
音質面では十分納得いく(現音に忠実であり、音が太い)ものであり、
これからMDを買い始める人には勧めてもいい。しかし、機能が今一とか、
音が出る瞬間にヘッドフォンで聞かなければわからないレベルの小さな音だがだが、
ノイズが出るという問題はある。(結局悪いのかも知れない・・・^^;)

一方のMDS−JE700は、さすがMDの開発メーカー、SONYの最新機種
('96/12発表)だけあって、機能的にも豊富だし、音質も比較的良い。
ノイズもほとんど聞こえない。
若干、音に色が付く嫌いがあるが、許せる範囲であろう。
(同じSONYでもポータブルは色が付きすぎる。)
付属の接続ケーブルに金メッキものを付けているのは初めて見た。
さらに値段も安く(定価69000円)、今一番売れているのも納得できる。

あっ、1つだけ気になったこと。説明書の紙が妙に薄い。
そのためペラペラでめくりにくい。コストダウンの影響かもしれないが、
ちょっと難である。
リモコンでの操作が、多機能な分ちょっと難しいとかもあるが、
まあこれは慣れであろう。(DENONのは簡単。)

後気になるのは、SONYの耐久性であろうか。DENONなど他メーカーは
買ってから5年以上ほとんど問題ないが、前もっていたSONYの機器は、
5年以内にチューナー以外みんなどこか壊れた。このMDはどうか・・・。
(これを書いている真っ最中にもレコードプレイヤーが壊れた。
SONYの製品には時限破壊回路が付いているという噂は真実のように思える。)
この不安さえなければ、「今何を勧めるか」と言われれば、この機種にするのだが。

        よく壊れますね。
                「It's a SONY」

        ・・・

しかし、転んでもただでは起きないのが私である。
いろいろな機種を聞き比べて、デジタルオーディオ機器を買う上での
1つの重要なポイントを見つけだした。

今回いろいろな機種を聞き比べて解ったのが、デジタルオーディオの音質は、
A/D(エーディー)コンバーターよりD/A(ディーエー)コンバーターの方が重要である、
ということである。音の善し悪しは主にD/Aコンバーターに左右される、
ということだ。

話を進める前にこの「何とかコンバーター」について書いておかねばなるまい。
コンバーターというのは変換機のことである。これは英語の辞書でもひけば
わかるだろう。では「A/D」「D/A」とは何か。

「A」はアナログ、「D」はデジタルである。だから、A/Dコンバーターとは
アナログ音声をデジタルデータに変換する物であり、D/Aコンバーターは
その逆で、デジタルデータをアナログ音声に変換する物である。
MDはデジタル録音機器だから、アナログの音声は、一旦デジタルに直さなければ
記録出来ない。この時使うのがA/Dコンバーターであり、人間の耳はデジタル
データは音として聞こえないので、これをアナログの音声に直す必要がある。
ここで使うのがD/Aコンバーターである。

CDは再生のみ、デジタルで記録されたデータをアナログ音声に直すだけなので、
D/Aコンバーターしかない。MDは録音があるのでA/Dコンバーターも積んでいる。
(もちろん、再生専用機は別。)

で、いろいろ聞いてみてわかったのだが、高級機と普及機の音の違いは、
主にD/Aコンバーターの差である。

        ・・・

なぜかというと、ポータブル(普及機)で録音したものをデッキ(高級機)で
再生すると、それだけで音が良くなるからだ。もし、A/Dコンバーターの差=
録音側の問題ならば、ポータブルで聞いていた時以上の音質にはならないはずである。
にもかかわらず、大きく変わるということは、やはり、聴感上の音の善し悪しは
D/Aコンバーターによるところが大きい、ということだ。

そういうふうに見ると、たしかにカタログでもD/Aコンバーターの性能についての
記述が大きい。A/Dは付けたし程度だ。したがって、この推論は間違っていない
だろう。機種毎の値段の違いは、D/Aコンバーターの性能の違いということだ。

もちろん、高級機で録音したものを高級機で聞くとさらに音が良くなる。
特に細かい音(高音の小さな音)のくっきりさが違う。だから、A/Dコンバーターも
重要である。しかし、中域はさほど変わらないので、聴感上ではD/Aの性能差ほどは
はっきりしない。これは、A/Dコンバーターは安い物と高いものとの性能差が
はっきりさせにくいということであろう。(安くてもそこそこ良いものが出来る、
ということ。)

録音したものの音質でいえば、DMD−1500は良い、といえる。
特にMDS−JE700で聞いてみてよくわかった。
JE700は悪く言えば、ありきたりの音しか録音できない。再生系では互角でも、
録音系の差は歴然かも知れない。ちょっと惜しいことをした気がする。
D/Aの性能が同じ位なら、後の差は録音側=A/Dコンバーター側となる。

(楽器で鳴らした音をポータブルとデッキ双方で録音すると、両方とも音は落ちる。
やはりオリジナルの楽器の音にはかなわない。録音とはそういうものだ。)

デッキとポータブルやMDラジカセ(変な言い方だけど)との差は、D/Aの差である
といっても良いだろう。コンピューターに付いているCDなんて、まったく駄目だぞ。
あれは単に音が聞けるだけ。あんなもんで満足してはいけない。

これからCDやMDを買う時には、その当たりのことに注目するといいであろう。
もちろん、カタログスペックには騙されずに、ちゃんと耳で聞いて決める必要がある。

        ・・・
さて、話はさらに飛ぶ。前回説明が不十分だった「サンプリングレートと音の
周波数の関係」やMDの音の圧縮方法である「ATRACの基本」について
もう少し書いておこう。

サンプリングレートというのは、簡単に言えば、音を1秒間に何回に区切って取り込む
か、ということである。MDやCDでは44.1KHzであり、これは、一般的人間の
可聴領域20〜20000Hzを記録するために決められたものである。なぜなら、
音の周波数的記録は、サンプリングレートの半分の周波数まで記録出来るからである。

44.1KHz=44100Hzのサンプリングなら、理論的には0〜22050Hz
まで記録出来るはずである。(なぜ、40KHzでないかは不明だが、おそらく、
そういう基準発振をするものがなかったのだろう。)

ほら、ここでわからなくなってきた。なぜ半分なのか、なぜサンプリングレート以上
の周波数は記録出来ないのか。

半分である理由は、音が基本的にはサイン波であるからである。
高校の数学を思い出すとわかるし、どこかで見たことがあろう。
蛇のようにうねった波形「〜」だ。この波形、実は山が上=+側から下=−側へと
移動する。「0〜+〜0〜−〜0」という動きだが、これで1つの音を形成する。
サンプリングレートと言うものは、この内の0〜+〜0だけ、または0〜−〜0だけを
基準に決められているので、1つの音=両方を記録するには2倍必要=半分の周波数
までしか記録出来ないのである。

では今度は、なぜサンプリングレート以上の音は記録出来ないのか。
これは良く考えると簡単なのだ。

サンプリングレートは言い替えれば、1秒間に何回に区切るかということだ。
一方の音は、1秒間に何回の山があるかが音の高さになる。低い音は山が少ないし、
高い音は山が多い。一般の人間の耳は、1秒間に20回以下の山しかない音は
聞けないし、2万回以上山のある音も聞けないのである。もちろん人によって若干
違いはある。猫や犬などでは20KHz以上の、いわゆる超音波も聞こえる。

サンプリングレート以上の周波数の音が入ってきたらどうなるのか。
これは、サンプリングし終わる前に音の波が終わってしまうのだ。
音は、周波数が高いほど波の変化が速いのだ。あまりに速すぎて、サンプリングが
間に合わない、これが、サンプリングレート以上の音が記録出来ない理由である。

音の波の変加速度、実際に伝わる速度も低音より高音の方が速い。高級スピーカーで、
低音スピーカーの方が前で出っ張っているのはこの速度差を補うためである。
しかし、高音の方が何倍も速いわけではない。1つの波で伝わることの出来る距離が
違うからだ。高音は変化は速いが距離を伝わるにはたくさん振動しなければ
ならないし、低音は少ない振動でいい。しかし、振動が多いほど伝播が速いので、
高音ほど速くなる。

高音は、長い距離を伝わるのに空気などをたくさん振動させなければならない。
ということは、それだけエネルギーを消費するということで、あまり遠くまで
届かない。低音ほど遠くまで届くという理由がこれだ。花火を思う浮かべれば良い。
ドーンという音は遠くでも聞こえるが、パラパラという音は近くでしか聞こえない。
まあ、元の音量の違いもあるが。

CDやMDでは、この1サンプリング毎に16ビット、65536段階で音量の
変化を記録している。これを20ビットとかにすれば音の微妙な変化が現しやすく
なる。その方法に付いては前回書いたので省略。

        ・・・

次に、MDの音の圧縮方法である「ATRAC」である。
これは、人間の聴覚上の特性、大きな音に隠れた小さな音は聞こえない、
中域が一番聞こえ、低音、高音は聞こえにくい、というを活かした圧縮方法である。
でも、これだけではなぜ圧縮出来るかわからない。そこで、考えたのである。
ここから先は、私の独自の解析によるものなので、間違っているかも知れない。
あらかじめ断っておく。(これを読んで、他人に自慢気に話をしてはいけない、
ということ。)

ATRACの基本的音の圧縮原理はADPCMであり、これは、前回の音との差分だけ
を記録する方法である。ということは、毎回の差が小さいほど少ないデータ量でいい
ということになる。

大きな音に隠れた小さな音というのは、波の形で考えると、「〜」の波の上に現れた
小さな突起である。わかりやすく直線上に現してみると、

        ---^---  → -------

左のような小さな突起が「大きな音に隠れた小さな音」である。これを無視して
右のようになくしてしまう。こうすると、変化が少なくなり=差がなくなり圧縮し
やすくなる。

低音高音が聞こえにくいによる圧縮は、入ってきた音を低音/高音、中域に分割し、
それぞれ違ったビット数で記録する。中域は16ビットで、低音/高音はもっと少ない
ビットで記録するのだ。
もしくは、聞こえにくい領域は、上記の大きな音と小さな音の差をもっと小さくして
しまう。聞こえにくい領域は音の変化も感じにくいので、もっと大胆に圧縮して
しまうということだ。たぶん後者だとは思うが、両方かも知れない。

まあ何にしても、こういう方法で音の波の変化を少なくして、同じ長さの音楽を
CDに比べ1/5のデータ量で記録することに成功したのである。
このお蔭で、MDはあんなに小さくなるのだから、若干の音の変化はやむをえない
ということであろうか。もっといい音が欲しい人はDATなりオープンリールなりを
買えばいいのだし。MDに必要以上の音質を求めても無駄である。
(が、すでに次世代のMDの規格は決まったようではあるので、
近いうちに高音質MDも出てくるだろうが。あれ、長時間録音だったかな?)

で、先に言ったMDの互換性の問題というのは、この圧縮方法がメーカーよって
若干違うのではないか?ということである。
規格上は若干の余裕をもって作ってあるようだが、実際のところはどうなのだろうか。
(昔、MDが出たてのころはやはり問題があったらしい。)

        ・・・余談・・・

MDの利便性で1つ言い忘れていたことがあった。
それは「裏返す必要がない」「巻き戻す必要がない」ということである。

思えば、カセットもレコードも裏返す必要がある。
まあ、カセットにはオートリバースというものもあるし、
昔は両面自動再生のレコードプレイヤーもあった。
しかし、MDほど高速性はない。

なにせ、自分がオートリバースデッキをもっていないだけに、
余計にMDの裏返さなくてもいい、ということはうれしいことなのだ。

巻き戻しに関してはいうまでもない。
要するに「録音出来るCDのようなもの」というものを待っていたわけである。

        ・・・

最後に、今回MDデッキを買った上新一番館についても書いておかねばなるまい。

なぜここに行ったかというと、実はここは日本橋でも有数のいろんなものを
置いているからである。

たまにモデル落ちの機種の安売りがあったりするし(うちのカセットデッキも
ここで買ったような気がする)、一度は覗く価値がある。
ただし、店員が若干一部メーカーに片寄った売り方をする場合があるようなので、
自分の意志と耳にかけて決めるように。対応は悪くないが。

単体はもちろん、パーツに至るまで本当にたくさんある。
私も今回ノイズフィルター付きテーブルタップや接点復活剤、ピンプラグカバー、
そうそう、ヘッドフォンもここで買い直した。

高級オーディオの試聴室もある。実は、今回MDを持ち込んでこの試聴室で
聞いたのだが、あまりにいい音なので驚いた。いや、アンプやスピーカーが
いい音を出しすぎるので、私ももっていったソースがあまりに陳腐に聞こえた位だ。
うちのステレオで聞く分には十分良い音に聞こえるのだが、やはりまだまだだった
のである。人間、たまには本物に触れておく必要がある。
今の家ではこれ以上のものは置けないが、将来は何とかしたい、
やはり、お金かけるならコンピューターよりオーディオだ、そう思わせてくれる。
(そう言えば昔、親戚の家の引っ越しで、TANOYという高級スピーカーを
運んで死にかけたことがあった。なんせ1台100キロもあるのだ。
大人3人がかりで持っても階段を登る時にバランスを崩したら、真剣あぶない。)

ヘッドフォンは、ここではすべて音を聞いて比べることが出来る。
これはとても良い。今度は、慎重に自分の耳で聞いて選んだ。
やはり値段の安い物は軒並み駄目である。前回買って失敗したのは定価5500円
位だから、やはりだめなのである。
高くても良いと言うわけではない。ある程度以上の値段になると音は合格点だが、
後は好みの問題になる。結局、オーディオテクニカの定価1万円のものにした。
このオーディオテクニカというメーカーは、一般にはあまり知られていないが、
良いものを作る。(そう言えば、昔使ってたヘッドフォンはVictorの
¥8000定価のものだったような気がする。)

そうそう、接点復活剤と言うのは、ケーブルを接続するピンプラグの汚れや錆をとり、
電気伝導性をあげて音を良くするというものであるが、はっきり言って上新では
買わない方が良い。ここに置いてあるのはオーディオ用の高級品過ぎて高いのだ。
この上新の近くにデジットというジャンクパーツ屋があるのだが、ここに電子部品用の
接点復活剤が安価に売れている。これで十分なはずだ。ここで一番良いものを買っても
上新の1/2の値段で買える。内容量も考えれば1/6位にもなろう。
ここのお店、最近綺麗になったので、初めての人でも入るに気がひけることはない
と思う。(私は、上新で買ってから、ふらっとここに入って大ショックであった。
だって1000円以上違うんだぞ。)

他ではシマムセンが安くて品が多い。陸橋より少し南側の左手の筋、高級オーディオの
河口無線というお店の隣にある。ここは値切れば安くなるのでお勧めだ。
(接点復活剤も、上新よりかは安い。)
他では柳屋などもあるが、ちょいと高い。昔は大洋商会の別館でたくさん扱っていたが
なくなってしまった(大洋商会自体は残っている)。残念だ。
サウンドパル共電社も品は多い。ここは交渉しなければ安くならないが。
今の日本橋では、まともに(普及機の)オーディオを買える店は数えるほどしかない。
(シマムセンはレコードプレイヤーを買う時に歩いていて偶然見つけた。今まで
知らなかったのが非常に残念なほどの品揃えと値段である。 店員の対応も良いぞ。
このレコードの話は後日また。)

        ・・・

いくつか書きそびれたことを。

SONYとDENONの音の差の原因をもう1つ言っておこう。
SONYはパーツは良い物を使っているが、組立が甘い。空中配線が飛びまくって
おり、折角のパーツ毎のノイズ対策も水の泡である。
DENONはパーツも良いが、それよりも組立が良い。配線がまとまっている。
内部を見る機会は滅多にないが、見ると、なるほどと思うことがある。
最近はカタログに内部の写真を乗せているものも多いので、一度見比べてみると
いいだろう。

SONYの機種は、編集という面では他メーカーのものを大きく引き離して
すばらしい(2番目はKENWOOD)。ディスクの名前を入れるために別売りのキーボードまである。
(TEACの機種にもある。ただ、TEACはデザインがなぁ・・・。)
これについては今回手に入れることが出来なかったので、
後日手に入れてからのレポートとなろう。
なんか、曲名入れるのが癖になりそう。

DENONのポーターブルでは、STOPで止めたら、次回はそこから演奏が
再開された。デッキではDENONもSONYもいったん止めたら最初からの
演奏になってしまう。これはCDと同じだが、MDをカセット感覚で扱うとすれば、
ポータブルの方が理にかなった動きである。

CDからの録音のシンクロ機能は、DMD−1500にはないが、SONYにはある。
SONYのシンクロの偉いところは、CDだけでなく、アナログ音声でもシンクロが
効くところである。無音部分から有音部分への変化をとらえてシンクロするのである。
しかし、音声によるシンクロなので、スタートが若干遅れるとか、曲の始めが前の曲の
後ろと認識されることがあるとか、ノイズまで拾って動いてしまうことがあるなどの
問題もある(特にレコードからの録音ではこれが問題になる)。
このため、録音した順番のままで聞けばよいが、編集で曲の順番を入れ換えると、
正常に演奏されないことがある。

DENONポータブルではCDシンクロだけだが、デジタルデータの変化を
とらえるため、絶対に曲番の付け間違いがない。しかも、どのメーカーのCDとでも
シンクロ可能である(たぶん)。この点が偉い。SONYはSONY製の
CDとのみ、このデジタルデータレベルのシンクロが可能なようである。

MDS−JE700に出来てDMD−1500に出来ないことは、
        モノラル2倍時間録音
        録音日時記録
        編集取消
        名前のみ消去
        指定区間直接消去
などがある。他にも細かいことはある。私のようにそそっかしい人には編集取消
(UNDO)は重宝する(すでに何度か助けられた)。
モノラル2倍はAM放送エアチェックする人には重宝するだろう。
逆にDMD−1500だけに出来ることは1つもない。
DENONポータブルにできてMDS−JE700に出来ないことは、
先のCDシンクロと、STOP時のそこから再生だけである。

        ・・・

MDは高度なデジタル技術によって構成されているため、何かの弾み(静電気や
電源からのノイズ)で、中のコンピューターが異常動作を起こすことがある。
先日うちで起こった現象は、録音が終わってSTOPまたは一時停止を押すと
曲始めの6秒を除いて消えてしまう、という現象であった。これにはまいった。
録音中はちゃんとカウンターが進んでいるのだが、何度録音しても止めると駄目
なのだ。POWERスイッチで電源を切っても駄目である。「また壊れたか?」と
思ったが、念のためコンセントも抜いてみると直った。POWERスイッチは内部の
電気を完全には消さないので(スタンバイ状態)だめだったのだ。
このように、何か異常が起こった時には、コンセントまで抜いて、やり直すと
直ることがある(くれぐれも編集途中などに抜かないように。編集結果が全部
消えるから)。ちなみに、コンセントを抜いても(短時間なら)内蔵の時計は
リセットされない。

MDは、家の中だけでの記録メディアとしても有望であるが、
やはりポータブルとの連携によって、その能力が最大に発揮できると思う。
家でデッキで録音、外でポータブルで聞く。
考えてみればカセットでも同じだが、編集能力の差は歴然だし、
MDはこれからきっと、再生のみポータブルはもっと小さく、
カセット以下になるだろうから、有望である。

        ・・・

それにしても、今回の買い物は値段以上に高くついたのであった。

オーディオものを選ぶときは自分の耳で聞いて選ばなければならないし、
1軒で決めるべきではない。
家にある物の買い換えや買い足しの時には、そのメディアとの互換性も考慮するため、
家にあるメディアも持って行った方が良い。

ヘッドフォン(たぶんスピーカーも)を買う時は、「安もんは所詮安もん」
ということも考えておくべきだろう。

日本橋は奥が深い。
いろいろと歩いて情報を仕入れておくべきである。

・・・それにしても、MDネタだけで、こんなに書けるとは。
それだけでもMDを手に入れたかいはあるというものか。
やはり、新しいメディアはおもしろい。
(コンピューター関係のものは嫌いだけど。)
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