「エルマクリーン」(2005/2/14号)
{商品紹介}

        「エルマクリーン」

        電磁波検知器付き        17000円(税・送料込み)
        電磁波検知器なし        14500円(だったと思う;税・送料込み)

電磁波を防止するという商品。
まあ、最近ちまたに数あるこの手の商品の1つ。

以前同種の物として「テクノAO」という物を買って、おたくらホームページの
「ちょっと紹介」には書いていた。

        ・・・

        「テクノAO」

        ディスプレイ用  ¥7800
        ノートPC用      ¥4800

いわゆる電磁波を何とかするグッズの1つ。
比較的安価(だと思ったので)購入。
私は、会社で席に座ると3台のパソコン(デスクトップ&ノート)、
2台以上のCPUを使った製品に囲まれているので、電磁波の影響は並ではない。
席に座ると全身だるくなるのは精神的な問題だけではあるまい。
なもんで、これを買ってみた。

最初は少しだるさが減ったような気がしたが、その後元に戻った。
一番ひどいのは、頭の真横にある製品が動いた時であったが、
それが動いてない、PCだけ稼働時でも状況は変わらない。
ゆえに私の結論は「効果無し」である。

そういえば、宣伝ホームページはやたら多いのに、
実体験を載せたページがほとんど無い(見つけたのは1つだけ)なのが不思議だった。
やっぱり、そういうものだと言うこと?
一応ホームページなど。
https://www.ariga10.com/shop/t-ao/pro.php
ここが大元。価格も一番安い。 http://www.meikyo.ne.jp/ao/ 資料は多いが価格は倍以上高い。 テクノAOは実績にはすごいことが書いてあるが、理屈が分からず眉唾物である。 効果はハッキリとは感じなかったが、買ってしまったのでしばらく会社で使っていたが、 ある時、どうしても会社の会社のPCの前に座ると強烈な疲労感というか圧迫感が続いたので外した。 (頭を押さえつけられるような感じ。) すると、なんとその症状がだいぶ改善された。 もともと、「有効期限は1年、それ以上付けているとかえって悪いことがある」 と書いてあったような気がする。新品を付けても余りハッキリと効果が感じられず、 それでいて期限が切れると逆効果を示すなんてだめだ。 ・・・ ってな具合で、ほとんど効果が感じられない上に、最後は悪影響まで出た。 (見目は綺麗なので、飾りとしては使えるのだが。 特にノートPC用はしっくりしてかっこいい。) しかし、私の電磁波環境はある意味壮絶である。 2003年後半〜2004年は非常に忙しく、毎日朝9時から夜10時までPCの前に座りっぱなし、 しかもその間デスクトップPC+ブラウン管モニタ、 ノートPC、その他私の作っている機械2種類(内2つは液晶付き)、 その外部液晶モニター2個が、私を270度、3面包囲していたわけだから 電磁波浴びまくりな状態だったわけである。 さすがにこれはいかんと言うことで、別の商品を探している時に見つけたのがこれである。 このエルマクリーンには電磁波検知装置付きとなしの物がある。 最初は検知装置付きの物を買うことになろうが、増設にはそれは要らない。 これを買ったのは「動作原理が理解出来る」からである。 その原理とは、要するに、仮想でアースを取るというものである。 電気製品には、漏れ電流や電磁誘導によって筐体に電位が発生する。 電気的に書けば0Vが0Vでなくなる。 アースを取るとこの電位差分を大地に逃がすことで0Vにできる。 特に大電流を扱う機器では顕著なので、さらに水を使う洗濯機や乾燥機には アースが必須となっている。 アースは基本的は大地に電流を逃がすのであるが、 場所によってはアースを取ることが出来ない。 そこで、この発生している電位の逆電位をかけることで 仮想的に0Vにするのがこの商品の基本動作原理である。 コンセントの差し込む向きによって電位差がプラス側に出るかマイナス側に出るかが解らないので、 この手の装置にはその切り換えスイッチがある。 プラスにはマイナスを、マイナスにはプラス電位を与えるためである。 (間違ってプラスにプラス、マイナスにマイナスを与えると電位差が倍になって危険。) こういう基準電位の揺れはオーディオにおいては音の劣化をもたらす。 だからオーディオではアースを取れという。 ずっと前にオーディオで紹介したアコースティックリバイブの スーパーアースリンクも同じ原理である。 電位差があり電流が流れると電磁波が発生する。 だから電位差をなくして電流を流れなくして電磁波を抑制する。 で効果は? 正直なところ、うちの家では非常に効果が薄かった。 確かに検知器の鳴る音はより近づけないと鳴らなくなった。 が、テスターで計る電位差は下がらなかった。 それ以前に本体の+−スイッチをどちらにしても緑点灯しない。 これはスーパーアースリンクの時と同じ。 どうもうちの100Vラインは特殊らしい。 結局、オーディオと同じくアースを引いてしまった。 その効果は、電話線のノイズの現象に現れた。 うちの電話線は電話機とPC(内蔵モデム)の2又にしていたが、 PCに電話線がつながっているとものすごくノイズが入ったのだが、これが減った。 それはPCでインターネット接続時の最高レート上昇にもなった。 (現在はダイアルアップではなくADSLで接続している。) そもそも2台買ったのは会社のPCに付けるためである。 ということで、会社でも付けてみた。 会社でも最初+−どちらでも緑にならずに困ったが、 別のコンセントにしたら緑になった。 こちらはアース電位は計ってないが、 はっきり解ったのはオーディオラインのノイズが減ったこと。 WindowsPCもX68も。 (X68はなぜかボリュームを絞った時のノイズは増えたけど。) 特にX68のノイズの減り方はちょっと劇的である。 静粛と言うにふさわしいレベルまで下がって、音楽の広がりがかなり良くなった。 まだノイズはあるけど。あっ、ヘッドフォンを換えたせいかも。 (家のノートPCは元々オーディオラインのノイズが極めて少ないので変化が 解らなかった。) その他の人体への効果は全く持って不明。 これを入れてから集中力が戻ったということもない。 体のだるさも同じ。 まあ、これは仕事の量が劇的に増えたこともあるので 一概に電磁波だけでは推し量れないのではあるが。 本来はこの機械には電磁波検知器が付いているので、それを使って電磁波量の変化を測ればいいはずである。 ところが実際には使ってない。 上記でアース電位をテスターで計ったと書いているのはそういう意味だ。 なぜか。 それはこの検知器の動作に大いに疑問があるからである。 この検知機、なんと絶対に電磁波が出ていない物にも反応しやがるからである。 コンセントを繋いでない機器にも反応するし、 こともあろうにただのスチールラックにも反応するのである。 こうなるともうその検知能力を信用することは全く出来ない。 この件については一度店に問い合わせてみたが、 「漏電している可能性がある」という返事であった。 こりゃあ困ったと言うことで、翌日電気屋を呼んで調べてもらったが、 特に問題はないと言うことであった。 非常に微少な漏電にも反応しているのか、他の理由か。 いずれにしても、こういう症状は取説には何の説明もない。 その点だけでもだめ判定してしまう。 さらに書いてしまえば、これの取説も電磁波を勘違いしているとしか思えない。 電池駆動している時のノートPCからは出てないとか書いてある。 おいおい、もともとほとんどのノートPCはACアダプタ駆動であり、 そいうことは本体に入るのはDCなので電池であろうが無かろうが同じだ。 それをACアダプタ駆動時だけ電磁波が出るというのはどういうことだ? ホームページにあった説明もおかしい。 プラズマディスプレイの方が液晶よりノイズが少ないというのも信じられない。 プラズマは基本的には蛍光灯と同じ原理だ。 蛍光灯の電磁波が多いのにプラズマディスプレイが少ないというのはおかしい。 確かに今のプラズマディスプレイのノイズ対策はものすごくされているが。 (いや、液晶はパネルの真後ろに回路が走っているから結構多いのか?) 電磁波というのは実に幅広い名称であって、電波と磁場を合わせているし、 電波は電波で広い周波数を持つので、そのうちどこが人体に悪影響かも 知る必要がある。 ある種の鳥は、脳内に磁場を知る器官があって、それで方向を知ることが出来る というが、人間にはそういう器官はなくとも磁場の影響はある。 わかりやすいのは「ピップエレキバン」。 まあそれは局所的であり良い影響であるが、強い磁場が人間の体に 何らかの影響を与えることは十分考えられる。 (そういう意味で、私はいわゆるオール電化=電磁調理器(IH)を使う 住宅は危ないと思っている。) 電波は全ての周波数が悪いわけではない。 光だって電波の一種だし、そもそも地球には生命誕生以前から 宇宙から強い電磁波が降り注いでいるのだから、それらが悪ければ 生命そのものが誕生しないのである。 世の中「電磁波」=「悪」というイメージだけが先行しているような気がしてならない。 さらに書けば、最近は電磁波ばかりが問題視されているが、 実際には「静電気」も大きな悪影響がある。 モニターでなぜブラウン管が悪くて液晶がいいのかは、 ブラウン管の電磁波ではなく、そこに発生する静電気にある。 ドライアイになるのは電磁波の性ではなく静電気によって埃が ブラウン管と人の間で高速に移動するからである。 それが眼球を傷つけることすらある。 (静電気に関して言えば、私は冬場の化繊系のセーターやタイツ/パンストも体に悪いのでは、 と勘ぐっている。女性に多いの冷え性の原因の1つではないかとも。 なぜなら、タイツ/パンストやスカートは静電気の大きな発生源だからである。) ひょっとするとこの検知機は磁場だけに反応するのであろうか。 アースを取ることは一種の磁気シールドをするのと同じ効果があるし、 そう考えるとただの金属に反応するのもうなずけなくもない。 確かに効果は感じられもするが、やはり他の製品同様 「眉唾」物の範疇を超えない。 3万も出してこれだから、全く困ったもんである。 おすすめ度 55% まあ、効かないとはいわないけど、効かない環境もあるので お試し期間が欲しいところ。 それと、これをつなぐと場所によっては「やばい」状態になることがあるらしいので、 会社などで使う場合は注意した方がよい。 私は使ってたら「絶縁抵抗値が0になるので・・・」と言われて外すことを命令された。 詳しい理由は電気屋ではないので分からないのだが。 (この機械自体が疑似アースとなるので、本物のアース;しかも業務用の極めてちゃんとしたもの があるところで利用すると競合して何やらあるらしい。) 正直なところ、私は電気製品を作るという仕事柄(しかし電気屋ではない)、 電気製品の電磁波対策についても少しは知っていたりする。 もっとも専門ではないのだが、ヨーロッパやアメリカの製品は 以前からかなり厳しい電磁波の出す方・受ける方の試験に合格しているが、 日本の製品も電安法になってから(昔は電取法)厳しくなった。 そういう基準に合格している製品であれば、言うほど電磁波は出てないとは思う。 本当の対策とは、単に製品に何かを付けてどうこうというレベルでは出来ず、 基板の回路の引き回し、ケーブルへのノイズフィルターの付け方など いろいろな、それこそ切った貼ったの対策がなされるのである。 オーディオ系では時々これを付ければ電磁波が無くなる等と唄った アクセサリーが出ているが、あれほど信用できない物はない。 そんな簡単に電磁波の放出を止められるもんなら、誰も苦労しない。 そういう意味では、世にある電磁波対策物のほとんど全ては眉唾とも思えてくる。 特に貼ってどうにかするなんて物はすべてそう。 確かにその貼った物に当たった電磁波は吸収されるであろうが、 それ以外の場所から出ている部分に関しては全く無力。 量が減るくらいなもんだ。 電磁波関係の商品を作る会社は、嘘八百を並べず、勝手な思いこみをせず、 ちゃんと電磁波の勉強をして、テストサイトなどに行って「事実」を知るべきである。 それが売る側の義務であると言っても良い。それをしないなら売ったらだめ。 実体験として、電磁波が体に何らかの影響を与えているのは感じている。 だからこそ何とかしたいと思う。 電気機器を使う側として、利用頻度を下げる、距離を置くとか良い製品を選ぶとかの 実践は必要だが、それ以上の防御をしたい。 それに真摯に応える製品が欲しい。
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