「生人形と松本喜三郎展」(2004/10/04号)
{展示会紹介}

        「生人形と松本喜三郎展」

        大阪歴史博物館(JR森ノ宮駅徒歩10分、または地下鉄谷町線谷町4丁目駅徒歩5分)

江戸後期から明治の初期にかけて活躍した「生人形」師、松本喜三郎と、
そのライバル達の作品の展示である。

「生人形」というのは、まるで生きているかのように見える、精巧な人形である。
今で言うなら蝋人形がそれに近いのだろうけど、当時だから当然基本的に木製であるが、
その精巧さは驚くばかりで、本当に生きているかのように見える。

私が生人形や松本喜三郎を知ったのは、九州出張の際にJR九州の特急車両の
車内にあった冊子「Please」の特集記事である。
残念ながら、その冊子そのものは紛失してしまったのだが、そこにあった
写真の人形の精巧さには目を奪われる物があり、機会があれば是非見たいと
思っていた。それが大阪で公開されるとあっては、更に今回は喜三郎だけでなく、
多くの生人形が見られるというのであれば、仕事をさぼってでも行く価値はある。
当時の人がこれを見て驚いたと聞くが、今見てもそうだ。

実際に見たそれらは、まさに驚きの連続であった。
当時の素材でここまで精巧に作ることが可能とは。
卓越した技量もさることながら、物の有り様を正確に捉える目のすばらしさにも感嘆した。
(当時は写真など普通には使えないのだから、写生絵と記憶だけで再現するのだ。)

実はこの生人形、当時は相当数作られたらしいのだが、
現在に残る物は非常に数少ない。
そのわけは、1つは生人形の構造にもあるのだが(あちこち持って行って公開するために
中身は針金で骨格というか枠が作られている=柔である)、もう1つは戦争で
失われたからである。
(今回は、アメリカで100年以上ぶりに発見された作品も里帰り展示されていた。)
こんなすばらしい作品を後世に残せないなど、まさに人類の損失である。
戦争反対。

        お勧め度        100%

行かねばなるまい。
・・・と、紹介しておいて何だが、実は今回の展示は10/4で終わってしまっている。
私も仕事がとにもかくにも忙しくてなかなか時間が取れなかったのを、
10/1の午後、会社を休んで見に行ったのだ。
どうやら、期間内で一時期だけの展示とか言う物もあったようだ。
もっと早くに行っておれば、見逃さなかったのに。残念。
全く、会社のくだらん仕事のために・・・(以下削除)。

またどこかで展示があれば絶対に行くことをお勧めする。

そうそう、この展示のあった大阪歴史博物館。
生人形展は特別展示だが、常設展示もある。
名前の通り大阪の歴史を展示しているところであるが、こちらもなかなかおもしろい。
今回時間がなかったので飛ばし見したが、それでも予定よりだいぶ時間が掛かった。
また機会があれば行きたいと思う。
そうそう、中で子供向けのスタンプラリーがあるのだが、別に大人がやっても
かまわない(というかやった)。結構勉強になる。
そのスタンプ置き場には係員の人がいるが、話しかけると結構いろいろ教えてくれる。
興味のある人はいろいろと聞いてみると良いだろう。

おっと、入場料についても書いておかねば。
今回は、特別展と常設展共通特別割引券で1000円だった。
もちろんその価値は十分あったのだが、常設展だけだと600円である。
ただし、中学生以下は無料。
まあ、小学校高学年くらいからなら展示内容もそこそこ解るんじゃないかな。

大阪城と、難波宮跡も非常に近い(更に、よく見える)ので、
それらとあわせていくのも良いであろう。
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