「書籍紹介1998」
(1998/06/17号)
        「日本は日本のやり方で行け!」

        ビル・トッテン
        PHP研究所
        ISBN4-569-60143-X
        ¥1143(+税)

日本のソフトウエアの会社、(株)アシストの社長であるところの著者が書いた、
これからの日本の在り方について述べた本である。

この人は以前から、「日本には日本の良いところがあるのだからそれを延ばせ」
「アメリカのまねをするな」ということをよく言っている(書いている)人であるが、
この本でも主題はそのとおりである。

今や日本はアメリカの植民地である。日本は53番目の州などという人もいるが、
州ならまだ自治もあり他の州と対等であるが、日本は州のような自治権もないような
状態である。

無能政治家や各省庁の官僚、特に大蔵官僚ははアメリカの言う通りにしか動かない
(逆に、有能な政治家はアメリカに潰される)。
マスコミはアメリカや馬鹿政府の言いなりのことしか伝えない。
ほとんどは歪められた情報で、まさに洗脳しようとしているようなもの。
本当はそれほどでもない日本の実情を、今のような大不況に陥れたのは
日米両政府と大蔵省とマスコミのせいである。

また、大会社の社長ですら「グローバル化」等と言っているに至っては、もはや
なにおか言わん。グローバル化、国際化というのはアメリカのまやかしの言葉で、
実はアメリカの都合の良いような市場と作るだけである。

日米の貿易不均衡など実は存在しない。
貿易だけなら対米黒字はあるが、アメリカ会社の日本法人が作ったものから得ている
利益は全く計算されていない。

アメリカは好景気だというが、実は労働者の賃金は下がり続けている。
儲けているのは極一部の経営者だけだ。そして、今アメリカそして日本を
自分達の都合の良いように動かそうとしているのは、彼らと、
そのお先棒担ぎのアメリカ政府である。

・・・などなど、この他にも、いかにアメリカが日本を洗脳し、自分の植民地として
都合の良いように情報操作しているかがよく解り、さらにそこからの脱却方法
まで示している本である。

本来は、このような本は日本人自身が書かなければならないものなのだ。
それをアメリカ人の著者に指摘されること自体がおかしいのであるが、
それは日本人がそこまで情けなくなった証明でもある。
いや、洗脳教育を受けていない彼だからこそ可能であったと言うべきか。

松下幸之助や本田宗一郎、土光敏夫のような優秀というか信念を持った
経営者が少ない今日、新しい経営者の理想の姿としてここしておくべき
ことでもある。

この本は全ての日本人が「絶対に」読まなくてはいけない本である。
それは、ここに書かれていることが真実だからである。
それはまさに私が今までおりにふれて書いてきたのと同じことであったので、
私としては非常に共感を覚えるところである。

ノストラダムスの大予言とやらに「日本沈没」というのがあったと思うが、
それは物理的な沈没ではなく、精神的な「沈没」=消滅ではないのかと
危惧してしまう。

日本に21世紀が、未来が必要ならば、アメリカ(の一部の奴ら)の謀略から
逃れ、目を覚まし、「日本」独自の生き方を進むべきなのである。

        お勧め度        360%

著者に国民栄誉賞を与え、日本の教科書に載せるべし。
全ての日本の(まともな)経営者に、教典として読ませるべし。
最近の若゛者どもには、テレビ・ラジオでサブリミナルでも何でも使って
覚え込ますべし。それだけの価値ある一冊。

このような人が社長の会社に行ける人は幸せだね。
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(1998/07/29号)
        「惑星へ」(上/下)

        カール・セーガン 森 暁雄(監訳)
        朝日文庫(朝日新聞社)
        上      ISBN4-02-261228-2       ¥700
        下      ISBN4-02-261229-0       ¥700

かのカール・セーガン博士の遺作とも言うべき(たぶん)最新の本である。
(先日紹介した、映画化されたコンタクトは原作は80年代のものだから
随分と古い。)

この本は、最新の惑星探査結果をもとに、太陽系の惑星の紹介の他、
逆にそれらの惑星と地球を比べることで、地球の有るべき姿=
人類の有るべき姿、そしてこれからどういうふうに人類が宇宙と接していくべきかを
SF作家や企業家ではなく、科学者として、提示している作品である。

原作の題名は「Pale Blue Dot」。「弱く青い点」とでも訳すのだろうか。
その意味は、宇宙、しかも海王星付近から撮影した地球の写真からである。
(もちろん人間が撮影したのじゃ無いぞ、ボイジャー1号だ。)

この地球がいかに小さく弱々しい存在か。それを1枚の写真からも認識し、
それを守るために何をすべきか。それを伝えようとしているのである。

だから、一部はコスモス似であるし、一部はコンタクト似であると言える。
また、最新の作品ということもあって、文章そのものもこなれており、
今までの作品よりかなり読みやすい。それは表現でもそうだし、章構成でもそうだし、
扱っている内容は宇宙の話だから、ややもすれば難しくなりがちなものを
見事にまとめてある(ただし、たぶん訳の間違いだろうと思われる部分があるので、
そのあたりはわけが解らなくなっている。)
そういう意味でも取っ付きやすいので、多くの人に読んでもらいたい一冊である。

        お勧め度        90%

本当は全ての人に読んで欲しいが、少なくとも宇宙に興味がある人は絶対に読むべし。
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(1998/07/31号)
        「釈迦の読み方−彼は何を悟り、何を語ったか」

        ひろ さちや
        祥伝社
        ISBN4-396-31090-0
        ¥533(+税)

宗教学者の著者が書いた、釈迦が何を説いたかを説明しようと試みた本である。

この人の作品はいつもそうなのだが、決して学者相手や、宗教に興味がある人向け
のような専門用語羅列、難しく書いているようなものではない。
解りやすい日常の言葉中心で書かれているので解りやすい(それでも一般的でない
言葉もあるにはあるが)。

この本では、いわゆる日本の仏教と本来釈迦が説いたであろう仏教の
根本的違いについて述べている。それは決して小乗仏教と大乗仏教の違いではない。
簡単に言えば、厳格かいい加減か、人に言ったことをただ聞き伝えるだけか
「私はこう聞いた」(如是我聞)=主体制の存在、という違いである。

これをベースに、仏教の基本概念である持戒(戒律)、出家と在家、縁起、中道、
四諦、忍辱(にんにく)について、今日本で一般的に考えられていることではなく、
本来の意味で解説しているのである。

また著者は、この教えをもとに、日本が今の混沌とした状況から抜け出すための
精神的規範となるものが何かを見つけ、日本が精神面から復興して欲しいと
思っているのである。

仏教の本当言えば、何か堅苦しいイメージを持つかも知れないが、日本人にとっては
何も特別なことではない。ぜひとも、この本を読んで一度少しだけでも考えて欲しい
ものである。

        お勧め度        90%

お盆前だし、こういう本も良いかも。
お手ごろなので、寝る前にでもどうぞ。
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(1998/11/30号)
        「MDのすべて MDハンドブック」(ハイテクブックシリーズ16)
        河村 正行 著
        電波新聞社
        ISBN4−88554−490−4
        ¥1333(税別)

オタクラでも何回か話題にしているMDについての「技術」の本である。
安っぽい雑誌に載っている使い方やメーカー別の機能やデザインの差を
羅列したようなものではない。

CDというものはオランダのフィリップス社が開発し、
その後日本の会社(SONY)も一緒になって作った規格で、
今やその規格書は完全に公開されているが、
MDはSONYが1社で開発したものなので、細かい仕様が公になっていない。
(もちろん、契約を結んだ製造メーカーには渡されているはず。)
そのためその技術的裏付けがわからなかったが、
この本ではかなり突っ込んだ技術的紹介をしている。

残念ながら、CDやその他のデジタル音楽技術に関するかなりの予備知識がないと
この本を読むのは難しい。MDはCDの技術をベースとして作られているので
その技術的重複点が多いし、そういうところは「他の本を読め」と言うことらしく
説明がほとんど無い(著者がそういう方面の人らしく、自分の知っていることは
説明していないようだ)。

私は少しは知っているつもりだったが、それでも半分位わかるかどうかである。
言葉が難しすぎる。概念はわかるのだが。

さらに、ページの制約かSONYが資料を出さないのか、
細かい部分ではあいまいになっている部分がある。

特にCDの半分の直径(と言うことは面積は1/4)の大きさに
CDと同じ時間(同じ量ではない)の音楽を詰め込めるための高圧縮技術の
「ATRAC」については誰もが知りたいところであるが、
残念ながら、その部分は簡単にしか書かれていない。
逆にどうでも良いような部分が長かったりするのだが。

ちょっと困った面もあるが、なんにしても初めてとも言えるMDの解説本なので、
興味のある方は読むといいだろう。
将来的にはMDの音はCDを越える可能性もあるようなので、
今はまだカセットテープの人も、テープに変わるメディアとして、
MDを注目するといいだろう。

        お勧め度        70%

良い本だけど、難しい。
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(1998/12/07号)
        「火星人刑事(デカ)」第1巻

        安永航一郎
        ISBN4−08−875729−7
        ¥505(税別)

あの安永航一郎が帰ってきた。
またもや常人の描き得ぬ内容で唸らせてくれます。

前作の「超感覚アナルマン」は余りにもお下劣で、オタクラでも
「禁断の書」として糾弾しましたが、今回の作品はまだましです。
わかる人にはわかる書き方をすると、

        アナルマン>>火星人>巨乳ハンター>>中野予備学校
        危険                                       まし

位のお下劣度です。でもこれならまだ読めます。
相変わらず危ないところもあるけど。
しかし、どうやったらああいうネタを思い付けるのかねぇ。

出張先の本屋で見つけ、帰りの列車の中で読んでて、
思わず吹き出しそうになったのは秘密です。
端から見たら危ないかも。

読み終わったらさっさと古本屋に売ろうと思ったら、
子供がぐちゃぐちゃにして売れなくなってしまいましたとさ。

        お勧め度        35%

別に買わなくていいです。
前作で離れた安永航一郎ファンも安心。
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