「PROTREK PRG-50J-1JR」(2005/11/28〜12/05号)
{商品紹介}

        「PROTREK PRG-50J-1JR」
        CASIO
        定価    29400円(税込み)
        売価    20500円(税、送料込み)

カシオの多機能腕時計である。

実のところ、私は腕時計を持っていなかった。
正確には持ってはいるが電池が切れたままの状態であり、使ってない。
もうここ3年ほどそういう状態だ。

では時間はどうやって知っているのかと言えば、
携帯電話なんぞ使うわけはないので、万歩計である。
オタクラ本誌の最後にいつも書いている「本日までの歩数」を計測している
あれである。

それには時計も付いているので、必要ならそれで見ているし、
多くの場合は周りを見渡せばどこかしらに時計はあるので、それで用足りている。
今、自分の身の回りを見ればいったいどれだけ時計があるか。
仕事場でPCも含め10個以上あるし、家でも壁掛け時計はもちろん、
ビデオデッキ、電子レンジ、電話を始め多数ある(全部微妙に時刻が違っているのが難点だけど)。
現代人は時計に囲まれているのである。ちょっと恐ろしい。

それはそうと、そもそも私が腕時計をしなくなったのは、
仕事でPCを使い続ける=腕を酷使するためで、出来るだけ腕を軽くしたかったからである。
腕時計をしているときも仕事中は必ず外していた。
ちなみに、結婚指輪すらしないという徹底ぶりである。
(別に独身だと思わせて何するということではない・・・^_^;;)

さらに、腕時計をすると時計の裏が蒸れるというのもある。
暑い日は特にそうだ。
ベルトを皮とかにすれば蒸れは減るが、
時計の裏だけはどうしようもない。

その私がなぜ今腕時計を買う気になったか。
それはある機能が必要になったからである。

すでに3回ほど発表しているように、私はここ数年白馬に行っている。
また旅行先で軽い(きつくないという意味ではなく、軽装備で行けるという意味)
山登りをする機会も増えた。
そうなると登山途中の方角や高度が知りたくなってくる。

方角は方位磁針で知ることも可能だが、山登りの途中にそれを取り出してみるのは結構面倒だ。
又高度計はそう手軽な物がない(知らないだけかもしれないが)。
ということで、それらを兼ね備えた機能の物を捜していたのだが、
ちょうど良い物があった。それがこの腕時計である。

カシオのPROTREKシリーズは、こういった方位、高度、気圧などを調べる
センサーを内蔵した多機能腕時計のシリーズである。
http://www.casio.co.jp/ww/PROTREK/
この中には機能別に実にいろいろな派生機種があるのだが、
私の場合、日常では使わないことと時計より計測機能を重視しているので
機能と価格で選び、その結果このPRG-50J-1JRとなった。
(同シリーズには針時計も持った、いわゆる「ハイブリッド」タイプもあるが、
見た目はかっこよくても高い上に、機能面でも消費電力的にも液晶のみのものに比べ劣るので、
この手の時計にそういうタイプは要らないんじゃないか?と思う。)

*ソーラー駆動システム“タフソーラー”を採用
要するに太陽電池を内蔵しているので、電池交換が不要と言うことである。
逆に言えば、時々ある程度以上の明るさを持った光に当てなきゃだめよ、
ということであり、暗い部屋に引きこもってアニメや映画ばかり見ているような
連中は使ったらだめという仕様である(そんな連中が持っても宝の持ち腐れだけど)。
半日も光に当てれば充電メーター上はフル充電になる。

フル充電したらどれくらい持つかであるが、意外に持たない。
メーターは3段階表示されるが、元が満充電表示でも半日もポケットに入れておくと
半分以下に減る。かと思えば一月近く薄暗い部屋の中に放置していてもメーターが半分
位の時もあるので、「少しでも光が当たればそれなりに持つが、全く当たらないときは
結構早く消費する」ということかもしれない。それとも、メーター上
満充電に見えても実はもっと入るので出来るだけ光に当てろと言うことであろうか。

「電池が不要」とうたっておきながら、説明書には電池の交換についての項目がある。
電池別途販売とも書いてある。ようわからん。
よくよく読むと内蔵している充電式電池を「万が一交換することがあれば」という時の
記述のようであるが、そういうことは別に一般ユーザーの説明書に書かなくても
良いんじゃないか、と思う。
それともしょっちゅう交換せんといかんような2次電池(=充電池)なのか?

ちょっと専門的な話をすれば、一般に(だと思う)時計を刻むIC自体の消費電流というものは、
μAレベルである(10の-6乗)。

*方位計測機能
方位磁針の機能。
1つ注意が必要なのは、この機能は一般的な方位磁針のようにリアルタイム表示ではない
ということである。方位磁針は針が逐一動くが、
この時計の計測はボタンを押したときからしばらくだけであり、その後は
固定されてしまう。だから歩きながら方位の変化を知るには向かない。
固定されることに依るメリットもあるだろうから、一概に悪いとは言えない。

*気圧/温度計測機能
*高度計測機能
気圧や温度を計測したり、気圧に関してはその変化を記録してグラフ化する機能である。
高度と気圧には関係があるのでそれを元にした高度表示機能もある。
気圧測定は相対測定なので都度基準点で合わせ込む必要がある。

*フルオートELバックライト
スイッチを押した時だけでなく、時計を傾けると自動的にバックライトを付ける
機能もある。手がふさがった状態で時計を見たいときには有効であろうが
私は使ってない。

*10気圧防水
これを付けたまま水に潜る人は少ないだろうが、
山などでは何気なしに川に手を突っ込んだりすることはあるし、
雨に遭うこともある。汗をたくさんかくこともある。
そういうときにも簡単に壊れない、という意味位に私は考えている。

各機能は説明書をよく読んで覚えないと解らない。

なお、アラーム機能はあるがストップウオッチ機能はない。
使わないけど。

時計自体はかなりごつい。
女性はもちろん、男でも日常使うにはどうかと思うほどである。
もっともちまたの男性にはごつい時計をしている人も多いが。
重さも腕時計にしてはかなり重い・・・と私は思う。

操作スイッチはかなり大きい。
手袋をしていても押せるということらしいが、
確かに小さいよりこの方が良い。
ただ、ちょっと硬い。

        ・・・

では実際の利用結果である。
当然腕には付けないので、白馬登山ではズボンのベルト通し穴(正式名称は何?)に付けて登り、
出張時は鞄の取っ手に付けていた。

・高度計
実はこれは評価が難しい。
というのも、これに限らず気圧を元にしている高度計は、
気圧変化は高度によるものだけで天候などによる気圧の変動がないことを
前提としている「相対高度計」なので、天候の変化があるととたんに狂ってしまう
からである。

で、天候の変化がなかったときであるが、これはもう非常に正確である。
高さがわかる地点でアジャストし、そこから上下するときわめて正確に
高度を測ってくれる。これにはほんと感動した。
白馬八方池までのコース中には何カ所か高度がわかる場所があるが、
最初に設定して登ったら、すべての場所でものの見事に一致した。

ただ、変更の変化があるときは途中何回かアジャストする必要があるし、
してもすぐ合わなくなる。これは仕方ないところか。
全く基準高度を知るすべがないときには、相対高度しかわからないことになる。
それが難点。
アジャスト自体は簡単だが、温度や気圧など絶対測定できる項目=
通常変更必要なしの変更方法と基本的に同じなので、取説見ずにやるときは要注意である。
私はこれで間違って温度をいじってしまった。ゆえに、今の私の時計は
温度がちょっとおかしい。

高度計は(時計と一緒に)常時表示が可能だったので、
ほとんどこの状態であった。
ゴンドラやリフトに乗ると逐一高度が変わっていくのがおもしろい。
高度と気圧、温度、植物生態系などを表にすると、子供の自由研究にもってこいだと思う。

ちなみに、帰りの中央線の列車の中でも計ってみたが(中央線は結構高度変化がある)、
どうにも一致しなかった。
列車内はある程度気圧保持がなされているせいであろう。

高度表示時には変位グラフも表示されるが、過去数回(2時間間隔で過去26時間分)の
高度の平均によってグラフ高さ全体を変化させるため、ちょっとわかりにくい。
あくまでおまけと見た方が良い。

高度を一定時間毎に記録するモードもある。
これは結構便利で、自分がどんな時間で上り下りしたかが解る。
「白馬4」ではそれによる測定記録を載せるつもりである。
測定間隔は2通り合って5分と15分であるが、5分の時は3時間ちょっとしか持たない。
(メモリーが41本あって、5分単位だと41*5=205分=3時間25分分まで。)
白馬4ではこのモードにしていたため、帰りの一部が切れている部分があったのが
残念である。

「PRG-50シリーズには上り下りを繰り返す行程のときに、
上昇方向の高度変化を積算して表示する“上昇高度積算機能”や、
計測を同時に開始/終了できる“高度計連動ストップウオッチ機能」
もあるらしいが、取説を読んでもよく分からないので未使用である。
(白馬方面なら、Hakuba47がアップダウンが激しい。)


・気圧計
気圧自体は絶対測定が可能である。
「山に登ると気圧が下がる」というのがよくわかる。
ついでに書くと、これを買ってからしばらくの間に台風がいくつか来たが、
やはり気圧がぐっと下がるのがわかった。
これも子供の自由研究に良いのではなかろうか。

同じような高度にいるはずなのに気圧が下がり始めたら天候が悪くなる兆候でもある。
山の天気は本当に変わりやすい。
その予兆を知るには重宝するであろう。

気圧変化は記録を取ることも可能なのだが、
今回は取説を忘れて設定できなかった。
というか、取説がないと覚えきれない。


・温度計
これも「山に登ると気温が下がる」というのがよくわかる。
今回は麓では25度あるのに山の上では15度を切るなど非常に
温度変化が激しかったが(雲の中に入ったからというのもある)、
体感温度と実温度にも結構差があるのもわかった(汗をかいたら暑いから)。

冬の東北出張時は野外の温度測定に重宝した。
体感温度と実温度というものは結構開きがあると言うことが分かったり、
寒いと思ったらやっぱり1度とか4度とかだったりである。
1度くらいだと、水に落ちた雪も溶けずにシャーベット状のまま残ったりする、
ってなことが分かったりする。

ただ、この温度計には1つ重大な欠点がある。それは、測定に長い時間がかかるということである。
気温を一気に測定できず、測定を開始したときの温度から徐々に変化して
最終的に気温と一致する点で止る。要するに寒暖計と同じなのである。
このため測定前が腕に付けている・ポケットに入れている・暖かい部屋にいた
状態で、寒いが気温を測ろうとしたときには、結構時間がかかる。
0.1度下がるのにだいたい3〜5秒はかかる感じ。温度が近づいてくるともっとかかるようになる。
20度も差があったときには600〜1000秒=10分以上もかかる。
結局、寒くて測定をあきらめてしまいそうになるほど時間がかかると言うことである。
(それでもがんばって「2.5度」を測定したのだが、寒かった。)

温度計と気圧計は常時表示が出来ない。
(しばらく経つと時計表示に戻る。)
センサーが電池を食うからかもしれないが、ちょっと残念。
高度と温度が同時に見えると結構役に立つのだが。


・方位磁針
ルートが決まっている山登りではあまり役に立たないかもしれないけど、
「向こうに見えている山は何」というのを間違いなく知るには使える。
また、旅行先で行き先をちゃんと捉えるのにももちろん有効である。
特に私は方向音痴だから。

山登りではあまり使えなかったが、ETX-70ATの方角合わせには重宝するかもしれない。
何せ方角だけでなく角度表示も出るから。
これでETXのアライメントがうまくいけばいいのだが、その評価は
次回ETX利用時までお預けである。


・アラーム
一応ちゃんと聞こえる。
私はアラームを設定したら、たいていその数分前からまさにぴったりに目が覚めるという
特技の持ち主なのでこの音で起きたわけではないのだが。
時報も当然あるが、山登りの途中ではいちいち時計を見ることが難しいというか
面倒なことも多いので、時報は鳴らすようにしている。
これで下りのリフトに乗り遅れずに済んだ。

・バックライト
自動点灯は切ってあるのでボタン押しでの結果。
なんか今ひとつ暗いのだけど、見えなくはない。
明るい場所だと光っているのは全くわからない。


・表示全般
液晶は基本的に上中下3段で別表示が可能で、
        曜日+時計+日付
        高度変位グラフ+高度+時計
        方位+角度+時計
        気圧変動グラフ+気圧+温度
となる。
私は多くの場合、高度変位グラフ+高度+時計にしていた。
ただし、基本時計表示以外はずっとその表示にしておくことが出来ない。
測定機能を使うと消費電力が上がるからであろう。

        お勧め度        85%

日常利用する時計としてはちょっと大きすぎるが、山登りを楽しくする物であることは確か。
旅行先でも結構使える。

私は本格的に山登りをするわけではないので、この程度の物で十分だが、
本格的な利用にこれが耐えるかどうかはわからない。
でも、完全なおもちゃというほどだめでもなさそうだ。
(メーカー曰く、プロの人にも使われているようだが。)

ただ、やはり高機能な分操作がややこしいのが難点である。
取説も同じような操作があっちこっちに分かれて書いてあったりしてわかりにくい。
じっくり読んでも何をどうしたらいいのかが解らないことが多々ある。
このあたりは是非とも改善して欲しい。

2004/7/31現在、同シリーズに新型PRG-70Jが発売されたようだ。
従来機種より値段・機能はそのままに小型軽量化されているようなので、
今買うならその方が良いかもしれない。

カタログスペック
<PRG-50シリーズ>
●方位計測機能:16方位・方位の角度(0°〜359°)を計測、方位連続計測(20秒)、
 東西南北をグラフィック表示、方位補正機能
●気圧計測機能(計測範囲:260〜1,100hPa)、気圧傾向表示(過去26時間分をグラフ表示)
●高度計測機能/相対高度計(計測範囲:−700〜10,000m)、
 計測年月日・時刻・高度を最大41本メモリー、相対高度表示、積算高度表示、最高高度表示、高度アラーム
●高度計連動ストップウオッチ
●温度計測機能(計測範囲:−10℃〜60℃)
●時刻アラーム・時報
●デュプレックスLCディスプレイ
●10気圧防水機能
●耐低温仕様(−10℃)
●ELバックライト(フルオートELライト、残照機能付き)
●バッテリーインジケーター表示 
●パワーセービング機能(暗所では、一定時間が経過すると表示を消して節電)
●タフソーラー(ソーラー充電システム)
●フル充電時の駆動時間(ソーラー発電無しの状態)、機能使用の場合:約5ヶ月/パワーセービング状態の場合:約 23ヶ月
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