「チタン トリプルパン」(2001/10/12号)
{商品紹介}

        「チタン トリプルパン(27cm)」
        
        ホリエ(日本製)

        定価    ¥10000(税別)
        買値    ¥10500(税+送料込み)

とにかく軽い鍋を捜していた。家内が「鉄鍋は重くて使えない」と言うからである。

うちには大きな鉄の中華鍋があり、本格的で結構良い物なのだが、
いかんせん重たい。

うちでは健康のためアルミ鍋は全廃し、鉄鍋は鉄分が出て
良いと言うことも聞いたので鉄鍋を買ったのである。
しかし、鉄鍋は重い上に取り扱いが結構面倒なので余り使われなくなっていた。
(最初に空焼きして油なまししないといけないとか、水分はすぐ拭き取るとか。)
で、これに代わる鍋を探していたのである。

インターネットでいろいろと調べていると、
金属のチタンで出来た鍋が軽いという情報を得た。
そこで紹介していたのがこのメーカーで、そこにあったがこの鍋である。
(代名詞のオンパレードでんな。国語の問題みたい。)

チタンは腕時計やゴルフクラブに使われるように軽く堅い。
アルミも薄くすれば軽くなるが、柔らかいのである程度の肉厚を付けると重くなる。
チタンは堅いため、肉厚を薄く出来る。
この鍋も、この大きさにもかかわらずたった330gしかない。
片手でも軽々である(ちなみに、鉄鍋は1.5Kgを越える)。
取っ手部分は桐になっていて持ちやすい。
また堅いので、少々ぶつけても大丈夫である。

チタンはかなり安定した金属なのでイオン化しにくい=溶け出しにくい。
高温でも、塩分を多く含んだ食品など一般には腐食性が高い
環境にある・物に接してもである。
と言うことは食品の味を変えず、健康への影響もないと言うことである。
調理した物をそのまま鍋に入れておいても問題無い。
(そうそう、イオン化しないので、洗いに塩素系漂白材も使える。
また通常の鍋は、出来た物は直ぐに出さないと鍋が痛む。)

この鍋ではこの特徴を十分に活かすため、最近の鍋に多い焦げ付き防止加工
(テフロン加工など)のコーティングもない。
テフロンは人体に無害と言われてはいるが、高温になると溶け出す。
無害であっても蓄積すれば影響は解らない。無くても良いなら無い方が良い。

この鍋では焦げ付き防止加工はしていないが、表面は酸化膜で覆われている。
TiO2=酸化チタンの膜である。
この膜、実は最近一部でその有効性が注目されているのだが、
実は「光酸化作用」と言う現象を起こし、これが(一部の)汚れを落とし、
雑菌の繁殖を抑える(最近のトイレや車の塗装にも使われている技術)。
また、水を入れておくと酸化反応によりカルキが抜けるのか
水中の雑菌が減るのか解らないが、水がおいしくなると言う。
飲んでみても良くは解らなかったが(うちは浄水器使っているから?)、
確かに水を入れて光にあててしばらくすると泡が出てくる。

チタンは熱伝導率が良い。
これは、およそ鍋で使われる金属の中で一番熱伝導率が良い(銅より)。
そのため、調理時間を短く出来ると言う。
と言うことは、ガス代も節約出来、また早く調理出来るので
素材の味や栄養も壊しにくいらしい。

・・・と、ここまでは良いことばかりを書いたが、実際に使ってみての
欠点もちゃんと書いておこう。

まず、一番の欠点は焦げ付きやすいことである。
これは、表面に焦げ付き防止加工がないことに加え、
熱伝導率が良すぎるためすぐに温度が上がってしまうためである。
少なくとも、普通の鉄やアルミの鍋と同じ温度上昇を予想して
時間を取っていたら駄目。本当にすぐに熱くなる。

ガスの炎が直接当たっている部分は特に熱くなるので、
ここがすぐ焦げ付いてしまう。
しかも、一端焦げ付いたらなかなか綺麗には取れない。
表面の酸化膜がはげるので洗いに金属たわしは使うな、と書いてあるのだが、
使わないととれない。また、水を入れて沸騰させれば取れるとも書いてあるが、
やってみても綺麗にはとれない。
(酸化膜は自己修復されるはずであるが。)

結局、慣れるまでは(慣れても?)焦げ付きにくい食材に限って使うしかない。
野菜炒めやてんぷら(この鍋は深いのでてんぷらも可能)等である。
間違っても、卵焼きや焼きそばなどはしてはいけない。
油のでない肉を焼くのも御法度である。

ふだんより多めの油をひくと焦げ付きにくくなるが、
これでは健康をめざす目的と反してしまう。
困ったもんである。

この鍋のシリーズにはフライパンもあるが、これから考えると、
非常に使いにくいのではないかと考える。

ただし、焦げ付かない物の調理には非常に重宝する。
そんな物があるのか?
汁の多い煮物である。
もっと簡単な物ではお湯を沸かすのに良い。
沸きが非常に早い。
そういう意味では、パンではなく鍋ややかんがいいのではと思う。

また、チタンは熱伝導率は高いが、逆に放熱も早いので、
余熱で調理という使い方は全く出来ない。
温度を上げずに調理したい場合は、ガスを旨く小さく調節して長くかけるしかない。
そうすると、かえってガス代がかかる場合もあるのではないかと思ったりする。
この点では、カタログに偽り有りである(熱効率が良いのでガス代が節約出来ると
書いてある)。

結局、良い鍋だとは思うが使う側にかなりの慣れを必要とするのが
最大の欠点といえよう。
軽さだけなら一番なのだが。

        お勧め度        65%

生産しているホリエという会社は新潟県燕市にある。
うちの田舎に近いので、機会があれば行ってみるかな。
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