「ザ・パン焼き器」(2000/01/31〜02/07号)
パン焼き器を買った。

実に珍しいことに2代目である。
炊飯器ならときどき買い換えることはあろうが(私が今使っている炊飯器は3代目)、
同じ大きさのパン焼き器で2代目というのはたぶん珍しかろう。

なぜって?
そこまでパンが好きなら、最初はパン焼き器を使ってても、
後は自分でオーブンとかで作るようになると思うから。

さらに私の珍しいのは、初代は友人に上げたのだ。
しかもつい最近。
この初代は、世界でも初代の松下の初代である。
ある意味ではプレミアもんである。

最初にこのパン焼き器で作られた「作りたて」のパンを食べた時の
あの感動は忘れない。妹の友人の家で作った物を持ってきてくれたのだ。
(今にして思えば、手間のかかる物を良く丸ごとくれたものだ。)
本当に良い香りでおいしかった。
1斤をあっと言う間に食べてしまった。
その感動があったので、後日自分でも買ったのであった。

で、最初の内は作っていたのだが、そのうち材料集めなどが面倒になって
使わないようになり、押し入れ行きになってしまった。
(一応松下からも材料を全てセットにした物が売られているが、
どこの電気屋でも見かけるほどメジャーではなかろう。
初代を買った当時、私は取り寄せてもらったと思う。)

それを友人にあげたのは、もちろん「もう自分では使うことはないだろう」
と思ったからであったが、こともあろうにまた買うことになろうとは。

なぜそうなったか。
そもそものきっかけは新電話機を買った時の抽選で当たった
1等「1万円日本橋金券」である(おぉ!)。

それで何を買おうか考えていたが、そうでなくてもうちは家電持ちなので
その金額帯では必要な物はなかった(必要だった電話機は買ってしまったし)。
もっと高い物ならいくつか欲しい物はあるんだけど(^_^;)。

で、近所の電気屋のちらしを見ながら選んでいる内に目に止まったのが
パン焼き器であった。最近のパン焼き器は安いらしい。1万円以下も出ているぞ。
(初代は値引き後でも3万2千円した。)
さらに、最近家での食パンの消費量は多い。

ということで、意を決し、再びパン焼き器を買うべく日本橋へと向かったのであった。

        ・・・散々歩き回る・・・

パン焼き器を置いている店自体が少ない。
ちらしには毎回出ていたのに、なぜないのだ?
えっ、日本橋ではそんな安いのはない?
(1軒だけ、韓国製の安いのはあったが。)

        ・・・う〜ん・・・

で、結局買ったのは松下の最新機種であった。
(見つけたのは松下/日立/韓国製の3つだけ。)
お値段は定価が32000円。買値が税込みで22600円。
税込みでちょうど30%引きですな。
金券が1万円だから、差引12600円。
高い買い物だこと。

中途半端な額の金券という物は、結局それ以上の買い物をしてしまうように
なってるのね。
実に甘い罠だこと。

この機種は近所の電気屋のちらしに載っていた1万円以下の物とはもちろん違う。
あちらはおそらく韓国製の安い物。こちらは天下の松下製。
そんなには安くなりませんわな。

最新機種でどこが変わっているかといえば・・・はて、どこだ?
時計が付いて予約が出来るようになった?
初代も出来たんじゃないか?
「天然酵母メニュー」というのが付いて、ドライイーストではなく、
天然(=自然界に普通に存在する)の酵母でも作れるようになったらしいけど、
それ以外の変化は見つけられない。

大きさ1斤も同じだし、全体の大きさも形も重さも同じと思う。
動作音も同じと思う。匂いが控えめになった?
でもそれって良くないぞ。あの良い匂いが減るなんて。
(これは焼き方より使っている材料の問題かも知れない。)

あっ、取っ手がなくなってる。
持ち運びしにくくなった。
パン焼き器は炊飯器より大きくて重いから、取っ手は必須だぞ。
なぜ無くしたのだだだ!

しかし、初代を買ってからすでに10年以上。
でも価格が同じとは、値段が下がらないことよ。
あんまり売れるもんじゃ無いから、改良もあまり進まないし、
価格も下がらないのね。残念。

        ・・・

で、家に持って帰って作ろうとするが、材料がないので翌日買いに行く。
そう、パンの材料はお米みたいに日頃家にある物ではないのだ。

        強力粉/ドライイースト
        食塩/砂糖/バター/卵/牛乳/水

普通家にある小麦粉は薄力粉だ。それでは膨らみが十分でないらしいので、
ここはやはり説明書どおり強力粉を用意しよう。
(実際のところ、薄力粉でも膨らみにそう違いはない。強力粉でも膨らみの
足りないことはある。発酵時間やその日の気温による方が大きい。)
ドライイーストを常備している家は少ないわな。
困った、うちは食塩もないぞ(食卓塩はあったんだけど)。
げげっ、卵も切れてる(うちでは卵を入れる)。
牛乳はかろうじてあった(スキムミルクでも良いけど、これはなかった)。
どういう家だ。
ってなわけで、ついでだから全部買ってくる。

材料を量って・・・うわぉ、秤もないじゃないか!
今までの料理、全部目分量でやってたからなぁ。
ということで、これも急遽買いに行く。
近所(とは言っても1キロ程先)に日曜大工・ホビー屋さんがあって良かった。

やっと全部揃ったので、全てを量って入れてスイッチオン!
え〜とどれ位かかるか・・・って5時間!?
どうしてもイーストの発酵時間が必要なのでこれ位必要なのだ。

早焼きコースにすれば2時間で行けるが、これで作ったパンは膨らみが少ない。
が、堅めのパンが好きならこれも良い。
使い分けが出来るだろう。

夏場は気温が高いので発酵しすぎてパンが膨らみすぎることがある。
この場合も2時間コースが良い。短い発酵時間に出来るからだ。
夏場は、材料を容器に入れ、数時間冷蔵庫で冷やしておくといい。

        ・・・

待つこと5時間、ようやく出来ました。
久しぶりに食べる自家製パンは・・・匂いは昔ほどしないなぁ。
あの時の感動するほどの香りはどこに行った?

味は良いけど、ちょっと辛いなぁ。
塩の分量が多いか。
次回は少し減らそう。

ってなこと言いながらでも、1斤を1時間ほどで食べてしまったのでした。
やっぱりおいしいわ。
でも喉が乾く。

        ・・・

パン焼き器がはやらない理由は、以下のようなことにあると思う。

        1、材料集めが大変
        2、出来るまでに時間がかかる
        3、安くない

パン焼きの材料はそれほど一般的でない物もあるので、特別誂えが必要だ。
作り始めてから出来上がりまで最低でも2時間かかる。ご飯なら、ゆっくりでも
1時間でいける。

作るのが面倒に拍車をかけるのが「夜間に動かし辛い」というのもある。
パンを作る行程には材料をこねるところがあるのだが、
実はこの行程でけっこう音が出る。「ぐぉんぐぉん」と。
夜中だとこれがけっこう響く。

また、出来たパンはパン焼き器の中に入れっぱなしにして保温・・・していては
いけない。直ぐに出して冷やす必要があるのだ。そうしないと水分が逃げて
縮んで堅くなってしまう。出来たては熱くて食べられないけど。
ってなわけで、朝起きる前に焼き上がるようにセットしてしまうと、
パンを出すために起きる羽目になるのだ(パン焼き器に起こされてしまった)。

値段的にも多分だけど、家で作るより買った方が安いような。
材料費だけで考えても
        ドライイースト  20円(1袋;これは小分けされた袋の場合。
                                大きい袋を計り取る物を使えば半額位に出来る)
        強力粉          70円(280g)
        卵              30円(1個;地物の場合。普通の白玉ならもっと安い)
        牛乳            15円(70ml)
ってな感じか。あれっ、合計したら日頃食べているパンより安いや。
でも、日頃買うパンは1.5斤位有るから、やっぱり家で作る方が高いか。
これに電気代もかかるからなぁ。
高いパンに比べればもちろん安いけど、普通の食パンでの比較で。
・・・その前に、本体代を考えれば、絶対に元は取れん。
そういう考えでは買ったら駄目だ。

はやらない=数が出ないので本体の値段も落ちない、と悪循環に陥っている。
そして、材料を集めに店に行ったらそこにはパンが売っている、というわけ
で、よほどの物好きでないと買おうとは思わないのでは、と思われるわけである。

それでも、焼きたてのパンのおいしさを知り、さらにそこから自分なりの
バリエーションを加えていけば用途は広がることを覚えれば"はまる"のではないかと
思われる。

自分好みの味に出来るし、何と言っても保存料とかが入ってないから、
子供が食べても安心と言うのもあるな。子供のいる家でパンをあげたいのなら
必須かも。
そうそう、そのまま食べてもおいしいのだが、意外と、パンに変な味が付いてないから
上に何か乗せても良いというのは発見である。

毎日焼くのは手間だけど、1週間に1〜2回位ならいいのでは、
と思うのであった。うちみたいに(3人で)朝だけ食べるなら、それで十分。
いや、実際にそれ位のペースで作り続けているのであった。

まぁ、誰にでも買えとは言わないけど、興味のある人はうちに来るよろし。
作りたてをご馳走して上げよう(要予約^_^;)。
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