「風の伝説 Xanadu」(2004/10/25号)
{ゲーム紹介}
「風の伝説 Xanadu」(ザナドゥ)
(FALCOM SPECIAL BOX2004の一部)
日本ファルコム
¥7980(送料、税別)
元々はNECのゲーム機、1993年のPC−Engine(以後PCE)の作品
であるが、Windows上のエミューレーション環境上で復活した。
これ単体での発売ではなく、スペシャルボックスという、Ys6の音楽CDやデータ集、
この作品の音楽CDを含めたパッケージである。
(悪く言えば抱き合わせ商品。実はこれを書いてから発表までにだいぶ時間が
立っているので、今もこれが買えるかどうかは不明。)
そもそもXanaduというタイトルは同社の昔からあるもので、
初代(この当時の名前はドラゴンスレイヤー)はタモリ似のキャラクターが
出てきたりしたおちゃらけ路線であったが、その次(ここからXanadu)からは
結構正統派のARPGとなった。
当時、そのXanaduはSHARPのX1上のCP/Mで作成されたと言うことで話題にもなった。
もちろん私もXanaduおよび続編のシナリオ2もX1Turboで遊んだ
(で、視力を落とした)。
この「風の伝説 Xanadu」はそのXanaduシリーズの最後−1の作品である。
(シリーズ第8作目。)
Xanaduシリーズの特徴である、武器や防具に修練度があるとか
最後の敵はドラゴンである、等の伝統は守られている。
ゲームのシステムとしてはARPG(アクティブロールプレイングゲーム)であり、
Ysに近い。持てる荷物数に上限があったり、時間の概念があったりするが、
それが(あまり)うざったくはなってない。
同じく、当時のARPGの雄であったT&Eソフトのハイドライド3の
制約はかなりうっとおしかったが。
ゲーム中1人で行動するのではなく、途中複数人数になることもある(最大+5人)。
複数で行動している時は仲間が勝手に戦ってお金も拾ってくれるので楽ちん。
ゲーム中でのゲームオーバーは基本的にない。
やられても教会で復活可能だからである(お金も減らない)。
経験値上げというかお金稼ぎは途中で何回か必要になるが、
おそらく最終章に至る時には自然と最大になるであろう。
このように、システム的に不出来と思われる点はほとんどない。
ゲームは全12章からなり、前半が平面(フィールド)行動、
後半が横スクロールでボス戦となる。
章の間にはデモが入る。ここは音声付き。
いったん次の章に行くと前の章には戻れない。
序章 逃亡・さいはての島
第1章 再会・そしてめぐり逢い
第2章 勝利・しかしその時…
第3章 異変・黒い光
第4章 伝説・湖の邪神
第5章 悪夢・幻惑の洞窟
第6章 聖地・パルティア神殿
第7章 聖剣・ドラゴンスレイヤー
第8章 鼓動・氷雪を越えて
第9章 幻想・砂漠を渡る鳥
第10章 運命・勇者の条件
終章 死闘・邪神ダルダンティス
章に分かれていると言い、それぞれにこのような名前が付いているが、
そのことは取説にも書いてないし、ゲーム中でもその名は出てこない。
スペシャルボックスに入っていたYs6&風のザナドゥデモDVDには
その名前があるが、もともとはおそらく攻略本にでも載っていたのであろう。
で、肝心の物語である。
物語はよい。基本的には一本道物語であるが、
それはYsとて同じなので、そのこと自体は問題ではない。
しかし最大の問題は、このゲームでは徹底したフラグ立てが必要であり、
面倒な作業をひたすら行う羽目になるということである。
全然話が進まないので序章からいきなりめげそうになる。
全ての人と2回以上話すとかは当たり前のごとくやらされる。
あまりに面倒くさいので物語を楽しむ前に疲れてしまう。
「まだこんなことするのか?」と思うことが一体何回あるか。
Ysの気軽さとは正反対。
最終章以外はマッピングもやらなくても解けはするが、やった方が楽。
最終章に至っては31Fからなり、マップが添付されている。
マップを細かく見ていけば解ける謎ではあるが、かなり面倒。
また、ボス戦の前はフィールド戦闘から横スクロール戦闘に変わるが、
ここが非常につらい。
基本的にはダメージ無視で回復薬であるプロテア頼みで突き進むのであるが、
それも第8章では通用しなくなる。
(一撃によるダメージが大きくなるから。なぜか第10章は大丈夫。)
エリクサーという全復活薬頼みで力業解決も可能だが、
それもなくなるとほぼクリアは不可能。
PCE版はどうか解らないが、Windows版では基本的にキーでの操作なので
細かい動きは難しい+どきどき動きが詰まるので余計。
章の間にはデモがあると書いたが、これはアニメーションでもなくムービーでもない。
いわば口パク・目パチの音声付き紙芝居。
しかも口パクが台詞と同期してないし
音声のサンプリングレートが非常に低いので聞きづらい。
先に書いたYs6&風のザナドゥデモDVD内の映像はひたすらこの調子なので
見ても今ひとつどころか今3である。
内容は良いんだけど、映像としては。
最後と思っていたボス戦の後にもう少しある。まあ予想外の結末と言えるのだろう。
おすすめ度 75%
とにかく、物語は良いがやる作業がひたすら面倒なのが大難点。
物語分のプラスを面倒さが全て帳消しにしてしまう位。
結局終えるまでに3ヶ月もかかってしまった。
間やってないこともあったけど(あまりに面倒で途中で投げていた期間がある)。
もう一度やれと言われたら、たぶん断る。
そんな感じ。
書くのを忘れてたが、音楽はPSGだけど、当時を思えば良くできている。
スペシャルボックスには3枚組のCDでサントラが入っている。
全てを終えた後に聞くと話が思い出されて良い。
ヒント
・剣のレベルが高くないと敵にダメージを与えられないので、
章を超えた時にまず買うのは剣(当然、前の章ではある程度のお金を貯めておく)。
・アワーグラスは買う必要なし(使わないという意味ではない)
・最終章以外でエリクサーを使って良いのは8章のボス(2個くらい)だけと
思った方が良い(最終章は買えるのでかまわない)。
・最終章の各階の扉やトラップの鍵は基本的にその階の中にある
ただし、20数階のトラップに関しては上下階とのつながりがあるところもある。
・最終章の特別な宝の在処
・1階〜レジェンドシールド(必須)
・7階〜宝箱の精(罠の宝箱をあけなくなる)
・11階〜ジェムイーター(ある宝を取るのに必要)
・15階(20階の外壁から落ちる)〜バトルスーツ(必須)
・13階(12階の外壁から登る)〜セーフティブーツ(トゲトゲが無効になる)
・18階(上の方の階から落ちてくる)〜呼び寄せの鈴(お金稼ぎが楽になる)
↓ここにいろいろと情報がある。見ないでクリアした方が良いけど、
見てクリアしても手間はほとんど変わらない。
http://f21.aaacafe.ne.jp/~adol/kaze/kz1guide.htm
1周目が終わり、エンディングのスタッフロールが終わった後にENTERを
押すと2周目が始まる。2周目は出発地点の右下に看板があって、
そこから各章のボス戦にいきなり飛べる。
おまけモードである。
・・・ゲームと言えば・・・
ここで、PCEを含めたゲーム機の変遷を少し見てみよう。
世代 1 2 3 4 5
任天堂 ファミコン スーパーファミコン 64 GameCube ?
SONY −−− −−− PlayStation PlayStation2 PS3
SEGA MarkIII メガドライブ Saturn DreamCast −−−
NEC −−− PC-Engine PC-FX −−− −−−
MS −−− −−− −−− X−BOX X-BOX2
キーワード
第1世代 8ビット スプライト
第2世代 16ビット 拡大縮小、回転
第3世代 32ビット 3D(ポリゴン、テクスチャマッピング) CD−ROM
第4世代 64ビット リアルタイム3D DVD
第5世代 ? 通信(分散処理)?
PCEは第2世代に出たNEC(正確にはNECホームエンターテイメント)の
ゲーム機である。当時はスーパーファミコン全盛の時代であるが、
後発ではあったがPCEはそこそこ売れたと思う。
携帯機もあり、PCEと同じソフトがそのまま使えたのは画期的であった。
(が、液晶が見にくくそれでゲームを長時間するのは困難であったが。)
各世代の後期には次世代の要素の一部が織り込まれた派生機種が出ることもある。
PCEの後期にはCD−ROM標準搭載の機種が出て結構人気を博した。
これはCD−ROM2(ロムロム)と呼ばれた。風の伝説Xanaduは
それ用のCD−ROMソフトである。
が、NECはその次世代(PC−FX)において全く見当違いのことをして
自滅した。ゲーム機をPCの周辺機器として使えるように画策したが、
ゲーム機はゲーム機、PCはPC、その両方をつなぐ必要などなかったのだ。
(他、3D能力が弱かったというのもある。この時代に2Dアニメーション機能を
重視してもだめだったのだ。)
このコンシューマー向けゲーム機の変遷とは別に、
PCによるゲームもあった。が、PC上のゲームは常にマニアのやるもの、
という現実がある。設定が面倒だからだ。
(Hゲームだけはちょっと特殊。コンシューマー機では一般にHゲームを
禁止しているので、自然PCゲームとしてしか出てこない。
かつてPC98をHゲーム専用機として買う人が居たのも事実である。)
結局、PCは何でも出来るが、実は簡単には何も出来ない物だと解る。
万能なりうる物はかえって何も出来ない物なのである。
用途が広すぎる物を使いこなせるのは極一部の人だけだ。
汎用の物を他用途にするのは中途半端または設定が難しい。
結局、専用機の方が使い勝手が良くなるし堅牢になる。
PCとはまさに二兎を追うもの1兎をも得ずである。